Aさん(60歳、男性)は、転倒して第5頸椎レベルの脊髄を損傷した。肩を上げることはできるが、上肢はわずかに指先を動かせる程度である。呼吸数22/分、脈拍86/分、血圧100/70 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>97%であった。Aさんは「息がしづらい」と言っている。 Aさんの状態で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 低酸素血症(hypoxemia)がある。
2: 胸郭運動がみられる。
3: 無気肺(atelectasis)を起こしやすい。
4: 腹式呼吸を行っている。
5: 閉塞性換気障害(obstructive ventilatory impairment)を起こしている。
Aさん(73歳、女性)は、動悸の精密検査の目的で入院した。心電図や血液検査などで異常所見はなかったが、Aさんは全身倦怠感、食欲不振、腰痛、便秘などを訴え続け、薬物療法を行っているが症状は改善していないという。日中はぼんやりと過ごしており「心臓がドキドキして、ハッと朝早く目が覚め、死ぬんじゃないかと思い、その後眠れなくなる」と言う。
Aさんは、夜、寝る前に「入院しているのに治らない。こんなはずではなかった。ここにいても仕方がない」と看護師に訴えた。 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「薬が効くまでの我慢ですよ」
2: 「治っているように見えますよ」
3: 「治らないと感じるのはつらいですね」
4: 「治っていないことを医師に相談しますか」
Aさん(50歳、女性)は右乳癌(breast cancer)と診断され、手術を受けるために入院した。Aさんは夫を3年前に腎臓癌(kidney cancer)で亡くしたが、貸しビル業を引き継いでおり、経済的な問題はない。趣味はテニスである。
Aさんの術後の経過は良好で、外来で抗癌化学療法を受ける予定で退院した。Aさんは患側上肢のだるさ、疲れやすさが残ると外来看護師に話した。 Aさんの患側上肢の浮腫を予防する方法で適切なのはどれか。
1: 使い捨てカイロを患側の腋窩にあてる。
2: 患側上肢はなるべく動かさないようにする。
3: 患側上肢のマッサージを中枢から末梢へ行う。
4: 患側上肢の静脈では抗癌薬の静脈内注射を行わない。
Aさん(64歳、女性)は、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)で通院加療中である。 1週前から感冒様症状があり市販薬を服用し経過をみていたが、呼吸困難を訴えた後、反応が鈍くなり救急車で搬送された。Aさんは肩呼吸をしており、発汗が著明で口唇は乾燥している。体温38.3 ℃、呼吸数35/分、脈拍108/分、血圧96/70 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>89%であった。ジャパン・コーマ・スケール<JCS>Ⅱ-30。動脈血液ガス分析では動脈血酸素分圧<PaO2>60 Torr、動脈血炭酸ガス分圧<PaCO2>68 Torr、pH 7.29 であった。
Aさんは肺炎(pneumonia)による急性呼吸不全と診断され、点滴、膀胱留置カテーテルの挿入および気管内挿管が実施された。 このときのAさんの観察で最も注意すべき状態はどれか。
1: 乏尿
2: 血圧上昇
3: 末梢冷感
4: 下肢の浮腫
5: 呼吸音の減弱
Aさん(80歳、女性)は、肺炎(pneumonia)で入院して持続点滴中である。消灯時、訪室すると「体がだるくて眠れない」と訴えている。 Aさんへの入眠に向けた援助で最も適切なのはどれか。
1: テレビをつける。
2: 足浴を実施する。
3: そのまま様子をみる。
4: 睡眠薬を処方してもらう。
Aさん(68 歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)(ALS)のため在宅療養中で、 気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護5の認定を受けている。 Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。
1: 医療保険から給付される。
2: 特別訪問看護指示書を受けて実施される。
3: 複数の訪問看護事業所の利用はできない。
4: 理学療法士による訪問は給付が認められない。
Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament)と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。
ある日、Aさんに軽度の歯肉出血および歯肉の腫脹がみられるようになった。疼痛はない。訪問歯科診療を受け、口腔ケアを徹底するよう促された。リハビリテーション病院に入院していたときは、自助具を利用して口腔ケアの練習をしていた。退院後は妻が口腔ケアを介助していたが、最近は仕事の帰りが遅く、Aさんは妻を待てずに寝てしまうと言う。また、Aさんは育児で疲れている長女には頼めないと話す。 看護師のAさんへの提案で最も適切なのはどれか。
1: 日中の口腔ケアを徹底する。
2: 長女に口腔ケアを依頼する。
3: 就寝時刻を遅くするよう提案する。
4: 妻が夜に実施できる時間帯を検討する。
5: Aさんが自立してできる方法を検討する。
A君(11歳、男児)。喘息(asthma)発作のため救急外来に来院した。喘鳴が著明で、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉88%(roomair)、ピークフロー値45%である。 まず行うべきA君への対応で適切なのはどれか。
1: 起坐位を保つ。
2: 水分摂取を促す。
3: 胸式呼吸を促す。
4: 発作の状況を尋ねる。
Aさん(65歳、男性)は、肺気腫(pulmonary emphysema)で在宅酸素療法を受けている。ある日、Aさんの妻(70歳)から「同居している孫がインフルエンザ(influenza)にかかりました。今朝から夫も体が熱く、ぐったりしています」と訪問看護ステーションに電話で連絡があったため緊急訪問した。 訪問看護師が確認する項目で優先度が高いのはどれか。
1: 喀痰の性状
2: 胸痛の有無
3: 関節痛の有無
4: 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉
Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫(38歳)と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌(breast cancer)の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌(breast cancer)と診断された。
Aさんは、職場の上司と相談し、仕事を継続しながら化学療法を受けることになった。2サイクル目の治療のため、化学療法センターに来院した。Aさんは「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました。仕事も休みました」と看護師に話した。 身体所見:体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)98%。 検査所見:赤血球400万/μL、Hb 12.5g/dL、Ht 37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35%)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5 g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP 0.3mg/dL。 2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要なのはどれか。
1: 脈拍数
2: 体温
3: 血圧
4: 体重
Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。
Aさんの妻が、Aさんの国民健康保険証を持って救急外来に到着した。妻から聴取した情報によると、Aさんは特に既往はないが、時々頭痛があり、母国で市販されていた鎮痛薬を常用していたとのことであった。心電図でST上昇が認められ、Aさんと妻は、医師から「入院して冠動脈造影〈CAG〉を受けないと命の危険があるかもしれない」と説明を受けた。しかし、Aさんは「たくさんの費用は支払えないし、学校を休むのが心配だ」と検査を受けることを拒んだ。 このときの救急外来の看護師の説明で優先されるのはどれか。
1: 検査の手順を説明する。
2: 学校は退学にならないことを説明する。
3: 宗教に応じた食事対応ができることを説明する。
4: 医療費は国民健康保険が適用されることを説明する。
Aさん(55歳、男性)は、妻と2人暮らし。建築士として主にデスクワークの仕事を行っていた。脊髄損傷(spinal cord injury)のため下半身の不完全麻痺となり、リハビリテーション専門の病院へ転院した。電動車椅子を用いて室内の動作は自立できるようになった。退院調整部門の看護師との面接でAさんから「元の職場に戻りたい」と話があった。Aさんの自己決定を支援する看護師の助言で適切なのはどれか。
1: 「元の職場の仕事を在宅勤務に変更しましょう」
2: 「デスクワークなので職場復帰は可能と思います」
3: 「職場復帰にあたりAさんが課題と思うことを整理しましょう」
4: 「元の職場にこだわらずAさんの障害にあった職場を探しましょう」
A君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折supracondylar fracture of humerusと診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。
退院時、A君は「明日から学校に行けるかな」と看護師に質問した。看護師は、学校には行けることを伝えた後、学校生活における注意点を説明することにした。 A君への説明で適切なのはどれか。
1: 「右手の指は使わないでね」
2: 「ギプスは濡れても大丈夫だよ」
3: 「ギプスをぶつけないようにしてね」
4: 「体育の授業は休まなくてもいいよ」
Aさん(52歳、女性)は、未婚で1人暮らしである。近くに親戚はいない。物が握りにくい、細かい作業ができないという症状があり、精密検査のため入院したところ、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉(amyotrophic lateral sclerosis )と診断された。
Aさんは、球麻痺症状はなく、上肢の運動障害があるが、歩行は自立している。退院調整看護師が病室で面談したところ「これからどのようになっていくのか分からない」と不安そうに訴えた。Aさんは在宅サービスの必要性を感じていなかったが、退院調整看護師は訪問看護の利用を勧め、Aさんは同意した。訪問看護に依頼する内容で、優先度が高いのはどれか。
1: 入浴の介助
2: 疾病受容の支援
3: 呼吸機能の評価
4: 上肢のリハビリテーション
Aさん(68歳)は要介護1で、1人で暮らしている。間質性肺炎(interstitial pneumonia)のために在宅酸素療法が開始された。 Aさんのサービス担当者会議で訪問看護師が行う提案で適切なのはどれか。
1: 炊事の禁止
2: 毎日の体温測定
3: 1人での外出禁止
4: 訪問入浴サービスの導入
Aさん(25歳、男性、飲食店店員)は、 2日前から感冒様症状があり、夜眠ろうとして横になるが息苦しくて眠れず、歩行や会話も困難となり、夜間に Aさんの家族に伴われて救急外来を受診した。 Aさんは地元の野球チームに所属し、休日には練習に参加しており、最近は残業が多く疲れていた。診察の結果、Aさんは気管支喘息発作 (bronchial asthma) と診断され、気管支拡張薬、副腎皮質ステロイドによる治療と、フェイスマスクによる酸素投与が行われたが、改善がみられず入院した。
非侵襲的陽圧換気開始後、Aさんの呼吸状態は改善した。酸素投与も中止となり、歩行時の呼吸状態の悪化を認めないため、近日中に退院する予定である。退院時のAさんへの指導として最も適切なのはどれか。
1: 「食事の制限はありません」
2: 「お酒は飲んでも大丈夫です」
3: 「野球はやめた方がよいでしょう」
4: 「ストレスをためないようにしてください」
Aさん(29歳、女性)は、20歳で短期大学を卒業するのと同時に就職したが「会社に行きたくない」と言い出して、 2か月で仕事を辞めた。その後は、自宅で何もせずに過ごしていた。昼夜逆転の生活が長く続いたが、ある日、夜遅く帰宅した父親と就職のことで激しい口論となった。それ以来、昼も夜も起きていて、食事も摂(と)らずに自室に引きこもり、ぶつぶつと独り言を言ったり、笑ったりするようになった。心配した母親に伴われて受診し、統合失調症(schizophrenia)と診断された。
入院後1か月が経過し、Aさんは看護師に時々笑顔を見せるようになってきた。Aさんは「毎日が退屈」、「早く退院したい」と言うようになった。Aさんを交えたカンファレンスで、病棟で週1回行われている退院支援グループへの参加を検討した。このグループでは、対人関係や社会生活を営むのに必要なスキルの学習が行われている。 Aさんのグループ参加の目的として、最も優先度が高いのはどれか。
1: 生活リズムを整える。
2: 興奮が抑えられるようになる。
3: 退院後の日中の過ごし方を考える。
4: 他の参加者から問題点の指摘を受ける。
Aさん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。
Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。 Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。
1: 服薬心理教育を実施する。
2: ハローワークを紹介する。
3: 生活技能訓練〈SST〉を勧める。
4: 薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する。
Aさん(62歳、男性)。1人暮らし。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)による間質性肺炎(interstitial pneumonia)と診断され入院した。 既往歴:42歳で糖尿病(diabetes mellitus)と診断された。59歳と61歳で肺炎(pneumonia)に罹患した。 生活歴:3年前から禁煙している(20〜59歳は20本/日)。 身体所見:BMI17.6。体温38.8 ℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉91%。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。 検査所見:血液検査データは、白血球13,000/μL、Hb10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉38Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。
Aさんは入院後に呼吸機能検査を受けることになった。換気障害の分類を図に示す。 Aさんの呼吸機能検査の結果で考えられるのはどれか。
1: A
2: B
3: C
4: D
Aさん(63歳、男性)は3年前から肺気腫pulmonary emphysemaで定期受診を続けていた。最近、歩行時の息切れが強くなってきたことを自覚し、心配になったため受診した。受診時、呼吸数は34/分で、口唇のチアノーゼがみられた。 Aさんについて正しいのはどれか。
1: 1回換気量が増加している。
2: 呼気よりも吸気を促すと効果的である。
3: 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は上昇している。
4: 病状が進行すると動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉が上昇する。