Aちゃん(5歳、男児)は、両親と2歳の妹と4人で暮らしている。Aちゃんは、1歳のときにてんかん(epilepsy)と診断され、抗てんかん薬を服用していた。数日前から、失禁を伴う意識消失発作がみられるようになったため、検査と治療の目的で入院した。母親によると、抗てんかん薬を飲ませるのを忘れてしまうことがあったという。Aちゃんは、幼稚園に通っており、外で遊んだり絵本を見たりすることが好きである。知的発達の遅れはみられない。
入院後2日。Aちゃんは、午後1時から脳波検査の予定である。看護師は、Aちゃんが自然入眠して脳波検査が行えるよう計画していた。Aちゃんは、午前5時に自然に覚醒した。Aちゃんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 再度眠らせ、朝食時に起床を促す。
2: 再度眠らせ、自然に覚醒するまで寝かせておく。
3: そのまま覚醒させ、眠くなったら寝て良いと伝える。
4: そのまま覚醒させ、午前中は眠らないよう働きかける。
Aさんは、 3年前に来日した外国人でネフローゼ症候群 (nephrotic syndrome)のため入院した。 Aさん は日本語を話し日常会話には支障はない。 Aさんの食事について、文化的に特定の食品を食べてはいけないなどの制限があるがどうしたらよいかと、担当看護師が看護師長に相談した。担当看護師に対する看護師長の助言で最も適切なのはどれか。
1: 日本の病院なので文化的制限には配慮できないと話す。
2: 文化的制限は理解できるが治療が最優先されると話す。
3: Aさんの友人から文化的制限に配慮した食事を差し入れてもらうよう話す。
4: 文化的制限に配慮した食事の提供が可能か栄養管理部に相談するよう話す。
山間部の地域で、 1 時間雨量 80 mm 以上の降雨で土石流が発生し、地域の住民は市民体育館に避難した。避難所には近くの医療機関から医師と看護師とが派遣された。
土石流で家を失った被災者は市民体育館から仮設住宅へ移動した。仮設住宅には1 人暮らしの世帯が多い。看護師が仮設住宅の巡回訪問を行うことになった。災害の慢性期(復興期)の看護師の巡回訪問の主な目的として適切でないのはどれか。
1: 感染症を予防する。
2: 救援物資を届ける。
3: 室内の安全性を確認する。
4: 生活習慣病の重症化を予防する。
Aさん男性、(26歳、会社員)は、高校時代に自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)の診断を受け、外来通院をしながら仕事を続けていた。これまでの職場ではストレスが少なく、規則正しい生活ができていた。しかし、1か月前に新しい職場に異動になってから生活が不規則となり、数日前より無断欠勤が続いている。同居している家族に対して Aさんは「家にいると仕事のことばかり考えてしまい眠れない。食欲もないし、環境を変えてゆっくり休みたい」と話したため、Aさんは家族とともに精神科外来を受診し、休養目的で任意入院することになった。
看護師が入院時に聴取する情報で優先度が高いのはどれか。
1: 業務量の変化
2: 職場での人間関係
3: 最近1か月の生活状況
4: 無断欠勤に対する親の反応
Aさん(60歳、男性)は、自宅近くを散歩中に突然の胸痛が出現し、救急車を要請した。救急隊到着時のバイタルサインは、呼吸数28/分、脈拍100/分、血圧80/40mmHgであった。冷汗が著明で、前胸部から左肩にかけての激痛を訴えていた。問診で狭心症(angina pectoris)の既往歴があることが分かった。入院時の検査で急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)と診断された。
このときの検査所見として適切なのはどれか。
1: 心電図のST上昇
2: 左肺呼吸音の減弱
3: クレアチンキナーゼ〈CK〉の下降
4: 胸部エックス線写真での心陰影の縮小
A君(14歳、男子)は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500mL摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32℃であった。15分休憩し練習を再開したところ、A君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。 サッカー部担当のB教諭が、A君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。
B教諭に付き添われて、A君は病院に到着した。来院時、A君のバイタルサインは、体温38.5℃、呼吸数26/分、脈拍128/分、血圧90/48mmHg であった。口唇粘膜は乾燥し、皮膚をつまむとゆっくり戻る状態であった。血液検査データは、赤血球580万/μL、白血球12,500/μL、Hb16.8g/dL、Na152mEq/L、K4.0mEq/L、Cl109mEq/L、クレアチニン0.9mg/dLであった。尿比重1.035。受診時の身長165cm、体重57kg(発症前60kg)。 A君の状態に対するアセスメントとして適切なのはどれか。
1: 貧血である。
2: 低カリウム血症である。
3: 高ナトリウム血症である。
4: 循環血液量が増加している。
5: ツルゴール反応は正常である。
Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。
入院後1か月、Aさんは「正直に言うと、今も覚せい剤を使いたいという気持ちがある。もし誘いがあったら、使いたい気持ちを抑えきれないだろう」と悩みを打ち明けた。 Aさんの状態のアセスメントとして適切なのはどれか。
1: 否認
2: 共依存
3: 身体依存
4: 精神依存
5: 離脱症状
Aさん(57歳、女性)は1人暮らし。統合失調症schizophreniaで精神科病院への入退院を繰り返しており、今回は入院してから1年が経過している。日常生活動作〈ADL〉はほぼ自立し、服薬の自己管理ができるようになってきた。 Aさんが退院に向けて利用するサービスとして適切なのはどれか。
1: 療養介護
2: 施設入所支援
3: 地域移行支援
4: 自立訓練としての機能訓練
Aさん (43歳、男性、会社員 )は、 1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、 Aさんは、非 Hodgkin〈ホジキン〉 リンパ腫 (non-Hodgkin lymphoma)と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。 Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、 Aさんは体温 37.5℃、呼吸数 18/分、脈拍 84/分、血圧 124/64 mmHgであった。血液検査データは、赤血球 302万/μl、Hb 10.3 g/dl、白血球 6,400/μl、総蛋白 7.6 g/dlであった。
入院当日、 Aさんは看護師に「最近、なんとなく手がむくんでいるような気がする」と言う。 Aさんの手のむくみの原因として可能性が高いのはどれか。
1: 発熱
2: 貧血
3: 低蛋白血症
4: 上大静脈の圧迫
前額部の血腫で救急外来を受診した6ヶ月児の母親の言動で、虐待が最も疑われるのはどれか。
1: 「治りますか」
2: 「後遺症は残りますか」
3: 「子どもが自分でぶつけたんです」
4: 「他の部分もよく調べてください」
山間部の地域で、 1 時間雨量 80 mm 以上の降雨で土石流が発生し、地域の住民は市民体育館に避難した。避難所には近くの医療機関から医師と看護師とが派遣された。
発災直後の避難所で対応する看護師の行動で最も適切なのはどれか
1: ボランティアを手配する。
2: 災害給付金の説明をする。
3: 心のケアに時間をかける。
4: 重症度に応じて診療の優先順位をつける。
Aちゃん(8歳、女児)は、両親と妹(3歳)の4人家族である。2歳時に気管支喘息(bronchial asthma)と診断された。5歳までは喘息発作のため救急外来を受診することも多く年に1回は入院していた。6歳から発作を起こすこともなくなり、定期受診はしなくなっていた。アレルゲンは、ダニとハウスダストである。
Aちゃんは、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ、元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親とともに救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。救急外来受診時のバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数36/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)92%であった。 Aちゃんの気管支喘息の発作強度はどれか。
1: 小発作
2: 中発作
3: 大発作
4: 呼吸不全
Aさん ( 75歳、女性 )は、娘と 2人で暮らしている。 5年前に Alzheimer〈アルツハ イマー〉病 (Alzheimer disease)と診断された。半年前から食欲不振が続き体重減少がみられ受診した。検査の結果、胃癌 (gastric cancer)と診断され胃全摘出術が行われた。入院時の改訂版長谷川式簡易知能 評価スケール〈HDS-R〉16点、 Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点。
Aさんは、術後 1日の深夜に大きな声で娘の名前を呼び「ここはどこ」と叫びながらベッド柵をたたく行動がみられた。このときに最初に行う対応として適切なのはどれか。
1: 上肢の抑制を行う。
2: 睡眠薬を与薬する。
3: 娘に電話して来院してもらう。
4: 病院に入院していると説明する。
Aさん(54歳、女性)は、排便困難のため外来を受診し、酸化マグネシウムとセンナとを処方された。腹腔内手術の既往歴がある。 Aさんへの指導で適切なのはどれか。
1: 「運動は控えてください」
2: 「下痢が続いても心配ありません」
3: 「おなかの張りが続くようなら、また受診してください」
4: 「旅行をする場合は酸化マグネシウムの内服を控えてください」
交通事故によって脊髄損傷(spinal cord injury)で入院した下肢に麻痺のある成人患者。 職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 自己導尿は自宅で行う。
2: 仕事中は飲水を制限する。
3: 車椅子には体圧分散マットを使用する。
4: 残業する場合の休憩時間は不要である。
5: 職場の担当者に自分の病気について伝える。
Aさん(35歳、女性)は、右肋骨の骨折で 2日前に整形外科病棟に入院した。上半身に多数の内出血のあとがあり、受け持ち看護師が Aさんに話を聞いた。Aさんは、夫は機嫌が悪いと暴力を振るい、時には投げ飛ばすこともあり、今回も夫に殴られて骨折したと話した。Aさんは、毎日面会に来る夫に非常におびえており「今話したことは夫には絶対に言わないでほしい。骨折の処置だけしてください」と言う。 Aさんは専業主婦で夫と 2人で暮らしており、近くに親類や知り合いはいない。
Aさんの今後の治療に向けて、病院内でチームを編成することになった。チームに組み入れる専門職で優先度が高いのはどれか。
1: 栄養士
2: 理学療法士
3: 作業療法士
4: 心理専門職
Aさんは、 1人で暮らしている。血管性認知症 (vascular dementia)があり、降圧薬を内服している。 要介護 1で、週 3回の訪問介護と週 1回の訪問看護を利用している。最近では、 Aさんは日中眠っていることが多く、週 1回訪ねてくる長男に暴言を吐くようになっている。 Aさんの長男の話を傾聴した上で、訪問看護師の長男への対応で最も適切なのはどれか。
1: デイサービスの利用を提案する。
2: Aさんを怒らせないように助言する。
3: Aさん宅に行かないように助言する。
4: 薬の内服介助をするように提案する。
Aさん(48歳、男性、会社員)は、大量の飲酒の後、急激な上腹部痛と背部痛を訴え、救急外来を受診し、急性膵炎acute pancreatitisと診断された。 Aさんの救急外来受診時の血液検査結果で予測されるのはどれか。
1: 血小板数の増加
2: 血清LDH値の低下
3: 血清γ–GTP値の低下
4: 血清アミラーゼ値の上昇
5: 血清カルシウム値の上昇
Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。
母親は「Aは来年の4月には小学校に入学する年齢だけど、入学に向けてどうすればよいのか分からない」と訪問看護師に相談した。 訪問看護師が行う援助として適切なのはどれか。
1: 自宅に教員を派遣できる小学校に連絡する。
2: Aちゃんが入学できる特別支援学校を紹介する。
3: 父親に仕事を調整してAちゃんの送迎をするよう勧める。
4: 教育委員会に小学校入学に関する相談をするよう勧める。
気管支鏡検査を受ける成人患者への援助で正しいのはどれか。
1: 検査の予約の際に抗凝固薬の内服の有無を確認する。
2: 検査の1時間前から飲食しないように指導する。
3: 検査中の咳は我慢しなくてよいと指導する。
4: 検査後は 肺気腫(pulmonary emphysema)の症状に注意する。