A さん(35 歳、男性、建設業)は、両親と 3 人で暮らしている。 3 年前の仕事中に屋根から転落して、第 12 胸髄を損傷した。 1 か月前から車で作業所に通い、作業中はほとんど車椅子に座っている。週 1 回の訪問看護を利用している。
A さんは自宅のトイレを利用している。緩下薬を内服し、 2 日に 1 回浣腸を行っている。猛暑が続く 8 月の訪問時に A さんは最近便秘がちで尿量も少ないと訪問看護師に繰り返し訴えた。A さんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 水分の摂取を促す。
2: 浣腸の回数を増やす。
3: ポータブルトイレの利用を勧める。
4: 医師に別の緩下薬の処方を依頼する。
Aさん(72歳、女性)は、 1人で暮らしている。Aさんは 1年前に夫を亡くした後、近所付き合いが少なくなっていた。遠方に住む Aさんの息子が時々電話で様子を確認していた。最近は元気がなく、 Aさんの息子が心配して様子を見に来たところ、食事を食べた様子がなく、ごみは捨てられていなかった。 Aさんは発熱してぐったりしており、息子に連れられて病院を受診した。 Aさんは脱水状態の治療と抑うつ状態の疑いのため検査が必要であると判断されて入院した。Aさんの既往歴に特記すべきことはない。
入院後 1週間、Aさんの脱水状態は改善したが臥床していることが多い。 Aさんは排泄時、手すりを使用してトイレまで歩行しているが、着脱動作が緩慢で失禁することが多い。 Aさんへの排泄援助として最も適切なのはどれか。
1: オムツの着用を勧める。
2: トイレに近い病室に変更する。
3: 膀胱留置カテーテルの挿入を検討する。
4: ポータブルトイレをベッドの横に設置する。
Aさん(37歳、初産婦)、会社員。妊娠41週1日の午後11時に3,200gの女児を分娩した。妊娠や分娩の経過は順調であり、会陰切開術を受けた。分娩後2時間の子宮底の高さは臍下2横指、縫合部に異常はみられなかった。
産褥3日。Aさんは「退院後は避妊する予定です。母乳は1年以上続けたいと思います」と話している。 看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 授乳期間中の避妊は必要ない。
2: 1か月から経口避妊薬を使用する。
3: 性生活を再開するときからコンドームを使用する。
4: 2週にIUD〈子宮内避妊具〉を挿入してもらうよう勧める。
Aさん(59歳、女性)は、午前2時ころにバットで殴られたような激しい頭痛を自覚し、嘔吐した。午前4時、Aさんは、頭痛を我慢できなくなったために、家族に付き添われて救急搬送され、緊急入院した。入院時、ジャパン・コーマ・スケール 〈JCS〉Ⅰ-1、四肢の麻痺を認めない。
Aさんは、入院後に緊急開頭術を受けることになった。手術を受けるまでの看護で適切なのはどれか。
1: 浣腸を行う。
2: 排痰法の練習を勧める。
3: テタニー徴候を観察する。
4: 不整脈(arrhythmia)の出現に注意する。
Aさん(30歳、初産婦、会社員)は、夫と2人暮らし。妊婦38週6日で3,200gの児を正常分娩した。分娩後から母子同室を開始しており、母乳育児を希望している。
産褥4日。Aさんは乳頭を児にうまくくわえさせられず「上手におっぱいがあげられない。退院してからも続けていけるか心配です」と言う。Aさんの乳房からは移行乳の分泌がみられる。児の体重は3,040g、排尿は5回/日、排便は4回/日である。 Aさんへの授乳時のアドバイスとして、適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 3時間ごとに授乳させる。
2: 児が前屈姿勢になるように支える。
3: 児が啼泣している時に授乳させる。
4: 児の舌の上に乳頭がのるようにくわえさせる。
5: 児が大きく口を開けたタイミングで乳頭をくわえさせる。
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。
入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。 Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。 移動の方法として適切なのはどれか。
1: 右腕を使って起き上がる。
2: しばらく座位をとってから立ち上がる。
3: 骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く。
4: ベッドの高さは腰掛けたときにつま先が床に着くよう調整しておく。
Aさん(38歳、初産婦)は、妊娠38週3日に2,900gの女児を正常分娩した。出産前は、Aさんは夫と2人で暮らしていた。引っ越して3か月であり、周囲に親しい知り合いや友人はまだいない。
産褥3日。子宮底の高さは臍下3横指にあり硬度良好であった。乳房は軽度緊満しており、乳汁分泌がみられる。体温37.0℃、脈拍76/分、血圧124/72mmHgであった。訪室時、Aさんは「体がなんとなくだるいです。理由もないのに涙が出てきます」と涙ぐんでいた。 Aさんの状態として考えられるのはどれか。
1: 産褥熱(puerperal fever)
2: 高血圧症(hypertension)
3: 産後うつ病(postpartum depression)
4: マタニティブルーズ(maternity blues)
Aさん(30歳、初産婦、会社員)は、夫と2人暮らし。妊婦38週6日で3,200gの児を正常分娩した。分娩後から母子同室を開始しており、母乳育児を希望している。
産褥2日。乳房の緊満はなく、熱感がある。初乳から移行乳へと変化している。Aさんの児の抱き方はぎこちなく、乳頭をくわえさせるのに時間がかかっている。産褥1日から2日にかけた24時間で、14回の直接授乳をしている。児の体重は3,060g で、体重減少率は4.4%、排尿は3回/日、排便は2回/日である。Aさんは「あまり母乳が出ていないようですが、人工乳を足した方がよいですか」と看護師に相談した。 この時、看護師がアセスメントする項目で最も重要なのはどれか。
1: 直接授乳の回数
2: 母乳の分泌状態
3: 児の体重減少率
4: 児の排泄状況
Aさん(87歳、女性)は、 6年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)を発症した。在宅で療養していたが、夫が介護に疲れたために施設に入所した。現在、長谷川式簡易知的機能評価スケール〈HDS-R〉10点、障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1である。下肢筋力や立位バランスの低下がある。自宅では自分で車椅子に移乗してトイレに行き排泄していた。尿失禁はなかった。入所直後、Aさんは表情が険しく落ち着きがなく、看護師が声をかけても応じない。自発的にトイレに行きたいという発言はなく、着衣を尿で汚染することが多いためトイレ誘導を行うことにした。
入所後2週。Aさんの表情は穏やかになり行動も落ち着くようになった。自発的に車椅子に乗り廊下を移動している。尿意はあるが、尿失禁が続いている。 尿失禁の状態を把握するために行う看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 排泄動作を全介助する。
2: 夜間は下着をオムツに変更する。
3: 尿失禁の不快感について質問する。
4: 廊下を移動中、トイレに行きたいのかを確認する。
A さん(35 歳、初産婦)は、夫と 2 人で暮らしている。妊娠 28 週 2 日、妊婦健康診査で胎盤が内子宮口を全部覆っていると指摘された。自覚症状はない。その他の妊娠経過に異常は認められていない。A さんは、身長 155 cm、体重 56 kg(非妊時体重50 kg)である。
A さんは、妊娠 37 週 0 日に帝王切開で体重 2,800 g の児を出産した。術後 3 日、A さんは看護師に「どうすることもできなかったのは分かっているのですが、自然なお産をしたかったです。赤ちゃんを産んだ実感がありません」と話した。看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1: 精神科の受診を勧める。
2: 妊娠期からの振り返りをする。
3: 次の出産で経腟分娩を試みるよう勧める。
4: 数日前に帝王切開術を受けた褥婦に話をしてもらうよう勧める。
Aさん(47歳、女性、会社員)は、夫(54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経腟超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。
Aさんは、経腟超音波検査で異常所見が認められ、その後の精密検査で子宮体癌uterine corpus cancerと診断されて準広汎子宮全摘出術と両側付属器(卵巣、卵管)切除術を受けた。術後の経過はよく、排尿障害もなく順調に回復していた。術後12日目のバイタルサイン測定時に「身体のほてりがあり、急に汗が出るようになったりして、夜もよく眠れません。そのためかイライラします」と看護師に訴えた。 Aさんに出現している症状の原因はどれか。
1: エストロゲンの減少
2: プロラクチンの減少
3: アンドロゲンの増加
4: オキシトシンの増加
5: プロゲステロンの増加
Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8 ℃、脈拍72/分、血圧118/70mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。
この時のAさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
1: 子宮収縮は良好である。
2: 縫合部に感染徴候がみられる。
3: 分娩の受け止めに問題がある。
4: 産褥日数に比べて進行性変化が遅い
Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。
Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った。術後2日、1日に6回の排便があり、造設された肛門周囲に発赤がみられている。 排便後の対応で最も適切なのはどれか。
1: 石けんで洗浄する。
2: 微温湯で洗浄する。
3: お尻拭きシートで拭き取る。
4: ポビドンヨードで消毒をする。
Aさん(26歳、経産婦)は、夫(30歳)と長女(2歳)の3人で暮らしている。妊娠37週2日、これまでの妊娠経過に異常はない。9時に陣痛が開始し、10時に夫に付き添われ入院した。入院時、陣痛間欠9分、陣痛発作30秒であった。内診所見は子宮口2cm開大で、少量の羊水の流出を認めた。羊水混濁はなかった。21時30分に子宮口全開大、22時30分に3,200gの男児を正常分娩で出産した。会陰裂傷は第2度。23時に胎盤娩出し、子宮底の位置は臍高で硬く触れた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点。分娩2時間後、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れた。分娩時出血量は360mL。
産褥3日。Aさんは母乳育児を希望している。Aさんの乳房の形は左右ともⅡa型で、乳房は緊満している。両乳頭に損傷はない。左腋窩に副乳があり「腫れて痛い」と話す。本日の児の体重は3,100gであった。 Aさんに対する看護師の援助で適切なのはどれか。
1: 左腋窩に冷罨法を行う。
2: 乳房マッサージを行う。
3: 3時間ごとの授乳を勧める。
4: 左乳房での授乳を中止する。
Aさん(29歳、初産婦)は、妊娠37週0日で2,780gの男児を正常分娩で出産した。出生後5分の児の状態は、心拍数150/分、四肢を屈曲させて啼泣している。顔面を清拭されると激しく啼泣し、全身はピンク色である。
産褥4日。Aさんは、血圧112/80mmHg、脈拍76/分、Hb11.2g/dL、Ht37.0%。子宮底を臍下4横指に硬く触れる。悪露は赤褐色で少量。凝血の混入や悪臭はない。乳房は緊満しており移行乳が分泌している。Aさんは「夜中も3 時間ごとくらいに授乳をするためほとんど眠れていません」と話している。表情は穏やかである。 Aさんのアセスメントとして適切なのはどれか。
1: 貧血である。
2: 産後うつ病postpartum depressionである。
3: 子宮復古は順調である。
4: 乳汁分泌が遅れている。
Aさん(83歳)は寝たきり状態で、便意を訴えるが3日間排便がみられない。認知機能に問題はない。昨晩下剤を内服したところ、今朝、紙オムツに水様便が少量付着しており、残便感を訴えている。 このときのAさんの状態で考えられるのはどれか。
1: 嵌入便
2: 器質性便秘
3: 切迫性便失禁
4: 非急性感染性下痢
Aさん(30歳、初産婦)は、妊娠 39週2日で前期破水(premature membrane rupture)と診断され入院した。胎児は頭位で臍帯下垂はみられず、胎児心拍数は正常である。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 入浴を勧める。
2: 歩行を禁止する。
3: 3〜4時間ごとに導尿をする。
4: 3〜4時間ごとに外陰部のパッドを交換する。
Aさん(54歳、女性)は、排便困難のため外来を受診し、酸化マグネシウムとセンナとを処方された。腹腔内手術の既往歴がある。 Aさんへの指導で適切なのはどれか。
1: 「運動は控えてください」
2: 「下痢が続いても心配ありません」
3: 「おなかの張りが続くようなら、また受診してください」
4: 「旅行をする場合は酸化マグネシウムの内服を控えてください」
Aさん(35歳、経産婦)は、妊娠中に妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus)と診断され、食事療法を行っていた。Aさんは、妊娠 39週3日に3,500 gの児を自然分娩した。分娩の所要時間は2時間 45分、出血量は 450 m l、第1度会陰裂傷のため縫合術を受けた。児の Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。
分娩後6時間。Aさんは、体温 37.2 ℃、脈拍 64/分、血圧 126/68 mmHgである。子宮底の位置は臍高、子宮はやや軟らかく触れ、血性悪露が中等量みられる。下腹部痛はないが会陰縫合部の痛みが軽度ある。乳房に緊満はなく、乳腺開口は 2、3本である。 このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 床上安静を勧める。
2: 下腹部に温罨法を行う。
3: 子宮底の輪状マッサージを行う。
4: 乳房の自己マッサージを指導する。
Aさん(78歳、男性)は、76歳の妻と娘の3人で暮らしている。Aさんは、大腸癌(colon cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、再発し、治療を行ったが効果がなく、在宅で緩和ケアを行うことになった。Aさんは腹部の癌性疼痛を訴え、オキシコドン塩酸塩徐放錠を1日2回内服している。Aさんは食べたいときに食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少してきている。妻は腰痛があり、娘は日中、仕事に出ている。
Aさんは退院後、訪問看護を利用することになった。 病棟看護師による家族への退院指導の内容で最も適切なのはどれか。
1: 食事摂取量を継続的に観察する。
2: ストーマを造ったので便秘の心配はない。
3: ストーマ用品は訪問看護ステーションから買う。
4: 痛みが増強したときは次回の外来受診時に伝える。