A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺(cerebral palsy)と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。
現在、A君の母親は妊娠16週で順調に経過している。母親は「出産のときにAを預かってくれるところを探そうと思っています」と看護師に話した。父親は会社員で、毎日20時ころ帰宅する。A君の祖父母は遠方に住んでおり支援をすることができない。 母親に情報提供する社会資源で最も適切なのはどれか。
1: 乳児院
2: 病児保育
3: 情緒障害児短期入所施設
4: レスパイトを目的とする入院
5: ファミリーサポートセンター
Aさん(30歳、初妊婦)は、夫( 32歳、会社員)と2人暮らし。身長は160cm、非妊時体重60kg である。妊娠8週の妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。嘔吐はないが、時々嘔気があると訴え、対処法について質問があった。
Aさんは、妊娠34週4日の妊婦健康診査を受けた。Aさんの母は祖母の介護をしており、産後の支援を期待できない。妊婦健康診査後、「産後は夫と2人で子育てをしていきます。子育てのために何か利用できる制度はありますか」と相談があった。 産後、Aさんの夫が適用となる制度はどれか。
1: 育児休業
2: 育児時間
3: 休日労働の制限
4: 勤務時間の変更
Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病(depression)と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。
入院時の看護師のAさんに対する関わりで適切なのはどれか。
1: いま死にたい気持ちがあるか尋ねる。
2: 命を大切にしたほうがよいと伝える。
3: 死ぬ気があれば何でもできると話をする。
4: 家族が悲しむから死んではいけないと伝える。
Aさん(50歳、男性)は、23歳で統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院へ5回入院したことがある。1年前に、被害妄想が原因で隣人に暴力を振るい措置入院となった。入院後2か月で自傷他害の恐れは消失し、医療保護入院へ切り替えられたが、幻覚や妄想があり家族へ1日に何回も電話をかけていた。その後は家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた。幻聴は続いているが、自分の身の回りのことは自分で行えるようになった。作業療法も継続して参加できていることから、退院を検討することになった。
その後もAさんの両親は、高齢であることを理由に自宅への退院には同意しなかった。 Aさんの退院を計画的に進めるために行うことで適切なのはどれか。
1: 精神医療審査会の開催
2: 入院診療計画書の修正
3: 行動制限最小化委員会の開催
4: 医療保護入院者退院支援委員会の開催
Aさん(83歳、男性)は妻(81歳)と2人暮らし。息子夫婦は共働きで同市内に住んでいる。Aさんは自宅の廊下で倒れているところを妻に発見され、救急搬送された。Aさんは右上下肢に力が入らず、妻の声かけにうなずくが発語はなかった。頭部CTで左中大脳動脈領域の脳梗塞cerebral infarctionと診断されたため救急外来で血栓溶解療法が行われ、入院となった。血栓溶解療法による治療後2週。Aさんは右上下肢麻痺、失語などの後遺症があるが、自宅への退院を希望したため、機能訓練の目的で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。転棟後1日。Aさんはベッドから車椅子への移乗動作の訓練を始めたが、健側の下肢筋力が低下しているため、立位のときにバランスを崩しやすい状況である。
Aさんは妻や看護師との話の内容は理解しているようだが、返答の際に言葉を間違えてしまうことや言葉がなかなか出てこないことがある。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: Aさんの言葉を推測しながら話す。
2: Aさんの言い誤りを訂正する。
3: 大きな声で話す。
4: 話題を変える。
Aさん(68歳、女性)は、70歳の夫と2人で暮らしている。6年前にParkinson〈パーキンソン〉病(Parkinson’s disease)と診断された。現在、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。ヤール(Yahr,M.D.)の重症度分類ステージⅢで、要介護1である。夫が付き添い、神経難病専門クリニックに杖を使って通院している。特定疾患医療受給者証を持っているが、在宅におけるサービスは利用していない。
3か月後。Aさんは入浴中に夫が見ている前で転倒したが、外傷はなかった。その話を聞いた主治医から、安全な入浴ができるように、訪問看護師に依頼があった。 訪問看護師が、訪問時にアセスメントする項目で最も優先するのはどれか。
1: 浴室の室温
2: ADLの日内変動
3: 夫の入浴介助の様子
4: 居室から浴室までの距離
Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。
医師の診察までに救急外来の看護師が行う対応として適切なのはどれか。
1: Aさんの在留資格を確認する。
2: Aさんの母国の大使館に連絡する。
3: Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取する。
4: 妻が来院するまでAさんに待合室で待ってもらう。
介護老人保健施設はどれか。
1: 医業を行い、20 名以上の患者が入院できる施設
2: 医業を行い、患者が入院できるための設備が無い施設
3: 要介護者が入所し、必要な医療や日常生活の援助を受ける施設
4: 認知症の要介護者が共同生活をしながら、日常生活の援助を受ける施設
Aさん(76歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。これまで健康に生活しており、登山会への参加を趣味にしていた。3週前に、散歩中に転び、殿部から腰背部にかけての痛みがあったが様子をみていた。Aさんは痛みのため臥床して過ごすことが多くなり、次第に足に力が入らず立ちあがりも困難になった。食事は夫が購入した弁当を残さず食べていた。 2日前から1日中臥床するようになったため、夫の介助で受診し、腰椎圧迫骨折(lumbar compression fracture)と診断され入院した。
Aさんの経過は順調で歩行機能も回復したため、退院することになった。退院直後の生活指導として適切なのはどれか。
1: 登山への参加
2: 散歩の再開と継続
3: 居室内リフトの設置
4: 体幹の回旋運動の実施
Aさん(82歳、男性)は、4年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)の診断を受けた。要介護4で、1年前からグループホームで生活している。高血圧症(hypertension)に対して持続性カルシウム拮抗薬を内服している。他に治療を必要とする疾患は認められない。 1週前から夜はほとんど眠らず、居間のソファに腰かけたり、歩き回ったりする状態が続いている。昼間もベッドに横になることはない。食欲が低下してきたが、先月よりも体重は2kg増加している。
Aさんは症状が改善し、退院することになった。病棟看護師がグループホームの職員と家族とに指導すべき内容として最も適切なのはどれか。
1: 「深呼吸を練習させてください」
2: 「足のむくみを観察してください」
3: 「蛋白質の少ない食事にしてください」
4: 「水分を1日1,500 ml以上摂(と)らせてください」
Aさん(24歳、初産婦)、事務職。妊娠8週である。現在、両親と妹との4人で暮らしている。パートナーは24歳の大学院2年生で就職が内定しており、Aさんと結婚する予定である。
妊娠16週の妊婦健康診査で、Aさんは「母親になる実感はまだありません。妊娠するといろいろなことが起こって驚くばかりです」と話した。妊娠経過は順調である。既にパートナーと結婚し、新居に引っ越している。 Aさんへの指導で最も優先度が高いのはどれか。
1: 保育所の選択
2: 育児用品の準備
3: バースプランの立案
4: 出産準備教室への参加
Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。
入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療についての話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。 このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか。
1: 催眠療法
2: 作業療法
3: 認知行動療法
4: 就労移行支援
在宅療養者に初回訪問を行う際の訪問看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 療養者と契約書を取り交わす。
2: 緊急時の連絡方法を確認する。
3: 初回訪問前の情報収集は行わない。
4: 病院で指導された介護方法は変更しない。
5: 初回訪問日は療養者に医療的な問題が起きてから決める。
66歳の女性のAさんは、2階建ての家屋で現在1人で暮らしている。変形性股関節症(osteoarthritis of the hip)で人工股関節全置換術を受けて退院した。 Aさんの移動時の安全を確保するための訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 毛足の長い絨毯(じゅうたん)を敷くように勧める。
2: 履き物はサンダルを使用するよう勧める。
3: 2階で洗濯物を干すことを続けるよう勧める。
4: いつも買い物をする店までの移動手段を確認する。
入所者または居住者が公的保険による訪問看護サービスを受けることができるのはどれか。2つ選べ。
1: 乳児院
2: 介護老人保健施設
3: 高齢者専用賃貸住宅
4: 介護療養型医療施設
5: 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
Aちゃん(5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄のB君(3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。Aちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より39℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温39.3℃、呼吸数45/分、脈拍142/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)であった。診察と検査の結果、RSウイルスによる急性細気管支炎acute bronchiolitisと診断され、去痰薬が処方された。
入院後7日、Aちゃんは症状が軽快し、哺乳量も増加して翌日の金曜日に退院が決定した。母親は「Aはだいぶ元気になりました。でもBが泣いたり、かんしゃくをおこしたりすることが増えているようです。どうしたらいいでしょう」と看護師に相談した。入院中、土曜日、日曜日は父親がB君の世話をしており、平日は祖父母が世話をしているとのことであった。退院時、父親は休暇をとりAちゃんと母親を迎えに来る予定である。 母親への看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 「B君のかかりつけ医に相談しましょう」
2: 「B君の保育所への入所を検討しましょう」
3: 「B君に関わる時間をたっぷりとりましょう」
4: 「お兄ちゃんだから頑張りなさいと伝えましょう」
Aさん(75歳、男性)。1人暮らし。慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉(chronic obstructive pulmonary disease)のため、2年前から在宅酸素療法を開始し、週に2回の訪問看護を利用している。訪問看護師はAさんから「最近、洗濯物を干すときに息が苦しくて疲れるが、自分でできることは続けたい」と相談された。 Aさんの労作時の息苦しさを緩和する方法について、訪問看護師が行う指導で適切なのはどれか。
1: 労作時は酸素流量を増やす。
2: 呼吸は呼気より吸気を長くする。
3: 動作に合わせて短速呼吸をする。
4: 腕を上げるときは息を吐きながら行う。
Aさん(82歳、女性)は、脳梗塞cerebral infarctionの既往があり、要介護2で、夫(85歳)と2人暮らし。訪問看護師の訪問時、Aさんは体温37.0℃、脈拍62/分、血圧100/50mmHg、少し汗をかいており、唇の乾燥がみられた。訪問看護師は、翌日予定されている訪問介護の担当者とAさんの援助の方向性について共有することにした。 共有する内容で適切なのはどれか。
1: ポータブルトイレでの排泄に変更する。
2: 水分を多めに摂取するよう促す。
3: 頻繁に寝衣を交換する。
4: 入浴介助を中止する。
親の介護を行うことになった夫婦のうち、家族発達理論に基づき介護力が最も強いと考えられるのはどれか。
1: 子どものない20代の新婚の夫婦
2: 1歳の子どもがいる30代の夫婦
3: 大学生の子どもがいる50代の夫婦
4: 子どもが独立したあとの70代の夫婦
Aさん(85歳、男性)は、 5年前に脳梗塞 (cerebral infarction) を発症し右片麻痺があり、要介護 3の認定 を受けた。Aさんの子どもは遠方に住んでおり、腰痛のある Aさんの妻(80歳)が 1 人で介護している。Aさんは、週 2日通所介護を利用している。
Aさんに優先されるサービスはどれか。
1: 訪問入浴介護
2: 夜間対応型訪問介護
3: 特定施設入居者生活介護
4: 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム