A さん(52 歳、女性、専業主婦)は、夫と 2 人の息子との 4 人で暮らしている。A さんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。 2 か月前から食欲不振と不眠が続いている。 1 か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病 (depression) と診断された。
入院後 1 か月。A さんは「私は役に立たない人間です。昔から妻や母親としての役割を果たせていませんでした」と発言している。食事は 3 分の 2 を摂取できるようになり、夜間も眠れていることから、主治医は認知療法への参加を勧めた。この時点の認知療法で修正するのはどれか。
1: 内向的な性格
2: 低下した意欲
3: A さんと息子との親子関係
4: 自分は役に立たない人間だという考え方
Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。
入院後1週が経過した。Aさんはベッドに横になりじっと窓を見つめていることが多くなった。看護師が何をしているのか話しかけると、Aさんは「死にたいと思っている」と答えた。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 話題を変える。
2: 気分転換を促す。
3: すぐに良くなると励ます。
4: 自殺しないことをAさんに約束してもらう。
Aさん( 50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。
退院後1か月。訪問看護ステーションの看護師が訪問した際、夫から「妻は痛みで苦しんでいる様子はない。トイレと食事以外は眠っていることが多く、このまま死んでしまうのでしょうか。家で看取ることができるか不安です」と相談を受けた。 夫への支援で最も適切なのはどれか。
1: 夫に頑張るよう励ます。
2: 病院に入院するよう提案する。
3: 麻薬の量を増やすことを提案する。
4: Aさんが希望する看取りの場について再度話し合う。
Aちゃん(5歳、男児)は、両親と2歳の妹と4人で暮らしている。Aちゃんは、1歳のときにてんかん(epilepsy)と診断され、抗てんかん薬を服用していた。数日前から、失禁を伴う意識消失発作がみられるようになったため、検査と治療の目的で入院した。母親によると、抗てんかん薬を飲ませるのを忘れてしまうことがあったという。Aちゃんは、幼稚園に通っており、外で遊んだり絵本を見たりすることが好きである。知的発達の遅れはみられない。
Aちゃんは、入院後、突然意識が消失して動作が止まる 10秒程度の発作が1日に数回みられているが、その他は元気に過ごしている。Aちゃんへの看護で正しいのはどれか。
1: 排泄時には付き添う。
2: 食事はきざみ食とする。
3: ベッド上で安静とする。
4: 日中は病室を薄暗くしておく。
Aさん (43歳、男性、会社員 )は、 1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、 Aさんは、非 Hodgkin〈ホジキン〉 リンパ腫 (non-Hodgkin lymphoma)と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。 Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、 Aさんは体温 37.5℃、呼吸数 18/分、脈拍 84/分、血圧 124/64 mmHgであった。血液検査データは、赤血球 302万/μl、Hb 10.3 g/dl、白血球 6,400/μl、総蛋白 7.6 g/dlであった。
治療は正午から開始され、午後 5時ころから胸やけと悪心が出現した。その後、 Aさんは制吐薬を追加投与され、症状は軽減した。それ以降、 Aさんに悪心・嘔吐はないが、翌日も食欲がなく、食事は 1/4程度の摂取であった。治療後 3日には症状が改善し、食事は全量摂取できた。 Aさんは「楽になったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでもちょっと気持ち悪くなる」と話す。治療後 3日までの状況を踏まえて、次回の治療時の対応で最も適切なのはどれか。
1: 治療前日の夕食を控えてもらう。
2: 治療薬の減量を医師に相談する。
3: 1日 1,000 mlの水分摂取を促す。
4: 病院食以外は食べないよう指導する。
5: 治療前の制吐薬の追加投与を検討する。
A君(8歳、男児)。公園から自転車で帰宅途中に転倒し、利き腕である右肘を強打した。疹痛と腫脹とがあり受診した。単純エックス線撮影の結果、右上腕骨顆上骨折(supracondylar fracture of the humerus)と診断され、治療のために入院した。
術後8日、上腕から手関節までギプス固定を行った。術後10日に退院し、5週後に外来で抜釘術を行う予定である。退院指導で適切なのはどれか。
1: 外での遊びに制限はない。
2: ギプスがとれるまで入浴しない。
3: 患肢に痛みがあるときは受診する。
4: 患側の指先に冷感があるときは温める。
Aさん(79歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折(compression fracture)と診断され、安静目的で入院した。 既往歴 : 5年前に大腿骨骨折(femoral fracture)。 現病歴 : 2年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。 生活歴 : 要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。
入院当日、Aさんは看護師に「ここはどこですか」と同じ質問を繰り返している。 このときの看護で最も適切なのはどれか。
1: 体幹を抑制する。
2: 家族に夜間の付き添いを依頼する。
3: ナースステーションにベッドを移動する。
4: 骨折で入院していることを繰り返し伝える。
A さん(30 歳、経産婦)は、妊娠 40 週 1 日で、妊娠経過は順調であった。本日、午後 5 時に体重 3,900 g の女児を正常分娩した。会陰縫合術を受け、分娩時出血量は400 mL であった。分娩後 2 時間のバイタルサインは、体温 37.1 ℃、脈拍 64/分、血圧 124/70 mmHg であった。排尿後の子宮底の位置は臍下 1 横指、収縮良好で帰室した。A さんは午後 8 時に夕食を全量摂取し、寝るまでに水を 500 mL 飲んだ。
産褥 5 日。A さんは、体温 37.0 ℃、脈拍 66/分、血圧 118/60 mmHg であった。子宮底の位置は恥骨結合上 3 横指で、収縮は良好であった。児の体重は 3,950 g。直接授乳を行っており、授乳後に児はよく眠っていた。A さんは「本日退院ですが、家で気をつけることは何でしょうか。教えてください」と話す。A さんに対する退院後の指導で最も適切なのはどれか。
1: 「浴槽に入って清潔にしてください」
2: 「蛋白質の少ない食事にしてください」
3: 「悪露が増えたときは受診してください」
4: 「授乳ごとに赤ちゃんへ追加のミルクを飲ませてください」
Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日に3,200gの男児を経腟分娩で出産した。分娩時に会陰切開縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。分娩時の出血量200mL、分娩所要時間12時間30分であった。分娩室から病室に帰室する前に尿意を自覚したためトイレまで歩行し、排尿があった。
帰室時に看護師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。
1: 「排泄後は会陰部を消毒しましょう」
2: 「会陰縫合部が痛くなったら温めましょう」
3: 「6時間おきにトイレに行って排尿しましょう」
4: 「悪露に血の塊が混じったら看護師に知らせてください」
Aさん(52歳、男性)は、 2か月で体重が7kg減少した。 2か月前から食事のつかえ感があるため受診した。検査の結果、胸部食道癌(thoracic esophageal cancer)と診断され、手術目的で入院した。
右開胸開腹胸部食道全摘術と胃を用いた食道再建術とが行われた。術後、人工呼吸器が装着され、術後2日目の朝に気管チューブを抜管し、順調に経過していたが、術後3日目に左下葉の無気肺(atelectasis)となった。Aさんは痰を喀出する際に痛そうな表情をするが「痛み止めはなるべく使いたくない。我慢できるから大丈夫」と話す。無気肺(atelectasis)を改善するために適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 離床を促す。
2: 胸式呼吸を勧める。
3: 左側臥位を勧める。
4: 鎮痛薬の使用を勧める。
5: 胸腔ドレーンをクランプする。
A君(8歳、男児)。公園から自転車で帰宅途中に転倒し、利き腕である右肘を強打した。疹痛と腫脹とがあり受診した。単純エックス線撮影の結果、右上腕骨顆上骨折(supracondylar fracture of the humerus)と診断され、治療のために入院した。
入院後2日。全身麻酔下で骨接合術が施行され、再び上腕から手関節までシーネ固定を行った。術後の全身状態は安定しており、夕食から食事が開始された。 このときのA君の食事摂取の方法で最も適切なのはどれか。
1: 側臥位で摂取する。
2: 流動食を摂取する。
3: 左手を使って摂取する。
4: 右手を使って摂取する。
Aさん(28歳、女性、会社員)は、結婚後1年で夫と2人で暮らしている。仕事上の役割も増えている。次回月経予定日を2週過ぎても月経がみられないため、勤務先近くの産婦人科クリニックを受診した。月経周期は28日型で、最終月経は3月2日から4日間であった。診察の結果、妊娠と診断された。
Aさんの次回の受診は4週後になった。Aさんは「数日前から朝起きたときやおなかがすいたときに吐き気がします。次の受診までに私の体にどのような変化が起こるのでしょうか」と話した。 看護師のAさんに対する説明で最も適切なのはどれか。
1: 「体がかゆくなります」
2: 「おりものが多くなります」
3: 「仰向けで寝ていると気分が悪くなります」
4: 「下肢にけいれんが起こりやすくなります」
Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫(38歳)と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌(breast cancer)の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌(breast cancer)と診断された。
Aさんは、職場の上司と相談し、仕事を継続しながら化学療法を受けることになった。2サイクル目の治療のため、化学療法センターに来院した。Aさんは「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました。仕事も休みました」と看護師に話した。 身体所見:体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)98%。 検査所見:赤血球400万/μL、Hb 12.5g/dL、Ht 37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35%)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5 g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP 0.3mg/dL。 2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要なのはどれか。
1: 脈拍数
2: 体温
3: 血圧
4: 体重
Aさん(40歳、初産婦)は妊娠経過に異常がなく、妊娠41週に陣痛発来した。分娩中に臍帯圧迫による胎児機能不全を認めたため緊急帝王切開になった。麻酔は、脊椎麻酔に硬膜外麻酔を併用した。出生した児の体重は3150g、アプガースコアは1分後7点、5分後9点であった。Aさんは、術中の経過に異常はなく、出血量400ml。術直後の検査でHb11.5g/dlであった。
術後1日目のAさんの状態は、体温37.2度、脈拍78/分、血圧110/62mmHgであり、腸蠕動音が聴取される。子宮底の位置は臍高では収縮は良好、血性悪露が中等量ある。硬膜外チューブが挿入されており、体動時に創部痛が軽度ある。 Aさんの術後1日目の看護で適切なのはどれか。
1: 禁食
2: 授乳の介助
3: ベッド上安静
4: 子宮底の輪状マッサージ
Aちゃん (生後 1か月、男児 )は、 2日前から嘔吐があり、昨日は噴水様嘔吐が 5回あったため外来を受診し入院した。 Aちゃんは体重 4,200 g、体温 36. 8℃、呼吸数 36/分、心拍数 120/分である。眼球結膜に黄染を認めない。上腹部に腫瘤を触知する。 Aちゃんの血液検査データは、赤血球 540万/μl、Ht 45%、白血球 10,100/μl、血小板 58.6万/μl、アルブミン 4.4 g/dl、Na 140 mEq/l、K 3.5 mEq/l、Cl 92 mEq/l、動脈血 pH 7.48であった。
その後も Aちゃんは嘔吐はなく体重も増加したため、硫酸アトロピンの投与方法を静脈内注射から内服に変更することになった。母親に説明する内容で最も適切なのはどれか。
1: 「授乳後に飲ませてください」
2: 「内服後に顔が赤くなることがあります」
3: 「 3日間嘔吐がなければ内服は中止になります」
4: 「便に血が混じることがありますが心配はありません」