山間部の地域で、 1 時間雨量 80 mm 以上の降雨で土石流が発生し、地域の住民は市民体育館に避難した。避難所には近くの医療機関から医師と看護師とが派遣された。
看護師の A さんは、土石流の発生直後から被災地に 1 か月派遣された。その後、病院に戻り 3 か月が経過した。A さんは勤務中に表情が乏しく考え込む様子がみられた。A さんへの看護管理者の対応として最も適切なのはどれか。
1: 忙しい部署に異動させる。
2: 仕事に専念するよう伝える。
3: すぐに忘れるものだと励ます。
4: 体験を語ることができる場を設ける。
A さん(52 歳、女性、専業主婦)は、夫と 2 人の息子との 4 人で暮らしている。A さんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。 2 か月前から食欲不振と不眠が続いている。 1 か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病 (depression) と診断された。
A さんは「いつも体がだるくて、何もしたくない。生きていても皆に迷惑がかかるだけだ」と話す。体重減少と長期間続く不眠のため、疲れ果てた様子をみせていることから、その日のうちに入院し、薬物治療が開始された。入院当日の観察項目で優先度が高いのはどれか
1: 清潔状態
2: 水分摂取量
3: 意識レベル
4: 他者との交流状況
Aさん男性、(26歳、会社員)は、高校時代に自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)の診断を受け、外来通院をしながら仕事を続けていた。これまでの職場ではストレスが少なく、規則正しい生活ができていた。しかし、1か月前に新しい職場に異動になってから生活が不規則となり、数日前より無断欠勤が続いている。同居している家族に対して Aさんは「家にいると仕事のことばかり考えてしまい眠れない。食欲もないし、環境を変えてゆっくり休みたい」と話したため、Aさんは家族とともに精神科外来を受診し、休養目的で任意入院することになった。
入院中のAさんは、面会や検査等の予定が急に変更になると混乱し、看護師に対して予定を繰り返し確認することがあった。このときのAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 文字や図を用いて説明する。
2: 確認を繰り返す理由を尋ねる。
3: 複数の情報を同時に提供する。
4: 状況を考えて行動するよう説明する。
Aちゃん(5歳、男児)は、両親と2歳の妹と4人で暮らしている。Aちゃんは、1歳のときにてんかん(epilepsy)と診断され、抗てんかん薬を服用していた。数日前から、失禁を伴う意識消失発作がみられるようになったため、検査と治療の目的で入院した。母親によると、抗てんかん薬を飲ませるのを忘れてしまうことがあったという。Aちゃんは、幼稚園に通っており、外で遊んだり絵本を見たりすることが好きである。知的発達の遅れはみられない。
Aちゃんは、入院後、突然意識が消失して動作が止まる 10秒程度の発作が1日に数回みられているが、その他は元気に過ごしている。Aちゃんへの看護で正しいのはどれか。
1: 排泄時には付き添う。
2: 食事はきざみ食とする。
3: ベッド上で安静とする。
4: 日中は病室を薄暗くしておく。
Aさん (32歳、男性、会社員 )は、 2年前にうつ病 (depression)による入院歴がある。 Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、 Aさんは双極性障害 (bipolar disorder)と診断され入院した。
入院後 3日が経過した。 Aさんは自分の病室にいることはほとんどなく、自宅や会社に頻繁に電話したり、デイルームでノートに書き続けるなど、いつも忙しそうに過ごしている。食事の時間も落ち着かず、摂取量は毎食 1/3から 1/4程度である。看護師の対応で適切なのはどれか。
1: Aさんの食事を介助する。
2: Aさんが栄養指導を受けられるよう調整する。
3: Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。
4: Aさんが自分から食事をしたい気持ちになるのを待つ。
Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kgである。
6か月後の外来受診時に、同席していた長女が「甘い物ばかり食べる母を叱ってしまいます」と外来看護師に話した。Aさんは黙って話を聞いていた。前回の受診から低血糖症状はなく、体重は3kg増加した。Aさんは日中テレビを観て過ごしていることが多い。 外来看護師が別室で長女に提案する内容で最も適切なのはどれか。
1: 「糖尿病食の作り方を覚えましょう」
2: 「厳しいことを言わないようにしましょう」
3: 「甘い物をAさんから見えない場所に置きましょう」
4: 「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」
Aさん(80歳、女性)は、数年前から腰痛に悩まされ、腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis)と診断されている。他に疾患はない。ADLは自立しているが、歩くと腰が痛むため活動は控えがちである。Aさんは夫と死別して1人で暮らしている。娘が1人いるが子育てのため、娘は毎日は手伝いに来られない。
Aさんは腰痛が激しくなり、娘と一緒に受診した。 痛みを起こさないための指導で適切なのはどれか。
1: 「腰をひねる運動が効果的です」
2: 「しゃがむときは、腰を曲げずに膝を曲げましょう」
3: 「物を持ち上げるときは、体から話して持ち上げましょう」
4: 「ベッドから起きあがるときは、まずあお向けになりましょう」
A さん(88 歳、女性)は、中等度の認知症 (dementia) である。介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利用している。A さんに入浴を勧めると A さんは「風呂なんて嫌だ」と強い口調で言い、理由を聞いても話さない。このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 全身清拭する。
2: 入浴の必要性を説明する。
3: 石けんとタオルを見せる。
4: 気持ちが落ち着いてから再び入浴を勧める。
Aさん ( 17歳、女子、高校生 )は、 3か月前から月経初日に腹痛や腰痛が生じて、学校を休むようになったため婦人科を受診した。 Aさんの月経周期は 26〜34日、持続日数は 4〜 6日である。 Aさんはコーヒーを毎朝 1杯飲んでおり、運動習慣はない。 Aさんは身長 162 cm、体重 55 kgであり、既往歴に特記すべきことはない。
診察の結果、器質的病変は確認されなかった。 Aさんは「生活で何か気を付けることはありますか」と尋ねた。 Aさんへの月経時の生活指導で適切なのはどれか。
1: 安静の保持
2: 腰部の温罨法
3: コーヒー摂取量の増量
4: 腹部を締めつける下着の着用
Aさん(29歳、女性)は、20歳で短期大学を卒業するのと同時に就職したが「会社に行きたくない」と言い出して、 2か月で仕事を辞めた。その後は、自宅で何もせずに過ごしていた。昼夜逆転の生活が長く続いたが、ある日、夜遅く帰宅した父親と就職のことで激しい口論となった。それ以来、昼も夜も起きていて、食事も摂(と)らずに自室に引きこもり、ぶつぶつと独り言を言ったり、笑ったりするようになった。心配した母親に伴われて受診し、統合失調症(schizophrenia)と診断された。
退院支援グループに参加し始めてから1か月が経過し、Aさんはグループの他の参加メンバーとも打ち解けて話をするようになった。5回目の参加で、Aさんは「父親は、私の苦しさを分かってくれない。退院しても、また言い争いになりそう」と話した。 グループに参加しているAさんの担当看護師の対応で、適切なのはどれか。2つ選べ。
1: Aさんの気持ちを積極的に代弁する。
2: 終了後、Aさんに反省点を報告してもらう。
3: Aさんの話がテーマとずれないよう介入する。
4: Aさんに父親とのやり取りのロールプレイを提案する。
5: Aさんが自分の悩みを表現したことは意義があると話す。
Aさん(73歳、女性)は夫(73歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン〉病Parkinson diseaseと診断され、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。Hoehn - Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類のステージⅢ、要介護1である。夫が付き添い神経内科外来に月1回、杖歩行で通院している。外来受診のとき、Aさんは足がすくんで転びやすくなったことを主治医に相談し、レボドパ〈L-dopa〉を1日4回に増量して様子を見ることになった。Aさんと夫は薬の副作用〈有害事象〉について外来看護師に尋ねた。
1か月後の外来受診のときに、Aさんは「いつもと違う時間に入浴したら転んでしまった。怪我をしなくてよかった」と主治医に話した。主治医から勧められ、Aさんは訪問看護を週に1回利用することになった。 今後Aさんが安全な入浴をするために訪問看護師がアセスメントする内容で最も優先するのはどれか。
1: 浴室の床の素材
2: 居室から浴室までの距離
3: 転倒による打撲痕の状態
4: 日常生活動作〈ADL〉の日内変動
Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症hypertensionの内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。 ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頸部骨折femoral neck fractureと診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。
手術後14日。Aさんは、回復期リハビリテーション病棟のトイレ付きの個室に移動した。Aさんは歩行訓練を行っているが、立ち上がるときにバランスを崩しやすく「夜トイレに行こうとしてベッドから立ち上がるときに、ふらふらする。また転んでしまうのが怖い」と言っている。 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: ポータブルトイレを置く。
2: ベッドに移動介助バーを付ける。
3: ベッドの頭部側を45度挙上する。
4: 夜間はヒッププロテクターを装着する。
Aさん(52歳、女性)は、未婚で1人暮らしである。近くに親戚はいない。物が握りにくい、細かい作業ができないという症状があり、精密検査のため入院したところ、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉(amyotrophic lateral sclerosis )と診断された。
Aさんは、球麻痺症状はなく、上肢の運動障害があるが、歩行は自立している。退院調整看護師が病室で面談したところ「これからどのようになっていくのか分からない」と不安そうに訴えた。Aさんは在宅サービスの必要性を感じていなかったが、退院調整看護師は訪問看護の利用を勧め、Aさんは同意した。訪問看護に依頼する内容で、優先度が高いのはどれか。
1: 入浴の介助
2: 疾病受容の支援
3: 呼吸機能の評価
4: 上肢のリハビリテーション
A さん(38 歳、女性、パート勤務)は、腹痛のため、姉に付き添われて救急外来を受診した。診察時、身体には殴られてできたとみられる複数の打撲痕が確認された。腹痛の原因は夫から蹴られたことであった。A さんは「家に帰るのが怖い。姉には夫の暴力について話したくない」と泣いている。外来での看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 打撲痕を姉に見てもらう。
2: 配偶者暴力相談支援センターに通報する。
3: 暴力を受けたときの状況を具体的に話すことを求める。
4: A さんが日頃から夫を怒らせるようなことがなかったか聞く。
Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。
入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療についての話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。 このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか。
1: 催眠療法
2: 作業療法
3: 認知行動療法
4: 就労移行支援
Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament)と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。
Aさんは1週前から排便がなく、センノシドを毎日就寝前に継続して内服している。訪問看護師が観察すると左腹部に便塊を触れ、腸蠕動音は微弱であった。Aさんは、2日間排便がないときはピコスルファートナトリウム水和物を適宜内服するよう医師に言われているが、以前に内服して下痢になったため内服していないと話す。 看護師のAさんへの提案で適切なのはどれか。
1: 「もう少し様子をみましょう」
2: 「下剤は2種類とも飲みましょう」
3: 「便意を感じたらトイレに座りましょう」
4: 「浣腸をしてもよいか医師に確認しましょう」
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院後2か月が経過した。Aさんは独り言を言うことはあったが、他の入院患者と口論になることはなかった。作業療法士から「Aさんは手先が器用で、作業療法中は楽しそうに過ごしています」と情報を得た。退院に向けた担当看護師との面談で、Aさんは「手芸が楽しかった」「家に1人でいると寂しい」と話した。 退院に向けてAさんに提案する社会資源として適切なのはどれか。
1: 共同生活援助〈グループホーム〉
2: 短期入所〈ショートステイ〉
3: 通訳のボランティア
4: 精神科デイケア
Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害attention-deficit/hyperactivity disorder〈ADHD〉と診断された。
Aさんは予約した受診日を忘れてしまい、受診できないことが度々あった。Aさんは、これまで忘れないための工夫を何もしてこなかったと外来看護師に話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 「ご家族に予定を管理してもらいましょう」
2: 「忘れてしまった理由を考えてみましょう」
3: 「予定を忘れたことで生じる不利益を整理してみましょう」
4: 「今予約した次回の受診日をこの場で予定表に書き込みましょう」
Aさん(40歳、女性)は統合失調症(schizophrenia)で入院歴があり、退院後は共同生活援助(グループホーム)を利用していた。1週前から同じグループホームに住む女性と口論したり、夜中にグループホームから飛び出したりするようになったため、職員に付き添われて精神科病院を受診した。診察時は、Aさんは意味不明の言葉を発し、時々興奮したように大声で叫んだ。また、診察室から飛び出したり、衣服を脱いだりする行為も観察された。
診察の結果、Aさんは入院することになり、外来看護師に付き添われて閉鎖病棟に来た。病棟の入り口でドアを開けた看護師が優先的に行うのはどれか。
1: 持参した薬を確認する。
2: 病棟のホールに誘導する。
3: 他の病棟スタッフに協力を要請する。
4: 入院のオリエンテーションを実施する。
Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌(colon cancer)と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。 外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
1: 「所属部署の変更を上司に申し出ましょう」
2: 「副作用が出てから対応を考えましょう」
3: 「会社の健康管理部門に相談しましょう」
4: 「有給休暇を使って治療を受けましょう」