Aさん(38歳、初産婦)は、妊娠38週3日に2,900gの女児を正常分娩した。出産前は、Aさんは夫と2人で暮らしていた。引っ越して3か月であり、周囲に親しい知り合いや友人はまだいない。
看護師はベッドサイドの椅子に座り、Aさんから育児について分からないことが多いという話を聞いた。話し終えたAさんは「少しすっきりしたような気がします」と言った。 このときの看護師の対応で優先度の高いのはどれか。
1: 元気づける。
2: 休息を促す。
3: 精神科の受診を勧める。
4: 母親として自覚するよう話す。
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。
退院後の生活での問題点の確認のため、カンファレンスを開催することになった。Aさんは、自宅での療養を強く希望しており、2L/分の酸素投与下で呼吸状態や日常生活動作(ADL)については入院前と同程度まで回復してきているが、まだ退院後の買い物や洗濯などは負荷が強く、支援が必要と判断された。また、Aさんは、呼吸困難の再発について不安を訴えている。 カンファレンスの検討内容で優先度が高いのはどれか。
1: 電動ベッドの導入
2: 娘の居宅への転居
3: 急性増悪時の対応方法
4: 介護予防短期入所生活介護の利用
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。
Aさんが入院したという知らせを受けて、Aさんの家族が来日し、病棟に見舞いに来た。Aさんの家族は、Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: Aさんと家族が納得できる解決策を話し合う。
2: 希望通りAさんの病室に泊まることを許可する。
3: 日本では家族の泊まり込みはできないと説明する。
4: 近隣のホテルに泊まって、日中のみ通うよう勧める。
Aさん(82歳、男性)は、4年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)の診断を受けた。要介護4で、1年前からグループホームで生活している。高血圧症(hypertension)に対して持続性カルシウム拮抗薬を内服している。他に治療を必要とする疾患は認められない。 1週前から夜はほとんど眠らず、居間のソファに腰かけたり、歩き回ったりする状態が続いている。昼間もベッドに横になることはない。食欲が低下してきたが、先月よりも体重は2kg増加している。
Aさんは症状が改善し、退院することになった。病棟看護師がグループホームの職員と家族とに指導すべき内容として最も適切なのはどれか。
1: 「深呼吸を練習させてください」
2: 「足のむくみを観察してください」
3: 「蛋白質の少ない食事にしてください」
4: 「水分を1日1,500 ml以上摂(と)らせてください」
一般病床の看護職員の配置基準は、入院患者【 】人に対して看護師及び准看護師人と法令で定められている。 【 】に入るのはどれか。
1: 2
2: 3
3: 4
4: 6
Aさん(59歳、女性)は、午前2時ころにバットで殴られたような激しい頭痛を自覚し、嘔吐した。午前4時、Aさんは、頭痛を我慢できなくなったために、家族に付き添われて救急搬送され、緊急入院した。入院時、ジャパン・コーマ・スケール 〈JCS〉Ⅰ-1、四肢の麻痺を認めない。
開頭術後24時間が経過した。JCSⅠ-2。体温 37.5 ℃。脈拍 88/分、血圧 138/84 mmHg。呼吸数18/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(酸素吸入3l/分)。脳室ドレナージが行われている。Aさんへの看護で適切なのはどれか。
1: 両腋窩を冷やす。
2: 酸素吸入を中止する。
3: 起き上がらないように説明する。
4: 痛み刺激を与えて意識レベルを確認する。
A君(14歳、男子)は、心室中隔欠損症(ventricular septal defect)のために通院している。母親とともに外来を受診しているが、母親がトイレに行った際に、A君は「自分の心臓のことはよく理解しているし、もう1人で受診したいけど、母さんが心配だから一緒に行くってうるさくて」と看護師に話した。 看護師の最初の対応として適切なのはどれか。
1: 母親にA君への関わりが過保護だと伝える。
2: 母親の心配を理解してあげなさいとA君に話す。
3: 次回からは1人で受診してもよいとA君に話す。
4: 母親がいない場でA君の気持ちを聴く機会をもつ。
Aさん(72歳、女性)は、 1人で暮らしている。Aさんは 1年前に夫を亡くした後、近所付き合いが少なくなっていた。遠方に住む Aさんの息子が時々電話で様子を確認していた。最近は元気がなく、 Aさんの息子が心配して様子を見に来たところ、食事を食べた様子がなく、ごみは捨てられていなかった。 Aさんは発熱してぐったりしており、息子に連れられて病院を受診した。 Aさんは脱水状態の治療と抑うつ状態の疑いのため検査が必要であると判断されて入院した。Aさんの既往歴に特記すべきことはない。
入院後 1か月、Aさんは内服治療により病棟内での活動範囲が拡大し、自立してできることが増えた。自宅へ退院することが方針として決まったが、 Aさんは「家に帰っても 1人だし、大丈夫かしら」と看護師に話す。このときの Aさんへの声かけで適切なのはどれか。
1: 「薬の量を増やしてもらえるように主治医に相談してみましょう」
2: 「 1人でできることが多くなったからもう大丈夫ですね」
3: 「心配なことについてゆっくりお聞きしますよ」
4: 「お疲れのようなのでベッドで休みましょう」
Aさん(50歳、男性、会社員)は半年ほど前から労作時に胸痛と呼吸困難感があり、狭心症angina pectorisと診断され内服治療を受けている。本日明け方から胸部に圧迫感があった。出勤途中に強い胸痛を自覚し、自ら救急車を要請した。救急外来到着時のバイタルサインは、体温35.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(酸素2L/分)。意識は清明。12誘導心電図はV1~V4でST上昇、Ⅱ、Ⅲ、aVF でST低下がみられた。
その後、Aさんは経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を受けた。帰室時のバイタルサインは、体温36.2℃、呼吸数20/分、脈拍58/分、整、血圧80/40mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%(酸素1L/分)。顔面は蒼白、冷汗を認めた。意識は清明である。 このとき看護師が最初に行うことはどれか。
1: 側臥位にする。
2: 除細動器の準備を行う。
3: 穿刺部の出血の有無を確認する。
4: 鎮痛薬の処方を医師に相談する。
成人に対する一次救命処置〈BLS〉において、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は( ):2である。 ( )に入るのはどれか。
1: 5
2: 10
3: 30
4: 50
A 君( 8 歳、男児)は、携帯型電子ゲームやサッカーが好きである。A 君は宿題をしているときに、突然意識を失い、10 数秒持続する四肢の屈曲を伴うけいれんを起こした。その後、全身の筋肉の収縮と弛緩を繰り返すけいれんが 10 秒程度続き、A 君の呼吸は停止しチアノーゼが認められた。けいれんが終了し呼吸は回復したが、意識障害が持続していたため病院に救急搬送された。
入院後 1 週。A 君は同じ病室に入院している他の患児と話したり、漫画を読んだりしてベッド上で過ごしている。入院後は抗てんかん薬を服用し、発作はみられていない。このときの A 君への指導内容で最も適切なのはどれか。
1: 1 人で入浴する。
2: 病棟の外を散歩する。
3: 好きな携帯型電子ゲームで遊ぶ。
4: 病棟レクリエーションへ参加する。
Aさん(35歳、男性)は1人暮らし。両親は他県に住んでいる。30歳のときに双極性障害bipolar disorderと診断され、これまでに4回の入退院を繰り返している。給料をインターネットゲームの利用料金で度々使い果たし、それが原因で両親と何度も口論になったことがある。仕事では同僚とトラブルを起こすたびに転職を繰り返しており、今回も同僚と口論になり自ら退職した。Aさんは「前の職場の同僚に嫌がらせをしてやる」と母親に電話をかけ、心配した両親が一緒に精神科病院を受診した。診察室では多弁で大きな声を出し、椅子を蹴るなどの行為がみられた。医師の診察の結果、入院して治療することになった。
入院時、AさんのBMIは29.5。この数日は食事をとっていなかった。入院後も興奮状態がおさまらず、壁に頭を打ちつけはじめたため、医師から抗精神病薬の点滴静脈内注射と身体的拘束の指示がでた。 身体的拘束中のAさんの看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 水分摂取は最小限にする。
2: 肺血栓塞栓症pulmonary thromboembolismを予防する。
3: 頻回に様子を見に来ることを伝える。
4: 身体的拘束の原因となった行為を一緒に振り返る。
5: 興奮状態が落ち着いたら看護師の判断で身体的拘束を解除する。
Aさん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。
Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。 Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。
1: 服薬心理教育を実施する。
2: ハローワークを紹介する。
3: 生活技能訓練〈SST〉を勧める。
4: 薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する。
Aちゃん(2歳10か月)は、両親と生後3か月の妹と4人で暮らしている。Aちゃんは、6日前に発熱および不定形の発疹が腹部と背部とに出現した。解熱薬の使用によって、体温は一時的に低下したが、再び上昇したので受診した。受診時、口唇の充血と乾燥とが著明で、眼球結膜の充血と四肢の硬性浮腫とがみられた。受診時の血液検査の結果は、CRP 15.7mg/dl、AST〈GOT〉22 I U/l、ALT〈GPT〉54 I U/lであった。Aちゃんは川崎病(Kawasaki disease)と診断され、入院した。アスピリンの内服と γ-グロブリンの点滴静脈内注射とが開始された。
入院時のAちゃんへの看護で適切なのはどれか。
1: 歩行を禁止する。
2: 高エネルギー食とする。
3: 弾性包帯で下肢を圧迫する。
4: アナフィラキシー様症状に注意する。
Aさん(90歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)による軽度の左半身麻痺がある。要介護2。最近、娘(65歳)とその家族と同居を始めた。Aさんの受診に付き添ってきた娘が看護師に「同居を始めてから疲れます」と話した。 この時の娘に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 心療内科の受診を勧める。
2: 娘の幼少期の親子関係を聞く。
3: Aさんの介護老人保健施設への入所を勧める。
4: 同居後に家族の生活がどのように変化したかを聞く。
Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。
入院時のAさんへの看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 二度と使用しないと約束させる。
2: 回復が期待できる病気であることを伝える。
3: 使用をやめられなかったことに対する反省を促す。
4: 自分で薬物を断ち切る強い意志を持つように伝える。
臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準に含まれるのはどれか。
1: 低体温
2: 心停止
3: 平坦脳波
4: 下顎呼吸
Aさん(78歳、男性)は、尿路感染症(urinary tract infection)による敗血症(sepsis)で入院し、5日が経過した。中心静脈ラインから輸液ポンプを使用して乳酸加リンゲル液が投与され、その側管からシリンジポンプを使用してノルアドレナリンが投与されている。
Aさんには有害事象はみられなかったが、医師の指示量の2倍のノルアドレナリンが3時間投与されていた。これは、医師がノルアドレナリンの減量を指示書に記載し、夜勤の担当看護師にそれを伝えたが、担当看護師が実際に減量することを忘れたことが原因だった。病棟では、リスクマネジメントとしてこの出来事の再発防止策を考えることとなった。 再発防止策で適切なのはどれか。
1: 薬剤に関する研修会を企画する。
2: 医療機器の操作方法を再教育する。
3: インシデントを起こした看護師は反省文を書くこととする。
4: 医師の指示内容の変更時は、複数の看護師で情報共有をする。
Aさん(70歳、女性)は1人暮らし。夫とは1年前に死別した。近くの診療所で高血圧症hypertensionと心不全heart failureと診断され、内服治療をしていた。月1回は診療所で内服薬の処方と食事指導や体重測定などの生活指導を受けていたが、時々薬を飲んだことを忘れてしまうことがあった。日常生活は自立しており、認知機能は問題ない。週2日、事務職のパートとして働いており、電車を使って通勤していた。息子(42歳)と娘(37歳)は仕事のため遠方に住んでいる。1か月前からAさんは家事や外出するときに軽い息切れを感じるようになり、2、3日前からは咳と痰が出るようになった。両足のむくみが出てきたため、診療所から自宅近くの病院を紹介され外来受診した。身体所見:意識は清明。身長159cm、体重61.3kg。 体温37.1℃、呼吸数21/分、脈拍95/分、不整、血圧164/96mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(room air)。 両下肢に軽度の浮腫を認めた。
入院後10日。入院治療により全身状態は改善し、夜間の睡眠もとれるようになったため、Aさんは退院することになった。Aさんは「入院していて体力が落ちてしまい、動くと疲れてしまう」と言っている。また、看護師に「医師から退院したら元の仕事はしてよいといわれました。これまでの生活を続けたいと思っています。また入院するのは嫌なので、今後の生活で気をつけることはありますか」と尋ねてきた。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「薬の管理はお薬カレンダーを使いましょう」
2: 「通勤するときに駅の階段を使いましょう」
3: 「水分は1日2,000mL摂りましょう」
4: 「塩分を1日9g摂りましょう」
Aさん(60歳、男性、元建設業)は、妻(57歳) と2人暮らし。 2年前に 悪性胸膜中皮腫(malignant pleural mesothelioma)と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。2週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。 バイタルサイン:体温36.0 ℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>86~90%(room air)。 身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される 。 血液所見:赤血球370万/μL、Hb 8.8g/dL、白血球6,700/μL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5mg/dL。 動脈血液ガス分析(room air):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>40Torr、動脈血酸素分圧<PaO2>63Torr。 胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。肺虚脱なし。
入院後、症状緩和のためモルヒネの内服と経鼻カニューレによる酸素療法2L/分が開始された。経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>は95%前後で維持されるようになったが、Aさんは夜間の息苦しさを訴えている。Aさんの呼吸困難を緩和するための体位で適切なのはどれか。
1: 半腹臥位
2: 右側臥位
3: 左側臥位
4: セミファウラー位