A君 (6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0 ℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎(gastroenteritis)と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5 ℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。
A君は病室内のトイレで排泄をしていた。看護師はマスク、手袋およびエプロンを着用しA君の排泄介助を行っていると、下着に便が付着していることに気付いた。看護師は、すぐにA君の下着を脱がせ流水で便を洗い流した。 下着の処理の方法で正しいのはどれか。
1: 病室内のゴミ箱に捨てる。
2: 病室内でエタノールに浸す。
3: 病室内で次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸す。
4: 病室外の汚物処理室の感染性廃棄物用の容器に捨てる。
Aさん(86歳、男性)は自宅で療養しており、84歳の妻が介護している。Aさんは寝たきりで、尿失禁のためオムツを使用している。Aさんの排尿量が多く、何度も布団を汚して困ると妻から相談があった。 Aさんの妻の介護負担を考慮した訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 水分の摂取量を減らすように話す。
2: 膀胱留置カテーテルの使用を提案する。
3: ポータブルトイレに定期的に座るよう勧める。
4: オムツに尿取りパッドを追加するように指導する。
Aさん(72歳、女性)は、 1人で暮らしている。Aさんは 1年前に夫を亡くした後、近所付き合いが少なくなっていた。遠方に住む Aさんの息子が時々電話で様子を確認していた。最近は元気がなく、 Aさんの息子が心配して様子を見に来たところ、食事を食べた様子がなく、ごみは捨てられていなかった。 Aさんは発熱してぐったりしており、息子に連れられて病院を受診した。 Aさんは脱水状態の治療と抑うつ状態の疑いのため検査が必要であると判断されて入院した。Aさんの既往歴に特記すべきことはない。
入院後 1週間、Aさんの脱水状態は改善したが臥床していることが多い。 Aさんは排泄時、手すりを使用してトイレまで歩行しているが、着脱動作が緩慢で失禁することが多い。 Aさんへの排泄援助として最も適切なのはどれか。
1: オムツの着用を勧める。
2: トイレに近い病室に変更する。
3: 膀胱留置カテーテルの挿入を検討する。
4: ポータブルトイレをベッドの横に設置する。
Aさん(71歳、女性)は、要介護1で、ベッドからの立ち上がりや入浴などに一部介助を必要とするが、歩行器で室内を移動できる。失禁することがあるため失禁用のパッドを装着している。Aさんは介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利 用している。入所した日の夕方から、水様便と嘔吐とがみられ、感染性胃腸炎(infectious gastroenteritis)が疑われてトイレ付きの個室に移動した。
感染症の拡大を予防する方法で適切なのはどれか。
1: 使い捨ての食器に変える。
2: 汚物の付着した衣類は焼却処分する。
3: 排泄介助を行う看護師はガウンを装着する。
4: Aさんの手指を速乾性擦式の手指消毒薬で消毒する。
5: Aさんが触れた歩行器を 80%エタノールで清拭する。
Aさん(85歳、女性)は、1人暮らしで、他県に住んでいる長男家族がいる。腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis)と診断されているが、ゆっくりとした動作であれば日常生活が可能であり、畑で野菜をつくることを趣味としている。
Aさんから「尿が漏れて困ります。洗濯物が増えるので、干したり取り込んだりするのが大変です。どうしたらよいでしょうか」と相談を受けた。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: テープ付き紙おむつを紹介する。
2: 背もたれ付きポータブルトイレを紹介する。
3: 介護保険の訪問介護を受けた方がよいと説明する。
4: 下着の中に入れて使う尿失禁用パッドを紹介する。
Aちゃん(2歳0か月、女児)。昨日から下痢と嘔吐とを繰り返し、食事が摂(と)れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎(viral gastroenteritis)と診断され入院した。入院時、体温38.2℃、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。1週前の保育所の身体計測では身長89cm、体重12.0kgであった。個室隔離とし、点滴静脈内注射による持続輸液が開始された。
Aちゃんは、排泄が自立していないため紙オムツを使用している。看護師が殿部を観察すると発赤とびらんとがみられた。 Aちゃんへの看護で適切なのはどれか。
1: 布オムツを使用する。
2: 38〜39℃の湯で殿部浴を行う。
3: オムツを外し、殿部を開放しておく。
4: アルコール入りのおしり拭きで殿部の清拭を行う。
A さん(35 歳、男性、建設業)は、両親と 3 人で暮らしている。 3 年前の仕事中に屋根から転落して、第 12 胸髄を損傷した。 1 か月前から車で作業所に通い、作業中はほとんど車椅子に座っている。週 1 回の訪問看護を利用している。
A さんは繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を行っている。排尿のセルフケアの指導として最も適切なのはどれか。
1: 24 時間の蓄尿を勧める。
2: カテーテルの挿入は無菌操作で行う。
3: 急に発熱した場合は医師に連絡する。
4: カテーテルを保管するケースの消毒薬は週 1 回交換する。
排泄行動が自立している入院中の男性高齢者が、夜間の排尿について「夜は何度もトイレに行きたくなります。そのたびにトイレまで歩くのは疲れます」と訴えている。 この患者の看護で適切なのはどれか。
1: おむつの使用
2: 夜間の尿器の使用
3: 就寝前の水分摂取の制限
4: 膀胱留置カテーテルの挿入
標準予防策〈スタンダードプリコーション〉において、創傷や感染のない患者への援助で使い捨て手袋が必要なのはどれか。
1: 手浴
2: 洗髪
3: 口腔ケア
4: 寝衣交換
Aさん(87歳、女性)は、 6年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)を発症した。在宅で療養していたが、夫が介護に疲れたために施設に入所した。現在、長谷川式簡易知的機能評価スケール〈HDS-R〉10点、障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1である。下肢筋力や立位バランスの低下がある。自宅では自分で車椅子に移乗してトイレに行き排泄していた。尿失禁はなかった。入所直後、Aさんは表情が険しく落ち着きがなく、看護師が声をかけても応じない。自発的にトイレに行きたいという発言はなく、着衣を尿で汚染することが多いためトイレ誘導を行うことにした。
入所後3週。排尿行動の自立を目標とする看護計画を立案した。 看護計画として最も適切なのはどれか。
1: 昼夜ともにオムツは使用しない。
2: トイレの標示を目立つよう工夫する。
3: 尿で汚染した着衣を自分で片づけるよう指導する。
4: 尿意を感じた際にはナースコールで呼ぶよう説明する。
Aさん(50歳、男性)は、双極性障害(bipolar disorder)で、これまでにうつ状態と躁状態で入院歴がある。会社員の兄と2人で暮らしている。3か月前から服薬を中断するようになり、気分が沈みはじめ、1週前から朝起きられなくなった。2日前から1日中ベッドの中にいるようになったため、兄に付き添われて入院した。入院時は亜昏迷状態で、発語はほとんどなく、自力での歩行が困難なほど脱力が強かった。入院後、三環系抗うつ薬が開始された。
Aさんの排泄に関する看護として適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 便秘を予防する。
2: 水分摂取を制限する。
3: 排尿の有無を観察する。
4: 排泄回数を記載するよう説明する。
5: 自分でポータブルトイレを使用するよう説明する。
Aちゃん(2歳10か月、女児)は昨日から下痢と嘔吐を繰り返し、食事が摂れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎viral gastroenteritisによる中等度の脱水症dehydrationと診断され入院した。入院時、体温38.2℃、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。3日前の保育所の身体計測では身長90cm、体重12.5kgであった。
Aちゃんは、個室隔離での入院となり、持続点滴静脈内注射が開始された。排泄が自立していないため普段から紙オムツを使用している。 Aちゃんのオムツ交換における注意点について、入院に付き添う母親への看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 布オムツに切り替える。
2: 使い捨て手袋は1日1回交換する。
3: オムツ交換後に石けんで手洗いを行う。
4: アルコール入りのおしり拭きで殿部の清拭を行う。
Aさん(87歳、女性)は、 6年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)を発症した。在宅で療養していたが、夫が介護に疲れたために施設に入所した。現在、長谷川式簡易知的機能評価スケール〈HDS-R〉10点、障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1である。下肢筋力や立位バランスの低下がある。自宅では自分で車椅子に移乗してトイレに行き排泄していた。尿失禁はなかった。入所直後、Aさんは表情が険しく落ち着きがなく、看護師が声をかけても応じない。自発的にトイレに行きたいという発言はなく、着衣を尿で汚染することが多いためトイレ誘導を行うことにした。
入所後2週。Aさんの表情は穏やかになり行動も落ち着くようになった。自発的に車椅子に乗り廊下を移動している。尿意はあるが、尿失禁が続いている。 尿失禁の状態を把握するために行う看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 排泄動作を全介助する。
2: 夜間は下着をオムツに変更する。
3: 尿失禁の不快感について質問する。
4: 廊下を移動中、トイレに行きたいのかを確認する。
ベッド上での排便の介助時に使用した手袋を手から取り外すタイミングで適切なのはどれか。
1: 肛門周囲の便を拭き取った後
2: 排便後の患者の寝衣を整えた後
3: ベッド周囲のカーテンを開けた後
4: 使用した物品を汚物処理室で片づけた後
介護保険施設においてノロウイルス感染症(norovirus infection)が発生した。 感染を拡大させないための対応として適切なのはどれか。
1: 感染者の居室はアルコールで拭く。
2: 感染者の吐物は乾燥してから処理する。
3: 感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
4: 感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
在宅で訪問看護師が行う要介護者の入浴に関する援助で適切なのはどれか。
1: 入浴前後に水分摂取を促す。
2: 浴室の換気は入浴直前に行う。
3: 浴槽に入っている間に更衣の準備をする。
4: 入浴前の身体状態の観察を家族に依頼する。
Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。
訪問看護師が行う母親への経管栄養法の指導で適切なのはどれか。
1: 注入する前に排便させる。
2: 注入中は側臥位を保つようにする。
3: カテーテルは毎日場所を変えて固定する。
4: 家族と同じ食事を流動食にして注入する。
転倒・転落の危険性が高い成人の入院患者に看護師が行う対応で正しいのはどれか。
1: 夜間はおむつを使用する。
2: 履物はスリッパを使用する。
3: 離床センサーの使用は控える。
4: 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament)と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。
Aさんは1週前から排便がなく、センノシドを毎日就寝前に継続して内服している。訪問看護師が観察すると左腹部に便塊を触れ、腸蠕動音は微弱であった。Aさんは、2日間排便がないときはピコスルファートナトリウム水和物を適宜内服するよう医師に言われているが、以前に内服して下痢になったため内服していないと話す。 看護師のAさんへの提案で適切なのはどれか。
1: 「もう少し様子をみましょう」
2: 「下剤は2種類とも飲みましょう」
3: 「便意を感じたらトイレに座りましょう」
4: 「浣腸をしてもよいか医師に確認しましょう」
夜勤帯に、A看護師がスタッフステーションで抗菌薬の点滴静脈内注射を準備しているときに、発汗した患者から寝衣交換の依頼があり、別の患者から口渇で飲水したいという希望があった。直後に患者に装着されている人工呼吸器のアラームが鳴った。他の看護師は別の病室で重症者のケアをしている。 A看護師が最も優先すべきなのはどれか。
1: 点滴静脈内注射の準備
2: 発汗した患者の寝衣交換
3: 飲水を希望する患者への対応
4: 人工呼吸器を装着している患者の観察