Aさん( 50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。
退院後1か月。訪問看護ステーションの看護師が訪問した際、夫から「妻は痛みで苦しんでいる様子はない。トイレと食事以外は眠っていることが多く、このまま死んでしまうのでしょうか。家で看取ることができるか不安です」と相談を受けた。 夫への支援で最も適切なのはどれか。
1: 夫に頑張るよう励ます。
2: 病院に入院するよう提案する。
3: 麻薬の量を増やすことを提案する。
4: Aさんが希望する看取りの場について再度話し合う。
Aさん(75歳、女性)は、終末期のがんの夫を自宅で介護している。Aさんと夫は自宅での看取りを希望している。 Aさんへのケアで最も適切なのはどれか。
1: 臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
2: 自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。
3: 配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。
4: 夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。
Aさん(55歳、男性)は、仕事中に胸痛発作に襲われ、急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)で緊急入院した。入院直後に、経皮的冠状動脈形成術〈PTCA〉を受けた。
Aさんは順調に回復し、入院5日目には心臓リハビリテーションの計画に沿って、病棟内のトイレまで歩行ができるようになった。Aさんは「さっきはトイレに行ってきたけれど、調子が良いから中庭を散歩しても大丈夫ですか」と笑顔で尋ねた。その日のAさんの状態は、体温36.6度、呼吸数18/分、脈拍84/分、血圧134/84mmHGであった。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 調子が良いなら大丈夫だと話す。
2: 脈拍が90/分になるくらいのスピードで歩くよう指導する。
3: 心電図モニターの電波が届かない中庭には行けないと話す。
4: 歩行範囲は計画に沿って拡大していく必要があることを説明する。
Aさん(38歳、女性)は、大腸癌colon cancerの終末期である。癌性腹膜炎cancerous peritonitisによる症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。 退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 薬剤師
2: 言語聴覚士
3: 臨床検査技師
4: 介護支援専門員
5: ソーシャルワーカー
Aさん(70歳、男性)は、65歳の妻と2人で暮らしている。Aさんは67歳のときに安静時に振戦が現れ、パーキンソン病(Parkinson’s disease)と診断された。ヤール(Yahr.M.D)の重症度分類ステージⅢで、要介護3である。Aさんの症状として、仮面様顔貌、小刻み歩行および前傾姿勢がある。歩行練習を行っており、排泄は時間がかかるが自分でできている。Aさんの長男夫婦は車で1時間のところに住んでおり、週末に様子を見にきている。Aさんは訪問看護を2週間に1回利用している。
妻は「今後もできる限り自宅で介護したいが、病状が進行してどんどん動けなくなってきて不安です。機能訓練すれば動けるようになるかしら」と話した。 妻の不安を緩和するための訪問看護師の行動で適切なのはどれか。
1: 長男夫婦に平日の機能訓練を依頼する。
2: サービス担当者会議の開催を提案する。
3: もう少しがんばって介護するように妻を励ます。
4: 訪問リハビリテーションの適応ではないと話す。
A君( 8歳、男児 )は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に病院を受診した。 1か月前に扁桃炎 (tonsillitis)に罹患した以外は既往歴に特記すべきこ とはない。扁桃炎 (tonsillitis)は抗菌薬を内服し軽快した。血液検査の結果、 溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (poststreptcoccal acute glomerulonephritis)と診断されて入院した。入院時、 A君は体温 36.8℃、呼吸 数20/分、脈拍は 80/分、整で血圧 132/80 mmHgであった。
入院後 2週間が経過した。症状は軽快したが床上安静は続いている。仲が良かった同じ病室の児が退院して、 A君はイライラして母親をたたくこともある。 A君の母親は、毎日昼食後から夕食後まで面会をしている。 A君のストレスに対する看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「家にすぐ帰れるから頑張ろう」
2: 「お母さんにずっといてもらおう」
3: 「好きなだけテレビを観ていいよ」
4: 「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」
Aさん(76歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。これまで健康に生活しており、登山会への参加を趣味にしていた。3週前に、散歩中に転び、殿部から腰背部にかけての痛みがあったが様子をみていた。Aさんは痛みのため臥床して過ごすことが多くなり、次第に足に力が入らず立ちあがりも困難になった。食事は夫が購入した弁当を残さず食べていた。 2日前から1日中臥床するようになったため、夫の介助で受診し、腰椎圧迫骨折(lumbar compression fracture)と診断され入院した。
入院後5日が経過し、Aさんは病室内を歩くようになったが、腰痛を訴えている。看護師が検討すべき事項として適切なのはどれか。
1: 鎮痛薬の内服
2: T字杖の使用
3: 痛みのある間の臥床保持
4: 就寝中のコルセット装着
Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆嚢炎(acute cholecystitis)と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3 ℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。
Aさんの病室環境で適切なのはどれか。
1: 座った時に膝関節が90度になる高さにベッドを調整する。
2: 点滴スタンドをベッドに固定する。
3: ポータブルトイレを設置する。
4: 離床センサーを設置する。
Aさん ( 40歳、男性 )は、大学 1年生のときに統合失調症 (schizophrenia)を発症し、精神科病院に 20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。
Aさんは 1週間後に退院する予定だが「退院したら薬を飲むのはやめようかな」と看護師に話すことがある。時々幻聴に関して訴えがあり、睡眠が不規則になる。退院後 Aさんが利用するサービスで最も適切なのはどれか。
1: 訪問介護
2: 精神科作業療法
3: 精神科訪問看護
4: 訪問リハビリテーション
Aさん(58歳、男性、会社員)は、妻(55歳)と2人暮らし。5年前から高血圧症(hypertention)、脂質異常症(dyslipidemia)を指摘され、降圧薬を内服していた。自宅で左半身に脱力感が出現し、救急車で搬送された。救急外来でCT及びMRI検査を行った結果、右中大脳動脈領域に脳梗塞(cerebral infarction)の所見が認められた。入院時は、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)E3V4M5、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍66/分(不整)、血圧160/85mmHg、HbA1c 5.8%、心電図では、RR 間隔は不定で心拍数100/分であった。入院後、血栓溶解療法を受け、2日後からリハビリテーションが開始された。1週後には回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。
入院から3週が経過し、リハビリテーションによって日常生活動作(ADL)は改善しているが、夜間は眠れず、食欲も低下している。Aさんは「なかなか良くならない。何もできなくなってしまった」と話している。 現在のAさんへの声かけで、最も適切なのはどれか。
1: 「時間が経てば良くなりますよ」
2: 「リハビリをがんばりましょう」
3: 「同じ病気の患者さんをご紹介しますね」
4: 「なかなか良くならないと感じているのですね」
Aさん(83歳、女性)は1人暮らし。誤嚥性肺炎aspiration pneumoniaで入退院を繰り返していた。今回の退院後に、訪問看護が導入されることになり、退院前カンファレンスが行われた。 誤嚥性肺炎aspiration pneumoniaの再発を予防するために病棟看護師が訪問看護師に情報提供する内容で優先されるのはどれか。
1: 嚥下機能検査の判定結果
2: 栄養状態を示す検査データ
3: 入院中の日常生活動作〈ADL〉
4: 誤嚥性肺炎aspiration pneumoniaの治療に用いられた薬剤
Aさん(56歳、男性)は、若いころテニスの選手で、現在も趣味でテニスを続けている。膀胱癌(bladder cancer)と診断され、膀胱全摘除術・回腸導管造設術の手術目的で入院した。Aさんは「外来で病名を聞いたときは動揺しましたが、家族と話し合い、今は心の準備ができています」と看護師に話した。
看護師は、Aさんから「退院後はどのように生活が変わりますか」と質問された。看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 「入浴の際、浴槽の湯に入ることはできません」
2: 「食事の内容を変える必要はありません」
3: 「排尿のときは導尿が必要です」
4: 「テニスはできなくなります」
Aさん(80歳、女性)は、肺炎(pneumonia)で入院して持続点滴中である。消灯時、訪室すると「体がだるくて眠れない」と訴えている。 Aさんへの入眠に向けた援助で最も適切なのはどれか。
1: テレビをつける。
2: 足浴を実施する。
3: そのまま様子をみる。
4: 睡眠薬を処方してもらう。
A さん(66 歳、男性)は、尿管結石症 (ureterolithiasis) で入院し、鎮痛薬の投与と点滴静脈内注射による持続輸液が開始された。日常生活は自立している。輸液開始の 1 時間後、A さんの病室で大きな音がしたので看護師が駆けつけると、A さんはベッドサイドに座り込んでいた。「トイレに行こうとベッドから立ち上がろうとして、点滴のスタンドをつかんだら滑った」と話した。転倒後の診察の結果に異常はなかった。A さんが再び転倒しないための対応で最も適切なのはどれか。
1: 床上排泄にする。
2: 誰の過失か明らかにする。
3: 転倒の原因を一緒に考える。
4: 夜間は家族に付き添いを依頼する。
Aさん(55歳、女性)は、昨年10月に腹痛と腹部膨満のため受診し、膵癌(pancreatic cancer)、腹膜播種と診断された。手術の適応はなく、化学療法を受けていた。今回、腹水貯留があり経口摂取量も減少したため入院した。排泄は自立しているが、臥床していることが多い。事務職員をしていたが、現在は休職中である。夫とは離婚し25歳の長女と2人で暮らしている。23歳の長男は結婚し、遠方で暮らしている。今回の入院時から積極的治療が困難であることは、Aさんと長女へ医師から説明され、Aさんは自宅での療養を希望している。長女は就労しているため、あまり来院していない。
在宅療養が開始されてから1か月が経過した。Aさんの病状は進行し、主治医は、長女と帰省した長男に対して、死が近づいていることを説明した。衰弱している母親を見た長男は「病院へ入院させたほうがいいのではないか」と言い、長女は、訪問看護師にどうしたらいいかと相談した。 長女への訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「Aさんの意思を弟さん(長男)と一緒に聞いてみましょう」
2: 「医師に決めてもらう方が弟さん(長男)も納得するでしょう」
3: 「Aさんが1人のときに亡くなることもあるので入院も考えましょう」
4: 「Aさんは最期まで家にいたいと希望していたから、このままでいいです」
Aさん ( 40歳、男性 )は、大学 1年生のときに統合失調症 (schizophrenia)を発症し、精神科病院に 20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。
退院後 3か月、 Aさんは処方どおりに服薬している。 Aさんの母親から「退院してからずっと 1日中家の中で何もせず過ごしています。夫は本人に働くよう言っています」と看護師に相談があった。母親への対応として最も適切なのはどれか。
1: 「もう一度入院を考えてみますか」
2: 「アルバイトを探してはいかがですか」
3: 「Aさんはどう考えているようですか」
4: 「お薬の調整を主治医に相談してみましょうか」
Aさん(68歳、女性)は、胃癌(gastric cancer)のため入院した。入院初日に「夫も癌になって、亡くなる前に痛みで苦しんでいました。私も痛みが怖いんです」と言った。看護師は、Aさんが夫のように苦しむことへの恐怖や不安があることが分かり、Aさんとともに対処法について考えた。 この時点での患者-看護師関係の段階はどれか。
1: 方向付け
2: 同一化
3: 開拓利用
4: 問題解決
Aちゃん(5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄のB君(3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。Aちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より39℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温39.3℃、呼吸数45/分、脈拍142/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)であった。診察と検査の結果、RSウイルスによる急性細気管支炎acute bronchiolitisと診断され、去痰薬が処方された。
入院後7日、Aちゃんは症状が軽快し、哺乳量も増加して翌日の金曜日に退院が決定した。母親は「Aはだいぶ元気になりました。でもBが泣いたり、かんしゃくをおこしたりすることが増えているようです。どうしたらいいでしょう」と看護師に相談した。入院中、土曜日、日曜日は父親がB君の世話をしており、平日は祖父母が世話をしているとのことであった。退院時、父親は休暇をとりAちゃんと母親を迎えに来る予定である。 母親への看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 「B君のかかりつけ医に相談しましょう」
2: 「B君の保育所への入所を検討しましょう」
3: 「B君に関わる時間をたっぷりとりましょう」
4: 「お兄ちゃんだから頑張りなさいと伝えましょう」
Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で 2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。
Aさんは、緊急血液透析によって全身状態が改善した。その後、シャント造設術を受け、週3回の血液透析となり、退院後は職場に近いクリニックで維持血液透析を受けることが決定した。Aさんから、退院後の生活について「仕事に復帰予定ですが、医療費の支払いが心配です」と発言があった。維持血液透析により身体障害者手帳を取得したAさんが利用できる医療費助成制度はどれか。
1: 医療扶助
2: 自立支援医療
3: 訪問看護療養費
4: 認定疾病に対する医療の給付
Aさん(73歳、女性)は夫(73歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン〉病Parkinson diseaseと診断され、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。Hoehn - Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類のステージⅢ、要介護1である。夫が付き添い神経内科外来に月1回、杖歩行で通院している。外来受診のとき、Aさんは足がすくんで転びやすくなったことを主治医に相談し、レボドパ〈L-dopa〉を1日4回に増量して様子を見ることになった。Aさんと夫は薬の副作用〈有害事象〉について外来看護師に尋ねた。
1か月後の外来受診のときに、Aさんは「いつもと違う時間に入浴したら転んでしまった。怪我をしなくてよかった」と主治医に話した。主治医から勧められ、Aさんは訪問看護を週に1回利用することになった。 今後Aさんが安全な入浴をするために訪問看護師がアセスメントする内容で最も優先するのはどれか。
1: 浴室の床の素材
2: 居室から浴室までの距離
3: 転倒による打撲痕の状態
4: 日常生活動作〈ADL〉の日内変動