A ちゃん(10 歳、女児)は、両親と 3 人で暮らしている。発熱と顔色不良とを主訴に受診し入院した。血液検査データは、Hb 7.5 g/dL、白血球 75,000/μL、血小板 4 万/μLであった。骨髄検査の結果、急性リンパ性白血病 (acute lymphocytic leukemia) と診断された。医師が両親と A ちゃんに対し、病名と今後の抗癌薬治療および入院期間について説明した。両親はショックを受けていたが現実を受け止め、今後の治療や入院生活について質問し、経済的な不安を訴えた。
入院後 4 か月。A ちゃんは治療が順調に進み、退院して外来で維持療法を行うことになった。今後、学校に通学する際の A ちゃんと母親に対する説明で適切なのはどれか。
1: 「体育は見学してください」
2: 「授業中はお母さんが付き添いましょう」
3: 「給食はみんなと同じものを食べてよいです」
4: 「日焼け止めクリームを塗って登校してください」
5: 「体育館での全校集会は参加しない方がよいです」
Aさん(52歳、女性)は、未婚で1人暮らしである。近くに親戚はいない。物が握りにくい、細かい作業ができないという症状があり、精密検査のため入院したところ、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉(amyotrophic lateral sclerosis )と診断された。
退院後6か月が経過した。Aさんは、上肢の運動障害に加え、ろれつが回らない、言葉が出にくいといった球麻痺症状が出現してきた。歩行は自立している。Aさんは、介護保険の申請をし、要介護1に認定された。 Aさんが、この時点で利用できる介護サービスで適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 車椅子の貸与
2: 療養通所介護
3: ホームヘルパー
4: レスパイトケア
5: 意思伝達装置の給付
Aさん(80歳、男性)は、空腹時の胃の痛みが2週間続くため受診し、1週後に胃内視鏡検査を受けることになった。 検査を受けるAさんへの看護で適切なのはどれか。
1: 検査前日の夜に下剤を服用することを伝える。
2: 検査前に 前立腺肥大症( prostatic hyperplasia)の既往の有無を確認する。
3: 検査中は仰臥位の姿勢を保持する。
4: 検査後はすぐに食事ができることを説明する。
Aさん(80歳、女性)は、要介護2となったため長男家族(長男50歳、長男の妻45歳、18歳と16歳の孫)と同居することとなった。在宅介護はこの家族にとって初めての経験である。 Aさんの家族が新たな生活に適応していくための対処方法で最も適切なのはどれか。
1: 活用できる在宅サービスをできる限り多く利用する。
2: 家族が持つニーズよりもAさんのニーズを優先する。
3: 介護の負担が特定の家族に集中しないように家族で話し合う。
4: 10代の子どもを持つ家族の発達課題への取り組みを一時保留にする。
A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺(cerebral palsy)と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。
A君の食事について看護師が母親に尋ねると「食べこぼしが多く、食べながらうとうとしてしまい時間がかかるし、十分な量も食べられていません」と話した。 A君の食事に関する母親への指導で最も適切なのはどれか。
1: 「経腸栄養剤の開始について医師と相談しましょう」
2: 「ホームヘルパーの依頼を検討しましょう」
3: 「食事時間を 20 分以内にしましょう」
4: 「ペースト食にしてみましょう」
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。
入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。 Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。 移動の方法として適切なのはどれか。
1: 右腕を使って起き上がる。
2: しばらく座位をとってから立ち上がる。
3: 骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く。
4: ベッドの高さは腰掛けたときにつま先が床に着くよう調整しておく。
Aさん(40歳、女性)は統合失調症(schizophrenia)で入院歴があり、退院後は共同生活援助(グループホーム)を利用していた。1週前から同じグループホームに住む女性と口論したり、夜中にグループホームから飛び出したりするようになったため、職員に付き添われて精神科病院を受診した。診察時は、Aさんは意味不明の言葉を発し、時々興奮したように大声で叫んだ。また、診察室から飛び出したり、衣服を脱いだりする行為も観察された。
診察の結果、Aさんは入院することになり、外来看護師に付き添われて閉鎖病棟に来た。病棟の入り口でドアを開けた看護師が優先的に行うのはどれか。
1: 持参した薬を確認する。
2: 病棟のホールに誘導する。
3: 他の病棟スタッフに協力を要請する。
4: 入院のオリエンテーションを実施する。
A君( 8歳、男児 )は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に病院を受診した。 1か月前に扁桃炎 (tonsillitis)に罹患した以外は既往歴に特記すべきこ とはない。扁桃炎 (tonsillitis)は抗菌薬を内服し軽快した。血液検査の結果、 溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (poststreptcoccal acute glomerulonephritis)と診断されて入院した。入院時、 A君は体温 36.8℃、呼吸 数20/分、脈拍は 80/分、整で血圧 132/80 mmHgであった。
A君の入院時の看護計画で適切なのはどれか。
1: 水分摂取を促す。
2: 背部の冷罨法を行う。
3: 1日 3回の血圧測定を行う。
4: 食事の持ち込みを許可する。
夜勤帯に、A看護師がスタッフステーションで抗菌薬の点滴静脈内注射を準備しているときに、発汗した患者から寝衣交換の依頼があり、別の患者から口渇で飲水したいという希望があった。直後に患者に装着されている人工呼吸器のアラームが鳴った。他の看護師は別の病室で重症者のケアをしている。 A看護師が最も優先すべきなのはどれか。
1: 点滴静脈内注射の準備
2: 発汗した患者の寝衣交換
3: 飲水を希望する患者への対応
4: 人工呼吸器を装着している患者の観察
Aさん(85歳、男性)は、じん肺症(pneumoconiosis)で入院した経験があり、現在は自宅で1人で暮らしている。認知障害はなく、身の回りのことは自分でできるため、介護保険は申請していない。しかし、最近、日常の買い物で荷物を持つことが困難になった。 Aさんに勧めるサービスで最も適しているのはどれか。
1: 短期入所
2: 配食サービス
3: グループホーム
4: 近医による訪問診療
Aさん(89歳、女性)は、認知症(dementia)と診断されており、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡbである。定年退職後の長男(66歳、未婚)との2人暮らし。Aさんは「役所の世話になるのは嫌だ」と言い、要介護認定を受けることを承諾していなかった。しかし、Aさんが室内で転倒したことをきっかけに、要支援1の判定を受け介護予防訪問看護が導入された。
Aさんは「家事は私の仕事だ。息子にも他人にも任せられない」と言い、夕方になると、歩いて5分程度のスーパーマーケットへ買い物に行くことが長年の習慣となっている。最近、夜になっても帰宅せず、長男が探しに行くとスーパーマーケットから離れた公園のベンチに座っていることが数回あった。長男は訪問看護師に「母は私が後をついてきたと思い込んで怒るんです。このままでは心配です」と相談した。 看護師が長男へ助言する内容で最も適切なのはどれか。
1: 「先に公園で待っていてはどうですか」
2: 「ホームヘルパーの利用をお勧めします」
3: 「Aさんに買い物はやめるよう話しませんか」
4: 「荷物を持つという理由で同行してはどうですか」
Aさん(61歳、男性)は、水分が飲み込めないため入院した。高度の狭窄を伴う進行食道癌(advanced esophageal cancer)と診断され、中心静脈栄養が開始された。入院後1週、Aさんは口渇と全身倦怠感を訴えた。意識は清明であり、バイタルサインは脈拍108/分、血圧98/70mmHgであった。尿量は1,600mL/日で、血液検査データは、アルブミン3.5g/dL、AST〈GOT〉45IU/L、ALT〈GPT〉40IU/L、クレアチニン1.1mg/dL、血糖190mg/dL、Hb11.0g/dLであった。 Aさんの口渇と全身倦怠感の要因として最も考えられるのはどれか。
1: 貧血
2: 低栄養
3: 高血糖
4: 腎機能障害
5: 肝機能障害
Aさん(23歳、男性)は、マラソンの途中で嘔吐し、意識混濁状態となり救急車で搬送された。来院時、体温39.5℃で、熱中症(heatillness)と診断された。気管挿管と人工呼吸器管理が実施された。膀胱留置カテーテルを挿入後に輸液療法を開始して、ICUに入室した。表面冷却と血管内冷却によって体温は37℃台に下降した。 既往歴 : 特記すべきことはない。 身体所見 : ICU入室時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-20。体温37.8℃、呼吸数28/分、脈拍110/分、血圧94/74mmHg。暗赤色尿を1時間で20mL認めた。 検査所見 : Hb16.8g/dL、Ht48.6%、Na130mEq/L、K6.5mEq/L、Cl100mEq/L、クレアチンキナーゼ〈CK〉48,000IU/L、尿素窒素60mg/dL、クレアチニン2.4mg/dL、AST〈GOT〉70IU/L、ALT〈GPT〉88IU/L。尿一般検査でミオグロビン陽性。胸部エックス線写真および頭部CTで異常所見なし。心電図でSTの変化はなく、洞性頻脈を認めた。
Aさんは腎不全が悪化し、持続的血液透析を1週間実施した。入院後20日が経過し、Aさんは尿量100mL/時間以上、クレアチニン1.4mg/dLとなった。気管チューブと膀胱留置カテーテルは抜去され、状態は落ち着いている。ADLは拡大し、3日後に退院することとなった。 Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。
1: 水分を制限する。
2: 蛋白質を制限する。
3: 積極的に運動する。
4: 生野菜を積極的に摂取する。
A さん(80 歳、女性)は、 1 人で暮らしている。内科と整形外科とを受診しているが、 2 週前から内服薬の飲み間違いがあり、主治医から訪問看護師に服薬管理の依頼があった。A さんがセルフケアを維持して内服するための訪問看護師の服薬管理の支援で最も適切なのはどれか。
1: 内服薬は薬局から訪問看護師が受け取る。
2: 自宅での内服薬の保管場所を分散する。
3: 内服指導を診療科ごとに依頼する。
4: 内服薬を 1 回分ごとにまとめる。
Aさん(23歳、女性)は、大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。母親は、Aさんについて「中学時代までは成績優秀で、手のかからない、おとなしい子どもだった」と言っている。両親と妹との4人で暮らしている。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮がむけてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、本人の同意を得て、その日のうちに任意入院となった。
入院後1か月が経過した。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、薬物療法や認知行動療法による効果が認められ、手洗い行為はほとんどみられなくなった。主治医、Aさん及び家族で話し合った結果、1か月後の退院を目指すことになった。 退院するまでの期間に参加を勧めるプログラムとして適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 回想法
2: 森田療法
3: 就労移行支援
4: 家族心理教育
5: 生活技能訓練〈SST〉
Aさん(58歳、男性)、建築作業員。趣味はジョギングで毎日5kmを走っている。 55歳のときに肺気腫(pulmonary emphysema)を指摘されている。1か月前から咳嗽が続いて止まらないため、自宅近くの病院を受診した。胸部エックス線撮影で異常陰影が認められ、精密検査の結果、右下葉に肺癌(lung cancer)が見つかり、標準開胸右下葉切除術が予定された。20歳から喫煙歴があり、肺気腫(pulmonary emphysema)を指摘されるまで1日40本程度吸っていた。
術後2日。硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは咳嗽時や体動時に苦痛表情をしている。 看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 体動を少なくするように指導する。
2: 創部のガーゼの上から温罨法を行う。
3: 鎮痛薬の追加使用について医師と検討する。
4: 胸腔ドレーンの吸引圧について医師と検討する。
Aさん(42歳、女性)は、2週前から腰痛と坐骨神経痛とを発症し整形外科で処方された鎮痛薬を内服している。帯下が増えて臭いもあるため婦人科を受診し、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)と診断された。 進行期を決めるためにAさんに行われる検査で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: ヒトパピローマウイルス検査
2: 小腸内視鏡検査
3: 腎盂尿管造影
4: 脊髄造影
5: CT
死後の処置で適切なのはどれか。
1: 枕は氷枕にする。
2: 義歯を装着する。
3: 肛門には青梅綿、脱脂綿の順で詰める。
4: 和装の更衣の場合、襟は右前に合わせる。
Aさん(70歳、男性)は、65歳の妻と2人で暮らしている。Aさんは67歳のときに安静時に振戦が現れ、パーキンソン病(Parkinson’s disease)と診断された。ヤール(Yahr.M.D)の重症度分類ステージⅢで、要介護3である。Aさんの症状として、仮面様顔貌、小刻み歩行および前傾姿勢がある。歩行練習を行っており、排泄は時間がかかるが自分でできている。Aさんの長男夫婦は車で1時間のところに住んでおり、週末に様子を見にきている。Aさんは訪問看護を2週間に1回利用している。
転倒を予防するために、Aさんと妻に対して行う訪問看護師の指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: なるべく家の中で過ごす。
2: 方向転換はすばやく行う。
3: 夜間はポータブルトイレを利用する。
4: 動きが遅いときには歩行練習を増やす。
5: 歩行を開始する時は、妻がかけ声をかける。
Aさん(76歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。これまで健康に生活しており、登山会への参加を趣味にしていた。3週前に、散歩中に転び、殿部から腰背部にかけての痛みがあったが様子をみていた。Aさんは痛みのため臥床して過ごすことが多くなり、次第に足に力が入らず立ちあがりも困難になった。食事は夫が購入した弁当を残さず食べていた。 2日前から1日中臥床するようになったため、夫の介助で受診し、腰椎圧迫骨折(lumbar compression fracture)と診断され入院した。
入院後5日が経過し、Aさんは病室内を歩くようになったが、腰痛を訴えている。看護師が検討すべき事項として適切なのはどれか。
1: 鎮痛薬の内服
2: T字杖の使用
3: 痛みのある間の臥床保持
4: 就寝中のコルセット装着