Aさん(79歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折(compression fracture)と診断され、安静目的で入院した。 既往歴 : 5年前に大腿骨骨折(femoral fracture)。 現病歴 : 2年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。 生活歴 : 要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。
入院当日、Aさんは看護師に「ここはどこですか」と同じ質問を繰り返している。 このときの看護で最も適切なのはどれか。
1: 体幹を抑制する。
2: 家族に夜間の付き添いを依頼する。
3: ナースステーションにベッドを移動する。
4: 骨折で入院していることを繰り返し伝える。
先天性の重度視覚障害があるAさんは、早期胃癌(early gastric cancer)の手術目的で入院した。Aさんは妻と2人で暮らしており、自宅ではほぼ自立して日常生活を送っていた。 看護師のAさんへの入院当日の対応で最も適切なのはどれか。
1: Aさんの病室は監視モニター付きの個室にする。
2: Aさんの病室で食堂やトイレの場所などを説明する。
3: 起き上がるとスイッチが入るナースコールを設置する。
4: CT検査室への移動の際は、看護師が順路を説明しながら一緒に歩く。
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院当日に看護師が行う情報収集で最も優先するのはどれか。
1: 症状が日常生活に与える影響
2: アルバイト先の人間関係
3: 医療用語の理解力
4: 精神疾患の家族歴
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病depressionと診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。
Aさんのうつ症状は改善し、多職種で退院に向けた話し合いを始めた。会社の休職制度を利用し休んでいるAさんは、「薬が効いたので、今後も薬を飲み続けることが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思うが、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と看護師に話した。 退院に向けてAさんが利用する社会資源で適切なのはどれか。
1: 就労継続支援
2: リワーク支援
3: 障害者社会適応訓練事業
4: ジョブコーチによる支援
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院後、担当看護師は毎日面会に来ている夫の表情が気になり声をかけた。夫は「先生から統合失調症schizophreniaには様々な症状があるとお聞きしました。入院して妻は落ちつきましたが、これからどう接していけばいいのか悩んでいます」と話した。担当看護師はチームカンファレンスで夫の様子を伝え、主治医の判断で、夫に家族心理教育への参加を促すことになった。 担当看護師が夫に家族心理教育を勧める声かけで適切なのはどれか。
1: 「Aさんの症状と対応について学ぶことができます」
2: 「ご家族に参加して頂くことが退院の条件です」
3: 「家族同士の自助グループです」
4: 「匿名で参加できます」
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。
Aさんが入院したという知らせを受けて、Aさんの家族が来日し、病棟に見舞いに来た。Aさんの家族は、Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: Aさんと家族が納得できる解決策を話し合う。
2: 希望通りAさんの病室に泊まることを許可する。
3: 日本では家族の泊まり込みはできないと説明する。
4: 近隣のホテルに泊まって、日中のみ通うよう勧める。
入院患者の精神科リハビリテーションで適切なのはどれか。
1: 経済的な自立を最終目標とする。
2: 退院日が決まり次第開始される。
3: 多職種によるチーム連携が必要である。
4: 精神疾患に関する地域への啓発は含まれない。
A さん(52 歳、女性、専業主婦)は、夫と 2 人の息子との 4 人で暮らしている。A さんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。 2 か月前から食欲不振と不眠が続いている。 1 か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病 (depression) と診断された。
入院後 2 か月。A さんと夫は主治医と面接し、A さんは 2 週後に自宅への退院を目指すことになった。それ以来、A さんは積極的に病院から自宅への外出を繰り返すようになったが、夕方に外出から戻ってくるとすぐにベッドに入り臥床していることが多くなった。うつ病 (depression) の回復期にある A さんについて情報収集する項目で優先度が高いのはどれか。
1: 希死念慮の確認
2: 外出時の食事内容
3: 外出時の服薬状況
4: A さんの家庭の経済状況
Aさん(70歳、女性)は1人暮らし。夫とは1年前に死別した。近くの診療所で高血圧症hypertensionと心不全heart failureと診断され、内服治療をしていた。月1回は診療所で内服薬の処方と食事指導や体重測定などの生活指導を受けていたが、時々薬を飲んだことを忘れてしまうことがあった。日常生活は自立しており、認知機能は問題ない。週2日、事務職のパートとして働いており、電車を使って通勤していた。息子(42歳)と娘(37歳)は仕事のため遠方に住んでいる。1か月前からAさんは家事や外出するときに軽い息切れを感じるようになり、2、3日前からは咳と痰が出るようになった。両足のむくみが出てきたため、診療所から自宅近くの病院を紹介され外来受診した。身体所見:意識は清明。身長159cm、体重61.3kg。 体温37.1℃、呼吸数21/分、脈拍95/分、不整、血圧164/96mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(room air)。 両下肢に軽度の浮腫を認めた。
診察の結果、Aさんは心不全heart failureの悪化を認めたため入院することになり、個室を希望した。入院後、酸素マスクによる酸素療法や利尿薬による薬物療法、塩分制限などの食事療法が開始された。入院3日、夜勤の看護師から日勤の看護師への朝の申し送りで、昨晩のAさんは夜間全く眠っていないこと、「ここはどこですか」と繰り返し尋ねてきたこと、娘が学校から帰ってくるのを待っていると言って病室の入り口を気にしていたことが報告された。日勤の看護師は、Aさんの睡眠状況を改善する必要があると考え、Aさんへの対応について検討した。 看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
1: 終日、病室を明るくする。
2: 日中眠っていたら覚醒を促す。
3: 睡眠導入薬の使用を医師に相談する。
4: 夜間覚醒している場合は、夜は眠るよう説得する。
Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。
入院後1週が経過した。Aさんはベッドに横になりじっと窓を見つめていることが多くなった。看護師が何をしているのか話しかけると、Aさんは「死にたいと思っている」と答えた。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 話題を変える。
2: 気分転換を促す。
3: すぐに良くなると励ます。
4: 自殺しないことをAさんに約束してもらう。
Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。
入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療についての話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。 このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか。
1: 催眠療法
2: 作業療法
3: 認知行動療法
4: 就労移行支援
Aちゃん(1歳2か月、女児)は、在胎38週2日、2,300g、新生児仮死状態で出生し、NICUで全身管理が行われた。人工呼吸器は3週後に離脱できたが、咳嗽反射が弱く嚥下障害がみられた。追視がなく、痙直性の四肢麻痺がみられるようになり、生後8か月で脳性麻痺と診断された。1歳の時点で小児病棟へ転棟し、退院に向けた準備を行っている。現在、身長と体重は年齢相当で、鼻腔から経管栄養を行っており、日常的に口腔内吸引が必要である。Aちゃんは第1子で、父親は会社員、母親は専業主婦である。
母親は経管栄養と口腔内吸引とを1人で実施できるようになったが、「退院したら、昼間、Aと2人だけで過ごすのは心配です。Aの具合が悪いときにはどうしたら良いのでしょう」と話す。 Aちゃんが在宅療養に移行するために検討する内容で優先度が高いのはどれか。
1: 保育所への入所
2: 訪問看護の依頼
3: 家事支援のヘルパーの依頼
4: 地域の子育てグループへの参加
訪問看護師が、在宅医療に移行する患者の退院調整のために医療機関の看護師から得る情報で、優先度が高いのはどれか。
1: 医療処置の指導内容
2: 経済的な問題への対応
3: 介護サービス利用の有無
4: 訪問看護指示書の記載内容
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。
訪問看護が導入されて2か月、Aさんの妻が健康診査後の精査目的で数日間入院することになった。Aさんは妻の入院中もできる限り自宅で過ごしたいと考えている。妻の入院中の対応について、サービス担当者会議が開かれた。この時に訪問看護師が行うAさんへの提案で優先度が高いのはどれか。
1: 通所介護を利用する。
2: 訪問介護を利用する。
3: 配食サービスを利用する。
4: 訪問看護の回数を増やす。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。 この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 食事介助をする。
2: 一緒に院内を散歩する。
3: 他の入院患者との交流を促す。
4: 日中に臥床しているときは声かけを控える。
Aさん(38歳、初産婦)は、妊娠38週3日に2,900gの女児を正常分娩した。出産前は、Aさんは夫と2人で暮らしていた。引っ越して3か月であり、周囲に親しい知り合いや友人はまだいない。
看護師はベッドサイドの椅子に座り、Aさんから育児について分からないことが多いという話を聞いた。話し終えたAさんは「少しすっきりしたような気がします」と言った。 このときの看護師の対応で優先度の高いのはどれか。
1: 元気づける。
2: 休息を促す。
3: 精神科の受診を勧める。
4: 母親として自覚するよう話す。
Aさん(23歳、女性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。専門学校卒業後に就職し、仕事も順調であった。4か月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1か月ほど続いたが、通勤は続けていた。Aさんは2か月前から不眠を訴えるようになり、先月からは給料の全額を宝くじの購入に費やしてしまう行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。
入院後2週が経過した。Aさんの携帯電話は母親が持ち帰っているため、Aさんは職場のことが気になると言って、毎日、病棟内の公衆電話から頻繁に会社の上司に電話をしている。看護師が面接をしたところ、今後への強い焦りの訴えが聞かれた。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 休養の必要性をAさんと再確認する。
2: 仕事のことは考えないように伝える。
3: Aさんの上司にAさんの病状と行動との関連を説明する。
4: Aさんのテレホンカードをナースステーションで管理する。
Aさん(78歳、女性)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症し入院治療した後、回復期リハビリテーション病棟に転棟した。担当の理学療法士は、Aさんは早く自宅に帰りたいと熱心に歩行練習をしていると話していた。転棟後、1週を経過したころから、Aさんは疲労感を訴えて病室で臥床していることが多くなった。理学療法後の血圧と脈拍とに変動はみられない。肝機能と腎機能とに異常はない。 Aさん、看護師および担当の理学療法士で検討する内容として最も適切なのはどれか。
1: 運動強度の軽減
2: 家事動作練習の追加
3: 翌日の理学療法の中止
4: 病棟での歩行回数の増加
Aさん(47歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で20年間精神病院に入院している。父親はすでに亡くなっており、80歳になる母親は病気がちのため、面会は年に1回程度である。Aさんは看護師の声かけに応じて、月に1回の病棟レクリエーションや週に2回の作業療法に参加している。それ以外の時間はほとんど病室のベッド上で寝て過ごしている。発病以来、薬物療法を続けており、時々飲み忘れることはあるが、ほぼ自己管理できている。病状は安定していることから、退院の話が出るようになった。
Aさんのベッド周囲の状況について同室者から看護師に苦情の訴えがあった。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: Aさんと話し合いながら整理・整頓(せいとん)を行う。
2: 同室者にAさんの病状について説明を行う。
3: Aさんの母親に連絡を取り、不要な物を持ち帰ってもらう。
4: 看護師が定期的にAさんのベッド周囲の整理・整頓(せいとん)を行う。
Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌(rectal cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作<ADL>は、ほぼ自立している。
Aさんは退院後に訪問診療と訪問看護を利用することになり、今後の支援の方向性を確認するため、退院前にAさんと家族も参加するカンファレンスを開催した。 カンファレンスで確認する内容で最も優先度が高いのはどれか。
1: 看取りの場所
2: ストーマパウチの交換方法
3: 訪問リハビリテーションの必要性
4: 退院後の生活でAさんが行いたいこと