Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害(eating disorder)と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。
入院後3か月が経過した。Aさんは体重が43kgまで増加し、主治医と相談して、退院の準備をすることになった。退院の話題が出ると、Aさんと母親は口論することが多くなった。父親は出張が多く、面会に来たのは一度のみであった。 退院に向けてAさんと家族に勧めることとして最も適切なのはどれか。
1: 栄養指導
2: 作業療法
3: 家族療法
4: 単身生活の開始
Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament)と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。
ある日、Aさんに軽度の歯肉出血および歯肉の腫脹がみられるようになった。疼痛はない。訪問歯科診療を受け、口腔ケアを徹底するよう促された。リハビリテーション病院に入院していたときは、自助具を利用して口腔ケアの練習をしていた。退院後は妻が口腔ケアを介助していたが、最近は仕事の帰りが遅く、Aさんは妻を待てずに寝てしまうと言う。また、Aさんは育児で疲れている長女には頼めないと話す。 看護師のAさんへの提案で最も適切なのはどれか。
1: 日中の口腔ケアを徹底する。
2: 長女に口腔ケアを依頼する。
3: 就寝時刻を遅くするよう提案する。
4: 妻が夜に実施できる時間帯を検討する。
5: Aさんが自立してできる方法を検討する。
Aさん(82歳、女性)は息子(57歳、会社員)と息子の妻(55歳、パート勤務)との3人暮らし。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症Alzheimer diseaseと診断され、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護2である。Aさんの介護は、主に息子の妻が行っていた。Aさんは、声かけがあれば日常生活動作〈ADL〉を自分で行うことができた。しかし、Aさんは徐々に認知症が重度化し、1人で外出すると帰ってくることができなくなり、夜間に落ちつきなく動き回ることが多くなった。息子と息子の妻はAさんの介護について介護支援専門員に相談していたが、息子の妻は睡眠不足となり、体調を崩してしまった。そのため、Aさんは介護老人保健施設に入所することになった。
看護師からAさんに施設について説明したが、その後もAさんは「ここはどこ」と繰り返し聞いていた。息子の妻は「私がやらなければいけないことは何ですか」と聞いてきた。 息子の妻に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「面会に来てください」
2: 「家族会に参加しましょう」
3: 「まずは休息をとりましょう」
4: 「認知症への対応を覚えましょう」
Aちゃん( 1歳 0か月、女児)は、つかまり立ちをしようとしてテーブルの上に手をかけたところ、熱い味噌汁の入ったお椀(わん) をひっくり返して前胸部と右前腕に熱傷 (burn) を負 ったため母親とともに救急外来を受診した。来院時、 Aちゃんは、体温 36.8℃、呼吸数 36/分、心拍数 120/分、血圧 90/60 mmHgであり、機嫌が悪く泣いている。
Aちゃんの創部は治癒傾向にあり、退院して外来で処置を継続することになった。 Aちゃんの母親は「子どもに痛い思いをさせてしまいました。私が気を付けないと いけませんね」と話している。 家庭内での事故予防について、Aちゃんの母親に指導する内容として優先度が高 いのはどれか。
1: 調理の工夫
2: 重症事故事例の提示
3: 1歳児の行動の特徴
4: Aちゃんへの説明の方法
Aさん(60歳、男性、元建設業)は、妻(57歳) と2人暮らし。 2年前に 悪性胸膜中皮腫(malignant pleural mesothelioma)と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。2週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。 バイタルサイン:体温36.0 ℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>86~90%(room air)。 身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される 。 血液所見:赤血球370万/μL、Hb 8.8g/dL、白血球6,700/μL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5mg/dL。 動脈血液ガス分析(room air):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>40Torr、動脈血酸素分圧<PaO2>63Torr。 胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。肺虚脱なし。
入院後2週、Aさんの身体状態は急激に悪化し、A さんは「息が吸えない。苦しい。何とかしてくれ」と訴え、眉間にしわを寄せて口呼吸をしている。軽度の喘鳴がみられ、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>は88~92%(経鼻カニューレによる酸素療法2L/分)である。また、頻繁に体位を変えて落ち着きがなく、つじつまが合わない訴えと場所の見当識障害もみられる。毎日面会に来ている妻は「どうなってしまったのでしょうか。苦しそうでかわいそう」と涙ぐみ、ベッドから離れたところで座っている。Aさんの妻への看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 「Aさんが場所を間違っても否定しないで下さい」
2: 「口腔内吸引をするとAさんの呼吸が楽になります」
3: 「タッチングをするとAさんの安心感につながります」
4: 「Aさんの症状が落ち着くまで自宅で待機して下さい」
Aさん(80歳、女性)は、肺炎(pneumonia)で入院して持続点滴中である。消灯時、訪室すると「体がだるくて眠れない」と訴えている。 Aさんへの入眠に向けた援助で最も適切なのはどれか。
1: テレビをつける。
2: 足浴を実施する。
3: そのまま様子をみる。
4: 睡眠薬を処方してもらう。
Aちゃん ( 2歳 4か月、女児 )は、母と会社員の父と 3人で暮らしている。 Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。 3か月前に、誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia)を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。 Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳 (肢体不自由 1級 )を所持している。
Aちゃんの母親から「家で育てることがこんなに大変だとは思わなかった。疲れました」と訪問の際に訴えがあった。 Aちゃんの母親の話を聞いた後の訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1: 「すぐに入院ができる病院を探します」
2: 「お母さんが頑張らないと駄目ですよ」
3: 「お父さんに休職してもらいましょうか」
4: 「ヘルパーさんに来てもらうことを検討しましょうか」
Aさん ( 42歳、男性 )は、血尿を主訴に泌尿器科を受診した。診察の結果、 Aさんは膀胱鏡検査を受けることになった。 Aさんへの検査についての説明で適切なのはどれか。
1: 「入院が必要です」
2: 「前日は夕食を食べないでください」
3: 「局所麻酔で行います」
4: 「終了後は水分の摂取を控えてください」
Aさん(85歳、男性)は、妻と2人で暮らしていたが、自宅で意識を消失して緊急入院した。検査の結果、右中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断された。意識は回復したが左片麻痺があり、発症後3日からベッド上での関節可動域訓練(ROM訓練)が開始された。
発症後4週。Aさんは順調に回復し、退院に向けての準備が進められた。妻から「この状態で家に帰ってきて大丈夫かしら」と看護師に相談があった。 妻への看護師の対応で優先するのはどれか。
1: 介護に対する不安について詳しく聴く。
2: 特別養護老人ホームへの入所を勧める。
3: 要介護認定の申請手続きについて説明する。
4: 退院後に予測される問題について説明する。
A君(14歳、男子)は、心室中隔欠損症(ventricular septal defect)のために通院している。母親とともに外来を受診しているが、母親がトイレに行った際に、A君は「自分の心臓のことはよく理解しているし、もう1人で受診したいけど、母さんが心配だから一緒に行くってうるさくて」と看護師に話した。 看護師の最初の対応として適切なのはどれか。
1: 母親にA君への関わりが過保護だと伝える。
2: 母親の心配を理解してあげなさいとA君に話す。
3: 次回からは1人で受診してもよいとA君に話す。
4: 母親がいない場でA君の気持ちを聴く機会をもつ。
Aさん(58歳、男性)は、 3年前に直腸癌 (rectal cancer) と診断され、手術を受けてストーマを造設 した。その後Aさんは直腸癌 (rectal cancer) を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部の癌性疼痛 を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院していた。 Aさんは「自宅で療養したい。痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない」と在宅療養を希望した。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を 1日 2回内服し、食事は食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少している。 Aさんの家族は 56歳の妻と他県で仕事をしている長女である。
Aさんは退院後、訪問診療と訪問看護を利用することになった。訪問看護師が、Aさんと家族に説明する内容で適切なのはどれか。
1: 「お風呂に入るのはやめましょう」
2: 「自宅ではベッド上で安静にしてください」
3: 「ストーマのパウチの交換をお手伝いします」
4: 「ストーマがあるので副作用の便秘は心配ありません」
Aさん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、車椅子への移乗は部分介助、要介護2である。排泄はポータブルトイレを利用している。Aさんと妻はなるべく家で過ごしたいと考え、自宅での介護はすべて妻が行っている。長女(会社員)が県内に在住しているがAさんの介護はしていない。訪問看護を週1回利用するのみで、他のサービスは利用していない。最近、妻の腰痛が悪化し、妻から訪問看護師に「主治医から介護の負担を軽減するように言われました。でも夫は家から出たくないし、私も夫をどこかに預けるのは不安です。どうしたらよいでしょうか」と相談があった。
Aさんは入院したが、状態が安定し入院後3日で退院することが決まった。長女が「父が退院したら、母の腰痛が心配なので、私が父のポータブルトイレへの移動を手伝いたいと思います。介助の方法を教えてください」と訪問看護師に相談があった。 訪問看護師が長女に指導するベッドからポータブルトイレへの移乗の介助方法で正しいのはどれか。
1: ポータブルトイレをAさんの麻痺側に設置する。
2: ベッドから立ち上がる際はAさんに前傾姿勢になってもらう。
3: Aさんの健側に立って介助する。
4: Aさんの向きを変えるときはズボンのウエスト部分を持つ。
Aさん(47歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で20年間精神病院に入院している。父親はすでに亡くなっており、80歳になる母親は病気がちのため、面会は年に1回程度である。Aさんは看護師の声かけに応じて、月に1回の病棟レクリエーションや週に2回の作業療法に参加している。それ以外の時間はほとんど病室のベッド上で寝て過ごしている。発病以来、薬物療法を続けており、時々飲み忘れることはあるが、ほぼ自己管理できている。病状は安定していることから、退院の話が出るようになった。
Aさんは、これまで1人暮らしの経験はなく、自宅への退院を希望している。母親は電話で、「帰ってくるのはいいけれど、自分も体がつらくて、息子の世話までできない。日中、息子が出掛ける場所があるとよいのですが」と話している。 Aさんに勧める社会資源として適しているのはどれか。2つ選べ。
1: 福祉ホーム
2: 精神科デイケア
3: ショートステイ
4: ホームヘルプサービス
5: 公共職業安定所〈ハローワーク〉
Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌(rectal cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作<ADL>は、ほぼ自立している。
退院後3か月。Aさんの食事や水分の摂取量は減り、徐々に傾眠傾向になってきた。Aさんの妻は訪問看護師に「少し怖いが、できればこのまま自宅で看ていきたい」と話した。Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
2: Aさんの清潔ケアは看護師が行うことを妻に伝える。
3: 今後起こりうるAさんの状態の変化を妻に説明する。
4: Aさんが亡くなるまで家族がそばを離れないように伝える。
Aさん(66歳、男性)は、脳出血(cerebral hemorrhage)で入院している。病状が安定し、自宅への退院の準備をすることになった。Aさんは、リハビリテーションと介護が必要な状態であるが、妻から「夫のために自宅を改修するので、すぐには自宅で介護できない」と相談があった。Aさんは妻と2人で暮らしている。 退院直後のAさんの生活の場として適切なのはどれか。
1: ケアハウス
2: グループホーム
3: 介護老人福祉施設
4: 介護老人保健施設
Aさん(23歳、女性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。専門学校卒業後に就職し、仕事も順調であった。4か月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1か月ほど続いたが、通勤は続けていた。Aさんは2か月前から不眠を訴えるようになり、先月からは給料の全額を宝くじの購入に費やしてしまう行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。
入院して2か月が経過し、Aさんは服薬による治療で多弁や易怒性などの症状が改善し、落ち着いて過ごせるようになった。Aさんは治療を継続する必要性についても理解している。看護師がAさんと家族への退院指導を行うことになった。 退院指導における説明で最も適切なのはどれか。
1: 「薬の管理は家族が行ってください」
2: 「今後も定期的な入院が必要になります」
3: 「Aさんの言動の変化に気を付けましょう」
4: 「服薬していれば再発することはありません」
Aさん ( 26歳、男性 )は、大量服薬による急性中毒が疑われ、午後 9時 30分に救急搬送された。呼吸状態と循環動態に異常はないが、意識は低下している。付き添って来た Aさんの母親は「午後 8時に夕食を終えて息子は部屋に戻りました。午後 9時にお風呂へ入るよう声をかけに部屋に行ったら、倒れていたんです。息子はうつ病 (depression)で通院中でしたが、最近は症状が落ち着いていました」と話す。 このときの対応で適切なのはどれか。
1: 気管内挿管を行う。
2: 咽頭を刺激して吐かせる。
3: 胃酸分泌抑制薬を投与する。
4: Aさんの母親にどんな薬を内服していたかを尋ねる。
Aさん(55歳、男性)は、妻と2人暮らし。建築士として主にデスクワークの仕事を行っていた。脊髄損傷(spinal cord injury)のため下半身の不完全麻痺となり、リハビリテーション専門の病院へ転院した。電動車椅子を用いて室内の動作は自立できるようになった。退院調整部門の看護師との面接でAさんから「元の職場に戻りたい」と話があった。Aさんの自己決定を支援する看護師の助言で適切なのはどれか。
1: 「元の職場の仕事を在宅勤務に変更しましょう」
2: 「デスクワークなので職場復帰は可能と思います」
3: 「職場復帰にあたりAさんが課題と思うことを整理しましょう」
4: 「元の職場にこだわらずAさんの障害にあった職場を探しましょう」
Aさん(56歳、男性)は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、狭心症(angina pectoris)が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症(dyslipidemia)の既往がある。
Aさんの経過は順調で、手術後4日に退院することになった。Aさんは「家に戻ってもまた症状が出るのではないかと心配です」と話した。 Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 「水分摂取を控えましょう」
2: 「肉類を多く食べましょう」
3: 「睡眠時間を確保しましょう」
4: 「自動車の運転はやめましょう」
5: 「次回の外来受診までは重い荷物を運ぶ作業は控えましょう」
A さん(79 歳、女性)は、癌の化学療法を受けていたが、脳出血 (cerebral hemorrhage) を起こし意識不明の状態になった。A さんの家族は回復する見込みはないと医師から説明を受けた。家族は A さんの延命を望んでおり、医師と今後の治療方針を決定する前に看護師に相談した。A さんの家族への対応で最も適切なのはどれか。
1: 医師に方針を決めてもらうよう伝える。
2: 病院の倫理委員会に判断を依頼するよう伝える。
3: A さんのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉を確認するよう伝える。
4: 経管栄養法を開始することで A さんの身体の状態は維持できると伝える。