Aさん (48歳、男性、会社員 )は、 8年前から高血圧症 (hypertension)、脂質異常症 (dyslipidemia)および 労作性狭心症 (angina of effort)に対して内服治療をしていた。胸部絞扼感が時々出現するため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を実施することになった。 Aさんは身長 165 cm、体重80 kgである。午前 9時過ぎから左橈骨動脈を穿刺し、狭窄部位である左冠状動脈にステント留置術が行われ、午前 11時ころに終了した。
経皮的冠動脈形成術〈PCI〉終了後、穿刺部位を圧迫固定した。気分不快などの症状はない。術後の Aさんへの説明で適切なのはどれか。
1: 「すぐに歩行できます」
2: 「夕食まで食事はできません」
3: 「 2日後までシャワー浴はできません」
4: 「左手首の圧迫固定は明日の朝まで行います」
経皮的冠動脈形成術〈PCI〉終了後も点滴静脈内注射が継続され、抗血小板薬と抗菌薬の投与が行われた。その後、看護師は Aさんの穿刺部位の出血がないことを確認した。次に行う観察で最も注意すべき項目はどれか。
1: 発熱
2: 麻痺症状
3: 皮膚の黄染
4: 穿刺部位の感染徴候
術後 3日に退院することになった。 Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。
1: 「職場復帰は 2週間後からにしましょう」
2: 「 3か月後の目標体重を 65 kgにしましょう」
3: 「狭心症 (angina pectoris)の症状が再度現れる可能性があります」
4: 「退院後に穿刺部から出血する危険性があります」
Aさん (43歳、男性、会社員 )は、 1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、 Aさんは、非 Hodgkin〈ホジキン〉 リンパ腫 (non-Hodgkin lymphoma)と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。 Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、 Aさんは体温 37.5℃、呼吸数 18/分、脈拍 84/分、血圧 124/64 mmHgであった。血液検査データは、赤血球 302万/μl、Hb 10.3 g/dl、白血球 6,400/μl、総蛋白 7.6 g/dlであった。
入院当日、 Aさんは看護師に「最近、なんとなく手がむくんでいるような気がする」と言う。 Aさんの手のむくみの原因として可能性が高いのはどれか。
1: 発熱
2: 貧血
3: 低蛋白血症
4: 上大静脈の圧迫
入院後 4日。 Aさんは化学療法として CHOP療法 (シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン )を行うことになった。開始前の Aさんへの説明で適切なのはどれか。
1: 「高齢の人より副作用は少ないでしょう」
2: 「明日から加熱食となります」
3: 「 3日目ころから脱毛が始まります」
4: 「 5日目ころから口内炎ができやすくなります」
治療は正午から開始され、午後 5時ころから胸やけと悪心が出現した。その後、 Aさんは制吐薬を追加投与され、症状は軽減した。それ以降、 Aさんに悪心・嘔吐はないが、翌日も食欲がなく、食事は 1/4程度の摂取であった。治療後 3日には症状が改善し、食事は全量摂取できた。 Aさんは「楽になったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでもちょっと気持ち悪くなる」と話す。治療後 3日までの状況を踏まえて、次回の治療時の対応で最も適切なのはどれか。
1: 治療前日の夕食を控えてもらう。
2: 治療薬の減量を医師に相談する。
3: 1日 1,000 mlの水分摂取を促す。
4: 病院食以外は食べないよう指導する。
5: 治療前の制吐薬の追加投与を検討する。
成人の学習の特徴として正しいのはどれか。
1: 学習者のこれまでの経験が資源となる。
2: 外的動機づけによって学習が促進される。
3: 自己評価よりも他者による評価が重要である。
4: 課題中心の学習よりも講義形式による学習の方が効果が高い。
術前の検査値で創傷治癒の遅延因子となるのはどれか。
1: 血清アルブミン低値
2: 血清総ビリルビン低値
3: 糸球体濾過値〈GFR〉高値
4: 動脈血酸素分圧〈PaO2〉高値
乳癌(breast cancer)に対する乳房温存手術後の放射線治療を受ける患者への説明で正しいのはどれか。
1: 放射線肺炎(radiation pneumonitis)のリスクがある。
2: 対側の乳癌(breast cancer)の予防が目的である。
3: 治療期間中はブラジャーの使用を避ける。
4: 治療期間中はマーキングした部位を洗わない。
緩和ケアについて正しいのはどれか。
1: 患者の家族は対象に含まない。
2: ケア計画は多職種が話し合って立案する。
3: 疹痛コントロールの第一選択はモルヒネである。
4: 根治的な治療法がないと医師が説明したときから始める。
気管支喘息(asthma)に対する副腎皮質ステロイドの吸入療法について正しいのはどれか。
1: 副作用は内服より少ない。
2: 吸入後に含嗽はしない。
3: 食後の吸入が食前より効果的である。
4: 吸い込むタイミングで効果に差はない。
甲状腺癌(thyroid cancer)のために甲状腺全摘術と頸部リンパ節郭清術とを受けた患者の術後管理で正しいのはどれか。
1: 甲状腺クリーゼ(thyroid crisis)の観察をする。
2: 嗄声のある間は経口摂取を禁止する。
3: ドレーンからの乳び漏の有無を観察する。
4: テタニーが生じた場合は副甲状腺ホルモンを補充する。
肝硬変(cirrhosis)で皮下出血、腹水貯留および手指の振戦がある患者に対する食事で適切なのはどれか。
1: 高蛋白食
2: 高脂肪食
3: 低残渣食
4: 塩分制限食
右乳癌(breast cancer)のために胸筋温存乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術とを受けた患者。呼吸循環機能は安定しており、右腋窩部と乳房皮下とにドレーンが挿入されている。 術後1日の看護で適切なのはどれか。
1: 右側臥位を勧める。
2: 右肘関節の回内・回外運動を勧める。
3: 右上肢の中枢から末に向かってマッサージをする。
4: 右上肢の前方挙上は術後10日間行わないよう指導する。
所見と病態の組合せで正しいのはどれか。
1: Raynaud〈レイノー〉現象 ─ 四肢末端の虚血
2: 頸静脈の怒張 ─ 左心系の循環障害
3: 全身性浮腫 ─ リンパ管の還流障害
4: チアノーゼ ─ 還元ヘモグロビンの減少
5: 上室性期外収縮 ─ 心室から発生する異所性興奮
原発緑内障(primary glaucoma)について正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 眼球が突出する。
2: 眼圧が上昇する。
3: 瞳孔が縮小する。
4: 視神経が萎縮する。
5: 眼底に出血がみられる。
Aさん(58歳、男性)、建築作業員。趣味はジョギングで毎日5kmを走っている。 55歳のときに肺気腫(pulmonary emphysema)を指摘されている。1か月前から咳嗽が続いて止まらないため、自宅近くの病院を受診した。胸部エックス線撮影で異常陰影が認められ、精密検査の結果、右下葉に肺癌(lung cancer)が見つかり、標準開胸右下葉切除術が予定された。20歳から喫煙歴があり、肺気腫(pulmonary emphysema)を指摘されるまで1日40本程度吸っていた。
手術は無事終了し、胸腔ドレーンが挿入されたが、水封ドレナージのみで持続吸引は行われていない。術直後、胸腔ドレーンの先端から呼気時にエアリークが認められた。ドレーン挿入部と接続部とを確認したが異常はなかった。医師は、「再手術は経過を見て判断する」と言っている。 看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 水平仰臥位にする。
2: 肩関節の運動を促す。
3: ドレーンをクランプする。
4: 皮下気腫の出現に注意する。
術後2日。硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは咳嗽時や体動時に苦痛表情をしている。 看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 体動を少なくするように指導する。
2: 創部のガーゼの上から温罨法を行う。
3: 鎮痛薬の追加使用について医師と検討する。
4: 胸腔ドレーンの吸引圧について医師と検討する。
エアリークは自然に消失し、経過は良好であるため退院予定となった。体動時の痛みは持続しているが、ADLに支障はない。 Aさんへの退院時の生活指導として適切なのはどれか。
1: 「傷の痛みはすぐによくなりますので心配ありません」
2: 「リハビリテーションはジョギングから始めましょう」
3: 「外出時はマスクを使用してください」
4: 「退院後2、3日から入院前と同じ仕事をしても大丈夫です」
Aさん(40歳、男性)。入院時体重65kg。既往歴に特記すべきことはなく、全身状態は良好である。胃癌(gastric cancer)のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は 450mlで輸血はされなかった。術後1日、体温37.5℃、呼吸数24/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg。Hb14.8 g/dl。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(酸素吸入3l/分)。尿量50ml/時。創部のドレーンからは少量の淡血性排液がある。硬膜外持続鎮痛法が行われているが、創痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。
術後1日のAさんのアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 体温の上昇は感染による。
2: 脈拍の増加は貧血による。
3: 血圧の上昇は麻酔の影響による。
4: 酸素飽和度の低下は創痛による。
5: 尿量の減少は循環血液量の減少による。