Aさん(38歳、女性)は、大腸癌colon cancerの終末期である。癌性腹膜炎cancerous peritonitisによる症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。 退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 薬剤師
2: 言語聴覚士
3: 臨床検査技師
4: 介護支援専門員
5: ソーシャルワーカー
Aさん(32歳、経産婦)は、身長160cmで、非妊時体重は52kgであった。妊娠33週2日の妊婦健康診査では、体重59kg、血圧110/76mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、浮腫+、子宮底長は28cmである。胎児心拍の最良聴取部位は左臍棘線中央にあり、「最近、動くとおなかが頻繁に張ります。便秘がひどくなっているせいかもしれません」と言う。
2時間後にAさんは、2650gの児を娩出した。児のアプガースコアは1分後、5分後ともに9点であり、羊水混濁はなかった。出生3時間後の児の状態は、体温36.8度、心拍数145/分、呼吸数65/分で、四肢に軽度のチアノーゼが見られる。 児の状態で考えられるのはどれか。
1: 無呼吸発作(apnea attack)
2: 呼吸窮迫症候群〈RDS〉(respiratory distress syndrome)
3: 胎便吸引症候群〈MAS〉(meconium aspiration syndrome)
4: 新生児一過性多呼吸〈TTN〉(transient tachypnea of the newborn)
A さん(90 歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉病 (Alzheimer disease) で、重度の認知機能の低下がある。要介護 4 で、短期入所〈ショートステイ〉や通所介護を利用している。長年、長男夫婦が自宅で介護している。
その後、A さんは誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia) の症状が軽快し、胃瘻を造設せずに退院する予定である。家族は自宅での介護を考えていたが、長男の妻が脳出血 (cerebral hemorrhage) で入院したため、Aさんの退院先の再検討を行うことになった。A さんの退院先として最も適切なのはどれか。
1: 軽費老人ホーム
2: 介護老人福祉施設
3: 回復期リハビリテーション病棟
4: 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
Aさん(88歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で、要介護5の認定を受けている。Aさんは意思を明確に表出できない。63歳の娘が介護を行っている。娘が食事形態を工夫して摂食の援助を行ってきたが、これまでにAさんは2回の誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を起こしている。今回、3回目の誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入院し、低栄養状態を改善するための栄養管理方法の1つとして、医師が娘に胃瘻の造設を提案した。
Aさんは胃瘻を造設しないで、自宅で療養することになった。退院後に訪問診療と訪問看護とを受ける手続きをして退院した。退院後3日、訪問看護師はAさんの自宅を訪問した。 Aさんを援助するための情報で最も重要なのはどれか。
1: 身体活動性
2: 経口摂取の状況
3: 娘の調理の技術
4: 排泄介助の方法
5: 娘の胃瘻に関する知識
Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。
入院後1週が経過した。Aさんはベッドに横になりじっと窓を見つめていることが多くなった。看護師が何をしているのか話しかけると、Aさんは「死にたいと思っている」と答えた。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 話題を変える。
2: 気分転換を促す。
3: すぐに良くなると励ます。
4: 自殺しないことをAさんに約束してもらう。
Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。
入院後1か月、Aさんは「正直に言うと、今も覚せい剤を使いたいという気持ちがある。もし誘いがあったら、使いたい気持ちを抑えきれないだろう」と悩みを打ち明けた。 Aさんの状態のアセスメントとして適切なのはどれか。
1: 否認
2: 共依存
3: 身体依存
4: 精神依存
5: 離脱症状
Aさん(74歳、女性)は、右肺尖部癌(apical lung cancer)と診断され、外科的治療は困難で、外来で抗癌化学療法を実施していた。半年後、胸壁への浸潤が進行したため、抗癌化学療法目的で入院した。Aさんは5年前に夫を亡くしてからは1人暮らしをしており、入院前は、近所に住むAさんの娘が毎日訪問していた。
Aさんは抗癌化学療法を開始したが、副作用が強かったため、「治療をやめて家で過ごしたい」と希望し、退院した。退院後3日、訪問看護が開始された。 訪問看護師が今後注意すべきAさんの症状はどれか。
1: 構音障害
2: 聴力の低下
3: 片麻痺の出現
4: 上肢の強い痛み
Aさん(70歳、男性)は、65歳の妻と2人で暮らしている。Aさんは67歳のときに安静時に振戦が現れ、パーキンソン病(Parkinson’s disease)と診断された。ヤール(Yahr.M.D)の重症度分類ステージⅢで、要介護3である。Aさんの症状として、仮面様顔貌、小刻み歩行および前傾姿勢がある。歩行練習を行っており、排泄は時間がかかるが自分でできている。Aさんの長男夫婦は車で1時間のところに住んでおり、週末に様子を見にきている。Aさんは訪問看護を2週間に1回利用している。
転倒を予防するために、Aさんと妻に対して行う訪問看護師の指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: なるべく家の中で過ごす。
2: 方向転換はすばやく行う。
3: 夜間はポータブルトイレを利用する。
4: 動きが遅いときには歩行練習を増やす。
5: 歩行を開始する時は、妻がかけ声をかける。
Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8 ℃、脈拍64/分、血圧126/70 mmHg であった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140 bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。
産褥4日、Aさんの体調は回復し、退院が決定した。夫に連れられて来た長男が赤ちゃんを珍しそうに見ている。Aさんは退院後に長男の退行現象が現れることを心配している。 Aさんへの説明で適切でないのはどれか。
1: 「長男と2人きりになる時間をつくるようにしましょう」
2: 「長男と一緒に赤ちゃんのおむつを交換しましょう」
3: 「長男にしっかりするように話しましょう」
4: 「長男をほめて安心させましょう」
Aさん(82歳、男性)は、4年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)の診断を受けた。要介護4で、1年前からグループホームで生活している。高血圧症(hypertension)に対して持続性カルシウム拮抗薬を内服している。他に治療を必要とする疾患は認められない。 1週前から夜はほとんど眠らず、居間のソファに腰かけたり、歩き回ったりする状態が続いている。昼間もベッドに横になることはない。食欲が低下してきたが、先月よりも体重は2kg増加している。
Aさんは症状が改善し、退院することになった。病棟看護師がグループホームの職員と家族とに指導すべき内容として最も適切なのはどれか。
1: 「深呼吸を練習させてください」
2: 「足のむくみを観察してください」
3: 「蛋白質の少ない食事にしてください」
4: 「水分を1日1,500 ml以上摂(と)らせてください」
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。 Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。
1: 服薬心理教育
2: 食事への援助
3: 筋力トレーニングの指導
4: アサーティブトレーニングの指導
Aさん(87歳、男性)。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)と診断された。1年前に妻が亡くなってから1人で暮らしている。日常生活は問題なく送れていたが、最近Aさんは薬を飲み忘れることが増えてきたり、電話の応対ができなかったりすることがあり、日常生活に支障が出るようになった。
普段は入浴を楽しみにしていたAさんが、1週前に浴室で誤って冷たい水をかぶってしまい、それ以来「お風呂に入ると寒いから嫌だ」と言って、入浴を拒否するようになった。この日も「お風呂は寒い」と言って入浴を拒否している。看護師が浴室と脱衣室の室温を確認すると26℃〜28℃にあたためられていた。また、施設内の温度は一定に設定されており、浴室から部屋まで移動する間も寒さを感じることはなかった。 Aさんへの対応として適切なのはどれか。
1: 入浴の必要性を説明する。
2: 特殊浴槽での入浴を勧める。
3: 一緒に湯の温度を確認する。
4: 今日は入浴しなくてよいと伝える。
Aさん(56歳、男性)は、化学療法後の血液検査にて好中球数300/mm3であった。 Aさんの状態で正しいのはどれか。
1: 入浴を控える必要がある。
2: 日和見感染症(opportunistic infection)のリスクが高い。
3: 口腔ケアには歯間ブラシを用いる必要がある。
4: 化学療法の開始前と比べリンパ球数は増加している。
看護過程における情報の分析はどれか。
1: 脱水状態である。
2: 尿比重は1.030である。
3: 痛みは1~10の尺度で8である。
4: 左腓骨骨折によるシーネ固定をしている。
Aさん(25歳、初産婦)は、妊娠 40週0日に3,600 gの女児を正常分娩した。出血量は 250 ml、持続した出血はない。分娩後、 Aさんは児を見て「かわいい」と言い、授乳している。乳管口の開口数は左右 1本ずつである。分娩 2時間後、子宮底の位置は臍下 1横指で、硬度は良好であった。
産褥 5日。母児ともに経過は順調で、本日、退院予定である。Aさんの乳汁分泌は良好で自律授乳をしており、1回の授乳時間は 15分である。児は 3,690 g、昨日は排尿 8回、排便 4回であった。Aさんは「家に帰っても、このまま母乳で育てたい」と言う。このときの看護師の Aさんへの説明で正しいのはどれか。
1: 1日 6回の授乳にする。
2: 昼間は乳房に冷湿布をする。
3: 蛋白質を多く含む食品を摂る。
4: 児の排尿は 1日 1回あればよい。
先天性の重度視覚障害があるAさんは、早期胃癌(early gastric cancer)の手術目的で入院した。Aさんは妻と2人で暮らしており、自宅ではほぼ自立して日常生活を送っていた。 看護師のAさんへの入院当日の対応で最も適切なのはどれか。
1: Aさんの病室は監視モニター付きの個室にする。
2: Aさんの病室で食堂やトイレの場所などを説明する。
3: 起き上がるとスイッチが入るナースコールを設置する。
4: CT検査室への移動の際は、看護師が順路を説明しながら一緒に歩く。
Aさん(53歳、男性、会社員)は、数日前から耳鳴、めまい、耳閉感が出現し、突発性難聴sudden deafnessと診断され入院となった。副腎皮質ステロイド薬の投与で症状が改善したため退院することになった。入院前の生活習慣は、外食2回/週、飲酒(ビール700mL)/日、睡眠6時間/日、入浴1回/日、喫煙20本/日、散歩2回/週。 退院後の生活で、Aさんが控えるべき事項はどれか。2つ選べ。
1: 飲酒
2: 外食
3: 喫煙
4: 散歩
5: 入浴
A さん(52 歳、女性、専業主婦)は、夫と 2 人の息子との 4 人で暮らしている。A さんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。 2 か月前から食欲不振と不眠が続いている。 1 か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病 (depression) と診断された。
入院後 2 か月。A さんと夫は主治医と面接し、A さんは 2 週後に自宅への退院を目指すことになった。それ以来、A さんは積極的に病院から自宅への外出を繰り返すようになったが、夕方に外出から戻ってくるとすぐにベッドに入り臥床していることが多くなった。うつ病 (depression) の回復期にある A さんについて情報収集する項目で優先度が高いのはどれか。
1: 希死念慮の確認
2: 外出時の食事内容
3: 外出時の服薬状況
4: A さんの家庭の経済状況
Aちゃんは、在胎32週、体重 1,800 gで出生した。 Apgar〈アプガー〉スコアは 1分後8点、5分後9点であった。出生後 30分、体温 36.7 ℃、心拍数 150 /分、呼吸数70 /分である。保育器に収容されている。 出生から 24時間の看護として適切なのはどれか。
1: 衣類を着せて保温する。
2: 面会時に母親に抱っこを促す。
3: 心拍・呼吸を持続モニタリングする。
4: 出生6時間後から経口栄養を開始する。
Aさん(52歳、女性)は、未婚で1人暮らしである。近くに親戚はいない。物が握りにくい、細かい作業ができないという症状があり、精密検査のため入院したところ、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉(amyotrophic lateral sclerosis )と診断された。
退院後6か月が経過した。Aさんは、上肢の運動障害に加え、ろれつが回らない、言葉が出にくいといった球麻痺症状が出現してきた。歩行は自立している。Aさんは、介護保険の申請をし、要介護1に認定された。 Aさんが、この時点で利用できる介護サービスで適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 車椅子の貸与
2: 療養通所介護
3: ホームヘルパー
4: レスパイトケア
5: 意思伝達装置の給付