Aさん(71歳、女性)は、要介護1で、ベッドからの立ち上がりや入浴などに一部介助を必要とするが、歩行器で室内を移動できる。失禁することがあるため失禁用のパッドを装着している。Aさんは介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利 用している。入所した日の夕方から、水様便と嘔吐とがみられ、感染性胃腸炎(infectious gastroenteritis)が疑われてトイレ付きの個室に移動した。
発症から2日目の午後、Aさんの仙骨部に直径2cm程度のステージⅠの褥瘡が出現した。嘔吐は消失したが下痢が続き、2〜5時間ごとにトイレを使用している。 この時点の褥瘡に対する看護で最も優先されるのはどれか。
1: 壊死組織の除去
2: エアマットレスの使用
3: 撥水性の高いクリームの塗布
4: 亜鉛入りの栄養補助食品の摂取
Aさん(34歳、初産婦)は順調な妊娠経過であった。妊娠40週5日の午前8時、10分毎の規則的な子宮収縮を主訴に来院し、医師の診察の結果、入院となった。入院時の胎児心拍数基線は130bpm、胎児の推定体重は3,300gであった。
Aさんの分娩は順調に進行した。午後5時に破水し、午後6時には子宮口開大8cmとなった。「便が出そうです。もう、これ以上頑張れない」と陣痛発作時には全身に力が入っている。 このときの看護師の声かけで正しいのはどれか。
1: 「リラックスするためにお風呂に入りましょう」
2: 「赤ちゃんのために我慢しましょう」
3: 「トイレに行って排便しましょう」
4: 「息を吐いて力を抜きましょう」
Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。
Aさんの妻が、Aさんの国民健康保険証を持って救急外来に到着した。妻から聴取した情報によると、Aさんは特に既往はないが、時々頭痛があり、母国で市販されていた鎮痛薬を常用していたとのことであった。心電図でST上昇が認められ、Aさんと妻は、医師から「入院して冠動脈造影〈CAG〉を受けないと命の危険があるかもしれない」と説明を受けた。しかし、Aさんは「たくさんの費用は支払えないし、学校を休むのが心配だ」と検査を受けることを拒んだ。 このときの救急外来の看護師の説明で優先されるのはどれか。
1: 検査の手順を説明する。
2: 学校は退学にならないことを説明する。
3: 宗教に応じた食事対応ができることを説明する。
4: 医療費は国民健康保険が適用されることを説明する。
Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。
Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った。術後2日、1日に6回の排便があり、造設された肛門周囲に発赤がみられている。 排便後の対応で最も適切なのはどれか。
1: 石けんで洗浄する。
2: 微温湯で洗浄する。
3: お尻拭きシートで拭き取る。
4: ポビドンヨードで消毒をする。
Aさん(68歳、男性)は妻(68歳)と2人暮らし。膀胱癌bladder cancerで尿路ストーマを造設している。A さんはストーマ装具の交換に慣れてきたため、妻と帰りで近くの温泉地を旅行する計画を立てており、外来看護師に助言を求めた。 外来看護師がAさんに助言する内容で適切なのはどれか。
1: 装具の交換に必要な物品一式を2回分持参する。
2: 旅行中の水分摂取は1日1,000mL以内に控える。
3: 他の入浴客がいなければ装具を外して入浴できる。
4: オストメイト対応のトイレがなければ旅行先を変更する。
Aさん(57歳、男性)は、肺癌 (lung cancer) で放射線治療後、放射線肺炎 (radiation pneumonitis) を発症し、1か月半前 から副腎皮質ステロイドにより治療中である。 2日前から 38.0℃の発熱と頭痛が出現し、検査の結果、前頭葉に膿瘍が認められた。現在の Aさんの血液検査データは、白血球 12,000/μl、空腹時血糖 101 mg/dl、HbA1c 5.9%、CRP 4.6 mg/dlである。膿瘍の発症に関与した副腎皮質ステロイドの副作用はどれか。
1: 糖尿病 (diabetes mellitus)
2: 易感染
3: 高血圧症 (hypertension)
4: 創傷治癒遷延
Aさん(73歳、女性)は、既往歴はなく自立した生活を送っていた。最近、尿意を我慢できず尿失禁することがあり、夜間の排尿回数も増えたため、病院を受診した。その結果、過活動膀胱overactive bladderと診断された。 Aさんへの看護師の指導内容で適切なのはどれか。
1: 腹筋を鍛える。
2: 膀胱訓練を行う。
3: 水分摂取を控える。
4: 尿意を感じたらすぐトイレに行く。
Aさん(59歳、女性)は、半年前に下咽頭癌(hypopharyngeal cancer)で放射線治療を受けた。口腔内が乾燥し、水を飲まないと話すことも不自由なことがある。 Aさんに起こりやすいのはどれか。
1: う歯
2: 顎骨壊死
3: 嗅覚障害
4: 甲状腺機能亢進症(hyperthyroidism)
膀胱癌bladder cancerについて正しいのはどれか。
1: 女性に多い。
2: 尿路上皮癌より腺癌が多い。
3: 経尿道的生検によって治療法を決定する。
4: 表在性の癌に対して膀胱全摘除術が行われる。
Aさん(54歳、女性)は、排便困難のため外来を受診し、酸化マグネシウムとセンナとを処方された。腹腔内手術の既往歴がある。 Aさんへの指導で適切なのはどれか。
1: 「運動は控えてください」
2: 「下痢が続いても心配ありません」
3: 「おなかの張りが続くようなら、また受診してください」
4: 「旅行をする場合は酸化マグネシウムの内服を控えてください」
Aさん(82歳、男性)は、4年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)の診断を受けた。要介護4で、1年前からグループホームで生活している。高血圧症(hypertension)に対して持続性カルシウム拮抗薬を内服している。他に治療を必要とする疾患は認められない。 1週前から夜はほとんど眠らず、居間のソファに腰かけたり、歩き回ったりする状態が続いている。昼間もベッドに横になることはない。食欲が低下してきたが、先月よりも体重は2kg増加している。
Aさんは直ちに救急車で病院に搬送され、治療を受けて症状は軽快した。入院後 1週が経過し、尿量が確保されていることを確認したため、入院直後から挿入していた膀胱留置カテーテルを抜去した。抜去3時間後、Aさんはグループホームの職員の名前を大声で呼び始めたため、病棟看護師が病室に行ってみると、Aさんはオムツを外して失禁していた。Aさんへの援助で適切なのはどれか。
1: 鎮静薬の使用を検討する。
2: 膀胱留置カテーテルを再度挿入する。
3: 排尿記録をつけ排尿パターンを把握する。
4: グループホームの職員に付き添いを依頼する。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。 身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4℃、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。 検査所見:クレアチンキナーゼ(CK)190IU/L(U/L)、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c 5.0%、Na 128mEq/L、K 3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。 Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。
1: 水中毒(water intoxication )
2: 悪性症候群(malignant syndrome)
3: セロトニン症候群(serotonin syndrome)
4: メタボリック症候群( metabolic syndrome)
Aさん(30歳、初産婦)は妊娠39週3日で陣痛発来し、4時に入院した。その後、陣痛が増強して順調な分娩進行と診断されて、11時45分の診察で子宮口が8cm開大となった。看護師が12時に昼食を配膳にいくとAさんは額に汗をかいて、側臥位で「陣痛がつらくて何も飲んだり食べたりしたくありません」と言っている。陣痛発作時は強い産痛と努責感を訴え、目を硬く閉じて呼吸を止めて全身に力を入れている。
Aさんの分娩経過は以下のとおりであった。 2時00分 陣痛周期10分 4時00分 入院 15時00分 分娩室入室 15時30分 子宮口全開大 16時00分 自然破水 16時15分 児娩出 16時30分 胎盤娩出 Aさんの分娩所要時間はどれか。
1: 12時間30分
2: 14時間15分
3: 14時間30分
4: 16時間30分
午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。
発災から3時間後、地震後に発生した火災現場付近から救出されたA君(6歳)と母親のBさん(32歳)の2人が搬送されてきた。A君は避難時に転倒し、左肘関節付近の腫脹と疼痛を訴えていた。バイタルサインに異常はない。Bさんは避難する際にA君が煙に巻き込まれそうになるところをかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた。右頰部に2cm×2cm、右上肢に5cm×10cmの紅斑と水疱を認める熱傷burnを負っていた。バイタルサインに異常はないが、熱傷burn部位の疼痛を訴えていた。 トリアージの結果、看護師の初期対応として優先されるのはどれか。
1: A君の既往歴の聴取
2: A君への鎮痛薬の準備
3: Bさんの気道確保の準備
4: Bさんの熱傷burn部位の冷却
A さん(35 歳、初産婦)は、夫と 2 人で暮らしている。妊娠 28 週 2 日、妊婦健康診査で胎盤が内子宮口を全部覆っていると指摘された。自覚症状はない。その他の妊娠経過に異常は認められていない。A さんは、身長 155 cm、体重 56 kg(非妊時体重50 kg)である。
A さんの観察項目で最も注意するのはどれか
1: 破 水
2: 激しい腹痛
3: 子宮底の上昇
4: 痛みを伴わない性器出血
Aさん(35歳、女性、会社員)は、動悸、手指の震え及び体重減少があり、受診したところ、頻脈と眼球突出とを指摘され抗甲状腺薬の内服を開始した。Aさんは看護師に「仕事のストレスは寝る前にビールを飲むことで解消するようにしているが、ちょっとしたことでイライラして眠れない」と話した。Aさんへの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 「仕事を休みましょう」
2: 「禁酒する必要があります」
3: 「積極的に運動しましょう」
4: 「発熱したときは受診してください」
5: 「病気が原因でイライラしやすくなります」
Aさん(68歳、女性)は、胃癌(gastric cancer)のため入院した。入院初日に「夫も癌になって、亡くなる前に痛みで苦しんでいました。私も痛みが怖いんです」と言った。看護師は、Aさんが夫のように苦しむことへの恐怖や不安があることが分かり、Aさんとともに対処法について考えた。 この時点での患者-看護師関係の段階はどれか。
1: 方向付け
2: 同一化
3: 開拓利用
4: 問題解決
A君( 8歳、男児 )は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に病院を受診した。 1か月前に扁桃炎 (tonsillitis)に罹患した以外は既往歴に特記すべきこ とはない。扁桃炎 (tonsillitis)は抗菌薬を内服し軽快した。血液検査の結果、 溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (poststreptcoccal acute glomerulonephritis)と診断されて入院した。入院時、 A君は体温 36.8℃、呼吸 数20/分、脈拍は 80/分、整で血圧 132/80 mmHgであった。
入院 3日目。両眼瞼の浮腫、肉眼的血尿は続いていた。看護師がバイタルサインを測定していると、 A君は「頭が痛い。気持ち悪い」と訴えた。 A君は体温 36.8℃、呼吸数 20/分、脈拍 88/分、血圧 142/86 mmHgであった。この状況から A君に起こりうる症状で注意するのはどれか。
1: 耳痛
2: 鼻閉
3: 視野欠損
4: 意識障害
Aさん(58歳、男性)は、 3年前に直腸癌 (rectal cancer) と診断され、手術を受けてストーマを造設 した。その後Aさんは直腸癌 (rectal cancer) を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部の癌性疼痛 を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院していた。 Aさんは「自宅で療養したい。痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない」と在宅療養を希望した。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を 1日 2回内服し、食事は食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少している。 Aさんの家族は 56歳の妻と他県で仕事をしている長女である。
Aさんは退院後、訪問診療と訪問看護を利用することになった。訪問看護師が、Aさんと家族に説明する内容で適切なのはどれか。
1: 「お風呂に入るのはやめましょう」
2: 「自宅ではベッド上で安静にしてください」
3: 「ストーマのパウチの交換をお手伝いします」
4: 「ストーマがあるので副作用の便秘は心配ありません」
乳癌 (breast cancer) について正しいのはどれか。
1: 乳房の内側に多い。
2: 有痛性の腫瘤が特徴である。
3: エストロゲン補充療法を行う。
4: センチネルリンパ節生検により郭清する範囲を決める。