Aさん(28歳、女性、会社員)は、夫と1歳の娘との3人で暮らしている。25歳のときに潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)と診断され、内服治療を続けてきた。Aさんは27歳で出産後、職場に復帰していたが3か月前から排便回数が増え、便に血液が混入するようになった。1週前から下痢が1日8~10 回あり、腹痛や発熱もみられ、外来受診したところ、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)の再燃のため入院することになった。身長158.2 cm、体重40.2 kg。体温38.3℃、脈拍92/分、血圧108/76 mmHgであった。血液検査データは、赤血球340万/μL、白血球9,800/μL、Hb 7.8 g/dL、アルブミン2.5 g/dL、CRP 5.5 mg/dL。
入院後10日、Aさんの状態は改善し、経腸成分栄養剤300 mL/日(1kcal/mL)が開始された。Aさんは「入院前も自分なりには気を付けていたつもりだったけど、また悪くならないようにするには退院後はどうしたらいいのかしら」と話した。 このときのAさんへの説明で最も適切なのはどれか。
1: 「仕事は今までどおりで大丈夫です」
2: 「下痢が続いたら炭水化物を減らしてください」
3: 「経腸成分栄養剤600 mL で1日分の栄養が確保できます」
4: 「悪化のきっかけになるようなことがなかったか一緒に考えてみましょう」
Aさん(48歳、男性)は、直腸癌(rectal cancer)のため全身麻酔下で手術中、出血量が多く輸血が行われていたところ、41 ℃に体温が上昇し、頻脈となり、血圧が低下した。麻酔科医は下顎から頸部の筋肉の硬直を確認した。既往歴に特記すべきことはない。 この状況の原因として考えられるのはどれか。
1: アナフィラキシー
2: 悪性高熱症(malignant hyperthermia)
3: 菌血症(bacteremia)
4: 貧血
Aさん(74歳、男性)は、強い下腹部痛のため救急車で搬入された。Aさんは顔面蒼白で、冷汗をかき、腹部を押さえている。一緒に来た妻は、「夫はいつも尿が出にくい。夜は、3回はトイレに行くのに、昨夜は行かなかった。今朝もポタポタとしか出なかった。便秘はしていない」と話した。Aさんは4年前に脳梗塞(cerebral infarction)になり、重い構音障害があるが理解力に問題はなく、身の回りのことは全部自分でできている。搬入時のAさんは、看護師と視線を合わせることができ、問いかけにはうなずきで答えている。
Aさんは、治療後、自力排尿が可能となったが、トイレまで間に合わずに少量の尿失禁を繰り返している。Aさんはトイレで排尿することを強く希望している。 Aさんへの看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1: トイレに近い病室に移動する。
2: 水分の摂取を控えるよう説明する。
3: できるだけ尿意を我慢するように言う。
4: 尿意はなくても、4時間ごとにトイレに行くよう勧める。
A さん(35 歳、男性、建設業)は、両親と 3 人で暮らしている。 3 年前の仕事中に屋根から転落して、第 12 胸髄を損傷した。 1 か月前から車で作業所に通い、作業中はほとんど車椅子に座っている。週 1 回の訪問看護を利用している。
A さんは自宅のトイレを利用している。緩下薬を内服し、 2 日に 1 回浣腸を行っている。猛暑が続く 8 月の訪問時に A さんは最近便秘がちで尿量も少ないと訪問看護師に繰り返し訴えた。A さんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 水分の摂取を促す。
2: 浣腸の回数を増やす。
3: ポータブルトイレの利用を勧める。
4: 医師に別の緩下薬の処方を依頼する。
Aさんは、要介護2で在宅療養をしている。仙骨部に2cm×3cmの水疱を形成した。この1週間、臥床していることが多くなり、食事摂取量も減ってきている。 訪問看護師がAさんの家族に行う提案として適切なのはどれか。
1: 体圧分散マットの使用
2: 膀胱留置カテーテルの留置
3: 夜間の2時間ごとの体位変換
4: 訪問介護への褥瘡処置の依頼
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全chronic heart failureで定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。
退院後3週、Aさんの浮腫は改善し心不全heart failureの増悪もなかった。Aさんは「同年代の人との交流を広げたいと思っています。利用できるサービスはありますか」と訪問看護師に質問した。 訪問看護師が地域包括支援センターに相談してAさんに提案する社会資源はどれか。
1: 高齢者サロン
2: 療養通所介護
3: 通所リハビリテーション
4: 共同生活援助〈グループホーム〉
Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症hypertensionの内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。 ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頸部骨折femoral neck fractureと診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。
Aさんの退院日が決定した。看護師は、Aさんの退院前の指導を行うことになった。Aさんから「医師から骨がもろくなっていると言われました。これ以上悪くならないように何をすればよいでしょうか」と質問があった。 Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 「体操は控えましょう」
2: 「炭酸飲料を飲みましょう」
3: 「果物を積極的に摂りましょう」
4: 「日光を浴びるようにしましょう」
Aさん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男のB君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。
さらに2週が経過し、Aさんは鎮咳薬の服用をやめる意思を強く固め、今後の依存症の治療について真剣に考えるようになった。Aさんの父親はAさんが幼少期のころ死亡しており、Aさんは母親と2人で暮らしていた。母親は週2回面会に来て、Aさんに対して小さな子どもに接するように世話をしていた。担当看護師が母親と今後のことについて話すと、母親は「私が何とかします。私しかこの子の力になってあげられないのです。本当はもっとAにしっかりして欲しい。でも、そう言うとAは怒ってしまいます」と話した。 担当看護師の母親への声かけで適切なのはどれか。
1: 「親戚で頼りになる方はいませんか」
2: 「なるべく怒らせないようにすることが大切です」
3: 「お母さんは今までどおりの関わりで良いですよ」
4: 「Aさんが自分で自分のことをできるようにサポートしていきましょう」
Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament)と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。
ある日、Aさんに軽度の歯肉出血および歯肉の腫脹がみられるようになった。疼痛はない。訪問歯科診療を受け、口腔ケアを徹底するよう促された。リハビリテーション病院に入院していたときは、自助具を利用して口腔ケアの練習をしていた。退院後は妻が口腔ケアを介助していたが、最近は仕事の帰りが遅く、Aさんは妻を待てずに寝てしまうと言う。また、Aさんは育児で疲れている長女には頼めないと話す。 看護師のAさんへの提案で最も適切なのはどれか。
1: 日中の口腔ケアを徹底する。
2: 長女に口腔ケアを依頼する。
3: 就寝時刻を遅くするよう提案する。
4: 妻が夜に実施できる時間帯を検討する。
5: Aさんが自立してできる方法を検討する。
Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で 2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。
Aさんは、3か月前に 末期腎不全(end-stage renal failure)の状態で腎代替療法(血液透析)が必要であると腎臓内科の医師から説明された。シャント造設のための入院を予定していたが、仕事が忙しく延期となっていた。1週前から感冒症状があり、体重増加、全身浮腫、全身A怠感、呼吸苦が出現したため、緊急入院となった。透析用のカテーテルを挿入し、緊急血液透析を行った。 入院時の身体所見:体重73kg(1週間で4kg増加)血圧178/105 mmHg。 入院時の検査所見:Hb 9.5g/dL、血清尿素窒素72mg/dL、血清クレアチニン9.0mg/dL、血清カリウム6.8mEq/L、血清ナトリウム138.5mEq/L。 緊急入院時のAさんの胸部エックス線写真(別冊No. 5)を別に示す。Aさんが緊急血液透析となった病態で正しいのはどれか。
1: 貧血(anemia)
2: 心不全(heart failure)
3: 低カリウム血症(hypokalemia)
4: 低ナトリウム血症(hyponatremia)
Aさん(80歳、男性)は、 1人暮らしで以前から軽度の物忘れがある。かかりつけ医から「Aさんは便秘がちで改善しない状況が続いている。訪問してケアして欲しい」と訪問看護の依頼があった。訪問看護師が訪問したところ、腹部に便塊を触知し、腸蠕動音は微弱であった。 訪問看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
1: 腹部の温罨法を実施する。
2: 市販の緩下薬の服用を勧める。
3: 排便チェック表の記入を指導する。
4: ホームヘルパーに食事の準備を依頼する。
Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 II-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
Aさんは翌日の2時に尿意があり、自然排尿があった。8時に「昨夜は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍68/分、血圧125/70mmHgであった。 このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
1: 授乳を促す。
2: 入浴を勧める。
3: 骨盤底筋体操を指導する。
4: 鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える。
Aさん(75歳、女性)は、終末期のがんの夫を自宅で介護している。Aさんと夫は自宅での看取りを希望している。 Aさんへのケアで最も適切なのはどれか。
1: 臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
2: 自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。
3: 配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。
4: 夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。
食道癌(esophageal cancer)に対する放射線治療で正しいのはどれか。
1: 脊髄の障害は起こらない。
2: 治療期間は1週間である。
3: 治療期間中は隔離できる個室で管理する。
4: 化学療法と併用すると治療の効果が高まる。
Aさん(34歳、初産婦)は順調な妊娠経過であった。妊娠40週5日の午前8時、10分毎の規則的な子宮収縮を主訴に来院し、医師の診察の結果、入院となった。入院時の胎児心拍数基線は130bpm、胎児の推定体重は3,300gであった。
Aさんの分娩は順調に進行した。午後5時に破水し、午後6時には子宮口開大8cmとなった。「便が出そうです。もう、これ以上頑張れない」と陣痛発作時には全身に力が入っている。 このときの看護師の声かけで正しいのはどれか。
1: 「リラックスするためにお風呂に入りましょう」
2: 「赤ちゃんのために我慢しましょう」
3: 「トイレに行って排便しましょう」
4: 「息を吐いて力を抜きましょう」
Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病(depression)と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。
入院後1か月、Aさんのうつ症状は改善を認めたが、同室患者とトラブルが続き、不眠や多弁傾向となった。また焦燥感が強く落ち着いて食事ができなくなった。そのため双極性障害(bipolar disorder)と診断され、主治医から炭酸リチウムの内服の指示が出た。Aさんは炭酸リチウムを服用して1週後、手の震え、嘔気が出現した。 Aさんの手の震え、嘔気の原因を判断するための検査で最も適切なのはどれか。
1: 尿検査
2: 髄液検査
3: 頭部MRI検査
4: 薬物血中濃度検査
Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 II-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
Aさんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ〈t-PA〉による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 I-3と改善がみられた。多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、Aさんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。 Aさんに行う経管栄養法について適切なのはどれか。
1: 白湯から開始する。
2: 開始前に胃残渣を確認する。
3: 経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する。
4: 1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcalとする。
Aさん(60歳、男性)は、慢性心不全(chronic heart failure)の終末期で、積極的な治療を行わないことを希望している。現在、入院中で、リザーバーマスク10L/分で酸素を吸入し、水分制限がある。時々息切れがみられるが、Aさんは面会に来た長女との会話を楽しみにしている。バイタルサインは呼吸数28/分、脈拍110/分、血圧76/50mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉88%であった。 このときの対応で最も適切なのはどれか。
1: 面会は制限しない。
2: 水分制限を厳しくする。
3: Aさんに仰臥位を維持してもらう。
4: 面会中は酸素マスクを鼻腔カニューラに変更する。
Aさん(78歳、男性)は、76歳の妻と娘の3人で暮らしている。Aさんは、大腸癌(colon cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、再発し、治療を行ったが効果がなく、在宅で緩和ケアを行うことになった。Aさんは腹部の癌性疼痛を訴え、オキシコドン塩酸塩徐放錠を1日2回内服している。Aさんは食べたいときに食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少してきている。妻は腰痛があり、娘は日中、仕事に出ている。
Aさんの傾眠傾向が強まり、時々無呼吸がみられるようになった。食事や水分の摂取量は少ないが、疼痛を訴えることはない。妻は「できればこのまま自宅でみていきたい」と話している。 自宅で看取るための体制として必要なのはどれか。
1: 見舞い客の制限
2: 訪問診療の導入
3: 娘の介護休暇の取得
4: 高カロリー輸液の開始
5: 家族による24時間の観察
手術後に抗癌化学療法が予定されている4歳児が「おなかの悪いものを取ったら、おうちに帰れるの」と尋ねてきた。 対応として最も適切なのはどれか。
1: そのとおりであると伝える。
2: 話題を変えて気をそらせる。
3: 手術の後に化学療法を行うことを伝える。
4: 親からどのように説明されているかを尋ねる。