Aさん(23歳、男性)は、マラソンの途中で嘔吐し、意識混濁状態となり救急車で搬送された。来院時、体温39.5℃で、熱中症(heatillness)と診断された。気管挿管と人工呼吸器管理が実施された。膀胱留置カテーテルを挿入後に輸液療法を開始して、ICUに入室した。表面冷却と血管内冷却によって体温は37℃台に下降した。 既往歴 : 特記すべきことはない。 身体所見 : ICU入室時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-20。体温37.8℃、呼吸数28/分、脈拍110/分、血圧94/74mmHg。暗赤色尿を1時間で20mL認めた。 検査所見 : Hb16.8g/dL、Ht48.6%、Na130mEq/L、K6.5mEq/L、Cl100mEq/L、クレアチンキナーゼ〈CK〉48,000IU/L、尿素窒素60mg/dL、クレアチニン2.4mg/dL、AST〈GOT〉70IU/L、ALT〈GPT〉88IU/L。尿一般検査でミオグロビン陽性。胸部エックス線写真および頭部CTで異常所見なし。心電図でSTの変化はなく、洞性頻脈を認めた。
Aさんは腎不全が悪化し、持続的血液透析を1週間実施した。入院後20日が経過し、Aさんは尿量100mL/時間以上、クレアチニン1.4mg/dLとなった。気管チューブと膀胱留置カテーテルは抜去され、状態は落ち着いている。ADLは拡大し、3日後に退院することとなった。 Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。
1: 水分を制限する。
2: 蛋白質を制限する。
3: 積極的に運動する。
4: 生野菜を積極的に摂取する。
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。
Aさんは入院後7日で退院し、介護老人保健施設に入所した。現在はリハビリテーションを行っている。 退所後の再転倒を予防するためのAさんへの指導で適切なのはどれか。
1: 家の中で過ごす。
2: 歩幅を小さくして歩く。
3: 足関節の底背屈運動をする。
4: 就寝前に睡眠薬を内服する。
Aさん(88歳、男性)は、10年前に脳梗塞cerebral infarctionを発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。Aさんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻がAさんに付き添って受診した。 身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。 バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数20/分、脈拍100/分、血圧140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。 検査所見:赤血球410万/μL、白血球6,800/μL、Ht50%、総蛋白6.5g/dL、尿素窒素25mg/dL、Na150mEq/L、K3.8mEq/L、血糖値110mg/dL、CRP0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。
入院から1週が経過し、Aさんのバイタルサインなどは正常となり、食事も摂取できるようになった。Aさんの妻は「先生からそろそろ退院できるといわれましたが、夫はほとんどベッド上で過ごしており、トイレまで歩けそうにありません。これで退院できるか不安です」と看護師に話した。現在のAさんの日常生活動作〈ADL〉は、起立時にふらつきがみられ、歩行は不安定である。ポータブルトイレを使用して 排泄している。 現在のAさんの状況から、退院に向けて看護師が連携する者で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 薬剤師
2: 民生委員
3: 管理栄養士
4: 理学療法士
5: 介護支援専門員
Aさん(85歳、女性)は、要支援1で介護予防通所リハビリテーションを月2回利用している。Aさんから「最近排便が3~4日に1回しかなくて、お腹が張って困っている」と通所施設の看護師に相談があった。看護師が行うAさんへの便秘に対する助言で適切なのはどれか。
1: 毎日、朝食後に便座に座る。
2: 就寝前に水を500mL飲む。
3: 1日1万歩を目標に歩く。
4: 蛋白質を多めに摂る。
Aさんは在宅療養をしており、皮下埋め込み式ポートから高カロリー輸液を間欠的に注入している。 訪問看護師がAさんに行う日常生活の指導内容として適切なのはどれか。
1: 穿刺針の固定は不要である。
2: 抜針した当日の入浴はできない。
3: 穿刺針は一般廃棄物として処理する。
4: 刺入部の発赤を認めた場合は訪問看護師に連絡する。
Aさん (85歳、男性 )は、認知症 (dementia)である。 Aさんは肺炎 (pneumonia)で入院し、病状が改善した ため、主治医は退院を許可した。 Aさんは「家に帰りたい」と繰り返し言っているが、同居していた長男夫婦は高齢者施設への入所を希望している。このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 主治医に退院後の療養場所を決定してもらう。
2: 長男夫婦に Aさんの希望を尊重するよう話す。
3: 長男夫婦に入所が可能な高齢者施設の情報を提供する。
4: 長男夫婦が Aさんの施設への入所を希望している理由を確認する。
Aさん(38歳、女性)は、大腸癌colon cancerの終末期である。癌性腹膜炎cancerous peritonitisによる症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。 退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 薬剤師
2: 言語聴覚士
3: 臨床検査技師
4: 介護支援専門員
5: ソーシャルワーカー
Aさん(76歳、女性)は1人暮らし。脳血管疾患cerebrovascular diseaseで右半身麻痺があり、障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-2である。週に2回の訪問看護を利用している。食事の準備と介助および食後の口腔ケアのため訪問介護を利用することになった。訪問介護の担当者は、Aさんのケアについて訪間看護師に助言を求めた。 訪問看護師が訪問介護の担当者に助言する内容で正しいのはどれか。
1: 健側に頸部を回旋させ食事の介助をする。
2: 野菜は繊維に対し垂直に切って調理する。
3: 歯肉出血がみられたら口腔ケアは中止する。
4: 食事中はA さんの好きなテレビ番組を見せる。
Aさん(80歳、男性)は、20年前に大腸癌(colorectal cancer)でストーマを造設し、現在週1回の訪問看護を利用している。訪問看護師は、訪問時にAさんから「2日前から腹痛がある」と相談を受けた。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数24/分、脈拍84/分、血圧138/60mmHgである。 訪問看護師がAさんの腹痛をアセスメントするための情報で最も優先度が高いのはどれか。
1: 排便の有無
2: 身体活動量
3: 食物の摂取状況
4: ストーマ周囲の皮膚の状態
Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌(colon cancer)と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。 外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
1: 「所属部署の変更を上司に申し出ましょう」
2: 「副作用が出てから対応を考えましょう」
3: 「会社の健康管理部門に相談しましょう」
4: 「有給休暇を使って治療を受けましょう」
Aさん(58歳、男性)は、 3年前に直腸癌 (rectal cancer) と診断され、手術を受けてストーマを造設 した。その後Aさんは直腸癌 (rectal cancer) を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部の癌性疼痛 を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院していた。 Aさんは「自宅で療養したい。痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない」と在宅療養を希望した。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を 1日 2回内服し、食事は食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少している。 Aさんの家族は 56歳の妻と他県で仕事をしている長女である。
Aさんは退院後、訪問診療と訪問看護を利用することになった。訪問看護師が、Aさんと家族に説明する内容で適切なのはどれか。
1: 「お風呂に入るのはやめましょう」
2: 「自宅ではベッド上で安静にしてください」
3: 「ストーマのパウチの交換をお手伝いします」
4: 「ストーマがあるので副作用の便秘は心配ありません」
Aさん(80歳、男性)は、空腹時の胃の痛みが2週間続くため受診し、1週後に胃内視鏡検査を受けることになった。 検査を受けるAさんへの看護で適切なのはどれか。
1: 検査前日の夜に下剤を服用することを伝える。
2: 検査前に 前立腺肥大症( prostatic hyperplasia)の既往の有無を確認する。
3: 検査中は仰臥位の姿勢を保持する。
4: 検査後はすぐに食事ができることを説明する。
Aさん(68歳、女性)は、胃癌(gastric cancer)のため入院した。入院初日に「夫も癌になって、亡くなる前に痛みで苦しんでいました。私も痛みが怖いんです」と言った。看護師は、Aさんが夫のように苦しむことへの恐怖や不安があることが分かり、Aさんとともに対処法について考えた。 この時点での患者-看護師関係の段階はどれか。
1: 方向付け
2: 同一化
3: 開拓利用
4: 問題解決
Aさん(70歳、女性)。夫(72歳)と2人暮らし。慢性腎不全(chronic renal failure)のため腹膜透析を行うことになった。認知機能や身体機能の障害はない。腹膜透析について説明を受けた後、Aさんは「私のように高齢でも自分で腹膜透析をできるのか心配です。毎日続けられるでしょうか」と話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 「誰でも簡単にできます」
2: 「ご家族に操作をしてもらいましょう」
3: 「訪問看護師に毎日見守ってもらいましょう」
4: 「同年代で腹膜透析をしている人の体験を聞いてみましょう」
Aさん ( 56歳、男性 )は、進行結腸癌 (advanced colonic cancer)の術後に両側の多発肺転移が進行し、終末期 で在宅療養中であったが呼吸困難が増悪したため入院した。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は 95%であるが、安静時でも呼吸困難を訴え、浅い頻呼吸となっている。発熱はなく、咳嗽はあるが肺炎 (pneumonia)の併発はない。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 仰臥位を保つ。
2: 酸素投与は行わない。
3: モルヒネ塩酸塩の投与を検討する。
4: 安静を保つため訪室は最低限とする。
A さん(79 歳、女性)は、癌の化学療法を受けていたが、脳出血 (cerebral hemorrhage) を起こし意識不明の状態になった。A さんの家族は回復する見込みはないと医師から説明を受けた。家族は A さんの延命を望んでおり、医師と今後の治療方針を決定する前に看護師に相談した。A さんの家族への対応で最も適切なのはどれか。
1: 医師に方針を決めてもらうよう伝える。
2: 病院の倫理委員会に判断を依頼するよう伝える。
3: A さんのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉を確認するよう伝える。
4: 経管栄養法を開始することで A さんの身体の状態は維持できると伝える。
A さん(72 歳、男性)は、アパートの 1 階に 1 人で暮らしている。家族や親戚はいない。15 年前から心不全 (heart failure) のために利尿薬を毎朝内服している。半年前に要支援 2 の認定を受け、介護予防通所介護を週に 2 回利用している。早朝、A さんは玄関の外で座り込んでいるところを近所の人に発見され救急搬送された。来院時、体温37.4 ℃、呼吸数 20/分、脈拍 98/分、血圧 100/70 mmHg であった。血液検査と尿検査の結果、脱水症と診断された。
入院後 5 日。A さんの症状は改善し、明日退院する予定である。床頭台の隅に利尿薬が残っていたため看護師が質問すると、A さんは「看護師さんから薬をもらうとすぐ飲んでいるよ」と話した。また、自分の病室を間違えることが数回あった。A さんが在宅療養を継続するために、看護師が介護支援専門員へ伝える情報として優先度が高いのはどれか。
1: 生活リズム
2: 食事の摂取量
3: 服薬管理の状況
4: 脱水症の治療内容
Aさん(83歳、男性)は、脳梗塞の後遺症(cerebral infarction)で右片麻痺があり、在宅療養中である。 嚥下障害のため胃瘻を造設している。義歯を装着しているが、自分の歯が数本残っている。 Aさんの口腔ケアについて、介護者への指導で適切なのはどれか。
1: 義歯を装着したまま歯を磨く。
2: 経管栄養直後に実施する。
3: ペースト状の歯磨剤を使用する。
4: 歯垢の除去には歯ブラシを用いる。
Aちゃん(生後24日、女児)は両親と3人暮らし。母親が母子健康手帳の便色カードを見て、Aちゃんの便色が気になったため、Aちゃんを連れて近所の小児科医院を受診した。Aちゃんは在胎39週、出生体重3,100g、出生時に異常はない。 現在、混合栄養で体重は3,700gである。体温37.2℃、呼吸数36/分、心拍数108/分、整、血圧78/44mmHg。眼球結膜に黄染を認める。 血液検査結果:Hb12.6g/dL、白血球7,800/μL、血小板21万/μL、プロトロンビン時間〈PT〉88%、総ビリルビン11.3mg/dL、直接ビリルビン9.5mg/dL、AST96U/L、ALT126U/L。 紹介先の病院で腹部超音波検査を実施した結果、Aちゃんは胆道閉鎖症biliary atresiaの疑いがあり入院した。
Aちゃんは入院7日に術中胆道造影検査で胆道閉鎖症biliary atresiaと確定診断された。手術は無事に終了した。術後は絶食となり、腹腔ドレーンが挿入され、持続的点滴静脈内注射が行われている。母親は疾患や治療について理解している。術後3日、付き添っていた母親は看護師に「A はおなかが空いて泣き止まないし、私はAを抱っこもできず、何もしてあげられません。つらいです」と涙を浮かべて話した。 看護師の母親への対応で、最も適切なのはどれか。
1: 話しかけやおしゃぶりの活用など母親ができることを伝える。
2: 早期発見だったのでAちゃんは早く退院できると説明する。
3: 心療内科の受診を勧める。
4: 患者家族会を紹介する。
Aさん(85歳、女性)は、1人暮らしで、他県に住んでいる長男家族がいる。腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis)と診断されているが、ゆっくりとした動作であれば日常生活が可能であり、畑で野菜をつくることを趣味としている。
Aさんから「尿が漏れて困ります。洗濯物が増えるので、干したり取り込んだりするのが大変です。どうしたらよいでしょうか」と相談を受けた。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: テープ付き紙おむつを紹介する。
2: 背もたれ付きポータブルトイレを紹介する。
3: 介護保険の訪問介護を受けた方がよいと説明する。
4: 下着の中に入れて使う尿失禁用パッドを紹介する。