Aさん(25歳、男性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。大学卒業後に就職し、仕事も順調であった。4ヶ月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1ヶ月ほど続いたが、通勤は何とか続けていた。Aさんは、2ヶ月前から不眠を訴えるようになり、先月からは、高額なマンションや車の購入契約をしたり、貯金の全額を宝くじの購入に費やしてしまうなどの行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。
入院して1ヶ月が経過したAさんは、服薬による治療で多弁や易怒性などの症状が改善し、落ち着いて過ごせるようになった。Aさんは治療を継続する必要性についても理解している。看護師が家族への退院指導を行うことになった。 Aさんの家族への指導で最も適切なのはどれか。
1: 「薬は家族が管理してください」
2: 「今後も入院治療が定期的に必要になります」
3: 「症状が悪化する兆候を見逃さないようにしましょう」
4: 「服薬をしていれば症状は悪化しないので安心してください」
Aさん ( 40歳、男性 )は、大学 1年生のときに統合失調症 (schizophrenia)を発症し、精神科病院に 20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。
退院後 3か月、 Aさんは処方どおりに服薬している。 Aさんの母親から「退院してからずっと 1日中家の中で何もせず過ごしています。夫は本人に働くよう言っています」と看護師に相談があった。母親への対応として最も適切なのはどれか。
1: 「もう一度入院を考えてみますか」
2: 「アルバイトを探してはいかがですか」
3: 「Aさんはどう考えているようですか」
4: 「お薬の調整を主治医に相談してみましょうか」
診療情報の取り扱いで適切なのはどれか。
1: 診療情報の開示請求は患者本人に限られる。
2: 医療者は患者が情報提供を受けることを拒んでも説明する。
3: 2類感染症の届出は患者本人の同意を得なければならない。
4: 他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報を提供する。
Aさん(23歳、女性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。専門学校卒業後に就職し、仕事も順調であった。4か月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1か月ほど続いたが、通勤は続けていた。Aさんは2か月前から不眠を訴えるようになり、先月からは給料の全額を宝くじの購入に費やしてしまう行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。
Aさんは、診察室では多弁であった。また、ささいなことで怒り出し、自分は病気ではないと治療を受けることを拒否した。意識は清明で見当識障害はみられなかった。Aさんは双極性障害(bipolar disorder)と診断され医療保護入院をすることになった。 入院時のAさんのアセスメントで正しいのはどれか。
1: 躁状態
2: 緘黙状態
3: 錯乱状態
4: せん妄状態
介護保険制度による訪問看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 理学療法士による訪問は含まれない。
2: 主治医の訪問看護指示書が必要である。
3: 訪問滞在時間によって介護報酬は異なる。
4: 利用頻度は介護支援専門員の指示による。
5: 利用できる訪問看護事業所は1か所に限る。
Aさん(29歳、女性)は、20歳で短期大学を卒業するのと同時に就職したが「会社に行きたくない」と言い出して、 2か月で仕事を辞めた。その後は、自宅で何もせずに過ごしていた。昼夜逆転の生活が長く続いたが、ある日、夜遅く帰宅した父親と就職のことで激しい口論となった。それ以来、昼も夜も起きていて、食事も摂(と)らずに自室に引きこもり、ぶつぶつと独り言を言ったり、笑ったりするようになった。心配した母親に伴われて受診し、統合失調症(schizophrenia)と診断された。
入院後1か月が経過し、Aさんは看護師に時々笑顔を見せるようになってきた。Aさんは「毎日が退屈」、「早く退院したい」と言うようになった。Aさんを交えたカンファレンスで、病棟で週1回行われている退院支援グループへの参加を検討した。このグループでは、対人関係や社会生活を営むのに必要なスキルの学習が行われている。 Aさんのグループ参加の目的として、最も優先度が高いのはどれか。
1: 生活リズムを整える。
2: 興奮が抑えられるようになる。
3: 退院後の日中の過ごし方を考える。
4: 他の参加者から問題点の指摘を受ける。
訪問看護師が、在宅医療に移行する患者の退院調整のために医療機関の看護師から得る情報で、優先度が高いのはどれか。
1: 医療処置の指導内容
2: 経済的な問題への対応
3: 介護サービス利用の有無
4: 訪問看護指示書の記載内容
看護師等の人材確保の促進に関する法律における離職等の届出で適切なのはどれか。
1: 届出は義務である。
2: 届出先は保健所である。
3: 離職を予定する場合に事前に届け出なければならない。
4: 免許取得後すぐに就職しない場合は届け出るよう努める。
A 君( 8 歳、男児)は、携帯型電子ゲームやサッカーが好きである。A 君は宿題をしているときに、突然意識を失い、10 数秒持続する四肢の屈曲を伴うけいれんを起こした。その後、全身の筋肉の収縮と弛緩を繰り返すけいれんが 10 秒程度続き、A 君の呼吸は停止しチアノーゼが認められた。けいれんが終了し呼吸は回復したが、意識障害が持続していたため病院に救急搬送された。
入院後 1 か月。A 君の退院が決定した。A 君の家族に対する説明として適切なのはどれか。 2 つ選べ。
1: 「今後サッカーは禁止です」
2: 「十分な睡眠をとらせてください」
3: 「規則正しい服薬が発作を予防します」
4: 「発作時はタオルを口にかませてください」
5: 「学校には病名を知らせる必要はないでしょう」
Aさん( 50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。
看護師が退院に向けて最も連携すべき職種はどれか。
1: 理学療法士
2: 管理栄養士
3: 介護支援専門員
4: 保健所の保健師
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院後、担当看護師は毎日面会に来ている夫の表情が気になり声をかけた。夫は「先生から統合失調症schizophreniaには様々な症状があるとお聞きしました。入院して妻は落ちつきましたが、これからどう接していけばいいのか悩んでいます」と話した。担当看護師はチームカンファレンスで夫の様子を伝え、主治医の判断で、夫に家族心理教育への参加を促すことになった。 担当看護師が夫に家族心理教育を勧める声かけで適切なのはどれか。
1: 「Aさんの症状と対応について学ぶことができます」
2: 「ご家族に参加して頂くことが退院の条件です」
3: 「家族同士の自助グループです」
4: 「匿名で参加できます」
精神障害者の施設症(institutionalism)の予防策として、最も適切なのはどれか。
1: 隔離室の使用を避ける。
2: 病棟の規則を厳密に決める。
3: 病棟行事はスタッフが企画する。
4: 地域住民との交流の機会を増やす。
医療法に基づき高度医療の提供とそれに関する研修を実施する医療施設はどれか。
1: 診療所
2: 特定機能病院
3: 地域医療支援病院
4: 臨床研究中核病院
保健師助産師看護師法に定められているのはどれか。
1: 免許取得後の臨床研修が義務付けられている。
2: 心身の障害は免許付与の相対的欠格事由である。
3: 看護師籍の登録事項に変更があった場合は2か月以内に申請する。
4: 都道府県知事は都道府県ナースセンターを指定することができる。
患者の権利について適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 患者は自分の医療情報を見ることができる。
2: 患者は一度同意した治療方針を拒否できない。
3: 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
4: 患者が病室に不在の場合は検査の同意を家族から得る。
5: 患者情報は患者と家族の同意なく保険会社に開示できる。
精神保健医療福祉に関する法律について正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 自殺対策基本法に基づき自殺総合対策大綱が策定されている。
2: 障害者基本法の対象は身体障害と精神障害の2障害と規定されている。
3: 発達障害者支援法における発達障害の定義には統合失調症(schizophrenia)が含まれる。
4: 精神通院医療の公費負担は精神保健福祉法による自立支援医療で規定されている。
5: 犯罪被害者等基本法は犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目標としている。
日本の医療提供施設について正しいのはどれか。
1: 病院数は1995年から増加傾向である。
2: 2013年の人口対病床数は先進国の中で最も多い。
3: 介護老人保健施設数は2000年から減少傾向である。
4: 精神科の平均在院日数は1990年から先進国で最短である。
Aさん(19歳、男性、大学生)は、実家近くのアパートに1人で暮らしている。ある日、線路沿いの道を裸足で歩きながら険しい表情でカッターナイフを振り回し、ぶつぶつと独り言を言い続けていたことから警察に保護された。Aさんは、警察から連絡を受けた両親とともに精神科病院を受診したが「自分は命を狙われている」、「この人たちは自分の親じゃない」と言い、医療者に対しても拒否的な態度をとっている。診察の結果、Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断された。Aさんの頭髪は乱れ、食事や睡眠がとれていない様子であったため、そのまま医療保護入院をすることになった。
入院後2か月が経過し、主治医からは退院の話も出始めた。Aさんは入院をきっかけに大学を休学している。Aさんの両親が「Aは学業の遅れを心配して、退院後すぐに復学したいと言っています。Aはすぐに復学できるのでしょうか」と相談してきた。 看護師の説明として適切なのはどれか。
1: 「復学の時期を大学に判断してもらいましょう」
2: 「復学できる状態になるまで退院を延期しましょう」
3: 「ご両親からAさんに焦らないよう説得してください」
4: 「まずは家庭での日常生活に慣れることから始めましょう」
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病depressionと診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。
Aさんのうつ症状は改善し、多職種で退院に向けた話し合いを始めた。会社の休職制度を利用し休んでいるAさんは、「薬が効いたので、今後も薬を飲み続けることが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思うが、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と看護師に話した。 退院に向けてAさんが利用する社会資源で適切なのはどれか。
1: 就労継続支援
2: リワーク支援
3: 障害者社会適応訓練事業
4: ジョブコーチによる支援
精神医療におけるピアサポーターの活動について正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 訪問活動は禁止されている。
2: 活動には専門家の同行が条件となる。
3: ピアサポーター自身の回復が促進される。
4: 精神保健医療福祉サービスの利用を終了していることが条件となる。
5: 自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する。