Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 II-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
入院3日の20時、Aさんは覚醒し、点滴を触ったり、経鼻胃管を抜こうとしたりしており、落ち着かない様子である。 担当看護師が最初に行う対応で適切なのはどれか。
1: 身体拘束を行う。
2: 早めに消灯をする。
3: バイタルサインを測定する。
4: 向精神薬の使用を検討する。
Aさん(52歳、女性)は、未婚で1人暮らしである。近くに親戚はいない。物が握りにくい、細かい作業ができないという症状があり、精密検査のため入院したところ、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉(amyotrophic lateral sclerosis )と診断された。
Aさんは、球麻痺症状はなく、上肢の運動障害があるが、歩行は自立している。退院調整看護師が病室で面談したところ「これからどのようになっていくのか分からない」と不安そうに訴えた。Aさんは在宅サービスの必要性を感じていなかったが、退院調整看護師は訪問看護の利用を勧め、Aさんは同意した。訪問看護に依頼する内容で、優先度が高いのはどれか。
1: 入浴の介助
2: 疾病受容の支援
3: 呼吸機能の評価
4: 上肢のリハビリテーション
A さん(45 歳、男性)は、便に血液が混じっていたため受診した。検査の結果、直腸癌 (rectal cancer) と診断され、自律神経を部分温存する低位前方切除術が予定されている。
術後 1 日。順調に経過し、A さんは離床が可能になった。腹腔内にドレーンが 1 本留置され、術後の痛みに対しては、硬膜外チューブから持続的に鎮痛薬が投与されている。看護師が A さんに痛みの状態を尋ねると、A さんは「まだ傷が痛いし、今日は歩けそうにありません」と話す。このときの対応で最も適切なのはどれか。
1: 体動時に痛む場合は歩行しなくてよいと説明する。
2: 歩行には看護師が付き添うことを提案する。
3: 歩行練習を 1 日延期することを提案する。
4: 鎮痛薬の追加使用を提案し歩行を促す。
Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月で5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、 甲状腺腫瘍(thyroid tumor)の疑いで大学病院に紹介された。 嗜好品:飲酒はビール700ml/日を週5日 趣 味:ジョギングとヨガ
Aさんは、手術後に甲状腺ホルモン製剤、カルシウム製剤、ビタミンD製剤の内服が開始され、手術後1週で退院することになった。A さんは「退院後の生活で気を付けることを教えてください。私は35歳ですし、夫と年が離れているため、できるだけ早く子どもが欲しいと思っています」と話している。看護師が行うAさんへの1か月後の受診までの生活指導で適切なのはどれか。
1: 「運動は控えましょう」
2: 「1年間は妊娠を控えましょう」
3: 「海藻類の摂取に制限はありません」
4: 「飲酒量は入院前と同じでよいです」
Aさん(38歳、女性)は、大腸癌colon cancerの終末期である。癌性腹膜炎cancerous peritonitisによる症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。 退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 薬剤師
2: 言語聴覚士
3: 臨床検査技師
4: 介護支援専門員
5: ソーシャルワーカー
Aさん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、車椅子への移乗は部分介助、要介護2である。排泄はポータブルトイレを利用している。Aさんと妻はなるべく家で過ごしたいと考え、自宅での介護はすべて妻が行っている。長女(会社員)が県内に在住しているがAさんの介護はしていない。訪問看護を週1回利用するのみで、他のサービスは利用していない。最近、妻の腰痛が悪化し、妻から訪問看護師に「主治医から介護の負担を軽減するように言われました。でも夫は家から出たくないし、私も夫をどこかに預けるのは不安です。どうしたらよいでしょうか」と相談があった。
このときの訪問看護師が提案するAさんへのサービスで最も適切なのはどれか。
1: 通所介護
2: 訪問介護
3: 短期入所生活介護
4: 訪問リハビリテーション
Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8 ℃、脈拍64/分、血圧126/70 mmHg であった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140 bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。
産褥4日、Aさんの体調は回復し、退院が決定した。夫に連れられて来た長男が赤ちゃんを珍しそうに見ている。Aさんは退院後に長男の退行現象が現れることを心配している。 Aさんへの説明で適切でないのはどれか。
1: 「長男と2人きりになる時間をつくるようにしましょう」
2: 「長男と一緒に赤ちゃんのおむつを交換しましょう」
3: 「長男にしっかりするように話しましょう」
4: 「長男をほめて安心させましょう」
Aさん (42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症<ALS>(amyotrophic lateral sclerosis)の確定診断を受けた。夫( 50歳)と長女 (16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。
夫に対する訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1: 「食事の介助に時間をかけましょう」
2: 「胃瘻からの栄養量を増やしましょう」
3: 「介助方法に問題があるかもしれません」
4: 「嚥下食の宅配サービスを頼んでみましょう」
5: 「飲み込みの状態に応じた食事を一緒に考えましょう」
Aさん(37歳、初産婦)、会社員。妊娠41週1日の午後11時に3,200gの女児を分娩した。妊娠や分娩の経過は順調であり、会陰切開術を受けた。分娩後2時間の子宮底の高さは臍下2横指、縫合部に異常はみられなかった。
産褥1日午前5時、赤色悪露が少量みられた。子宮底の高さは臍上1横指で、膀胱部に軽度の膨満を触知したため、トイレでの排尿を促した。しかし、Aさんは「切開した傷が痛くて、排尿しようとしても出ません。どうしましょう」と看護師に相談してきた。 Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「水分を摂(と)らないようにしてください」
2: 「腹部を温めてみましょう」
3: 「授乳をしてみましょう」
4: 「尿を管で取りましょう」
Aさん(75歳、男性)。1人暮らし。慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉(chronic obstructive pulmonary disease)のため、2年前から在宅酸素療法を開始し、週に2回の訪問看護を利用している。訪問看護師はAさんから「最近、洗濯物を干すときに息が苦しくて疲れるが、自分でできることは続けたい」と相談された。 Aさんの労作時の息苦しさを緩和する方法について、訪問看護師が行う指導で適切なのはどれか。
1: 労作時は酸素流量を増やす。
2: 呼吸は呼気より吸気を長くする。
3: 動作に合わせて短速呼吸をする。
4: 腕を上げるときは息を吐きながら行う。
Aさん ( 26歳、男性 )は、大量服薬による急性中毒が疑われ、午後 9時 30分に救急搬送された。呼吸状態と循環動態に異常はないが、意識は低下している。付き添って来た Aさんの母親は「午後 8時に夕食を終えて息子は部屋に戻りました。午後 9時にお風呂へ入るよう声をかけに部屋に行ったら、倒れていたんです。息子はうつ病 (depression)で通院中でしたが、最近は症状が落ち着いていました」と話す。 このときの対応で適切なのはどれか。
1: 気管内挿管を行う。
2: 咽頭を刺激して吐かせる。
3: 胃酸分泌抑制薬を投与する。
4: Aさんの母親にどんな薬を内服していたかを尋ねる。
Aさん(74歳、男性)は、強い下腹部痛のため救急車で搬入された。Aさんは顔面蒼白で、冷汗をかき、腹部を押さえている。一緒に来た妻は、「夫はいつも尿が出にくい。夜は、3回はトイレに行くのに、昨夜は行かなかった。今朝もポタポタとしか出なかった。便秘はしていない」と話した。Aさんは4年前に脳梗塞(cerebral infarction)になり、重い構音障害があるが理解力に問題はなく、身の回りのことは全部自分でできている。搬入時のAさんは、看護師と視線を合わせることができ、問いかけにはうなずきで答えている。
処置を終えたAさんは、治療のため入院した。 Aさんとコミュニケーションをとるうえで適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 筆談用の文房具を準備する。
2: 理解を助ける絵カードを準備する。
3: 構音の間違いを直して練習させる。
4: 補聴器や眼鏡の使用状況を妻に確認する。
5: 問いかけはopen-ended question〈開かれた質問〉にする。
Aさん(37歳、男性)は妻(40歳、会社員)と2人暮らし。筋強直性ジストロフィーmyotonic dystrophyで週5回の訪問介護を利用していた。1か月前に傾眠傾向が著明となり入院して精査した結果、睡眠時無呼吸に対して夜間のみフェイスマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法が導入された。Aさんは四肢遠位筋に筋萎縮と筋力低下があるが、室内の移動は電動車椅子を操作して自力で行え、食事も準備すれば妻と同じものを摂取できる。退院後、週1回午後に訪問看護が導入されることになった。
退院後1週、訪問看護師はAさんの鼻根部の皮膚に発赤があることに気付いた。 訪問看護師の妻への対応で適切なのはどれか。
1: 「鼻マスクに変更しましょう」
2: 「発赤部位は洗わないようにしましょう」
3: 「人工呼吸器の装着時間は短くしましょう」
4: 「フェイスマスクのベルトは指が2 本入る程度に固定しましょう」
Aさん(30歳、初産婦、会社員)は、夫と2人暮らし。妊婦38週6日で3,200gの児を正常分娩した。分娩後から母子同室を開始しており、母乳育児を希望している。
産褥4日。Aさんは乳頭を児にうまくくわえさせられず「上手におっぱいがあげられない。退院してからも続けていけるか心配です」と言う。Aさんの乳房からは移行乳の分泌がみられる。児の体重は3,040g、排尿は5回/日、排便は4回/日である。 Aさんへの授乳時のアドバイスとして、適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 3時間ごとに授乳させる。
2: 児が前屈姿勢になるように支える。
3: 児が啼泣している時に授乳させる。
4: 児の舌の上に乳頭がのるようにくわえさせる。
5: 児が大きく口を開けたタイミングで乳頭をくわえさせる。
Aさん(47歳、女性、会社員)は、夫(54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経腟超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。
Aさんはその後、順調に経過し退院した。退院後、初回の外来受診時に看護師がAさんに心配なことを尋ねると「退院のときも性生活の説明を聞きましたが、子宮がなくなって自分の身体がどう変化しているかわからないし、やっぱり性生活のことが気がかりです。夫も私の身体を気遣ってくれて、今日も一緒に病院に来てくれました」と語った。 Aさんへの性生活の説明で適切なのはどれか。
1: 術後1年までは性行為を控える。
2: 夫と別々に説明することを提案する。
3: 性行為再開後は避妊を続けてもらう。
4: 腟の乾燥に対して潤滑ゼリーを用いるとよい。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。半年前からAさんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。ある夜、Aさんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、Aさんはアルコール依存症(alcohol dependence syndrome)と診断された。
入院中にAさんは、退院後に再び飲酒してしまうのではないかという不安を看護師に訴えた。Aさんの断酒を支援するための看護師の提案で適切なのはどれか。
1: 共同生活援助<グループホーム>への入居
2: セルフヘルプグループへの参加
3: 行動援護の利用
4: 生活訓練の利用
Aさん(50歳、女性)は右乳癌(breast cancer)と診断され、手術を受けるために入院した。Aさんは夫を3年前に腎臓癌(kidney cancer)で亡くしたが、貸しビル業を引き継いでおり、経済的な問題はない。趣味はテニスである。
Aさんの術後の経過は良好で、外来で抗癌化学療法を受ける予定で退院した。Aさんは患側上肢のだるさ、疲れやすさが残ると外来看護師に話した。 Aさんの患側上肢の浮腫を予防する方法で適切なのはどれか。
1: 使い捨てカイロを患側の腋窩にあてる。
2: 患側上肢はなるべく動かさないようにする。
3: 患側上肢のマッサージを中枢から末梢へ行う。
4: 患側上肢の静脈では抗癌薬の静脈内注射を行わない。
Aさん(78歳、女性)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症し入院治療した後、回復期リハビリテーション病棟に転棟した。担当の理学療法士は、Aさんは早く自宅に帰りたいと熱心に歩行練習をしていると話していた。転棟後、1週を経過したころから、Aさんは疲労感を訴えて病室で臥床していることが多くなった。理学療法後の血圧と脈拍とに変動はみられない。肝機能と腎機能とに異常はない。 Aさん、看護師および担当の理学療法士で検討する内容として最も適切なのはどれか。
1: 運動強度の軽減
2: 家事動作練習の追加
3: 翌日の理学療法の中止
4: 病棟での歩行回数の増加
Aさん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、車椅子への移乗は部分介助、要介護2である。排泄はポータブルトイレを利用している。Aさんと妻はなるべく家で過ごしたいと考え、自宅での介護はすべて妻が行っている。長女(会社員)が県内に在住しているがAさんの介護はしていない。訪問看護を週1回利用するのみで、他のサービスは利用していない。最近、妻の腰痛が悪化し、妻から訪問看護師に「主治医から介護の負担を軽減するように言われました。でも夫は家から出たくないし、私も夫をどこかに預けるのは不安です。どうしたらよいでしょうか」と相談があった。
Aさんは入院したが、状態が安定し入院後3日で退院することが決まった。長女が「父が退院したら、母の腰痛が心配なので、私が父のポータブルトイレへの移動を手伝いたいと思います。介助の方法を教えてください」と訪問看護師に相談があった。 訪問看護師が長女に指導するベッドからポータブルトイレへの移乗の介助方法で正しいのはどれか。
1: ポータブルトイレをAさんの麻痺側に設置する。
2: ベッドから立ち上がる際はAさんに前傾姿勢になってもらう。
3: Aさんの健側に立って介助する。
4: Aさんの向きを変えるときはズボンのウエスト部分を持つ。
Aさん(80歳、男性)は、1人暮らし。高血圧症hypertensionで内服治療をしているが健康状態や認知機能に問題はなく、日常生活動作〈ADL〉は自立している。毎朝30分の散歩と買い物を日課とし、週1回は老人クラブでゲートボールをしている。Aさんは受診の際に看護師に「最近、昼食後に居眠りをしてしまう。今は大丈夫だが、このままだと夜眠れなくなるのではないか」と話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 昼食後にも散歩を促す。
2: 主治医に相談するよう勧める。
3: 老人クラブの参加回数を増やすよう勧める。
4: 30分程度の昼寝は夜の睡眠に影響はないと伝える。