精神看護学の過去問

第108回午後:第63問

現在の日本の精神医療で正しいのはどれか。

1: 精神保健福祉センターは各市町村に設置されている。

2: 精神病床に入院している患者の疾患別内訳では認知症が最も多い。

3: 精神障害者保健福祉手帳制度によって通院医療費の給付が行われる。

4: 人口当たりの精神病床数は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最も多 い。

第108回午後:第64問

Aさん(60歳、女性)は、統合失調症(schizophrenia)で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。 退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。

1: 薬剤師

2: 精神保健福祉士

3: ピアサポーター

4: 臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師 等)

Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。

第108回午後:第109問

Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。 この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。

1: 食事介助をする。

2: 一緒に院内を散歩する。

3: 他の入院患者との交流を促す。

4: 日中に臥床しているときは声かけを控える。

第108回午後:第110問

入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。 身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4℃、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。 検査所見:クレアチンキナーゼ(CK)190IU/L(U/L)、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c 5.0%、Na 128mEq/L、K 3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。 Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。

1: 水中毒(water intoxication )

2: 悪性症候群(malignant syndrome)

3: セロトニン症候群(serotonin syndrome)

4: メタボリック症候群( metabolic syndrome)

第108回午後:第111問

入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。 Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。

1: 服薬心理教育

2: 食事への援助

3: 筋力トレーニングの指導

4: アサーティブトレーニングの指導

Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病(depression)と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。

第108回午後:第112問

入院時の看護師のAさんに対する関わりで適切なのはどれか。

1: いま死にたい気持ちがあるか尋ねる。

2: 命を大切にしたほうがよいと伝える。

3: 死ぬ気があれば何でもできると話をする。

4: 家族が悲しむから死んではいけないと伝える。

第108回午後:第113問

入院後1か月、Aさんのうつ症状は改善を認めたが、同室患者とトラブルが続き、不眠や多弁傾向となった。また焦燥感が強く落ち着いて食事ができなくなった。そのため双極性障害(bipolar disorder)と診断され、主治医から炭酸リチウムの内服の指示が出た。Aさんは炭酸リチウムを服用して1週後、手の震え、嘔気が出現した。 Aさんの手の震え、嘔気の原因を判断するための検査で最も適切なのはどれか。

1: 尿検査

2: 髄液検査

3: 頭部MRI検査

4: 薬物血中濃度検査

第108回午後:第114問

入院後3か月、Aさんは退院予定となり、元の職場に戻るための準備をすることになった。Aさんは「すぐに仕事に戻るのではなく、規則正しく生活することなどから、段階的に取り組むほうがいいのではないか」と訴えていた。Aさんの職場復帰を含めた退院後の生活を支援するために適切なのはどれか。

1: 自立訓練

2: 就労移行支援

3: 就労継続支援

4: 精神科デイケア

第108回午前:第66問

入院患者のせん妄(delirium)に対する予防的介入で適切なのはどれか。

1: 可能な限り離床を促す。

2: 昼間は部屋を薄暗くする。

3: 家族や知人の面会は必要最低限にする。

4: 夕方に短時間の睡眠をとることを勧める。

第108回午前:第67問

注意欠如・多動性障害(ADHD)( attention deficit hyperactivity disorder )の症状はどれか。

1: 音声チックが出現する。

2: 計算を習得することが困難である。

3: 課題や活動に必要なものをしばしば失くしてしまう。

4: 読んでいるものの意味を理解することが困難である。

第108回午前:第68問

精神医療審査会で審査を行うのはどれか。

1: 精神保健指定医の認定

2: 入院患者からの退院請求

3: 退院後生活環境相談員の選任

4: 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による処遇の要否

第108回午前:第69問

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で、平成25年(2013年)に改正された内容はどれか。

1: 保護者制度の廃止

2: 自立支援医療の新設

3: 精神保健指定医制度の導入

4: 精神分裂病 (schizophrenia )から統合失調症(schizophrenia) への呼称変更

Aさん(37歳、女性、会社員)は、1人暮らし。11月に経理部へ異動となった。新しい人間関係と慣れない仕事で帰宅後も緊張が取れず、眠れない日が続いていた。異動から3週目の朝、会社のエレベーターに乗ると、息苦しさ、動悸からパニック発作を起こした。その後も不眠とパニック発作が出現したため、異動から2か月後、精神科クリニックを受診し、パニック障害(panic disorder)と診断された。主治医からは、短時間型の睡眠薬と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が処方された。また、職場の協力を得て仕事量の調整をしてもらうことになった。受診から5日後、Aさんから「昨日の朝から気分が悪くなり、下痢をするようになった」と電話があった。

第108回午前:第112問

受診後のAさんの状況に対する看護師のアセスメントで適切なのはどれか。

1: ストレスの増大

2: うつ症状の悪化

3: 睡眠薬の持ち越し効果

4: SSRIの副作用(有害事象)

第108回午前:第113問

受診から1か月後、Aさんは11階の職場に向かう途中、エレベーターの中でパニック発作を再び起こした。その時は、息が止まってしまうように感じた。それ以来、エレベーターを見ると、また同じようになってしまうかもしれないと思うようになり、怖くて乗れなくなり、仕事にも支障が出るようになった。 Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。

1: 「エレベーターの中で息が止まる」という認知による感情・行動を修正する。

2: 同じ症状を持つ人々との話し合いを通じて症状の軽減を図る。

3: 抗うつ薬の効果についての正しい知識を教育する。

4: ロールプレイを通じて社会生活技能を訓練する。

第108回午前:第114問

Aさんのパニック発作は消失し、不眠も改善したため、睡眠薬の処方は終了となった。Aさんは「もともと手足が冷えて寝つきが悪かったから、睡眠薬がなくなることが少し心配です。自分で工夫できることはあるでしょうか」と看護師に尋ねてきた。看護師が以前の睡眠状況を尋ねると、睡眠時間は23時から6時までの 7時間であったこと、手足が冷えて眠れない時は熱いシャワーを浴びてから布団に入っていたことを話した。 Aさんの睡眠へのセルフケアに対する看護師の指導で適切なのはどれか。

1: 「休日は昼まで寝るようにしましょう」

2: 「布団に入る時間を21時に早めましょう」

3: 「ぬるい温度のお風呂にゆっくり入るようにしましょう」

4: 「眠れるまで布団の中でじっとしているようにしましょう」

第107回午後:第59問

精神保健活動における二次予防に該当するのはどれか。

1: 地域の子育てサークルへの支援

2: 休職中のうつ病(depression)患者への復職支援

3: 企業内でのメンタルヘルス講座の開催

4: 学校を長期間欠席している児童への家庭訪問

第107回午後:第60問

統合失調症(schizophrenia)の幻覚や妄想に最も関係する神経伝達物質はどれか。

1: ドパミン

2: セロトニン

3: アセチルコリン

4: ノルアドレナリン

第107回午後:第61問

精神科デイケアの目的で最も適切なのはどれか。

1: 陽性症状を鎮静化する。

2: 家族の疾病理解を深める。

3: 単身で生活できるようにする。

4: 対人関係能力の向上を目指す。

第107回午後:第82問

精神障害者のリカバリ〈回復〉について正しいのはどれか。

1: ストレングスモデルが適用される。

2: 目標に向かう直線的な過程である。

3: 精神疾患が寛解した時点から始まる。

4: 精神障害者が1人で達成を目指すものである。

5: 精神障害者が病識を獲得するまでの過程である。

Aさん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。

第107回午後:第106問

このときにAさんから収集する情報として優先度が高いのはどれか。

1: 排尿回数

2: 咳嗽の有無

3: 鎮咳薬の使用状況

4: 生活上のストレス要因