Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。
術後2週、全身状態や創部の状態が安定し、肛門拡張のためのブジーが開始された。退院後もブジーを継続するため母親に指導を行うことになった。 ブジーの指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 「食後は避けてください」
2: 「腹臥位で行ってください」
3: 「できるだけ深く入れてください」
4: 「排便があった日は行わなくてよいです」
5: 「直腸の向きに沿ってゆっくり入れてください」
Aさん(82歳、男性)。妻との2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準はランクJ。Aさんは搔痒感のために皮膚科を受診し、老人性皮膚搔痒症(pruritus senilis)と診断され、抗ヒスタミン内服薬が処方された。身長165cm、体重55kg。Aさんの趣味は散歩で、毎日1km程度を歩いている。
Aさんは「食べにくくてあまり食事が摂れていない。階段の昇り降りをしたり、10分以上歩いたりすると疲れてしまい、あまり外に出なくなった」と言う。体重は1か月間で2kg減少していた。他に自覚症状はなく、血液検査の結果は、血清蛋白の低下の他に異常はなかった。 このときのAさんに出現している現象として最も考えられるのはどれか。
1: 脱水
2: 筋肉量の減少
3: 胃酸の分泌増加
4: 関節可動域〈ROM〉の制限
Aさん (43歳、男性、会社員 )は、 1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、 Aさんは、非 Hodgkin〈ホジキン〉 リンパ腫 (non-Hodgkin lymphoma)と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。 Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、 Aさんは体温 37.5℃、呼吸数 18/分、脈拍 84/分、血圧 124/64 mmHgであった。血液検査データは、赤血球 302万/μl、Hb 10.3 g/dl、白血球 6,400/μl、総蛋白 7.6 g/dlであった。
入院後 4日。 Aさんは化学療法として CHOP療法 (シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン )を行うことになった。開始前の Aさんへの説明で適切なのはどれか。
1: 「高齢の人より副作用は少ないでしょう」
2: 「明日から加熱食となります」
3: 「 3日目ころから脱毛が始まります」
4: 「 5日目ころから口内炎ができやすくなります」
Aさん(25歳、初産婦)は、妊娠 40週0日に3,600 gの女児を正常分娩した。出血量は 250 ml、持続した出血はない。分娩後、 Aさんは児を見て「かわいい」と言い、授乳している。乳管口の開口数は左右 1本ずつである。分娩 2時間後、子宮底の位置は臍下 1横指で、硬度は良好であった。
産褥 3日。Aさんの体調は回復してきているが「急にお乳全体が張ってきて痛い」と言う。看護師が観察すると Aさんは体温 37.0℃、脈拍 70/分であった。授乳前は両乳房が腫脹し、乳管口の開口数は左右 4本ずつあり、移行乳がみられた。授乳後は両乳房の腫脹が軽減した。 Aさんの状態として考えられるのはどれか。
1: 乳腺炎
2: 産褥熱 (puerperal fever)
3: 乳房緊満
4: 乳管閉塞
Aさんは妊娠 28週で子宮内胎児死亡のため死児を出産した。翌日、児との面会で、Aさんは「ごめんね」と言い、身動きせずにじっと児を見つめていた。 Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「つらいですよね」
2: 「早く忘れましょう」
3: 「元気を出してください」
4: 「次の妊娠について考えましょう」
Aさん(82歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1。日中は車椅子に座っていることが多い。Aさんの仙骨部に発赤があるのを発見したため、訪問看護師は妻にAさんへの介護方法を指導することにした。 妻に指導する内容で正しいのはどれか。
1: 「仙骨部をマッサージしましょう」
2: 「夜間は時間毎に体位変換をしましょう」
3: 「時々お尻を浮かすよう声をかけましょう」
4: 「車椅子に座らせるときは円座を使いましょう」
Aさん(34歳、男性)は、運送会社で配達を担当している。6か月前の職場の健康診断で、血圧142/90 mmHg と尿蛋白2+、尿潜血2+を指摘されたが放置していた。1週前、感冒様症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。血清IgA が高値でIgA腎症(IgA nephropathy)が疑われ入院した。
AさんはIgA 腎症(IgA nephropathy)と診断され、塩分1日6gの減塩食が開始された。入院前は塩辛いものが好物で外食が多かったAさんは「味が薄くて食べた気がしない。退院後も続けられるかな」と話している。 このときの対応で最も適切なのはどれか。
1: 「つらいですが慣れてきます」
2: 「最初に甘いものを食べてください」
3: 「各食事で均等に塩分を摂取しましょう」
4: 「酸味や香味を利用するとよいでしょう」
5: 「市販のレトルト食品は塩分が少ないので活用するとよいです」
Aさん(82歳、女性)は、脳梗塞cerebral infarctionの既往があり、要介護2で、夫(85歳)と2人暮らし。訪問看護師の訪問時、Aさんは体温37.0℃、脈拍62/分、血圧100/50mmHg、少し汗をかいており、唇の乾燥がみられた。訪問看護師は、翌日予定されている訪問介護の担当者とAさんの援助の方向性について共有することにした。 共有する内容で適切なのはどれか。
1: ポータブルトイレでの排泄に変更する。
2: 水分を多めに摂取するよう促す。
3: 頻繁に寝衣を交換する。
4: 入浴介助を中止する。
Aさん(30歳、初産婦)はX年2月5日に妊婦健康診査のために来院した。X年2月のカレンダーにAさんの受診日と分娩予定日を示す。
看護師は、医師からAさんの母子健康手帳に受診時の妊娠週数と日数を記入するよう依頼された。 Aさんの受診時の妊娠週数および日数で正しいのはどれか。
1: 妊娠35週5日
2: 妊娠35週6日
3: 妊娠36週5日
4: 妊娠36週6日
Aさん(60歳、女性)は、統合失調症(schizophrenia)で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。 退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。
1: 薬剤師
2: 精神保健福祉士
3: ピアサポーター
4: 臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師 等)
Aさん(37歳、初産婦)、会社員。妊娠41週1日の午後11時に3,200gの女児を分娩した。妊娠や分娩の経過は順調であり、会陰切開術を受けた。分娩後2時間の子宮底の高さは臍下2横指、縫合部に異常はみられなかった。
産褥3日。Aさんは「退院後は避妊する予定です。母乳は1年以上続けたいと思います」と話している。 看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 授乳期間中の避妊は必要ない。
2: 1か月から経口避妊薬を使用する。
3: 性生活を再開するときからコンドームを使用する。
4: 2週にIUD〈子宮内避妊具〉を挿入してもらうよう勧める。
A さん(88 歳、女性)は、中等度の認知症 (dementia) である。介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利用している。A さんに入浴を勧めると A さんは「風呂なんて嫌だ」と強い口調で言い、理由を聞いても話さない。このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 全身清拭する。
2: 入浴の必要性を説明する。
3: 石けんとタオルを見せる。
4: 気持ちが落ち着いてから再び入浴を勧める。
A君(14歳、男子)は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500mL摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32℃であった。15分休憩し練習を再開したところ、A君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。 サッカー部担当のB教諭が、A君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。
B教諭が病院に電話連絡したところ、熱中症(heat illness)の疑いがあるため、A君をタクシーで病院に連れて行くこととなった。このときのA君の意識は清明で、体温は38.7℃であった。 病院到着までに、看護師がB教諭に指示する処置として適切なのはどれか。
1: A君の体を冷やす。
2: A君に水を飲ませる。
3: A君の上体を高くする。
4: 中枢から末梢に向けてA君の手足をマッサージする。
A さん(50 歳、男性)は、上腹部痛が突然出現したため、冷や汗をかき腹部を押さえながら家族と来院した。A さんは十二指腸潰瘍 (duodenal ulcer) の既往がある。このときに観察する徴候として最も適切なのはどれか。
1: Romberg〈ロンベルグ〉徴候
2: Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候
3: Courvoisier〈クールボアジェ〉徴候
4: Trendelenburg〈トレンデレンブルグ〉徴候
Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害(eating disorder)と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。
入院から1週間の期間に観察すべき項目はどれか。2つ選べ。
1: 浮腫の程度
2: 過食の有無
3: 活動量の低下
4: 嚥下障害の有無
5: 振戦せん妄の有無
Aさん(23歳、女性)は、大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。母親は、Aさんについて「中学時代までは成績優秀で、手のかからない、おとなしい子どもだった」と言っている。両親と妹との4人で暮らしている。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮がむけてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、本人の同意を得て、その日のうちに任意入院となった。
Aさんは、食事の時間以外は他の患者との接触を避け、病室で1人で過ごしている。妹が大学受験を控えていることもあり、母親は毎日面会に来ることはできない。母親が来ない日には、Aさんは自宅に面会の催促の電話をかけては口論している。Aさんとの関わりに心身ともに疲れ果てた母親が看護師に相談してきた。 母親への対応として適切なのはどれか。
1: 毎日の面会を勧める。
2: Aさんの苦悩を代弁する。
3: Aさんからの自宅への電話を制限することを約束する。
4: 看護師が同席してAさんと母親とが話し合うことを提案する。
Aさん(50歳、男性)は肝硬変cirrhosisと診断され、腹水貯留と黄疸がみられる。 Aさんに指導する食事内容で適切なのはどれか。
1: 塩分の少ない食事
2: 脂肪分の多い食事
3: 蛋白質の多い食事
4: 食物繊維の少ない食事
Aさん(35歳、男性)は1人暮らし。両親は他県に住んでいる。30歳のときに双極性障害bipolar disorderと診断され、これまでに4回の入退院を繰り返している。給料をインターネットゲームの利用料金で度々使い果たし、それが原因で両親と何度も口論になったことがある。仕事では同僚とトラブルを起こすたびに転職を繰り返しており、今回も同僚と口論になり自ら退職した。Aさんは「前の職場の同僚に嫌がらせをしてやる」と母親に電話をかけ、心配した両親が一緒に精神科病院を受診した。診察室では多弁で大きな声を出し、椅子を蹴るなどの行為がみられた。医師の診察の結果、入院して治療することになった。
入院時、AさんのBMIは29.5。この数日は食事をとっていなかった。入院後も興奮状態がおさまらず、壁に頭を打ちつけはじめたため、医師から抗精神病薬の点滴静脈内注射と身体的拘束の指示がでた。 身体的拘束中のAさんの看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 水分摂取は最小限にする。
2: 肺血栓塞栓症pulmonary thromboembolismを予防する。
3: 頻回に様子を見に来ることを伝える。
4: 身体的拘束の原因となった行為を一緒に振り返る。
5: 興奮状態が落ち着いたら看護師の判断で身体的拘束を解除する。
Aさん(77歳、男性)は、妻(79歳)と2人暮らし。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症Alzheimer diseaseと診断された。現在のMMSE〈Mini-mental State Examination〉は18点。家では、食事は準備すれば自分で摂取できる。排泄は尿意や便意ともにあり、トイレで排泄できる。入浴は妻の介助でシャワー浴を行っているが、機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否する。Aさんはにぎやかな場所が苦手であり、また、時々1人で外に出て行ってしまい家に帰れなくなることがある。 最近、Aさんが妻の介助を激しく拒否し大声で怒鳴ることが多くなってきたため、妻は介護支援専門員に相談した。相談の結果、妻の介護負担を軽減する目的で、Aさんは通所介護を利用することになった。
通所の初日、Aさんは、初めての場所に戸惑った様子で、施設内を歩き回っている様子がみられた。妻は「夫がデイサービスに慣れるか心配です」と言って、Aさんの様子をみている。 妻への看護師の声かけで最も適切なのはどれか。
1: 「Aさんが好きなことをして過ごせるようにします」
2: 「入口のドアに鍵をかけてあるので大丈夫です」
3: 「毎回、Aさんに付き添ってください」
4: 「Aさんには1人で居てもらいます」
Aちゃん(5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄のB君(3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。Aちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より39℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温39.3℃、呼吸数45/分、脈拍142/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)であった。診察と検査の結果、RSウイルスによる急性細気管支炎acute bronchiolitisと診断され、去痰薬が処方された。
診察後、家庭でのケアについてAちゃんの母親に指導することになった。 看護師の指導で適切なのはどれか。
1: 「1回に飲むミルクの量を多くしてください」
2: 「哺乳前に鼻水を器具で吸引してあげてください」
3: 「去痰薬は、ミルクを飲んだ後に飲ませてください」
4: 「授乳後は仰向けで寝かせてください」