Aさん(83歳、男性)は、脳梗塞の後遺症(cerebral infarction)で右片麻痺があり、在宅療養中である。 嚥下障害のため胃瘻を造設している。義歯を装着しているが、自分の歯が数本残っている。 Aさんの口腔ケアについて、介護者への指導で適切なのはどれか。
1: 義歯を装着したまま歯を磨く。
2: 経管栄養直後に実施する。
3: ペースト状の歯磨剤を使用する。
4: 歯垢の除去には歯ブラシを用いる。
Aさん(60歳、男性、元建設業)は、妻(57歳) と2人暮らし。 2年前に 悪性胸膜中皮腫(malignant pleural mesothelioma)と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。2週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。 バイタルサイン:体温36.0 ℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>86~90%(room air)。 身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される 。 血液所見:赤血球370万/μL、Hb 8.8g/dL、白血球6,700/μL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5mg/dL。 動脈血液ガス分析(room air):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>40Torr、動脈血酸素分圧<PaO2>63Torr。 胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。肺虚脱なし。
入院後2週、Aさんの身体状態は急激に悪化し、A さんは「息が吸えない。苦しい。何とかしてくれ」と訴え、眉間にしわを寄せて口呼吸をしている。軽度の喘鳴がみられ、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>は88~92%(経鼻カニューレによる酸素療法2L/分)である。また、頻繁に体位を変えて落ち着きがなく、つじつまが合わない訴えと場所の見当識障害もみられる。毎日面会に来ている妻は「どうなってしまったのでしょうか。苦しそうでかわいそう」と涙ぐみ、ベッドから離れたところで座っている。Aさんの妻への看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 「Aさんが場所を間違っても否定しないで下さい」
2: 「口腔内吸引をするとAさんの呼吸が楽になります」
3: 「タッチングをするとAさんの安心感につながります」
4: 「Aさんの症状が落ち着くまで自宅で待機して下さい」
Aさん(52歳、男性)は、49歳から高血圧症hypertensionで内服治療と食事や運動に関する生活指導を受けている。2か月間の予定で開発途上国に出張することになり、予防接種を受ける目的で渡航外来を受診した。Aさんから「渡航にあたって何か注意することはありますか」と質問があった。 Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 「出張中は、減塩の必要はありません」
2: 「出張先では有酸素運動は控えましょう」
3: 「現地に到着してから健康診断を受診しましょう」
4: 「持参する高血圧症hypertensionの薬について、かかりつけ医に相談しましょう」
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。
Aさんは入院後7日で退院し、介護老人保健施設に入所した。現在はリハビリテーションを行っている。 退所後の再転倒を予防するためのAさんへの指導で適切なのはどれか。
1: 家の中で過ごす。
2: 歩幅を小さくして歩く。
3: 足関節の底背屈運動をする。
4: 就寝前に睡眠薬を内服する。
Aくん(12歳、男子)は、5歳で気管支喘息(bronchial asthma)と診断され、抗アレルギー薬の服用と副腎皮質ステロイドの吸入をしている。アレルゲンはハウスダストである。Aくんは小学3年生までは、年に数回の中発作を起こし入院治療をしていた。その後は、月に1回の外来通院で症状はコントロールされ、入院することはなかった。小学6年生の冬に学校で中発作を起こし、学校に迎えに来た母親とともに救急外来を受診した。
気管支拡張薬の点滴静脈内注射でAくんの症状は改善した。Aくんは、医師や看護師の質問には素直に答えているが、心配する母親には「病院に来るほどじゃないんだよ、入院はしないからな」と反抗的な態度をとっている。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: なぜそう思おうのかをAくんに尋ねる。
2: Aくんにではなく母親に病状を尋ねる。
3: 母親への態度が適切でないとAくんを叱る。
4: 親子関係に問題があるのではないかと母親に伝える。
A君(14歳、男子)は、心室中隔欠損症(ventricular septal defect)のために通院している。母親とともに外来を受診しているが、母親がトイレに行った際に、A君は「自分の心臓のことはよく理解しているし、もう1人で受診したいけど、母さんが心配だから一緒に行くってうるさくて」と看護師に話した。 看護師の最初の対応として適切なのはどれか。
1: 母親にA君への関わりが過保護だと伝える。
2: 母親の心配を理解してあげなさいとA君に話す。
3: 次回からは1人で受診してもよいとA君に話す。
4: 母親がいない場でA君の気持ちを聴く機会をもつ。
Aさん(19歳、男性、大学生)は、実家近くのアパートに1人で暮らしている。ある日、線路沿いの道を裸足で歩きながら険しい表情でカッターナイフを振り回し、ぶつぶつと独り言を言い続けていたことから警察に保護された。Aさんは、警察から連絡を受けた両親とともに精神科病院を受診したが「自分は命を狙われている」、「この人たちは自分の親じゃない」と言い、医療者に対しても拒否的な態度をとっている。診察の結果、Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断された。Aさんの頭髪は乱れ、食事や睡眠がとれていない様子であったため、そのまま医療保護入院をすることになった。
Aさんの入院後2週が経過した。Aさんの母親が疲れた表情で「Aはまだ誰かに殺されるのではないかと怖がっています。Aはなぜこんな病気になったのでしょうか。親としてどのようにAに接したらよいか分かりません」と担当の看護師に相談してきた。 この時点でAさんの両親に勧めるのはどれか。
1: 毎日の面会
2: 家族心理教育
3: Aさんとの同伴での外出
4: 共同生活援助<グループホーム>の見学
Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 II-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
Aさんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ〈t-PA〉による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 I-3と改善がみられた。多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、Aさんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。 Aさんに行う経管栄養法について適切なのはどれか。
1: 白湯から開始する。
2: 開始前に胃残渣を確認する。
3: 経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する。
4: 1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcalとする。
Aさん ( 58歳、女性 )は、 10年前に肺気腫 (pulmonary emphysema)を指摘されたが喫煙を続け、体動時に軽 い息切れを自覚していた。 Aさんは、肺炎 (pneumonia)で救急病院に入院し経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉86%でフェイスマスクによる酸素投与 ( 4 l/分 )が開始された。抗菌薬投与後 6日、鼻腔カニューラによる酸素投与 ( 2 l/分 )で Aさんの経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が 94%まで回復した。夜間 Aさんは眠れているようだが、早朝に頭痛を訴え、日中も傾眠傾向になった。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。
1: 抗菌薬の変更
2: 酸素投与量の増加
3: 動脈血液ガス分析の実施
4: 胸部エックス線撮影の実施
Aさんは、 1人で暮らしている。血管性認知症 (vascular dementia)があり、降圧薬を内服している。 要介護 1で、週 3回の訪問介護と週 1回の訪問看護を利用している。最近では、 Aさんは日中眠っていることが多く、週 1回訪ねてくる長男に暴言を吐くようになっている。 Aさんの長男の話を傾聴した上で、訪問看護師の長男への対応で最も適切なのはどれか。
1: デイサービスの利用を提案する。
2: Aさんを怒らせないように助言する。
3: Aさん宅に行かないように助言する。
4: 薬の内服介助をするように提案する。
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全chronic heart failureで定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。
退院後、心不全heart failureの増悪を予防する目的で訪問看護を週に1回利用することになった。Aさんは夕方に下肢の浮腫が悪化するのを気にしており、訪問看護師に助言を求めた。 訪問看護師のAさんへの助言で適切なのはどれか。
1: 「靴は大きめのサイズを選びましょう」
2: 「外出時は弾性ストッキングを履きましょう」
3: 「下肢の中枢から末梢にマッサージしましょう」
4: 「就寝時には湯たんぽを身体から2、3cm離して置きましょう」
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病depressionと診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。
Aさんのうつ症状は改善し、多職種で退院に向けた話し合いを始めた。会社の休職制度を利用し休んでいるAさんは、「薬が効いたので、今後も薬を飲み続けることが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思うが、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と看護師に話した。 退院に向けてAさんが利用する社会資源で適切なのはどれか。
1: 就労継続支援
2: リワーク支援
3: 障害者社会適応訓練事業
4: ジョブコーチによる支援
Aさん ( 80歳、男性 )は、肺炎 (pneumonia)と高血圧症 (hypertension)で入院している。入院日の夜から Aさ んにはせん妄の症状がみられる。 Aさんの家族は「しっかりした人だったのに急におかしくなってしまった」と動揺している。せん妄について Aさんの家族への説明で正しいのはどれか。
1: 「認知症 (dementia)の一種です」
2: 「昼間に起こりやすいです」
3: 「一度起こると治りません」
4: 「環境の変化で起こることがあります」
Aさん(50歳、男性、会社員)は半年ほど前から労作時に胸痛と呼吸困難感があり、狭心症angina pectorisと診断され内服治療を受けている。本日明け方から胸部に圧迫感があった。出勤途中に強い胸痛を自覚し、自ら救急車を要請した。救急外来到着時のバイタルサインは、体温35.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(酸素2L/分)。意識は清明。12誘導心電図はV1~V4でST上昇、Ⅱ、Ⅲ、aVF でST低下がみられた。
心臓カテーテル検査の結果、Aさんは急性心筋梗塞acute myocardial infarctionと診断された。心係数2.4L/分/m2、肺動脈楔入圧20mmHgでForrester〈フォレスター〉分類Ⅱ群であった。 身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の粗い断続性副雑音が聴取される。 心エコー検査:左室駆出率〈LVEF〉58% 胸部エックス線検査:心胸郭比〈CTR〉48% このときのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。
1: 心拡大が認められる。
2: 肺うっ血が起きている。
3: 末梢循環不全が起きている。
4: 左心室の収縮力が低下している。
Aさん(70歳、男性)。妻(74歳)と2人で暮らしている。Aさんがトイレに入ったまま戻ってこないので妻が見に行くと、トイレで倒れていた。妻が発見直後に救急車を要請した。救急隊からの情報ではジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ- 20で右片麻痺があり、バイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数16/分、脈拍108/分、血圧200/120mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%であった。
入院から4週が経過し、病状が安定して意識が回復した。Aさんは後遺症として運動性失語が残り、言葉がうまく発せられないため涙ぐむことがあった。妻は面会後「夫が話す言葉が分からず、どう接すればよいか分からない」と言って戸惑っていた。 妻に対する対応で最も適切なのはどれか。
1: 「いつもどおり話をしてあげてください」
2: 「看護師も同席してAさんとお話ししましょう」
3: 「リハビリテーションで話せるようになりますよ」
4: 「分かりやすい言葉で話しかけてあげてください」
Aさん(60歳、男性)は、転倒して第5頸椎レベルの脊髄を損傷した。肩を上げることはできるが、上肢はわずかに指先を動かせる程度である。呼吸数22/分、脈拍86/分、血圧100/70 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>97%であった。Aさんは「息がしづらい」と言っている。 Aさんの状態で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 低酸素血症(hypoxemia)がある。
2: 胸郭運動がみられる。
3: 無気肺(atelectasis)を起こしやすい。
4: 腹式呼吸を行っている。
5: 閉塞性換気障害(obstructive ventilatory impairment)を起こしている。
Aさん(73歳、男性)は慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive pulmonary diseaseで在宅酸素療法〈HOT〉を受けている。受診時にAさんが「1人でお風呂に入っているが、息切れが強い」と訴えたため、外来看護師は入浴時の具体的な状況を確認した。 外来看護師がAさんに確認した内容で、息切れの原因と考えられるのはどれか。
1: 入浴はシャワー浴にしている。
2: 椅子に座って更衣を行っている。
3: 洗髪時に鼻カニューレを外している。
4: 浴室の扉を開けたまま入浴している。
Aさん(76歳、女性)は1人暮らし。脳血管疾患cerebrovascular diseaseで右半身麻痺があり、障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-2である。週に2回の訪問看護を利用している。食事の準備と介助および食後の口腔ケアのため訪問介護を利用することになった。訪問介護の担当者は、Aさんのケアについて訪間看護師に助言を求めた。 訪問看護師が訪問介護の担当者に助言する内容で正しいのはどれか。
1: 健側に頸部を回旋させ食事の介助をする。
2: 野菜は繊維に対し垂直に切って調理する。
3: 歯肉出血がみられたら口腔ケアは中止する。
4: 食事中はA さんの好きなテレビ番組を見せる。
Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症dementia with Lewy bodiesと診断された。
Aさんの入院中に妻は自営業の仕事を減らし、自宅でAさんを介護する準備を整えた。Aさんが退院し、3か月が経過したころ、Aさんの妻が3週間程度の予定で入院して手術をすることになった。Aさんは杖を使用し散歩ができるが、入浴や食事については妻が介護を行っていた。 妻の入院中にAさんに必要なサービスはどれか。
1: 短期入所〈ショートステイ〉
2: 精神科病院への入院
3: 重度訪問介護
4: 同行援護
Aさん(58歳、男性)は、 3年前に直腸癌 (rectal cancer) と診断され、手術を受けてストーマを造設 した。その後Aさんは直腸癌 (rectal cancer) を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部の癌性疼痛 を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院していた。 Aさんは「自宅で療養したい。痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない」と在宅療養を希望した。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を 1日 2回内服し、食事は食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少している。 Aさんの家族は 56歳の妻と他県で仕事をしている長女である。
Aさんの傾眠傾向が強まり、時々無呼吸がみられるようになった。Aさんは食事や水分の摂取量は少ないが、疼痛を訴えることはない。 Aさんの妻は「できればこのまま自宅でみていきたい」と話している。 Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
2: 24時間の継続した観察を Aさんの家族へ指導する。
3: 仕事を辞めて介護を行うように Aさんの長女を説得する。
4: 今後起こりうる身体症状の変化を Aさんの家族へ説明する。