Aさん(40歳、女性)は統合失調症(schizophrenia)で入院歴があり、退院後は共同生活援助(グループホーム)を利用していた。1週前から同じグループホームに住む女性と口論したり、夜中にグループホームから飛び出したりするようになったため、職員に付き添われて精神科病院を受診した。診察時は、Aさんは意味不明の言葉を発し、時々興奮したように大声で叫んだ。また、診察室から飛び出したり、衣服を脱いだりする行為も観察された。
入院後2週、症状が安定して、意思の疎通も良好となり、興奮もみられなくなった。入院後1か月にはADLもほぼ自立していた。入院後1か月のAさんへの看護で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 長期間の入院が必要であると説明する。
2: 退院して家族と同居することを検討する。
3: 入居していたグループホームと連絡を取る。
4: 警察にAさんの退院予定日を知らせておく。
5: 服薬の自己管理を開始するためのアセスメントを行う。
午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。
A君とBさんはともに入院して治療が始まった。発災から10日後、A君、Bさんの治療経過は良好で合併症もなくバイタルサインは安定していた。Bさんから看護師に「Aは好きなお菓子を食べず、私のそばからずっと離れず甘えてきます。昨夜はおねしょをしていたようで、びっくりしました。どうしたらよいのかわかりません」と相談があった。 看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 「お母さんがしっかりしましょう」
2: 「A君が1人になる時間をつくりましょう」
3: 「A君に水分を控えるよう声をかけましょう」
4: 「A君が甘えてきたら抱きしめてあげましょう」
Aさん(82歳、女性)は、アルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer type)で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護1である。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。 身体所見:体温37.0℃、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。 検査所見:Ht 40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na 150mEq/L、尿比重1.030。
Aさんは入院し、点滴静脈内注射が開始された。Aさんの顔色は良くなり眠っているため、介護職員は施設に戻った。看護師がAさんの様子を確認するため病室へ行くと、目が覚めたAさんは「誰かいないの」と大声を出し、興奮した様子で点滴静脈内注射のラインを外そうとしていた。 看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 睡眠薬を与薬する。
2: 入院中であることを伝える。
3: 興奮が落ち着くまで身体拘束を行う。
4: 息子に退院まで付き添うよう連絡する。
5: 点滴静脈内注射のラインを見えないようにする。
Aちゃん(4歳)は、風邪で小児科外来を受診した。診察を待っている間、母親から看護師に「昼間は自分でトイレに行けるようになったのに、まだおねしょをするのですが大丈夫でしょうか」と相談があった。 看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「今は心配ないのでもう少し様子をみましょう」
2: 「夜中に1度起こしておしっこを促してください」
3: 「2時間おきにトイレに行く習慣をつけましょう」
4: 「小児専門の泌尿器科を受診した方がよいでしょう」
Aさん(56歳、男性)は、化学療法後の血液検査にて好中球数300/mm3であった。 Aさんの状態で正しいのはどれか。
1: 入浴を控える必要がある。
2: 日和見感染症(opportunistic infection)のリスクが高い。
3: 口腔ケアには歯間ブラシを用いる必要がある。
4: 化学療法の開始前と比べリンパ球数は増加している。
Aさん(48歳、男性)は、横断歩道を歩行中に乗用車に衝突され、救命救急センターに搬送された。搬送時、呼びかけに開眼せず、四肢の筋緊張が亢進していた。呼吸数30/分、脈拍60/分、血圧142/98 mmHgであった。右側頭部と右肩甲骨部の擦過傷以外に目立った外傷はなかった。
術後14 日。Aさんの意識レベルはジャパン・コーマ・スケールⅠ-2で、左上下肢に軽度の麻痺と左の視空間失認とがある。Aさんは座位を保持し、自力で食事を摂ることが可能となったが、左側の食べ物を残す様子がみられる。車椅子への移乗は看護師の介助が必要であるが、1人でベッドから降りようとする。Aさんは右利きである。 このときの適切な看護はどれか。
1: 離床センサーを設置する。
2: 右側を意識するように促す。
3: 食器をAさんの左側に配置する。
4: 残した食事は看護師が介助して口に運ぶ。
5: 視空間失認が改善してから歩行訓練を開始する。
Aさん(23歳、女性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。専門学校卒業後に就職し、仕事も順調であった。4か月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1か月ほど続いたが、通勤は続けていた。Aさんは2か月前から不眠を訴えるようになり、先月からは給料の全額を宝くじの購入に費やしてしまう行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。
入院して2か月が経過し、Aさんは服薬による治療で多弁や易怒性などの症状が改善し、落ち着いて過ごせるようになった。Aさんは治療を継続する必要性についても理解している。看護師がAさんと家族への退院指導を行うことになった。 退院指導における説明で最も適切なのはどれか。
1: 「薬の管理は家族が行ってください」
2: 「今後も定期的な入院が必要になります」
3: 「Aさんの言動の変化に気を付けましょう」
4: 「服薬していれば再発することはありません」
Aさん(63歳、男性)。BMI24。前立腺肥大症(prostatic hyperplasia)のため経尿道的前立腺切除術を受け、手術後3日で膀胱留置カテーテルが抜去された。数日後に退院する予定である。 Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 散歩を控える。
2: 水分摂取を促す。
3: 長時間の座位を控える。
4: 時間をかけて入浴する。
5: 排便時に強くいきまないようにする。
A君( 8歳、男児 )は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に病院を受診した。 1か月前に扁桃炎 (tonsillitis)に罹患した以外は既往歴に特記すべきこ とはない。扁桃炎 (tonsillitis)は抗菌薬を内服し軽快した。血液検査の結果、 溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (poststreptcoccal acute glomerulonephritis)と診断されて入院した。入院時、 A君は体温 36.8℃、呼吸 数20/分、脈拍は 80/分、整で血圧 132/80 mmHgであった。
入院後 2週間が経過した。症状は軽快したが床上安静は続いている。仲が良かった同じ病室の児が退院して、 A君はイライラして母親をたたくこともある。 A君の母親は、毎日昼食後から夕食後まで面会をしている。 A君のストレスに対する看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「家にすぐ帰れるから頑張ろう」
2: 「お母さんにずっといてもらおう」
3: 「好きなだけテレビを観ていいよ」
4: 「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」
Aさん(29歳、初産婦)は、妊娠37週0日で2,780gの男児を正常分娩で出産した。出生後5分の児の状態は、心拍数150/分、四肢を屈曲させて啼泣している。顔面を清拭されると激しく啼泣し、全身はピンク色である。
産褥4日。Aさんは、血圧112/80mmHg、脈拍76/分、Hb11.2g/dL、Ht37.0%。子宮底を臍下4横指に硬く触れる。悪露は赤褐色で少量。凝血の混入や悪臭はない。乳房は緊満しており移行乳が分泌している。Aさんは「夜中も3 時間ごとくらいに授乳をするためほとんど眠れていません」と話している。表情は穏やかである。 Aさんのアセスメントとして適切なのはどれか。
1: 貧血である。
2: 産後うつ病postpartum depressionである。
3: 子宮復古は順調である。
4: 乳汁分泌が遅れている。
Aさん(92歳、女性)は、脳梗塞cerebral infarctionの後遺症のため要介護4で、2年前から特別養護老人ホームに入所している。入所時は、日常生活は全介助で、話しかけるとうなずいたり首を振るなど自分の意思を伝えることができた。Aさんは歌が好きで、歌に関するレクリエーションには車椅子で参加し、笑顔がみられていた。家族は週1回、面会に来ていた。入所時に、Aさんは「延命処置を望まない」、家族は「できるだけ長生きしてほしい」と言っていた。 最近、ほとんど食事を摂らなくなり、閉眼していることが多く、看護師や施設職員の声かけに対する反応が徐々に鈍くなってきた。家族が面会時に声をかけると、目を開け、うなずくなどの意思表示がある。Aさんの状態から、医師と相談し看護師は看取りの準備が必要であると判断した。
3日後、Aさんは声かけに全く反応しなくなったため、看護師は死期が迫っていると判断した。 看護師が観察するAさんの状態はどれか。
1: 尿量の増加
2: 流涎の増加
3: 下痢便の出現
4: 下顎呼吸の出現
Aさん(70歳、男性)。1人暮らし。脳出血(cerebral hemorrhage)の手術後、回復期リハビリテーション病棟に入院中である。神経因性膀胱(neurogenic bladder)のため、膀胱留置カテーテルを挿入している。要介護2で、退院後は看護小規模多機能型居宅介護を利用する予定である。 退院後にAさんが行う膀胱留置カテーテルの管理で適切なのはどれか。
1: 蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせる。
2: カテーテルは大腿の内側に固定する。
3: 外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。
4: カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さない。
Aさん(58歳、女性)は、 3年前に慢性閉塞性肺疾患(chronicobstructive pulmonary disease)と診断された。3日前に38 .0℃の発熱があった。市販の総合感冒薬を内服して様子をみていたが、昨晩から黄色痰がみられ、息苦しさが増強した。外来を受診したところ肺炎(pneumonia)と診断され、入院した。入院時の状態は、体温 38.2 ℃、呼吸数28 /分、脈拍 92/分、血圧 138/72mmHg。
Aさんは、酸素吸入(1l/分)を行いながら入浴することが許可された。看護師は、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍とを測定しながら入浴の見守りを行った。測定時の結果と症状とを表に示す。 次回入浴時の対策で適切なのはどれか。
1: 脱衣時の座位の時間を延長する。
2: 今後の入浴では酸素吸入は必要ない。
3: 浴槽の湯に入る時間を 10分間確保する。
4: 身体を洗った後に休憩してから髪を洗う。
Aさん(85歳、女性)は、1人暮らしで、他県に住んでいる長男家族がいる。腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis)と診断されているが、ゆっくりとした動作であれば日常生活が可能であり、畑で野菜をつくることを趣味としている。
Aさんは、買い物の途中で急に強い腰痛が出現して動けなくなり、入院した。入院後1日。腰痛は軽減したが「また痛くなりそうで怖い。家に戻りたいけど心配です」と話す。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「痛くなれば、また入院して治療しましょう」
2: 「入院が長引くと、もっと動けなくなりますよ」
3: 「1人暮らしが心配なら息子さんと同居したらいかがですか」
4: 「自宅でも痛みが強くならないような生活の工夫を考えましょう」
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。 身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%。意識レベル清明。 検査所見:Hb 6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST(GOT)45IU/L(U/L)、AST(GOT)60IU/L(U/L)、Na 130mEq/L、K 4.2mEq/L。
Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。 Aさんの転倒要因はどれか。2つ選べ。
1: 貧血(anemia)
2: 腹水貯留
3: 肝機能低下
4: 低酸素血症(hypoxemia)
5: 低カリウム血症(hypokalemia)
Aさん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、車椅子への移乗は部分介助、要介護2である。排泄はポータブルトイレを利用している。Aさんと妻はなるべく家で過ごしたいと考え、自宅での介護はすべて妻が行っている。長女(会社員)が県内に在住しているがAさんの介護はしていない。訪問看護を週1回利用するのみで、他のサービスは利用していない。最近、妻の腰痛が悪化し、妻から訪問看護師に「主治医から介護の負担を軽減するように言われました。でも夫は家から出たくないし、私も夫をどこかに預けるのは不安です。どうしたらよいでしょうか」と相談があった。
Aさんは入院したが、状態が安定し入院後3日で退院することが決まった。長女が「父が退院したら、母の腰痛が心配なので、私が父のポータブルトイレへの移動を手伝いたいと思います。介助の方法を教えてください」と訪問看護師に相談があった。 訪問看護師が長女に指導するベッドからポータブルトイレへの移乗の介助方法で正しいのはどれか。
1: ポータブルトイレをAさんの麻痺側に設置する。
2: ベッドから立ち上がる際はAさんに前傾姿勢になってもらう。
3: Aさんの健側に立って介助する。
4: Aさんの向きを変えるときはズボンのウエスト部分を持つ。
Aさん(40歳、男性)。入院時体重65kg。既往歴に特記すべきことはなく、全身状態は良好である。胃癌(gastric cancer)のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は 450mlで輸血はされなかった。術後1日、体温37.5℃、呼吸数24/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg。Hb14.8 g/dl。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(酸素吸入3l/分)。尿量50ml/時。創部のドレーンからは少量の淡血性排液がある。硬膜外持続鎮痛法が行われているが、創痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。
術後1日のAさんのアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 体温の上昇は感染による。
2: 脈拍の増加は貧血による。
3: 血圧の上昇は麻酔の影響による。
4: 酸素飽和度の低下は創痛による。
5: 尿量の減少は循環血液量の減少による。
Aさん(55歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。進行性の多発性硬化症(multiple sclerosis)で在宅療養をしている。脊髄系の症状が主で、両下肢の麻痺、膀胱直腸障害および尿閉がある。最近は座位の保持が難しく、疲れやすくなってきている。排尿はセルフカテーテルを使用してAさんが自己導尿を行い、排便は訪問看護師が浣腸を行っている。夫は仕事のため日中は不在である。 Aさんの身体状態に合わせた療養生活で適切なのはどれか。
1: 入浴はシャワー浴とする。
2: 介助型の車椅子を利用する。
3: ベッドの高さは最低の位置で固定する。
4: セルフカテーテルはトイレに保管する。
Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 II-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
Aさんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ〈t-PA〉による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 I-3と改善がみられた。多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、Aさんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。 Aさんに行う経管栄養法について適切なのはどれか。
1: 白湯から開始する。
2: 開始前に胃残渣を確認する。
3: 経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する。
4: 1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcalとする。
Aさん(63歳、男性)は3年前から肺気腫pulmonary emphysemaで定期受診を続けていた。最近、歩行時の息切れが強くなってきたことを自覚し、心配になったため受診した。受診時、呼吸数は34/分で、口唇のチアノーゼがみられた。 Aさんについて正しいのはどれか。
1: 1回換気量が増加している。
2: 呼気よりも吸気を促すと効果的である。
3: 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は上昇している。
4: 病状が進行すると動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉が上昇する。