Aさん(88歳、男性)は、10年前に脳梗塞cerebral infarctionを発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。Aさんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻がAさんに付き添って受診した。 身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。 バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数20/分、脈拍100/分、血圧140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。 検査所見:赤血球410万/μL、白血球6,800/μL、Ht50%、総蛋白6.5g/dL、尿素窒素25mg/dL、Na150mEq/L、K3.8mEq/L、血糖値110mg/dL、CRP0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。
Aさんの状態をアセスメントするために、外来看護師が収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。
1: 口渇感
2: 呼吸音
3: 尿比重
4: 腹部膨満感
Aさん(82歳、男性)。長男夫婦との3人暮らし。4年前に認知症(dementia)と診断された。Barthel〈バーセル〉インデックスは100点、Mini Mental State Examination〈MMSE〉は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下腿の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎(cellulitis)と診断されて入院した。入院翌日、右下腿の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症(dementia)の行動・心理症状〈BPSD〉を最小限にするための看護を計画することとした。
担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。
1: 右下腿を足浴する。
2: 右下腿を挙上する。
3: 温泉旅行の話をする。
4: Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。
Aさん(92歳、女性)は、脳梗塞cerebral infarctionの後遺症のため要介護4で、2年前から特別養護老人ホームに入所している。入所時は、日常生活は全介助で、話しかけるとうなずいたり首を振るなど自分の意思を伝えることができた。Aさんは歌が好きで、歌に関するレクリエーションには車椅子で参加し、笑顔がみられていた。家族は週1回、面会に来ていた。入所時に、Aさんは「延命処置を望まない」、家族は「できるだけ長生きしてほしい」と言っていた。 最近、ほとんど食事を摂らなくなり、閉眼していることが多く、看護師や施設職員の声かけに対する反応が徐々に鈍くなってきた。家族が面会時に声をかけると、目を開け、うなずくなどの意思表示がある。Aさんの状態から、医師と相談し看護師は看取りの準備が必要であると判断した。
Aさんは、食事を全く食べず、水分も取らなくなり、皮膚も乾燥してきた。家族は毎日面会にきて声をかけているが、反応がなくなってきた。 Aさんが死に向かう中で、穏やかに過ごすための援助で適切なのはどれか。
1: 好きな音楽をかける。
2: 輸液療法を検討する。
3: 家族の面会を制限する。
4: 皮膚の清潔ケアを頻回に行う。
Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠8週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだけで吐き気がします」と話している。
このときの妊婦健康診査で「妊娠することは考えていなかったので、これから自分の体にどういうことが起こるのか分かりません」とAさんから相談があった。看護師は、次の妊婦健康診査までに生じやすい変化について説明することにした。 Aさんに生じやすいのはどれか。
1: 痔
2: 便秘
3: 腰痛
4: 静脈瘤
Aさん(17歳、高校生)。身長158cm、体重48kg。Aさんは最近、月経時に下腹部痛が繰り返し出現し、寝込むことが多くなった。心配した母親と一緒に、Aさんは産婦人科クリニックを受診し、医師から機能性月経困難症(functional dysmenorrhea)と診断された。既往歴に特記すべきことはない。
Aさんは「次の月経からは、痛みがあれば、処方された鎮痛薬を飲むようにします。部活動で毎日ジョギングをしていますが、その他に日常生活で気を付けることを教えてください」と看護師に聞いてきた。 このときの看護師の指導で適切なのはどれか。
1: 運動量を増やす。
2: 下腹部を温める。
3: 葉酸を含む食品は控える。
4: 腰部のマッサージは控える。
Aさん(68 歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)(ALS)のため在宅療養中で、 気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護5の認定を受けている。 Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。
1: 医療保険から給付される。
2: 特別訪問看護指示書を受けて実施される。
3: 複数の訪問看護事業所の利用はできない。
4: 理学療法士による訪問は給付が認められない。
Aさん(80歳、男性)は、(妻80歳)と2人暮らし。血管性認知症(vascular dementia)でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護2。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。
入所初日の夜、Aさんはトイレに行った後、入所者Bさんの部屋に入ったという夜勤者からの申し送りがあった。
1: Aさんの部屋の前にAさんが認識しやすい目印を掲示する。
2: 夜間は2時間ごとにAさんを起こしてトイレに誘導する。
3: 夜間は尿器を使用することをAさんに勧める。
4: AさんとBさんの部屋を入れ替える。
Aさん(50歳、女性)は右乳癌(breast cancer)と診断され、手術を受けるために入院した。Aさんは夫を3年前に腎臓癌(kidney cancer)で亡くしたが、貸しビル業を引き継いでおり、経済的な問題はない。趣味はテニスである。
抗癌化学療法が終了し、1年半が経過した。Aさんは肋骨と脳に転移が疑われ、精密検査の目的で再び入院した。Aさんは、「もうテニスはできないでしょうね。何を楽しみにすればいいのでしょう。早く夫のそばにいきたいです」と涙を流した。 Aさんが現在感じている苦痛に最もあてはまるのはどれか。
1: 貸しビル業を続けることの苦痛
2: 生きる目的を問うスピリチュアルな苦痛
3: 手術や化学療法を受けたことによる身体的な苦痛
4: 社会的な役割が果たせないことによる社会的な苦痛
Aさん(52歳、男性)は、 2か月で体重が7kg減少した。 2か月前から食事のつかえ感があるため受診した。検査の結果、胸部食道癌(thoracic esophageal cancer)と診断され、手術目的で入院した。
その後、順調に回復し、術後3週目に退院する予定となった。退院後の食事の指導で適切なのはどれか。
1: 「蛋白質を控えた食事にしてください」
2: 「食事は1日3回にしてください」
3: 「食事は時間をかけて食べてください」
4: 「食事の前にコップ1杯の水分を摂(と)るようにしてください」
5: 「食後は横になって過ごしてください」
A市に住むBさん(40歳、経産婦)は、妊娠20週0日である。夫(42歳、会社員)、長女のCちゃん(5歳)の3人暮らし。朝食を終えた午前8時、大規模災害が発生し、夫は倒壊した家屋に両下肢が挟まれ身動きがとれなくなった。一緒にいたBさんとCちゃんは無事だったが、慌てるBさんのそばでCちゃんは泣きながら座りこんでいた。午前10時、夫は救助隊に救出されたが、下肢の感覚はなくなっていた。 病院に搬送された夫は、その日のうちに入院となった。
被災当日にBさんはCちゃんとともに避難所に入所した。被災後1日、Bさんは巡回してきた看護師に「今妊娠20週目ですが、おなかが張ることがあります」と話した。 看護師が確認する項目で優先度が高いのはどれか。
1: 下肢の浮腫の程度
2: 食事の摂取状況
3: 性器出血の有無
4: 排泄状況
Aさん(52歳、男性)は、 2か月で体重が7kg減少した。 2か月前から食事のつかえ感があるため受診した。検査の結果、胸部食道癌(thoracic esophageal cancer)と診断され、手術目的で入院した。
右開胸開腹胸部食道全摘術と胃を用いた食道再建術とが行われた。術後、人工呼吸器が装着され、術後2日目の朝に気管チューブを抜管し、順調に経過していたが、術後3日目に左下葉の無気肺(atelectasis)となった。Aさんは痰を喀出する際に痛そうな表情をするが「痛み止めはなるべく使いたくない。我慢できるから大丈夫」と話す。無気肺(atelectasis)を改善するために適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 離床を促す。
2: 胸式呼吸を勧める。
3: 左側臥位を勧める。
4: 鎮痛薬の使用を勧める。
5: 胸腔ドレーンをクランプする。
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。
外来受診時にAさんの妻から外来看護師に「人で協力してインスリン注射することには慣れてきました。たまには夜に夫とゆっくり和食を食べに行きたいのですが、外出時の注射で気を付けることを教えてほしい」と相談があった。Aさんと妻への外来看護師の指導内容で適切なのはどれか。
1: 「お店に着いたらすぐに注射を打ちましょう」
2: 「インスリンを常温で持ち運ぶことはできません」
3: 「注射ができる場所をお店の人に確認しましょう」
4: 「普段よりもインスリン量を増やす必要があります」
Aさん(42歳、女性)は、3日前から微熱と強い全身倦怠感を自覚したため病院を受診したところ、肝機能障害が認められ、急性肝炎(acute hepatitis)の診断で入院した。1か月前に生の牡蠣(かき)を摂取している。Aさんはこれまで肝臓に異常を指摘されたことはなく、家族で肝臓疾患を罹患した者はいない。 Aさんが罹患した肝炎について正しいのはどれか。
1: 細菌感染である。
2: 劇症化する危険性がある。
3: 慢性肝炎(chronic hepatitis)に移行しやすい。
4: インターフェロン療法を行う。
Aさん(81歳、女性)は、1人暮らし。7年前から糖尿病(diabetes mellitus)、高血圧症(hypertension)、便秘症(constipation)で病院の内科に定期的に通院しており、近所に住む長女が時々様子を見に来ていた。本日、長女がAさん宅を訪ねたところ、Aさんは床に倒れて起き上がれなくなっていた。受診の結果、胸椎と腰椎の圧迫骨折(compression fracture)で病院に入院した。入院時、Aさんは病棟看護師に「朝食は食べていません。朝の薬を飲んだと思うが、はっきり覚えてません。家に帰ればわかります」と話した。病棟看護師が体のことで心配なことはあるかを問うと「この半年で体重が2kg減りました。最近は疲れやすく歩くのもゆっくりで、握力も弱くなり荷物を持つのがつらいです。このまま寝たきりになるのではないかと不安です」と話した。内科のカルテには1か月前の計測で身長150cm、体重41kgと記載されていた。入院時のバイタルサインは、体温36.6℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧144/88mmHg。血糖値114mg/dLで、軽度の皮膚湿潤があった。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは29点であった。
入院後、Aさんに活性型ビタミンD製剤と鎮痛薬、胃薬が追加で処方された。追加された薬の説明は薬剤師から受けていたが、Aさんは病棟看護師に「薬は飲みたくない」と訴えた。 Aさんの訴えに対して病棟看護師が行う対応で最も適切なのはどれか。
1: 医師に相談する。
2: 薬を一包化する。
3: 服薬の必要性を説明する。
4: 服薬に対する思いを聞く。
5: 薬剤師に説明してもらう。
Aさん(65歳、男性)は、右下葉の肺癌(lung cancer)(T3N2M0)と診断され、抗癌化学療法(シスプラチン+エトポシド)1クール4日間を4クール行うことになった。入院時のAさんは、体温36.2度、呼吸数18/分、脈拍72/分、血圧124/74mmHgであった。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は98%で、咳嗽が時々みられるが、痰の喀出はなく、胸部の聴診にて副雑音はない。Aさんの血液検査の結果は、白血球5600/μl、アルブミン3.7g/dl、CRP0.3mg/dlであった。Aさんは20歳のころから毎日20本の煙草(たばこ)を吸っていたが、60歳のときに禁煙した。
Aさんの入院時の状態で正しいのはどれか。
1: 喫煙指数(ブリンクマン指数)は60である。
2: 肺炎(pneumonia)の徴候がみられる。
3: 低栄養の可能性がある。
4: リンパ節転移がある。
Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害attention-deficit/hyperactivity disorder〈ADHD〉と診断された。
診察後、Aさんの両親は「親としてどうしたら良かったのでしょうか、私たちの育て方に問題があったのでしょうか」と外来看護師に話した。 このときのAさんの両親への対応として適切なのはどれか。
1: 「Aさんは育てにくいお子さんでしたね」
2: 「職場の環境が悪かったことが原因です」
3: 「ご両親の育て方が原因ではないと思いますよ」
4: 「もっと早くAさんの問題に気が付けばよかったですね」
80歳の男性のAさんは軽度の認知症(dementia)で、集合住宅で1人で暮らしている。喫煙習慣がある。生活環境の安全に関する訪問看護の活動で、毎回の訪問時に確認する必要があるのはどれか。2つ選べ。
1: 戸締り
2: 喫煙本数
3: 煙草(たばこ)の吸い殻処理
4: 浴室の換気システム
5: 預金通帳の保管場所
Aさん (32歳、男性、会社員 )は、 2年前にうつ病 (depression)による入院歴がある。 Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、 Aさんは双極性障害 (bipolar disorder)と診断され入院した。
Aさんは常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、 Aさんは「自分は営業職なんだから、人と話すのは得意なんだ。邪魔しないでほしい」と強い語調で言い返してくる。看護師の対応で優先されるのはどれか。
1: 家族に付き添いを依頼する。
2: Aさんを静かな場所へ誘導する。
3: Aさんに病気に関する説明をする。
4: 納得できるまで看護師に話すよう促す。
Aさん(65歳、男性)は、右下葉の肺癌(lung cancer)(T3N2M0)と診断され、抗癌化学療法(シスプラチン+エトポシド)1クール4日間を4クール行うことになった。入院時のAさんは、体温36.2度、呼吸数18/分、脈拍72/分、血圧124/74mmHgであった。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は98%で、咳嗽が時々みられるが、痰の喀出はなく、胸部の聴診にて副雑音はない。Aさんの血液検査の結果は、白血球5600/μl、アルブミン3.7g/dl、CRP0.3mg/dlであった。Aさんは20歳のころから毎日20本の煙草(たばこ)を吸っていたが、60歳のときに禁煙した。
抗癌化学療法が開始されて2日が経過した。Aさんは悪心・嘔吐、下痢が出現し、食事はほとんど取れていない。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 吐き気があるのは薬が効いている証拠だと話す。
2: 無理して食べなくてもよいと話す。
3: 嘔吐後の口腔ケアは控える。
4: 経管栄養を検討する。
Aさん72歳、(男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。 既往歴 :1年前に前立腺癌r(prostatic cancer)のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。 身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。 生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール<HDS-R>26点、Barthel<バーセル>インデックス65点。
入所後2日、Aさんは箸を使って食事をするが、いつも左側に置かれた食器には食べ残しがあった。Aさんへの対応で適切なのはどれか。
1: スプーンの使用を勧める。
2: 反復唾液嚥下テストを行う。
3: 食事の途中で食器の配置を変える。
4: 食器の下に滑り止めマットを敷く。