Aさん(85歳、男性)は、妻と2人で暮らしていたが、自宅で意識を消失して緊急入院した。検査の結果、右中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断された。意識は回復したが左片麻痺があり、発症後3日からベッド上での関節可動域訓練(ROM訓練)が開始された。
発症後3週。意識は明瞭となり、五分粥と軟菜の経口摂取もできるようになった。食事中、うまく飲み込めずに時々むせることがあり、食事摂取に40〜50分かかっている。 Aさんへの看護で適切なのはどれか。
1: 水分摂取には吸い飲みを使う。
2: 五分粥を摂取するときは大きいスプーンを使う。
3: 嚥下するときは顔を右側に向ける。
4: 食後は30分程度Fowler〈ファウラー〉位にする。
発症後4週。Aさんは順調に回復し、退院に向けての準備が進められた。妻から「この状態で家に帰ってきて大丈夫かしら」と看護師に相談があった。 妻への看護師の対応で優先するのはどれか。
1: 介護に対する不安について詳しく聴く。
2: 特別養護老人ホームへの入所を勧める。
3: 要介護認定の申請手続きについて説明する。
4: 退院後に予測される問題について説明する。
Aさん(85歳、男性)は、5年前に発症した右脳梗塞の後遺症(cerebral infarction)のため、左半身麻痺がある。現在、療養病床に入院中である。右膝関節の軽度拘縮のため、ベッド上で過ごすことが多く、自力で体位変換をすることができない。全身の発汗が多く、便失禁と尿失禁とがあり、1日5回以上のオムツ交換を行っている。仙骨部に褥瘡を認め、創底の直径は5cm、創面は黄色、皮下脂肪組織までの欠損がある。毎日1回の褥瘡処置を行っている。現在のAさんは身長162cm、体重48kgである。
2週後、Aさんの褥瘡は創面に肉芽組織と軟らかい壊死組織があり、周囲に新しい直径5mmの水疱ができていた。 このときのケア方法として適切なのはどれか。
1: 水疱はつぶす。
2: 壊死組織は取り除かない。
3: 微温湯で創面を洗浄する。
4: 洗浄後は創面を乾燥させる。
Aさん(85歳、男性)は、5年前に発症した右脳梗塞の後遺症(cerebral infarction)のため、左半身麻痺がある。現在、療養病床に入院中である。右膝関節の軽度拘縮のため、ベッド上で過ごすことが多く、自力で体位変換をすることができない。全身の発汗が多く、便失禁と尿失禁とがあり、1日5回以上のオムツ交換を行っている。仙骨部に褥瘡を認め、創底の直径は5cm、創面は黄色、皮下脂肪組織までの欠損がある。毎日1回の褥瘡処置を行っている。現在のAさんは身長162cm、体重48kgである。 肛門周囲の皮膚は湿潤しており暗赤色であった。 看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 殿部をアルカリ性石鹸で洗浄する。
2: 肛門周囲の皮膚に保護オイルを塗布する。
3: 肛門周囲の皮膚をマッサージする。
4: ベッドにウレタンマットレスを敷く。
人口の高齢化に関連した指標の説明で正しいのはどれか。
1: 60歳以上の人口割合を高齢化率という。
2: 老年人口が35%を超えると超高齢社会である。
3: 高齢化社会から超高齢社会への所要期間を倍加年数という。
4: 生産年齢人口に対する老年人口の比を老年人口指数という。
高齢者の看護に活用できる理論とその説明の組合せで正しいのはどれか。
1: 離脱理論 ──── 高齢者の活動の権利を擁護する。
2: 生涯発達理論 ──── 高齢者が生産活動に関与することで老化に適応する。
3: ストレングスモデル ──── 高齢者の強みを援助者が見出す。
4: マズロー(Maslow, A.H.)のニード論 ──── 高齢者が人生を振り返り意味を発見する。
老人性難聴(presbyacusis)の特徴はどれか。
1: 耳鳴を伴う。
2: 伝音性の難聴である。
3: 低音域が障害される。
4: 語音の分別能力が低下する。
高齢者のいる世帯の割合の過去30年間の推移について、正しいのはどれか。
1: 単独世帯が増えている。
2: 三世代世帯が増えている。
3: 夫婦のみの世帯が減っている。
4: 夫婦と未婚の子のみの世帯が減っている。
家庭内における高齢者虐待に関する調査(2004年)による高齢者虐待の特徴で正しいのはどれか。
1: 被虐待者は女性が多い。
2: 経済的虐待が最も多い。
3: 配偶者による虐待が最も多い。
4: 被虐待者は要介護5が最も多い。
Aさん(103歳、男性)は、総義歯で時々むせるが、その他は元気に過ごしている。 Aさんの食事指導として最も適切なのはどれか。
1: 塩分の制限を厳しくする。
2: 蛋白質の摂取量を確保する。
3: 粘稠度の低いサラサラした食品にする。
4: 食べ慣れていない料理も積極的に取り入れる。
ベンゾジアゼピン系薬を服用中の高齢者について、若年者と比較した特徴で正しいのはどれか。
1: 薬物感受性が低い。
2: 薬物の作用が持続しにくい。
3: 薬物の相互作用が起こりにくい。
4: 薬物の血中濃度が高くなりやすい。
Aさん(76歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。これまで健康に生活しており、登山会への参加を趣味にしていた。3週前に、散歩中に転び、殿部から腰背部にかけての痛みがあったが様子をみていた。Aさんは痛みのため臥床して過ごすことが多くなり、次第に足に力が入らず立ちあがりも困難になった。食事は夫が購入した弁当を残さず食べていた。 2日前から1日中臥床するようになったため、夫の介助で受診し、腰椎圧迫骨折(lumbar compression fracture)と診断され入院した。
入院時のアセスメントで最も適切なのはどれか。
1: 嚥下困難がある。
2: 筋力の低下がある。
3: 関節の強直がある。
4: 痛みは我慢できる程度である。
入院後5日が経過し、Aさんは病室内を歩くようになったが、腰痛を訴えている。看護師が検討すべき事項として適切なのはどれか。
1: 鎮痛薬の内服
2: T字杖の使用
3: 痛みのある間の臥床保持
4: 就寝中のコルセット装着
Aさんの経過は順調で歩行機能も回復したため、退院することになった。退院直後の生活指導として適切なのはどれか。
1: 登山への参加
2: 散歩の再開と継続
3: 居室内リフトの設置
4: 体幹の回旋運動の実施
介護保険制度の開始後、認定者数の増加が最も著しいのはどれか。
1: 要支援(2006年度からは要支援1と要支援2)
2: 要介護2
3: 要介護4
4: 要介護5
加齢によるホルモンの基礎分泌量の変化で正しいのはどれか。
1: メラトニンは増加する。
2: コルチゾルは変化しない。
3: 成長ホルモンは変化しない。
4: 副甲状腺ホルモンは減少する。
高齢者の疾患の特徴として正しいのはどれか。
1: ADLへの影響は少ない。
2: 症状の出現は定型的である。
3: 環境からの影響を受けにくい。
4: 複数の臓器に障害が生じやすい。
Aさん(78歳、女性)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症し入院治療した後、回復期リハビリテーション病棟に転棟した。担当の理学療法士は、Aさんは早く自宅に帰りたいと熱心に歩行練習をしていると話していた。転棟後、1週を経過したころから、Aさんは疲労感を訴えて病室で臥床していることが多くなった。理学療法後の血圧と脈拍とに変動はみられない。肝機能と腎機能とに異常はない。 Aさん、看護師および担当の理学療法士で検討する内容として最も適切なのはどれか。
1: 運動強度の軽減
2: 家事動作練習の追加
3: 翌日の理学療法の中止
4: 病棟での歩行回数の増加
Mini-Mental State Examination〈MMSE〉の説明で正しいのはどれか。
1: 情緒状態を調べる。
2: 確定診断に用いられる。
3: 得点が低いほど機能が低い。
4: 被検者の日常の行動を評価する。