Aさん(32歳、女性)は小児専門の病院に勤務していたが、国際保健医療協力プログラムで中央アフリカ地域の州事務所に母子保健担当の看護師として派遣された。この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良と聞いた。 Aさんが現地で最初に行う業務はどれか。
1: 経口補水液の配布
2: 乳幼児の栄養状態の把握
3: 女性の識字率向上の支援
4: 病院における母子看護業務の把握
Aさん(48歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の手術を受けた。その後、リンパ節再発と腰椎への転移が発見され、放射線治療を受けた。現在は、外来で抗癌化学治療法を受けている。癌性疼痛に対しては、硫酸モルヒネ徐放錠を内服している。 Aさんへの外来看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「吐き気がしても我慢してください」
2: 「毎日、1時間のウォーキングをしましょう」
3: 「家族に症状を訴えても心配をかけるだけです」
4: 「便秘で痛みが強くなるようなら、緩下剤で調節してください」
Aさん(28歳、女性)は、両親と3人で暮らしている。24歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。
診察では幻聴の悪化が認められたため、薬物治療の見直しが行われた。その後、定期的に両親同伴で外来通院を続けた。3か月後、幻聴は改善傾向を示し、規則正しい生活ができるようになった。外来の診察で、悪化した原因を改めて振り返ったところ、Aさんは「半年前から家族に分からないように薬をトイレに捨てていた」と話した。診察後、Aさんからそれを聞いた両親が、医師や看護師の目の前でAさんを大きな声で叱ると、Aさんの表情は険しくなった。 Aさんの両親に勧めるものとして適切なのはどれか。
1: 心理教育
2: 内観療法
3: 自律訓練法
4: 精神分析療法
Aさん(68 歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)(ALS)のため在宅療養中で、 気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護5の認定を受けている。 Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。
1: 医療保険から給付される。
2: 特別訪問看護指示書を受けて実施される。
3: 複数の訪問看護事業所の利用はできない。
4: 理学療法士による訪問は給付が認められない。
訪問看護師が、在宅医療に移行する患者の退院調整のために医療機関の看護師から得る情報で、優先度が高いのはどれか。
1: 医療処置の指導内容
2: 経済的な問題への対応
3: 介護サービス利用の有無
4: 訪問看護指示書の記載内容
在宅療養者に初回訪問を行う際の訪問看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 療養者と契約書を取り交わす。
2: 緊急時の連絡方法を確認する。
3: 初回訪問前の情報収集は行わない。
4: 病院で指導された介護方法は変更しない。
5: 初回訪問日は療養者に医療的な問題が起きてから決める。
Aさん(24歳、初産婦)、事務職。妊娠8週である。現在、両親と妹との4人で暮らしている。パートナーは24歳の大学院2年生で就職が内定しており、Aさんと結婚する予定である。
妊娠16週の妊婦健康診査で、Aさんは「母親になる実感はまだありません。妊娠するといろいろなことが起こって驚くばかりです」と話した。妊娠経過は順調である。既にパートナーと結婚し、新居に引っ越している。 Aさんへの指導で最も優先度が高いのはどれか。
1: 保育所の選択
2: 育児用品の準備
3: バースプランの立案
4: 出産準備教室への参加
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。
Aさんは、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)と診断され、血液内科病棟の2人部屋に緊急入院になった。病棟看護師が入院オリエンテーションをするため病室を訪れたところ、同室の患者から「Aさんの香水の香りが強いので、つらい」と訴えがあり、看護師もその香りが気になった。看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 同室の患者に別室への移動を勧める。
2: Aさんに香水を洗い流すよう説明する。
3: Aさんに香水の使用は医師の許可が必要と説明する。
4: Aさんに香りが本人および同室の患者の治療に及ぼす影響を説明する。
Aさん(43歳、女性)は夫と2人暮らし。身長150cm、体重98kg。既往歴はない。先日、庭で転倒し右腓骨を骨折し、膝関節から足関節までのギプス固定をしている。来週、プレート固定術を受けることになっており、本日は夫と一緒に術前オリエンテーションに来院した。来院時のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧138/80mmHgであった。夫によると「妻は、寝ているときはいつも大きないびきと、時々無呼吸があるので、慌てて起こしている」と言う。
手術後2日。Aさんはバイタルサインも安定しているため、離床の準備を始めることになった。 初回離床時に最も注意すべき訴えはどれか。
1: 「息苦しい」
2: 「腰が重い」
3: 「痰が出る」
4: 「傷口が引きつる」
Aさん(73歳、女性)は、動悸の精密検査の目的で入院した。心電図や血液検査などで異常所見はなかったが、Aさんは全身倦怠感、食欲不振、腰痛、便秘などを訴え続け、薬物療法を行っているが症状は改善していないという。日中はぼんやりと過ごしており「心臓がドキドキして、ハッと朝早く目が覚め、死ぬんじゃないかと思い、その後眠れなくなる」と言う。
Aさんは午前0時ころ覚醒し、ベッドサイドでため息をついている。 看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 就寝時間を遅くするように言う。
2: 眠れなくても横になっているよう話す。
3: 医師に確認して睡眠導入薬の服用を促す。
4: ベッドを離れるよう誘い、しばらく話をする。
Aさん(80歳、女性)は、脳血管性認知症(cerebrovascular dementia)、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点で施設に入所している。看護師が「お風呂に入りますよ」と声をかけると、Aさんは「男の人は入っていないか」と尋ねる。看護師が「男の人はいませんよ」と説明するが、Aさんは「本当にいないのか」と繰り返し、なかなか納得しない。 Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「男の人はいないから行きましょう」
2: 「お風呂に入ったら気持ちよくなりますよ」
3: 「遅くなるとお風呂に入れなくなりますよ」
4: 「男の人がいないことを一緒に確認してみましょうか」
Aさん(82歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1。日中は車椅子に座っていることが多い。Aさんの仙骨部に発赤があるのを発見したため、訪問看護師は妻にAさんへの介護方法を指導することにした。 妻に指導する内容で正しいのはどれか。
1: 「仙骨部をマッサージしましょう」
2: 「夜間は時間毎に体位変換をしましょう」
3: 「時々お尻を浮かすよう声をかけましょう」
4: 「車椅子に座らせるときは円座を使いましょう」
Aさん(47歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で20年間精神病院に入院している。父親はすでに亡くなっており、80歳になる母親は病気がちのため、面会は年に1回程度である。Aさんは看護師の声かけに応じて、月に1回の病棟レクリエーションや週に2回の作業療法に参加している。それ以外の時間はほとんど病室のベッド上で寝て過ごしている。発病以来、薬物療法を続けており、時々飲み忘れることはあるが、ほぼ自己管理できている。病状は安定していることから、退院の話が出るようになった。
Aさんは物を捨てられず、ベッドの周囲には私物やゴミの入った大きなビニール袋が足の踏み場もないほど積み上げられている。 Aさんがこのような状況にある原因で、可能性が低いのはどれか。
1: 作業療法による疲労
2: 病状に伴う意欲の低下
3: 長期入院による施設症
4: 向精神薬の副作用による倦怠感
A君(6歳、男児)は、父母と姉との4人で暮らしている。3歳児健康診査で運動機能の発達の遅延を指摘され、5歳のときに Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)の確定診断を受けた。現在は、床からの立ち上がり動作に介助が必要である。見守りが必要ではあるが、室内の歩行は自立している。在宅支援サービスは利用していない。A君の外来受診時に母親から「最近、Aの世話をしていると、8歳の姉が私にしがみついて離れないので困ります」と看護師に相談があった。 このときの看護師の対応で最も優先されるのはどれか。
1: 姉の小学校の養護教諭に家庭訪問を依頼する。
2: 姉にA君の歩行の見守りをさせるよう勧める。
3: 短期入所を利用して父母と姉とで旅行するよう勧める。
4: 居宅介護を利用して母が姉と関わる時間を確保することを提案する。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。 身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4℃、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。 検査所見:クレアチンキナーゼ(CK)190IU/L(U/L)、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c 5.0%、Na 128mEq/L、K 3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。 Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。
1: 水中毒(water intoxication )
2: 悪性症候群(malignant syndrome)
3: セロトニン症候群(serotonin syndrome)
4: メタボリック症候群( metabolic syndrome)
判断能力のある成人患者へのインフォームド・コンセントにおける看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 患者の疑問には専門用語を用いて回答する。
2: 今後の治療に関しては医療者に任せるように話す。
3: 治療方針への同意は撤回できないことを説明する。
4: 納得ができるまで医師からの説明が受けられることを伝える。
Aさん(25歳、男性)統合失調症(schizophrenia)と診断された。抗精神病薬の内服を開始した2日後、Aさんはそわそわして落ち着かず「足がムズムズする」と歩き回るようになった。Aさんにみられている状態はどれか。
1: アカシジア
2: ジストニア
3: ジスキネジア
4: ミオクローヌス
介護保険制度による訪問看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 理学療法士による訪問は含まれない。
2: 主治医の訪問看護指示書が必要である。
3: 訪問滞在時間によって介護報酬は異なる。
4: 利用頻度は介護支援専門員の指示による。
5: 利用できる訪問看護事業所は1か所に限る。
Aさん(35歳、女性)は、右肋骨の骨折で 2日前に整形外科病棟に入院した。上半身に多数の内出血のあとがあり、受け持ち看護師が Aさんに話を聞いた。Aさんは、夫は機嫌が悪いと暴力を振るい、時には投げ飛ばすこともあり、今回も夫に殴られて骨折したと話した。Aさんは、毎日面会に来る夫に非常におびえており「今話したことは夫には絶対に言わないでほしい。骨折の処置だけしてください」と言う。 Aさんは専業主婦で夫と 2人で暮らしており、近くに親類や知り合いはいない。
Aさんには、不眠や急におびえたように震え出す様子がみられた。鎮痛薬を増量したが、骨折による痛みは全く軽減していない。睡眠薬も開始したが、不眠も改善していない。受け持ち看護師はどのように対応したらよいか分からず、リエゾン精神看護を専門とする看護師に相談した。リエゾン精神看護を専門とする看護師の介入として適切なのはどれか。
1: Aさんと夫が話し合う場を設定する。
2: 精神科病棟への転棟を看護師長に指示する。
3: リラクセーション法による介入を受け持ち看護師と計画する。
4: 睡眠薬の増量を主治医と相談するよう受け持ち看護師に伝える。
Aちゃん(11歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。3週前から疲労感を訴え昼寝をするようになった。そのころから夜間に尿意で起きてトイレに行くようになり、1日の尿の回数が増えた。2日前から食欲がなくヨーグルトや水分を摂取していたが、今朝から吐き気と嘔吐とがあり水分も摂れない状態になったため、母親とともに受診した。血液検査データは、赤血球580万/μL、Hb 13.9 g/dL、Ht 44 %、白血球9,500/μL、尿素窒素31 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、Na 141 mEq/L、K4.8 mEq/L、Cl 94 mEq/L、随時血糖900 mg/dL。動脈血ガス分析は、pH 7.21、BE-12.3、HCO3-10.9 mEq/L。尿検査は、尿糖2+、尿ケトン体3+であった。Aちゃんは1型糖尿病(type 1 diabetes mellitus)の疑いで入院した。
Aちゃん及び両親は、1型糖尿病(type 1 diabetes mellitus)の療養生活に必要な知識や手技を順調に獲得した。血糖値が良好にコントロールされたため、退院に向けてAちゃんと両親、主治医、担当看護師および学校の関係者との間でこれからの学校生活について話し合った。 医療者から学校の関係者に伝える内容で最も適切なのはどれか。
1: 「長距離走や水泳の授業は見学させてください」
2: 「宿泊を伴う校外活動は保護者の同伴が必要です」
3: 「教室内にインスリン注射を行う場所を設けてください」
4: 「家庭科の調理実習は同級生と違う献立にしてください」
5: 「手指の震えや強い空腹感があるときはブドウ糖の補食が必要です」