Aさん(82歳、女性)は、アルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer type)で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護1である。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。 身体所見:体温37.0℃、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。 検査所見:Ht 40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na 150mEq/L、尿比重1.030。
Aさんは入院し、点滴静脈内注射が開始された。Aさんの顔色は良くなり眠っているため、介護職員は施設に戻った。看護師がAさんの様子を確認するため病室へ行くと、目が覚めたAさんは「誰かいないの」と大声を出し、興奮した様子で点滴静脈内注射のラインを外そうとしていた。 看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 睡眠薬を与薬する。
2: 入院中であることを伝える。
3: 興奮が落ち着くまで身体拘束を行う。
4: 息子に退院まで付き添うよう連絡する。
5: 点滴静脈内注射のラインを見えないようにする。
Aさんは、 1人で暮らしている。血管性認知症 (vascular dementia)があり、降圧薬を内服している。 要介護 1で、週 3回の訪問介護と週 1回の訪問看護を利用している。最近では、 Aさんは日中眠っていることが多く、週 1回訪ねてくる長男に暴言を吐くようになっている。 Aさんの長男の話を傾聴した上で、訪問看護師の長男への対応で最も適切なのはどれか。
1: デイサービスの利用を提案する。
2: Aさんを怒らせないように助言する。
3: Aさん宅に行かないように助言する。
4: 薬の内服介助をするように提案する。
Aちゃん(6か月、女児)は両親と3人暮らし。母親と小児科外来に来院した。母親は「Aは昨日高さ30cmのソファから転落して泣いていました。今朝になっても痛いのか右手を動かさないので受診しました」と看護師に話した。看護師が身体計測のためAちゃんの服を脱がせると、顔面、頭部と体幹に最近できた紫斑と、生じてから時間が経った紫斑が複数あった。さらに、両足に多数の円形の熱傷痕があった。Aちゃんは身長66.5cm(50パーセンタイル)、体重6.0kg(3パーセンタイル未満)であった。母親は看護師に「Aは毎晩夜泣きをするし、夫もAにはイライラさせられています」と話した。看護師は虐待の可能性があると考えて対応することとし、母子分離を図ることとなった。
このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 虐待にあたることを伝える。
2: 乳児期に起こりやすい事故について説明する。
3: 児童相談所に通告することへの母親の同意を得る。
4: プライバシーを保護できる個室で話を聞くと伝える。
5: 母親の代わりに父親がA ちゃんに面会できると伝える。
Aさん(59歳、女性)は、午前2時ころにバットで殴られたような激しい頭痛を自覚し、嘔吐した。午前4時、Aさんは、頭痛を我慢できなくなったために、家族に付き添われて救急搬送され、緊急入院した。入院時、ジャパン・コーマ・スケール 〈JCS〉Ⅰ-1、四肢の麻痺を認めない。
Aさんは、入院後に緊急開頭術を受けることになった。手術を受けるまでの看護で適切なのはどれか。
1: 浣腸を行う。
2: 排痰法の練習を勧める。
3: テタニー徴候を観察する。
4: 不整脈(arrhythmia)の出現に注意する。
Aさん(82歳、男性)。長男夫婦との3人暮らし。4年前に認知症(dementia)と診断された。Barthel〈バーセル〉インデックスは100点、Mini Mental State Examination〈MMSE〉は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下腿の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎(cellulitis)と診断されて入院した。入院翌日、右下腿の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症(dementia)の行動・心理症状〈BPSD〉を最小限にするための看護を計画することとした。
担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。
1: 右下腿を足浴する。
2: 右下腿を挙上する。
3: 温泉旅行の話をする。
4: Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。 身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%。意識レベル清明。 検査所見:Hb 6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST(GOT)45IU/L(U/L)、AST(GOT)60IU/L(U/L)、Na 130mEq/L、K 4.2mEq/L。
1週後、Aさんは反応がなくなり、尿量の減少、血圧の低下、下顎呼吸、チアノーゼがみられるようになり、家族が病室に集まった。「最期に何かしてあげたいけれど、何ができるのかわかりません」と看護師に話した。 家族に対する看護師の対応で最も優先順位が高いのはどれか。
1: Aさんに話しかけるように勧める。
2: Aさんの全身清拭を行うように勧める。
3: Aさんの背部にクッションを入れるように勧める。
4: Aさんの好んでいた服に着がえさせるように勧める。
Aさん(47歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で20年間精神病院に入院している。父親はすでに亡くなっており、80歳になる母親は病気がちのため、面会は年に1回程度である。Aさんは看護師の声かけに応じて、月に1回の病棟レクリエーションや週に2回の作業療法に参加している。それ以外の時間はほとんど病室のベッド上で寝て過ごしている。発病以来、薬物療法を続けており、時々飲み忘れることはあるが、ほぼ自己管理できている。病状は安定していることから、退院の話が出るようになった。
Aさんは、これまで1人暮らしの経験はなく、自宅への退院を希望している。母親は電話で、「帰ってくるのはいいけれど、自分も体がつらくて、息子の世話までできない。日中、息子が出掛ける場所があるとよいのですが」と話している。 Aさんに勧める社会資源として適しているのはどれか。2つ選べ。
1: 福祉ホーム
2: 精神科デイケア
3: ショートステイ
4: ホームヘルプサービス
5: 公共職業安定所〈ハローワーク〉
Aさんは、要介護2で在宅療養をしている。仙骨部に2cm×3cmの水疱を形成した。この1週間、臥床していることが多くなり、食事摂取量も減ってきている。 訪問看護師がAさんの家族に行う提案として適切なのはどれか。
1: 体圧分散マットの使用
2: 膀胱留置カテーテルの留置
3: 夜間の2時間ごとの体位変換
4: 訪問介護への褥瘡処置の依頼
Aさん(42歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で入院中だが、3ヶ月の治療で症状が改善したため、退院することになった。Aさんは、統合失調症(schizophrenia)で数回の入院経験があるが、前回の退院後に拒薬がみられたため、今回は2週間に1回の訪問看護が計画されている。Aさんはアパートで1人で暮らしている。身体的な疾患はない。
ある日、看護師が訪問時刻に遅れてしまったが、Aさんは電話の設置をいやがっていたため、連絡がとれなかった。看護師が15分遅れでAさんの家に到着し、すぐに謝ったが、Aさんは「バカにしているなら帰れ」と怒鳴った。 看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 電話を設置してほしいと依頼する。
2: そんなに怒らなくてもよいと話す。
3: Aさんを心配していることを伝える。
4: 遅刻の話題には触れず、訪問活動を続ける。
A君(2か月、男児)は、1か月児健康診査で尿道下裂(hypospadias)の疑いを指摘され、小児科を受診した。検査の結果、遠位型尿道下裂(distal hypospadias)と診断された。主治医から母親に対し、体重の増加を待ち1歳前後で尿道形成術を行う必要性について説明があった。母親から看護師に対し「手術を受けるまでの間、どう過ごしたらよいですか」と質問があった。
A君は、手術を受けて1週が経過した。全身状態が安定したため、尿道カテーテルが抜去された。医師から母親に「3日間、経過を観察し、問題がなければ退院できます。退院1か月後に外来を受診してください」と説明があった。退院から外来受診までの日常生活の留意点に関して看護師が母親へ指導することになった。 指導で適切なのはどれか。
1: 「水分は控えましょう」
2: 「入浴は避けましょう」
3: 「1日1回導尿をしましょう」
4: 「腹ばいの姿勢は避けましょう」
Aさん(55歳、男性)。胃癌(gastric cancer)のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は300mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長166cm、体重78kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1℃、呼吸数22/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(鼻カニューラ2L/分 酸素投与下)。Hb13.8g/dL。尿量60mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが膿性ではなく、異臭もない。
手術後14日、Aさんは食後に出現していた症状が落ち着き、退院が決まった。 Aさんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。
1: 1回の食事量を増やす。
2: 海草を積極的に摂取する。
3: 食後の冷汗が出現した際には身体を温める。
4: 空腹時はコーヒーなどの刺激物の摂取を避ける。
Aさん(28歳、初妊婦)は、夫(30歳、会社員)と2人暮らし。妊娠37週0日で妊婦健康診査のため来院した。身長160cm、体重62kg(非妊時体重54kg)。血圧122/74mmHg。Hb12.1g/dL、Ht36%。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下肢に軽度の浮腫を認める。子宮底長32cm、推定胎児体重2,810g。Aさんは「1時間に、1時間に2、3回お腹が張ることがありますが、休んでいるとおさまります」と言う。
妊婦健康診査後、Aさんは「数日前から頻回に尿意を感じるようになり、夜間もトイレへ行くために目が覚め、よく眠れない」と看護師に訴えてきた。Aさんに排尿時痛および残尿感はない。Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 水分摂取を促す。
2: 骨盤底筋群の運動を促す。
3: 分娩後には改善する可能性が高いと説明する。
4: 睡眠薬の処方について医師に相談すると伝える。
Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害attention-deficit/hyperactivity disorder〈ADHD〉と診断された。
Aさんは予約した受診日を忘れてしまい、受診できないことが度々あった。Aさんは、これまで忘れないための工夫を何もしてこなかったと外来看護師に話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 「ご家族に予定を管理してもらいましょう」
2: 「忘れてしまった理由を考えてみましょう」
3: 「予定を忘れたことで生じる不利益を整理してみましょう」
4: 「今予約した次回の受診日をこの場で予定表に書き込みましょう」
A さん(14 歳、男子、中学生)は、両親と弟( 7 歳)との 4 人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー (Duchenne muscular dystrophy) で 2 年前に誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia) を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。A さんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。A さんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由 1 級)が交付されている。
退院後 6 か月。A さんは特別支援学校に通学している。弟の小学校でインフルエンザが例年より早い時期から流行し始めた。弟はインフルエンザの予防接種を受けていた。A さんの母親は「A にインフルエンザがうつらないか心配です」と訪問看護師に話した。母親への訪問看護師の助言として最も適切なのはどれか。
1: 「A さんを隔離しましょう」
2: 「ショートステイを利用してみましょう」
3: 「予防接種について主治医に相談してみましょう」
4: 「弟さんは予防接種を受けているので A さんにはうつりませんよ」
Aちゃん ( 2歳 4か月、女児 )は、母と会社員の父と 3人で暮らしている。 Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。 3か月前に、誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia)を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。 Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳 (肢体不自由 1級 )を所持している。
Aちゃんの母親から「家で育てることがこんなに大変だとは思わなかった。疲れました」と訪問の際に訴えがあった。 Aちゃんの母親の話を聞いた後の訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1: 「すぐに入院ができる病院を探します」
2: 「お母さんが頑張らないと駄目ですよ」
3: 「お父さんに休職してもらいましょうか」
4: 「ヘルパーさんに来てもらうことを検討しましょうか」
Aさん(82 歳、女性)は、要支援2である。Aさんの屋内での転倒予防と自立の促進のため、自宅で介護する家族への指導で適切なのはどれか。
1: 車椅子での移動とする。
2: 移動時にスリッパを使用する。
3: 手すりがない場所での歩行を避ける。
4: 移動の前に立ちくらみの有無を確認する。
Aさん(82歳、女性)は息子(57歳、会社員)と息子の妻(55歳、パート勤務)との3人暮らし。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症Alzheimer diseaseと診断され、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護2である。Aさんの介護は、主に息子の妻が行っていた。Aさんは、声かけがあれば日常生活動作〈ADL〉を自分で行うことができた。しかし、Aさんは徐々に認知症が重度化し、1人で外出すると帰ってくることができなくなり、夜間に落ちつきなく動き回ることが多くなった。息子と息子の妻はAさんの介護について介護支援専門員に相談していたが、息子の妻は睡眠不足となり、体調を崩してしまった。そのため、Aさんは介護老人保健施設に入所することになった。
看護師からAさんに施設について説明したが、その後もAさんは「ここはどこ」と繰り返し聞いていた。息子の妻は「私がやらなければいけないことは何ですか」と聞いてきた。 息子の妻に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「面会に来てください」
2: 「家族会に参加しましょう」
3: 「まずは休息をとりましょう」
4: 「認知症への対応を覚えましょう」
A さん(80 歳、女性)は、 1 人で暮らしている。内科と整形外科とを受診しているが、 2 週前から内服薬の飲み間違いがあり、主治医から訪問看護師に服薬管理の依頼があった。A さんがセルフケアを維持して内服するための訪問看護師の服薬管理の支援で最も適切なのはどれか。
1: 内服薬は薬局から訪問看護師が受け取る。
2: 自宅での内服薬の保管場所を分散する。
3: 内服指導を診療科ごとに依頼する。
4: 内服薬を 1 回分ごとにまとめる。
Aさん(79歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折(compression fracture)と診断され、安静目的で入院した。 既往歴 : 5年前に大腿骨骨折(femoral fracture)。 現病歴 : 2年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。 生活歴 : 要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。
入院後3週、Aさんはコルセットを装着し、杖を使ってゆっくり歩けるようになった。翌週には自宅へ退院することが決まった。 Aさんの退院に向けて、Aさんと長男夫婦への指導内容で適切なのはどれか。
1: 自宅ではコルセットを外してよい。
2: 家の中での日常生活行動を積極的に行う。
3: 5,000歩程度のウォーキングを毎日行う。
4: ビタミンB1の多い食品を積極的に摂取する。
一般病床の看護職員の配置基準は、入院患者【 】人に対して看護師及び准看護師人と法令で定められている。 【 】に入るのはどれか。
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4: 6