Aさん(80歳、男性)は、20年前に大腸癌(colorectal cancer)でストーマを造設し、現在週1回の訪問看護を利用している。訪問看護師は、訪問時にAさんから「2日前から腹痛がある」と相談を受けた。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数24/分、脈拍84/分、血圧138/60mmHgである。 訪問看護師がAさんの腹痛をアセスメントするための情報で最も優先度が高いのはどれか。
1: 排便の有無
2: 身体活動量
3: 食物の摂取状況
4: ストーマ周囲の皮膚の状態
Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で 2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。
Aさんは、3か月前に 末期腎不全(end-stage renal failure)の状態で腎代替療法(血液透析)が必要であると腎臓内科の医師から説明された。シャント造設のための入院を予定していたが、仕事が忙しく延期となっていた。1週前から感冒症状があり、体重増加、全身浮腫、全身A怠感、呼吸苦が出現したため、緊急入院となった。透析用のカテーテルを挿入し、緊急血液透析を行った。 入院時の身体所見:体重73kg(1週間で4kg増加)血圧178/105 mmHg。 入院時の検査所見:Hb 9.5g/dL、血清尿素窒素72mg/dL、血清クレアチニン9.0mg/dL、血清カリウム6.8mEq/L、血清ナトリウム138.5mEq/L。 緊急入院時のAさんの胸部エックス線写真(別冊No. 5)を別に示す。Aさんが緊急血液透析となった病態で正しいのはどれか。
1: 貧血(anemia)
2: 心不全(heart failure)
3: 低カリウム血症(hypokalemia)
4: 低ナトリウム血症(hyponatremia)
Aさん(37歳、男性)は妻(40歳、会社員)と2人暮らし。筋強直性ジストロフィーmyotonic dystrophyで週5回の訪問介護を利用していた。1か月前に傾眠傾向が著明となり入院して精査した結果、睡眠時無呼吸に対して夜間のみフェイスマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法が導入された。Aさんは四肢遠位筋に筋萎縮と筋力低下があるが、室内の移動は電動車椅子を操作して自力で行え、食事も準備すれば妻と同じものを摂取できる。退院後、週1回午後に訪問看護が導入されることになった。
訪問看護と訪問介護の担当者、Aさんと妻を含めた退院前カンファレンスが開催された。妻から「夜間に停電になったらどうすればよいですか」と発言があった。 このときの妻への訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 電動式でない車椅子を購入するよう勧める。
2: 訪問看護事業所が発電機を貸し出すと伝える。
3: バッグバルブマスクでの用手換気の指導を行う。
4: 停電時にハザードマップを確認するよう提案する。
看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている内容で、正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 看護師免許の申請
2: 保健師等再教育研修
3: 看護師等就業協力員の委嘱
4: 看護師等学校養成所の指定
5: 都道府県ナースセンターの指定
Aさん ( 50歳、男性 )は、アルコール依存症 (alcohol dependence)のために断酒目的で入院した。入院前日の夜まで毎日飲酒をしていたと話している。入院当日に優先的に行うのはどれか。
1: 抗酒薬の説明を行う。
2: 断酒会への参加を促す。
3: 振戦の有無を確認する。
4: ストレス対処行動を分析する。
Aさん(80歳、女性)は、脳血管性認知症(cerebrovascular dementia)、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点で施設に入所している。看護師が「お風呂に入りますよ」と声をかけると、Aさんは「男の人は入っていないか」と尋ねる。看護師が「男の人はいませんよ」と説明するが、Aさんは「本当にいないのか」と繰り返し、なかなか納得しない。 Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「男の人はいないから行きましょう」
2: 「お風呂に入ったら気持ちよくなりますよ」
3: 「遅くなるとお風呂に入れなくなりますよ」
4: 「男の人がいないことを一緒に確認してみましょうか」
Aさん(37歳、女性、会社員)は、1人暮らし。11月に経理部へ異動となった。新しい人間関係と慣れない仕事で帰宅後も緊張が取れず、眠れない日が続いていた。異動から3週目の朝、会社のエレベーターに乗ると、息苦しさ、動悸からパニック発作を起こした。その後も不眠とパニック発作が出現したため、異動から2か月後、精神科クリニックを受診し、パニック障害(panic disorder)と診断された。主治医からは、短時間型の睡眠薬と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が処方された。また、職場の協力を得て仕事量の調整をしてもらうことになった。受診から5日後、Aさんから「昨日の朝から気分が悪くなり、下痢をするようになった」と電話があった。
Aさんのパニック発作は消失し、不眠も改善したため、睡眠薬の処方は終了となった。Aさんは「もともと手足が冷えて寝つきが悪かったから、睡眠薬がなくなることが少し心配です。自分で工夫できることはあるでしょうか」と看護師に尋ねてきた。看護師が以前の睡眠状況を尋ねると、睡眠時間は23時から6時までの7時間であったこと、手足が冷えて眠れない時は熱いシャワーを浴びてから布団に入っていたことを話した。 Aさんの睡眠へのセルフケアに対する看護師の指導で適切なのはどれか。
1: 「休日は昼まで寝るようにしましょう」
2: 「布団に入る時間を21時に早めましょう」
3: 「ぬるい温度のお風呂にゆっくり入るようにしましょう」
4: 「眠れるまで布団の中でじっとしているようにしましょう」
Aさん ( 26歳、男性 )は、大量服薬による急性中毒が疑われ、午後 9時 30分に救急搬送された。呼吸状態と循環動態に異常はないが、意識は低下している。付き添って来た Aさんの母親は「午後 8時に夕食を終えて息子は部屋に戻りました。午後 9時にお風呂へ入るよう声をかけに部屋に行ったら、倒れていたんです。息子はうつ病 (depression)で通院中でしたが、最近は症状が落ち着いていました」と話す。 このときの対応で適切なのはどれか。
1: 気管内挿管を行う。
2: 咽頭を刺激して吐かせる。
3: 胃酸分泌抑制薬を投与する。
4: Aさんの母親にどんな薬を内服していたかを尋ねる。
Aさん(68歳、女性)は、70歳の夫と2人で暮らしている。6年前にParkinson〈パーキンソン〉病(Parkinson’s disease)と診断された。現在、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。ヤール(Yahr,M.D.)の重症度分類ステージⅢで、要介護1である。夫が付き添い、神経難病専門クリニックに杖を使って通院している。特定疾患医療受給者証を持っているが、在宅におけるサービスは利用していない。
3か月後。Aさんは入浴中に夫が見ている前で転倒したが、外傷はなかった。その話を聞いた主治医から、安全な入浴ができるように、訪問看護師に依頼があった。 訪問看護師が、訪問時にアセスメントする項目で最も優先するのはどれか。
1: 浴室の室温
2: ADLの日内変動
3: 夫の入浴介助の様子
4: 居室から浴室までの距離
A さん(52 歳、女性、専業主婦)は、夫と 2 人の息子との 4 人で暮らしている。A さんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。 2 か月前から食欲不振と不眠が続いている。 1 か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病 (depression) と診断された。
A さんは「いつも体がだるくて、何もしたくない。生きていても皆に迷惑がかかるだけだ」と話す。体重減少と長期間続く不眠のため、疲れ果てた様子をみせていることから、その日のうちに入院し、薬物治療が開始された。入院当日の観察項目で優先度が高いのはどれか
1: 清潔状態
2: 水分摂取量
3: 意識レベル
4: 他者との交流状況
Aさん(66歳、男性)は、脳出血(cerebral hemorrhage)で入院している。病状が安定し、自宅への退院の準備をすることになった。Aさんは、リハビリテーションと介護が必要な状態であるが、妻から「夫のために自宅を改修するので、すぐには自宅で介護できない」と相談があった。Aさんは妻と2人で暮らしている。 退院直後のAさんの生活の場として適切なのはどれか。
1: ケアハウス
2: グループホーム
3: 介護老人福祉施設
4: 介護老人保健施設
Aさん(80歳、女性)は、要介護2となったため長男家族(長男50歳、長男の妻45歳、18歳と16歳の孫)と同居することとなった。在宅介護はこの家族にとって初めての経験である。 Aさんの家族が新たな生活に適応していくための対処方法で最も適切なのはどれか。
1: 活用できる在宅サービスをできる限り多く利用する。
2: 家族が持つニーズよりもAさんのニーズを優先する。
3: 介護の負担が特定の家族に集中しないように家族で話し合う。
4: 10代の子どもを持つ家族の発達課題への取り組みを一時保留にする。
患者の自立支援で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 不足している知識を補う。
2: 発病前の生活習慣を尊重する。
3: 支援目標を看護師があらかじめ定める。
4: できないことに焦点を当てて行動を修正する。
5: 支援者である看護師が上位の関係が望ましい。
Aさん(87歳、女性)は、 6年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)を発症した。在宅で療養していたが、夫が介護に疲れたために施設に入所した。現在、長谷川式簡易知的機能評価スケール〈HDS-R〉10点、障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1である。下肢筋力や立位バランスの低下がある。自宅では自分で車椅子に移乗してトイレに行き排泄していた。尿失禁はなかった。入所直後、Aさんは表情が険しく落ち着きがなく、看護師が声をかけても応じない。自発的にトイレに行きたいという発言はなく、着衣を尿で汚染することが多いためトイレ誘導を行うことにした。
入所後3週。排尿行動の自立を目標とする看護計画を立案した。 看護計画として最も適切なのはどれか。
1: 昼夜ともにオムツは使用しない。
2: トイレの標示を目立つよう工夫する。
3: 尿で汚染した着衣を自分で片づけるよう指導する。
4: 尿意を感じた際にはナースコールで呼ぶよう説明する。
Aさん(99歳、女性)は、特別養護老人ホームに入所している。脳卒中(stroke)の後遺症で左片麻痺がある。肺炎(pneumonia)をきっかけに寝たきりになり、食事摂取量が低下した。Aさんは「私はここで最期を迎えたい。痛い思いはしたくない。死ぬときは苦しまないようにしてもらいたい」と何度も話すようになった。娘夫婦と孫とが頻繁に面会に来ている。医師が家族に回復の見込みが低いことを伝え、家族は特別養護老人ホームでの看取りに同意した。
Aさんは深い昏睡の状態になり、四肢の冷感、チアノーゼ及び下顎呼吸が出現してきた。痰は絡んでいない。医師は付き添っていた家族にAさんの死が近いことを告げた。Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 見守る。
2: 下肢を挙上する。
3: 酸素吸入をする。
4: 気管内吸引をする。
Aさん(42歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で入院中だが、3ヶ月の治療で症状が改善したため、退院することになった。Aさんは、統合失調症(schizophrenia)で数回の入院経験があるが、前回の退院後に拒薬がみられたため、今回は2週間に1回の訪問看護が計画されている。Aさんはアパートで1人で暮らしている。身体的な疾患はない。
訪問時、ごみ箱に多くの内服薬が捨てられていた。Aさんは「その薬は飲んではいけないとみんなが言うし、飲むと体がだるくなるので飲みたくない」と言う。 看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 「そんなはずはありませんよ」
2: 「しばらく内服を休みましょう」
3: 「服薬チェック表を使ってみましょう」
4: 「薬を飲んだ後の症状を聞かせてください」
5: 「薬の内容について主治医に相談してみませんか」
Aさん(30歳、初産婦)は妊娠39週3日で陣痛発来し、4時に入院した。その後、陣痛が増強して順調な分娩進行と診断されて、11時45分の診察で子宮口が8cm開大となった。看護師が12時に昼食を配膳にいくとAさんは額に汗をかいて、側臥位で「陣痛がつらくて何も飲んだり食べたりしたくありません」と言っている。陣痛発作時は強い産痛と努責感を訴え、目を硬く閉じて呼吸を止めて全身に力を入れている。
Aさんへの看護で最も適切なのはどれか。
1: 坐位になるよう勧める。
2: シャワー浴を勧める。
3: 食事摂取を促す。
4: 呼吸法を促す。
A君 (6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0 ℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎(gastroenteritis)と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5 ℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。
このときのA君に行う看護として最も適切なのはどれか。
1: 起座位をとらせる。
2: 食事の開始を検討する。
3: 好きな玩具で遊ばせる。
4: 痛みの程度を評価する。
5: 解熱鎮痛薬を服薬させる。
山間部の地域で、 1 時間雨量 80 mm 以上の降雨で土石流が発生し、地域の住民は市民体育館に避難した。避難所には近くの医療機関から医師と看護師とが派遣された。
発災直後の避難所で対応する看護師の行動で最も適切なのはどれか
1: ボランティアを手配する。
2: 災害給付金の説明をする。
3: 心のケアに時間をかける。
4: 重症度に応じて診療の優先順位をつける。
Aさん ( 40歳、男性 )は、大学 1年生のときに統合失調症 (schizophrenia)を発症し、精神科病院に 20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。
Aさんは受診時に「毎日父親に責められます。実家を出て生活してみたいです」と訴えた。 Aさんに単身生活の経験はない。 Aさんに勧める社会資源で最も適切なのはどれか。
1: 自立訓練〈生活訓練〉
2: 小規模多機能型居宅介護
3: 短期入所〈ショートステイ〉
4: 共同生活援助〈グループホーム〉