Aさん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。
Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。 Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。
1: 服薬心理教育を実施する。
2: ハローワークを紹介する。
3: 生活技能訓練〈SST〉を勧める。
4: 薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する。
認知行動療法で最も期待される効果はどれか。
1: 過去の心的外傷に気付く。
2: 薬物療法についての理解が深まる。
3: 物事の捉え方のゆがみが修正される。
4: 自分で緊張を和らげることができるようになる。
精神科病棟に入院しているAさんの服薬管理は、看護師が行っている。 入院中の服薬を自己管理に移行できるかを判断する際に、看護師が情報収集する項目として優先度が高いのはどれか。
1: 入院形態
2: 入院期間
3: 退院後の同居者の有無
4: 副作用の生活への影響
Aさん(22歳、女性 会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。
入院後3週、Aさんの精神状態は落ち着き、職場に早く戻りたいと意欲があったため、退院に向けての準備をすることになった。自傷行為は、入院前の1回のみだった。Aさんは「また過食をしないか心配だ」と看護師に訴えた。そのため主治医はAさんと話し合い認知行動療法が開始となった。Aさんの退院に向けて、医師、看護師のチームと連携するメンバーで最も適切なのはどれか。
1: 栄養士
2: 薬剤師
3: 臨床心理士
4: ゲートキーパー
5: 精神保健福祉相談員
Aさん (42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症(alcohol dependence)が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。
その後、薬物治療によって興奮は改善した。肝機能も改善し、夜間もよく眠れるようになったため、退院が決定した。 Aさんに対する退院時の説明で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 「仕事は辞めましょう」
2: 「断酒会に参加しましょう」
3: 「集団精神療法を受けましょう」
4: 「飲酒しない日を週1日設けましょう」
5: 「生活行動を家族に記録してもらいましょう」
精神保健医療福祉に関する法律について正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 自殺対策基本法に基づき自殺総合対策大綱が策定されている。
2: 障害者基本法の対象は身体障害と精神障害の2障害と規定されている。
3: 発達障害者支援法における発達障害の定義には統合失調症(schizophrenia)が含まれる。
4: 精神通院医療の公費負担は精神保健福祉法による自立支援医療で規定されている。
5: 犯罪被害者等基本法は犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目標としている。
精神医療におけるピアサポーターの活動について正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 訪問活動は禁止されている。
2: 活動には専門家の同行が条件となる。
3: ピアサポーター自身の回復が促進される。
4: 精神保健医療福祉サービスの利用を終了していることが条件となる。
5: 自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する。
厚生労働省のこころのバリアフリー宣言の目的で正しいのはどれか。
1: 精神疾患への偏見をなくすための正しい理解の促進
2: 高齢者の孤立を防ぐためのふれあいのある社会づくり
3: 身体障害者の人格を尊重するためのバリアフリー化の推進
4: 引きこもりから社会参加を試みる際の障壁を軽減する支援
医療現場における暴力について正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 精神科に特有のものである。
2: 病室環境は誘因にならない。
3: 目撃者は被害者に含まれない。
4: 暴力予防プログラムに合わせて対処する。
5: 発生を防止するためには組織的な体制の整備が重要である。
Aさん(50歳、男性)は、23歳で統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院へ5回入院したことがある。1年前に、被害妄想が原因で隣人に暴力を振るい措置入院となった。入院後2か月で自傷他害の恐れは消失し、医療保護入院へ切り替えられたが、幻覚や妄想があり家族へ1日に何回も電話をかけていた。その後は家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた。幻聴は続いているが、自分の身の回りのことは自分で行えるようになった。作業療法も継続して参加できていることから、退院を検討することになった。
Aさんの退院については、アパートでの単身生活か、共同生活援助〈グループホーム〉での生活を目指すことになった。 Aさんの精神科リハビリテーションを進めるにあたり、病棟看護師が連携する職種で最も優先度が高いのはどれか。
1: 退院後生活環境相談員
2: 理学療法士
3: 介護福祉士
4: 栄養士
平成16年(2004年)に示された精神保健医療福祉の改革ビジョンの内容で正しいのはどれか。
1: 地域生活支援の強化
2: 任意入院制度の新設
3: 医療保護入院の明確化
4: 精神障害者の定義の見直し
リエゾン精神看護の活動はどれか。
1: 行動制限の指示
2: 向精神薬の処方
3: 他科への転棟指示
4: コンサルテーションへの対応
慢性疾患の患者に対する自己管理の支援で最も適切なのはどれか。
1: 患者自身の失敗体験をもとに指導する。
2: 病気に関する広範囲な知識を提供する。
3: 症状に慣れる方法を身につけるように促す。
4: 自分の身体徴候を把握するように指導する。
精神保健活動における二次予防に該当するのはどれか。
1: 地域の子育てサークルへの支援
2: 休職中のうつ病(depression)患者への復職支援
3: 企業内でのメンタルヘルス講座の開催
4: 学校を長期間欠席している児童への家庭訪問