Aさん(90歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)による軽度の左半身麻痺がある。要介護2。最近、娘(65歳)とその家族と同居を始めた。Aさんの受診に付き添ってきた娘が看護師に「同居を始めてから疲れます」と話した。 この時の娘に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 心療内科の受診を勧める。
2: 娘の幼少期の親子関係を聞く。
3: Aさんの介護老人保健施設への入所を勧める。
4: 同居後に家族の生活がどのように変化したかを聞く。
A さん(20 歳、男性、大学生)は、皆が自分を嫌っていると言い、昨年から大学を休学し、 1 人暮らしのアパートで引きこもるようになった。先週、アパートで夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人から両親へ連絡があった。A さんの両親が A さんの部屋に入ってみると、窓は新聞紙で覆われていた。A さんは「 1 日中誰かに見張られている。あなたは親じゃない」と叫び続けるため、精神科病院に入院した。A さんは、統合失調症 (schizophrenia) と診断され非定型抗精神病薬による治療が開始された。
A さんは 5 日目ころから日中は臥床して過ごし、夜間は熟睡するようになった。食事の時間に遅れてくることが多く、看護師の声かけにほとんど反応しない。他の患者との交流もない。この時期の看護師の対応として最も適切なのはどれか
1: 食事摂取の介助をする。
2: 作業療法への参加を促す。
3: 日中の休息時間を維持する。
4: 食事時間を守るよう注意する。
Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。
医師の診察までに救急外来の看護師が行う対応として適切なのはどれか。
1: Aさんの在留資格を確認する。
2: Aさんの母国の大使館に連絡する。
3: Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取する。
4: 妻が来院するまでAさんに待合室で待ってもらう。
Aさん(55歳、女性)は、昨年10月に腹痛と腹部膨満のため受診し、膵癌(pancreatic cancer)、腹膜播種と診断された。手術の適応はなく、化学療法を受けていた。今回、腹水貯留があり経口摂取量も減少したため入院した。排泄は自立しているが、臥床していることが多い。事務職員をしていたが、現在は休職中である。夫とは離婚し25歳の長女と2人で暮らしている。23歳の長男は結婚し、遠方で暮らしている。今回の入院時から積極的治療が困難であることは、Aさんと長女へ医師から説明され、Aさんは自宅での療養を希望している。長女は就労しているため、あまり来院していない。
退院調整看護師から、訪問看護ステーションにAさんの情報提供と訪問看護の依頼が入った。 訪問看護師は、在宅療養ができるかを確認するため来院した。訪問看護師が、Aさんと会う前に退院調整看護師に確認すべき情報で優先度が高いのはどれか。
1: 自宅環境
2: 治療経過
3: 食事の摂取状況
4: 長女の在宅療養への意向
Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。
入院後1週が経過した。Aさんはベッドに横になりじっと窓を見つめていることが多くなった。看護師が何をしているのか話しかけると、Aさんは「死にたいと思っている」と答えた。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 話題を変える。
2: 気分転換を促す。
3: すぐに良くなると励ます。
4: 自殺しないことをAさんに約束してもらう。
Aさん(56歳、男性)は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、狭心症(angina pectoris)が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症(dyslipidemia)の既往がある。
Aさんの経過は順調で、手術後4日に退院することになった。Aさんは「家に戻ってもまた症状が出るのではないかと心配です」と話した。 Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 「水分摂取を控えましょう」
2: 「肉類を多く食べましょう」
3: 「睡眠時間を確保しましょう」
4: 「自動車の運転はやめましょう」
5: 「次回の外来受診までは重い荷物を運ぶ作業は控えましょう」
A君(14歳、男子)は、心室中隔欠損症(ventricular septal defect)のために通院している。母親とともに外来を受診しているが、母親がトイレに行った際に、A君は「自分の心臓のことはよく理解しているし、もう1人で受診したいけど、母さんが心配だから一緒に行くってうるさくて」と看護師に話した。 看護師の最初の対応として適切なのはどれか。
1: 母親にA君への関わりが過保護だと伝える。
2: 母親の心配を理解してあげなさいとA君に話す。
3: 次回からは1人で受診してもよいとA君に話す。
4: 母親がいない場でA君の気持ちを聴く機会をもつ。
Aさん(29歳、女性)は、20歳で短期大学を卒業するのと同時に就職したが「会社に行きたくない」と言い出して、 2か月で仕事を辞めた。その後は、自宅で何もせずに過ごしていた。昼夜逆転の生活が長く続いたが、ある日、夜遅く帰宅した父親と就職のことで激しい口論となった。それ以来、昼も夜も起きていて、食事も摂(と)らずに自室に引きこもり、ぶつぶつと独り言を言ったり、笑ったりするようになった。心配した母親に伴われて受診し、統合失調症(schizophrenia)と診断された。
入院後1か月が経過し、Aさんは看護師に時々笑顔を見せるようになってきた。Aさんは「毎日が退屈」、「早く退院したい」と言うようになった。Aさんを交えたカンファレンスで、病棟で週1回行われている退院支援グループへの参加を検討した。このグループでは、対人関係や社会生活を営むのに必要なスキルの学習が行われている。 Aさんのグループ参加の目的として、最も優先度が高いのはどれか。
1: 生活リズムを整える。
2: 興奮が抑えられるようになる。
3: 退院後の日中の過ごし方を考える。
4: 他の参加者から問題点の指摘を受ける。
Aさん(75歳、男性)は妻(66歳)と2人暮らし。3か月前に認知症dementiaの診断を受けた。妻から訪問看護師に「夫は通所介護のときは穏やかに過ごしていると聞いているが、家では興奮することが多く、どう対応すればよいかわからない」と相談があった。 このときの妻に対する訪問看護師の最初の対応で適切なのはどれか。
1: 主治医に相談するよう勧める。
2: Aさんと散歩に出かけることを勧める。
3: 通所介護の頻度を増やすことを提案する。
4: Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返る。
Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。
入院後、Aさんは主治医と話し合い、1日の手洗いの回数を決めたが、毎日その回数を超えて手洗いを続けている。看護師が確認するといつも洗面所にいる。 Aさんが決めた回数を超えて洗面所で手洗いを続けているときに、看護師がとる対応で適切なのはどれか。
1: 手洗いを続けてしまうことについてAさんと一緒に話し合う。
2: 病棟は清潔であることをAさんに説明する。
3: 主治医にAさんの隔離について相談する。
4: Aさんと決めた手洗いの回数を増やす。
Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症hypertensionの内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。 ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頸部骨折femoral neck fractureと診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。
Aさんの退院日が決定した。看護師は、Aさんの退院前の指導を行うことになった。Aさんから「医師から骨がもろくなっていると言われました。これ以上悪くならないように何をすればよいでしょうか」と質問があった。 Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 「体操は控えましょう」
2: 「炭酸飲料を飲みましょう」
3: 「果物を積極的に摂りましょう」
4: 「日光を浴びるようにしましょう」
Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症dementia with Lewy bodiesと診断された。
Aさんの入院中に妻は自営業の仕事を減らし、自宅でAさんを介護する準備を整えた。Aさんが退院し、3か月が経過したころ、Aさんの妻が3週間程度の予定で入院して手術をすることになった。Aさんは杖を使用し散歩ができるが、入浴や食事については妻が介護を行っていた。 妻の入院中にAさんに必要なサービスはどれか。
1: 短期入所〈ショートステイ〉
2: 精神科病院への入院
3: 重度訪問介護
4: 同行援護
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院後2か月が経過した。Aさんは独り言を言うことはあったが、他の入院患者と口論になることはなかった。作業療法士から「Aさんは手先が器用で、作業療法中は楽しそうに過ごしています」と情報を得た。退院に向けた担当看護師との面談で、Aさんは「手芸が楽しかった」「家に1人でいると寂しい」と話した。 退院に向けてAさんに提案する社会資源として適切なのはどれか。
1: 共同生活援助〈グループホーム〉
2: 短期入所〈ショートステイ〉
3: 通訳のボランティア
4: 精神科デイケア
Aさん(68歳、女性)は、70歳の夫と2人で暮らしている。6年前にParkinson〈パーキンソン〉病(Parkinson’s disease)と診断された。現在、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。ヤール(Yahr,M.D.)の重症度分類ステージⅢで、要介護1である。夫が付き添い、神経難病専門クリニックに杖を使って通院している。特定疾患医療受給者証を持っているが、在宅におけるサービスは利用していない。
Aさんは「家事は夫がしてくれて感謝しています。介護支援専門員とも相談しながら、自宅で暮らしていきたいと思っています」と訪問看護師に話した。 Aさんへの提案で最も適切なのはどれか。
1: 訪問介護の利用
2: 短期入所の利用
3: 車椅子での室内移動
4: 訪問リハビリテーションの利用
Aさん(42歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で入院中だが、3ヶ月の治療で症状が改善したため、退院することになった。Aさんは、統合失調症(schizophrenia)で数回の入院経験があるが、前回の退院後に拒薬がみられたため、今回は2週間に1回の訪問看護が計画されている。Aさんはアパートで1人で暮らしている。身体的な疾患はない。
ある日、看護師が訪問時刻に遅れてしまったが、Aさんは電話の設置をいやがっていたため、連絡がとれなかった。看護師が15分遅れでAさんの家に到着し、すぐに謝ったが、Aさんは「バカにしているなら帰れ」と怒鳴った。 看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 電話を設置してほしいと依頼する。
2: そんなに怒らなくてもよいと話す。
3: Aさんを心配していることを伝える。
4: 遅刻の話題には触れず、訪問活動を続ける。
Aさん(80歳、男性)は、(妻80歳)と2人暮らし。血管性認知症(vascular dementia)でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護2。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。
Aさんは「もっと歩けるようになりたい。妻の負担にならずに生活できるようになりたい」と話している。退所後にAさんが利用する介護給付におけるサービスで最も適切なのはどれか。
1: 訪問介護
2: 療養通所介護
3: 通所リハビリテーション
4: 認知症対応型共同生活介護<認知症高齢者グループホーム>
Aさん(23歳、女性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。専門学校卒業後に就職し、仕事も順調であった。4か月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1か月ほど続いたが、通勤は続けていた。Aさんは2か月前から不眠を訴えるようになり、先月からは給料の全額を宝くじの購入に費やしてしまう行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。
入院して2か月が経過し、Aさんは服薬による治療で多弁や易怒性などの症状が改善し、落ち着いて過ごせるようになった。Aさんは治療を継続する必要性についても理解している。看護師がAさんと家族への退院指導を行うことになった。 退院指導における説明で最も適切なのはどれか。
1: 「薬の管理は家族が行ってください」
2: 「今後も定期的な入院が必要になります」
3: 「Aさんの言動の変化に気を付けましょう」
4: 「服薬していれば再発することはありません」
Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害attention-deficit/hyperactivity disorder〈ADHD〉と診断された。
Aさんは予約した受診日を忘れてしまい、受診できないことが度々あった。Aさんは、これまで忘れないための工夫を何もしてこなかったと外来看護師に話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 「ご家族に予定を管理してもらいましょう」
2: 「忘れてしまった理由を考えてみましょう」
3: 「予定を忘れたことで生じる不利益を整理してみましょう」
4: 「今予約した次回の受診日をこの場で予定表に書き込みましょう」
Aさん(35歳、女性)は、右肋骨の骨折で 2日前に整形外科病棟に入院した。上半身に多数の内出血のあとがあり、受け持ち看護師が Aさんに話を聞いた。Aさんは、夫は機嫌が悪いと暴力を振るい、時には投げ飛ばすこともあり、今回も夫に殴られて骨折したと話した。Aさんは、毎日面会に来る夫に非常におびえており「今話したことは夫には絶対に言わないでほしい。骨折の処置だけしてください」と言う。 Aさんは専業主婦で夫と 2人で暮らしており、近くに親類や知り合いはいない。
受け持ち看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 夫にも事情を確認する。
2: 夫の暴力について今後は話題にしない。
3: Aさんから夫に暴力をやめるように伝えることを勧める。
4: 病院から警察に通報する必要があることを Aさんに伝える。
Aさん(38歳、初産婦)は、妊娠38週3日に2,900gの女児を正常分娩した。出産前は、Aさんは夫と2人で暮らしていた。引っ越して3か月であり、周囲に親しい知り合いや友人はまだいない。
産褥5日。Aさんは「少しずつ育児ができるようになってよかったですが、自宅での育児は不安です」と話している。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 児童相談所に連絡する。
2: 保育所の利用を勧める。
3: 新生児訪問の時期を早めるよう市町村保健師に依頼する。
4: 子育てをしている親の会に退院直後から参加することを勧める。