Aさん(52歳、女性)。自宅で突然激しい頭痛と悪心が出現し、自力で救急車を要請し、搬送された。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉I-2で頭痛を訴えており、発汗著明であった。瞳孔径は両側3.0mm。上下肢の麻痺はない。Aさんは頭部CTでくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)と診断され、ICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧156/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%であった。
手術後14日、頭部CTで右大脳半球に小範囲の脳梗塞(cerebral infarction)が認められた。Aさんは、左上肢の挙上はできるが維持が困難であり、左膝の屈曲はできるが左下肢の挙上は困難である。意識は清明であるが、Aさんは左片麻痺があるため動こうとしない。 Aさんへの看護で最も適切なのはどれか。
1: 日常生活動作<ADL>の自立度をアセスメントする。
2: 歩行訓練のときは杖の使用を勧める。
3: 左上肢の筋力増強運動を指導する。
4: 車椅子への移乗は全介助で行う。
Aさん(78歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の既往がある。妻から「最近、夫は食事をむせずに食べることができるが、口の中に食べ物が残っていることが多い。夫の食事について助言が欲しい」と訪問看護師に相談があった。妻への訪問看護師の助言で適切なのはどれか。
1: 「食事にとろみをつけましょう」
2: 「自助具を使って食事をしましょう」
3: 「口に入れる2回量を少なくしましょう」
4: 「食事前に舌の動きを促す運動をしましょう」
Aさん(76歳、女性)は1人暮らし。脳血管疾患cerebrovascular diseaseで右半身麻痺があり、障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-2である。週に2回の訪問看護を利用している。食事の準備と介助および食後の口腔ケアのため訪問介護を利用することになった。訪問介護の担当者は、Aさんのケアについて訪間看護師に助言を求めた。 訪問看護師が訪問介護の担当者に助言する内容で正しいのはどれか。
1: 健側に頸部を回旋させ食事の介助をする。
2: 野菜は繊維に対し垂直に切って調理する。
3: 歯肉出血がみられたら口腔ケアは中止する。
4: 食事中はA さんの好きなテレビ番組を見せる。
Aさん(83歳、男性)は、脳梗塞の後遺症(cerebral infarction)で右片麻痺があり、在宅療養中である。 嚥下障害のため胃瘻を造設している。義歯を装着しているが、自分の歯が数本残っている。 Aさんの口腔ケアについて、介護者への指導で適切なのはどれか。
1: 義歯を装着したまま歯を磨く。
2: 経管栄養直後に実施する。
3: ペースト状の歯磨剤を使用する。
4: 歯垢の除去には歯ブラシを用いる。
Aさん(90歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)による軽度の左半身麻痺がある。要介護2。最近、娘(65歳)とその家族と同居を始めた。Aさんの受診に付き添ってきた娘が看護師に「同居を始めてから疲れます」と話した。 この時の娘に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 心療内科の受診を勧める。
2: 娘の幼少期の親子関係を聞く。
3: Aさんの介護老人保健施設への入所を勧める。
4: 同居後に家族の生活がどのように変化したかを聞く。
Aさん(48歳、男性)は、横断歩道を歩行中に乗用車に衝突され、救命救急センターに搬送された。搬送時、呼びかけに開眼せず、四肢の筋緊張が亢進していた。呼吸数30/分、脈拍60/分、血圧142/98 mmHgであった。右側頭部と右肩甲骨部の擦過傷以外に目立った外傷はなかった。
術後14 日。Aさんの意識レベルはジャパン・コーマ・スケールⅠ-2で、左上下肢に軽度の麻痺と左の視空間失認とがある。Aさんは座位を保持し、自力で食事を摂ることが可能となったが、左側の食べ物を残す様子がみられる。車椅子への移乗は看護師の介助が必要であるが、1人でベッドから降りようとする。Aさんは右利きである。 このときの適切な看護はどれか。
1: 離床センサーを設置する。
2: 右側を意識するように促す。
3: 食器をAさんの左側に配置する。
4: 残した食事は看護師が介助して口に運ぶ。
5: 視空間失認が改善してから歩行訓練を開始する。
Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症(dyslipidemia)と高血圧症(hypertension)で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。
検査の結果、Aさんは左脳の運動野に脳梗塞(cerebral infarction)を発症していることが分かった。Aさんは3週間の入院治療を経て転院し、2か月間のリハビリテーションを行うことになった。転院先の医療機関に提供する情報で最も優先するのはどれか。
1: 診療情報提供書
2: 要介護認定の申請書
3: 医療相談員の相談記録
4: 使用中の車椅子の機種
5: 身体障害者手帳の申請書
交通事故によって脊髄損傷(spinal cord injury)で入院した下肢に麻痺のある成人患者。 職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 自己導尿は自宅で行う。
2: 仕事中は飲水を制限する。
3: 車椅子には体圧分散マットを使用する。
4: 残業する場合の休憩時間は不要である。
5: 職場の担当者に自分の病気について伝える。
Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 II-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
Aさんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ〈t-PA〉による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 I-3と改善がみられた。多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、Aさんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。 Aさんに行う経管栄養法について適切なのはどれか。
1: 白湯から開始する。
2: 開始前に胃残渣を確認する。
3: 経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する。
4: 1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcalとする。
A さん(65 歳、男性、会社員)は、午後 2 時、会議の最中に急に発語しづらくなり、右上下肢に力が入らなくなったため、同僚に連れられて救急外来を受診した。既往歴に特記すべきことはない。来院時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ- 3 、瞳孔径は両側 2.0 mm。呼吸数 18/分、脈拍 60〜80/分、不整で、血圧 176/100 mmHg。右上下肢に麻痺がある。午後 4 時、A さんの頭部 CT の所見で特に異常は認められなかったが、MRI の所見では左側頭葉に虚血性の病変が認められた。
A さんは心原性の脳梗塞 (cerebral infarction) と診断され、入院後に治療が開始された。入院後 5 日、意識レベルがジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-30 まで低下した。頭部 CT で出血性梗塞と脳浮腫とが認められ、気管内挿管・人工呼吸器管理を行い、マンニトールを投与してしばらく経過をみることになった。この時点の看護で適切なのはどれか。 2 つ選べ。
1: 電気毛布で保温する。
2: 瞳孔不同の有無を観察する。
3: 水分出納を正のバランスに管理する。
4: Cushing〈クッシング〉現象に注意する。
5: ベッドを水平位にして安静を維持する。
A さん(79 歳、女性)は、癌の化学療法を受けていたが、脳出血 (cerebral hemorrhage) を起こし意識不明の状態になった。A さんの家族は回復する見込みはないと医師から説明を受けた。家族は A さんの延命を望んでおり、医師と今後の治療方針を決定する前に看護師に相談した。A さんの家族への対応で最も適切なのはどれか。
1: 医師に方針を決めてもらうよう伝える。
2: 病院の倫理委員会に判断を依頼するよう伝える。
3: A さんのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉を確認するよう伝える。
4: 経管栄養法を開始することで A さんの身体の状態は維持できると伝える。
意識レベルが低下した片麻痺の患者の口腔ケアを在宅で実施する家族への説明で正しいのはどれか。
1: 「舌苔には触れないでください」
2: 「口腔ケアは肺炎(pneumonia)の予防になります」
3: 「入れ歯は装着したままでいいですよ」
4: 「麻痺側を下にした横向きでケアをしましょう」
脳梗塞cerebral infarctionによる右片麻痺がある成人患者に用いる日常生活動作〈ADL〉の評価として適切なのはどれか。
1: NYHA分類
2: Borg〈ボルグ〉スケール
3: Barthel〈バーセル〉インデックス
4: 主観的包括的アセスメント〈subjective global assessment〉
Aさん(66歳、男性)は、脳出血(cerebral hemorrhage)で入院している。病状が安定し、自宅への退院の準備をすることになった。Aさんは、リハビリテーションと介護が必要な状態であるが、妻から「夫のために自宅を改修するので、すぐには自宅で介護できない」と相談があった。Aさんは妻と2人で暮らしている。 退院直後のAさんの生活の場として適切なのはどれか。
1: ケアハウス
2: グループホーム
3: 介護老人福祉施設
4: 介護老人保健施設
Aさん(77歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)による左片麻痺があり、右膝の痛みにより立位が困難である。端坐位で殿部をわずかに持ち上げることはできる。妻(77歳)は小柄で、体格差のある夫の移乗の介助に負担を感じている。 Aさんのベッドから車椅子への移乗の際、妻の介護負担を軽減する福祉用具で適切なのはどれか。
1: 歩行器
2: ベッド柵
3: 電動介助リフト
4: トランスファーボード
血栓が存在することによって脳塞栓症(cerebral embolism)を引き起こす可能性があるのはどれか。
1: 右心室
2: 左心房
3: 腎動脈
4: 上大静脈
5: 大腿静脈
Aさん(85歳、男性)は、5年前に発症した右脳梗塞の後遺症(cerebral infarction)のため、左半身麻痺がある。現在、療養病床に入院中である。右膝関節の軽度拘縮のため、ベッド上で過ごすことが多く、自力で体位変換をすることができない。全身の発汗が多く、便失禁と尿失禁とがあり、1日5回以上のオムツ交換を行っている。仙骨部に褥瘡を認め、創底の直径は5cm、創面は黄色、皮下脂肪組織までの欠損がある。毎日1回の褥瘡処置を行っている。現在のAさんは身長162cm、体重48kgである。
Aさん(85歳、男性)は、5年前に発症した右脳梗塞の後遺症(cerebral infarction)のため、左半身麻痺がある。現在、療養病床に入院中である。右膝関節の軽度拘縮のため、ベッド上で過ごすことが多く、自力で体位変換をすることができない。全身の発汗が多く、便失禁と尿失禁とがあり、1日5回以上のオムツ交換を行っている。仙骨部に褥瘡を認め、創底の直径は5cm、創面は黄色、皮下脂肪組織までの欠損がある。毎日1回の褥瘡処置を行っている。現在のAさんは身長162cm、体重48kgである。 肛門周囲の皮膚は湿潤しており暗赤色であった。 看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 殿部をアルカリ性石鹸で洗浄する。
2: 肛門周囲の皮膚に保護オイルを塗布する。
3: 肛門周囲の皮膚をマッサージする。
4: ベッドにウレタンマットレスを敷く。
誤嚥しやすい患者の食事の援助で適切なのはどれか。
1: 食材は細かく刻む。
2: 水分の摂取を促す。
3: 粘りの強い食品を選ぶ。
4: 頸部を前屈した体位をとる。
嚥下障害のある患者の食事介助で適切なのはどれか。
1: 水分はとろみをつける。
2: 頸部を伸展する。
3: 一口量を多くする。
4: むせたときには水を飲ませる。
外傷性脳損傷(traumatic brain injury)によって軽度記憶障害のある患者への認知リハビリテーションで適切なのはどれか。
1: 簡単な計算を取り入れる。
2: 毎日新しい行動を試みる。
3: 暗記の練習のときはメモを取る。
4: 視覚的なイメージより言葉のほうが記憶しやすい。