Aちゃん(2歳0か月、女児)。昨日から下痢と嘔吐とを繰り返し、食事が摂(と)れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎(viral gastroenteritis)と診断され入院した。入院時、体温38.2℃、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。1週前の保育所の身体計測では身長89cm、体重12.0kgであった。個室隔離とし、点滴静脈内注射による持続輸液が開始された。
入院翌日。Aちゃんは活気がなく臥床している。下痢症状は改善し嘔吐もみられなくなったが、時々顔をしかめており、母親は「まだおなかが痛いみたいです」と看護師に話す。 Aちゃんの痛みへの対応で適切なのはどれか。
1: 食事摂取を促す。
2: 日中も部屋を暗くする。
3: 1人で過ごすようにする。
4: Aちゃんが好きな絵本を読み聞かせる。
A君 (6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0 ℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎(gastroenteritis)と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5 ℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。
入院後3日になったが両親は来院できない状況が続いている。A君は下痢が改善し体温も下がり笑顔がみられるようになった。看護師が清拭しながらA君と話していると「僕がお母さんの言うことを聞かなかったから病気になっちゃったんだ」と話した。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「お母さんが悲しむからそんなことを言ってはいけないよ」
2: 「気持ちは分かるけれど病気になったのはA君のせいではないよ」
3: 「A君の言うとおりだとすると入院している子はみんな悪い子なのかな」
4: 「お母さんの言うことを聞いていたら病気にならなかったかもしれないね」
Aさん(28歳、初妊婦)は、夫(30歳、会社員)と2人暮らし。妊娠37週0日で妊婦健康診査のため来院した。身長160cm、体重62kg(非妊時体重54kg)。血圧122/74mmHg。Hb12.1g/dL、Ht36%。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下肢に軽度の浮腫を認める。子宮底長32cm、推定胎児体重2,810g。Aさんは「1時間に、1時間に2、3回お腹が張ることがありますが、休んでいるとおさまります」と言う。
Aさんは「初めての育児なので不安です。実家の母が手伝いに来てくれる予定ですが、夫は忙しくていつも22時ころにならないと帰ってきません」と言う。Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「新生児訪問指導の時に相談してください」
2: 「夫に早く帰ってきてもらうよう相談してください」
3: 「実母以外にも手伝ってくれる人をみつけましょう」
4: 「育児について不安に思っている内容を一緒に確認しましょう」
Aさん(40歳、初産婦)は妊娠経過に異常がなく、妊娠41週に陣痛発来した。分娩中に臍帯圧迫による胎児機能不全を認めたため緊急帝王切開になった。麻酔は、脊椎麻酔に硬膜外麻酔を併用した。出生した児の体重は3150g、アプガースコアは1分後7点、5分後9点であった。Aさんは、術中の経過に異常はなく、出血量400ml。術直後の検査でHb11.5g/dlであった。
術後2日目に、Aさんは「頑張ったのに、帝王切開になってしまいとても悲しいです」と話す。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 「過去のことですから忘れましょう」
2: 「お産の経過を振り返ってみましょうか」
3: 「よくあることなので気にする必要はないですよ」
4: 「赤ちゃんが元気だったのでよかったと思ってください」
Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆嚢炎(acute cholecystitis)と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3 ℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。
入院後日、妻がAさんについて「入院してからよく寝ています。時々ここが病院だとわからないようです。話しかけても気づかず、天井を眺めていることもあるし、しゃべり続けることもあります」と看護師に訴えた。Aさんのバイタルサインは、体温36.9 ℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧144/80mmHg。Aさんの状態で最も考えられるのはどれか。
1: うつ病(depression)
2: せん妄(delirium)
3: ナルコレプシー(narcolepsy)
4: 急性ストレス反応
A君(2か月、男児)は、1か月児健康診査で尿道下裂(hypospadias)の疑いを指摘され、小児科を受診した。検査の結果、遠位型尿道下裂(distal hypospadias)と診断された。主治医から母親に対し、体重の増加を待ち1歳前後で尿道形成術を行う必要性について説明があった。母親から看護師に対し「手術を受けるまでの間、どう過ごしたらよいですか」と質問があった。
A君は1歳3か月になり、尿道形成術を行うために入院した。手術当日、点滴静 脈内注射による持続点滴と尿道カテーテルが挿入された状態で帰室した。創部の陰茎全体はガーゼとフィルムドレッシング材で保護されていた。手術翌日、ガーゼに茶褐色の血液が付着していた。創部が排便で汚染されており、ガーゼを外すと創部に軽度腫脹がみられているが膿の付着はない。尿道カテーテルの周囲から尿が漏れていた。A君は「ママ」と言い不機嫌に泣いている。体温37.0℃、呼吸数28/分、脈拍120/分、血圧100/58mmHgであった。 この時点のA君の状態として最も可能性が高いのはどれか。
1: 創部痛はない。
2: 出血が続いている。
3: 創部の感染を起こしている。
4: 尿道カテーテルが閉塞している。
Aさん(78歳、男性)は、76歳の妻と娘の3人で暮らしている。Aさんは、大腸癌(colon cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、再発し、治療を行ったが効果がなく、在宅で緩和ケアを行うことになった。Aさんは腹部の癌性疼痛を訴え、オキシコドン塩酸塩徐放錠を1日2回内服している。Aさんは食べたいときに食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少してきている。妻は腰痛があり、娘は日中、仕事に出ている。
Aさんの傾眠傾向が強まり、時々無呼吸がみられるようになった。食事や水分の摂取量は少ないが、疼痛を訴えることはない。妻は「できればこのまま自宅でみていきたい」と話している。 自宅で看取るための体制として必要なのはどれか。
1: 見舞い客の制限
2: 訪問診療の導入
3: 娘の介護休暇の取得
4: 高カロリー輸液の開始
5: 家族による24時間の観察
Aさん(47歳、女性、会社員)は、夫(54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経腟超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。
Aさんはその後、順調に経過し退院した。退院後、初回の外来受診時に看護師がAさんに心配なことを尋ねると「退院のときも性生活の説明を聞きましたが、子宮がなくなって自分の身体がどう変化しているかわからないし、やっぱり性生活のことが気がかりです。夫も私の身体を気遣ってくれて、今日も一緒に病院に来てくれました」と語った。 Aさんへの性生活の説明で適切なのはどれか。
1: 術後1年までは性行為を控える。
2: 夫と別々に説明することを提案する。
3: 性行為再開後は避妊を続けてもらう。
4: 腟の乾燥に対して潤滑ゼリーを用いるとよい。
Aさん(34歳、初産婦)は、夫(37歳、会社員)と2人暮らし。事務の仕事をしている。身長157cm、非妊時体重54kg。妊娠24週4日の妊婦健康診査時の体重58kgで4週前から1.5kg増加している。血圧128/88mmHg。尿蛋白( ± )、尿糖(ー)。浮腫( ± )。Hb 10g/dL、Ht 30%。子宮底長22.5cm、腹囲84cm。胎児推定体重700g。非妊時より白色の腟分泌物は多いが、搔痒感はない。
妊婦健康診査後、Aさんは看護師に「毎朝30分、電車内で立ち続けているので職場までの通勤がとても疲れます」と話した。看護師はAさんに、就労する妊娠中の女性に関する制度について説明した。 Aさんがこの時点で取得できるのはどれか。
1: 産前休業
2: 時差出勤
3: 就業の制限
4: 所定労働時間の短縮
A さん(38 歳、女性、パート勤務)は、腹痛のため、姉に付き添われて救急外来を受診した。診察時、身体には殴られてできたとみられる複数の打撲痕が確認された。腹痛の原因は夫から蹴られたことであった。A さんは「家に帰るのが怖い。姉には夫の暴力について話したくない」と泣いている。外来での看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 打撲痕を姉に見てもらう。
2: 配偶者暴力相談支援センターに通報する。
3: 暴力を受けたときの状況を具体的に話すことを求める。
4: A さんが日頃から夫を怒らせるようなことがなかったか聞く。
Aさん(58歳、男性)は、 3年前に直腸癌 (rectal cancer) と診断され、手術を受けてストーマを造設 した。その後Aさんは直腸癌 (rectal cancer) を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部の癌性疼痛 を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院していた。 Aさんは「自宅で療養したい。痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない」と在宅療養を希望した。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を 1日 2回内服し、食事は食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少している。 Aさんの家族は 56歳の妻と他県で仕事をしている長女である。
Aさんの傾眠傾向が強まり、時々無呼吸がみられるようになった。Aさんは食事や水分の摂取量は少ないが、疼痛を訴えることはない。 Aさんの妻は「できればこのまま自宅でみていきたい」と話している。 Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
2: 24時間の継続した観察を Aさんの家族へ指導する。
3: 仕事を辞めて介護を行うように Aさんの長女を説得する。
4: 今後起こりうる身体症状の変化を Aさんの家族へ説明する。
在胎40 週0日、体重3,011gで出生した男児。出生後1分、呼吸数60/分、心拍数140/分であった。四肢を屈曲させ、刺激に対して啼泣している。体幹はピンク色、四肢にはチアノーゼがみられる。 この男児の1分後のApgar<アプガー>スコアはどれか。
1: 1点
2: 3点
3: 5点
4: 7点
5: 9点
Aさん(55歳、男性)は、仕事中に胸痛発作に襲われ、急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)で緊急入院した。入院直後に、経皮的冠状動脈形成術〈PTCA〉を受けた。
Aさんは順調に回復し、入院5日目には心臓リハビリテーションの計画に沿って、病棟内のトイレまで歩行ができるようになった。Aさんは「さっきはトイレに行ってきたけれど、調子が良いから中庭を散歩しても大丈夫ですか」と笑顔で尋ねた。その日のAさんの状態は、体温36.6度、呼吸数18/分、脈拍84/分、血圧134/84mmHGであった。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 調子が良いなら大丈夫だと話す。
2: 脈拍が90/分になるくらいのスピードで歩くよう指導する。
3: 心電図モニターの電波が届かない中庭には行けないと話す。
4: 歩行範囲は計画に沿って拡大していく必要があることを説明する。
Aさん(28歳、女性、会社員)は、結婚後1年で夫と2人で暮らしている。仕事上の役割も増えている。次回月経予定日を2週過ぎても月経がみられないため、勤務先近くの産婦人科クリニックを受診した。月経周期は28日型で、最終月経は3月2日から4日間であった。診察の結果、妊娠と診断された。
Aさんは医師から妊娠していると説明を受けた。Aさんは看護師に「初めての妊娠でうれしい。でも、任されている大きなプロジェクトが続けられなくなるため悲しくて、妊娠しなければよかったと思います」と話す。 この時期のAさんの心理状態で最も適切なのはどれか。
1: 錯乱状態である。
2: 他罰的な感情がある。
3: マタニティブルーズである。
4: アンビバレント<両価的>な感情がある。
Aさん(48歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の手術を受けた。その後、リンパ節再発と腰椎への転移が発見され、放射線治療を受けた。現在は、外来で抗癌化学治療法を受けている。癌性疼痛に対しては、硫酸モルヒネ徐放錠を内服している。 Aさんへの外来看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「吐き気がしても我慢してください」
2: 「毎日、1時間のウォーキングをしましょう」
3: 「家族に症状を訴えても心配をかけるだけです」
4: 「便秘で痛みが強くなるようなら、緩下剤で調節してください」
Aさん(25歳、初産婦)は、妊娠 40週0日に3,600 gの女児を正常分娩した。出血量は 250 ml、持続した出血はない。分娩後、 Aさんは児を見て「かわいい」と言い、授乳している。乳管口の開口数は左右 1本ずつである。分娩 2時間後、子宮底の位置は臍下 1横指で、硬度は良好であった。
産褥 5日。母児ともに経過は順調で、本日、退院予定である。Aさんの乳汁分泌は良好で自律授乳をしており、1回の授乳時間は 15分である。児は 3,690 g、昨日は排尿 8回、排便 4回であった。Aさんは「家に帰っても、このまま母乳で育てたい」と言う。このときの看護師の Aさんへの説明で正しいのはどれか。
1: 1日 6回の授乳にする。
2: 昼間は乳房に冷湿布をする。
3: 蛋白質を多く含む食品を摂る。
4: 児の排尿は 1日 1回あればよい。
Aさん ( 17歳、女子、高校生 )は、 3か月前から月経初日に腹痛や腰痛が生じて、学校を休むようになったため婦人科を受診した。 Aさんの月経周期は 26〜34日、持続日数は 4〜 6日である。 Aさんはコーヒーを毎朝 1杯飲んでおり、運動習慣はない。 Aさんは身長 162 cm、体重 55 kgであり、既往歴に特記すべきことはない。
診察の結果、器質的病変は確認されなかった。 Aさんは「生活で何か気を付けることはありますか」と尋ねた。 Aさんへの月経時の生活指導で適切なのはどれか。
1: 安静の保持
2: 腰部の温罨法
3: コーヒー摂取量の増量
4: 腹部を締めつける下着の着用
A さん(45 歳、男性)は、便に血液が混じっていたため受診した。検査の結果、直腸癌 (rectal cancer) と診断され、自律神経を部分温存する低位前方切除術が予定されている。
術後 1 日。順調に経過し、A さんは離床が可能になった。腹腔内にドレーンが 1 本留置され、術後の痛みに対しては、硬膜外チューブから持続的に鎮痛薬が投与されている。看護師が A さんに痛みの状態を尋ねると、A さんは「まだ傷が痛いし、今日は歩けそうにありません」と話す。このときの対応で最も適切なのはどれか。
1: 体動時に痛む場合は歩行しなくてよいと説明する。
2: 歩行には看護師が付き添うことを提案する。
3: 歩行練習を 1 日延期することを提案する。
4: 鎮痛薬の追加使用を提案し歩行を促す。
正常分娩した産褥2日の褥婦の状態で、順調な経過であると判断できるのはどれか。2つ選べ。
1: 後陣痛がある。
2: 乳房の緊満感がある。
3: 体温が37.6 ℃である。
4: 悪露に凝血塊が混じる。
5: 妊娠中と比べ1日の尿量が減少する。
Aさん(59歳、女性)は、午前2時ころにバットで殴られたような激しい頭痛を自覚し、嘔吐した。午前4時、Aさんは、頭痛を我慢できなくなったために、家族に付き添われて救急搬送され、緊急入院した。入院時、ジャパン・コーマ・スケール 〈JCS〉Ⅰ-1、四肢の麻痺を認めない。
開頭術後24時間が経過した。JCSⅠ-2。体温 37.5 ℃。脈拍 88/分、血圧 138/84 mmHg。呼吸数18/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(酸素吸入3l/分)。脳室ドレナージが行われている。Aさんへの看護で適切なのはどれか。
1: 両腋窩を冷やす。
2: 酸素吸入を中止する。
3: 起き上がらないように説明する。
4: 痛み刺激を与えて意識レベルを確認する。