Aさん(64歳、男性)は肺炎pneumoniaのため抗菌薬の投与目的で入院となった。治療開始後3日に全身の皮膚、眼瞼結膜および口腔粘膜に紅斑と水疱が出現した。バイタルサインは、体温38.5℃、呼吸数24/分、脈拍80/分、血圧124/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(room air)であった。 Aさんに出現している症状から考えられる病態はどれか。
1: 後天性表皮水疱症acquired epidermolysis bullosa
2: Sjögren〈シェーグレン〉症候群Sjögren’s syndrome
3: 全身性エリテマトーデスsystemic lupus erythematosus
4: Stevens-Johnson〈スティーブンス・ジョンソン〉症候群Stevens-Johnson syndrome
A さん(52 歳、男性)は、妻と 2 人で暮らしている。妻は末期の肺癌 (lung cancer) で、今朝自宅で亡くなった。主治医が死亡診断を行った後の A さんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 葬儀を手配するよう勧める。
2: 医療機器は早急に片づけるよう勧める。
3: A さんの希望に沿って、死後の処置を行う。
4: 本日中に死亡診断書を役所に提出するよう説明する。
A さん(30 歳、経産婦)は、妊娠 40 週 1 日で、妊娠経過は順調であった。本日、午後 5 時に体重 3,900 g の女児を正常分娩した。会陰縫合術を受け、分娩時出血量は400 mL であった。分娩後 2 時間のバイタルサインは、体温 37.1 ℃、脈拍 64/分、血圧 124/70 mmHg であった。排尿後の子宮底の位置は臍下 1 横指、収縮良好で帰室した。A さんは午後 8 時に夕食を全量摂取し、寝るまでに水を 500 mL 飲んだ。
産褥 2 日の午前 10 時。A さんは「 9 時に排尿したとき、 3 cm 大の血の塊がでました。大丈夫でしょうか」と訴えた。このとき、体温 37.3 ℃、脈拍 60/分、血圧120/64 mmHg であった。子宮底の位置は臍高で軟らかく、後陣痛は増強している。乳管口の開口数は左右 3 本ずつで初乳がみられ、乳房の発赤、硬結および熱感はない。A さんの状態で最も疑われるのはどれか。
1: 産褥熱 (puerperal fever)
2: 乳腺炎 (mastitis)
3: 子宮復古不全 (subinvolution of the uterus)
4: 妊娠高血圧症候群 (pregnancy-induced hypertension)
A君(2か月、男児)は、1か月児健康診査で尿道下裂(hypospadias)の疑いを指摘され、小児科を受診した。検査の結果、遠位型尿道下裂(distal hypospadias)と診断された。主治医から母親に対し、体重の増加を待ち1歳前後で尿道形成術を行う必要性について説明があった。母親から看護師に対し「手術を受けるまでの間、どう過ごしたらよいですか」と質問があった。
A君は1歳3か月になり、尿道形成術を行うために入院した。手術当日、点滴静 脈内注射による持続点滴と尿道カテーテルが挿入された状態で帰室した。創部の陰茎全体はガーゼとフィルムドレッシング材で保護されていた。手術翌日、ガーゼに茶褐色の血液が付着していた。創部が排便で汚染されており、ガーゼを外すと創部に軽度腫脹がみられているが膿の付着はない。尿道カテーテルの周囲から尿が漏れていた。A君は「ママ」と言い不機嫌に泣いている。体温37.0℃、呼吸数28/分、脈拍120/分、血圧100/58mmHgであった。 この時点のA君の状態として最も可能性が高いのはどれか。
1: 創部痛はない。
2: 出血が続いている。
3: 創部の感染を起こしている。
4: 尿道カテーテルが閉塞している。
A さん(35 歳、男性、建設業)は、両親と 3 人で暮らしている。 3 年前の仕事中に屋根から転落して、第 12 胸髄を損傷した。 1 か月前から車で作業所に通い、作業中はほとんど車椅子に座っている。週 1 回の訪問看護を利用している。
A さんは自宅のトイレを利用している。緩下薬を内服し、 2 日に 1 回浣腸を行っている。猛暑が続く 8 月の訪問時に A さんは最近便秘がちで尿量も少ないと訪問看護師に繰り返し訴えた。A さんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 水分の摂取を促す。
2: 浣腸の回数を増やす。
3: ポータブルトイレの利用を勧める。
4: 医師に別の緩下薬の処方を依頼する。
Aさん(82歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1。日中は車椅子に座っていることが多い。Aさんの仙骨部に発赤があるのを発見したため、訪問看護師は妻にAさんへの介護方法を指導することにした。 妻に指導する内容で正しいのはどれか。
1: 「仙骨部をマッサージしましょう」
2: 「夜間は時間毎に体位変換をしましょう」
3: 「時々お尻を浮かすよう声をかけましょう」
4: 「車椅子に座らせるときは円座を使いましょう」
多発性骨転移がある終末期の大腸癌colon cancer患者(53歳、女性)が、外科病棟から緩和ケア病棟に夫に付き添われ転棟してきた。 転棟時の申し送りについて、緩和ケア病棟の看護師が外科病棟の看護師から収集する情報で最も優先すべきなのはどれか。
1: 疼痛コントロールの状況
2: 自宅の居住環境
3: 大腸癌colon cancerの術式
4: 夫の面会頻度
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。
入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。 Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。 移動の方法として適切なのはどれか。
1: 右腕を使って起き上がる。
2: しばらく座位をとってから立ち上がる。
3: 骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く。
4: ベッドの高さは腰掛けたときにつま先が床に着くよう調整しておく。
Aさん(82歳、女性)は、アルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer type)で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護1である。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。 身体所見:体温37.0℃、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。 検査所見:Ht 40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na 150mEq/L、尿比重1.030。
入院後3日。Aさんは開始された食事を全量摂取し、活気が出てきた。Aさんは自ら水分を摂ることはなかったが、看護師がお茶を勧めると、少量ずつ摂取している。体重47kg。Aさんの尿の性状は淡黄色で尿臭はなく、血液検査データは改善して基準値となったため、点滴静脈内注射が中止となり、退院が決まった。 Aさんが外来受診時と同じ状態を起こさないために、看護師が介護職員に伝える予防策で適切なのはどれか。
1: 室温は30℃に保つ。
2: 8g/日の食塩を摂取する。
3: カフェインを含む水分を摂取する。
4: 熱の放散を抑制する衣類を選択する。
5: 食事を含めて1,300mL/日の水分を摂取する。
Aちゃん ( 3歳 0か月 )は、午後から 38.0℃の発熱があったが、食事は摂取でき活気があった。夜間になり、 3回嘔吐したため救急外来を受診した。来院時、 Aちゃんは傾眠傾向にあった。診察の結果、髄膜炎 (meningitis)が疑われ、点滴静脈内注射を開始し入院した。入院時、 Aちゃんは、体温 38.5℃、呼吸数 30/分、心拍数 120/分、血圧 102/60 mmHgであった。入院時の Aちゃんへの対応で最も優先度が高いのはどれか。
1: 冷罨法を行う。
2: 水平仰臥位を保つ。
3: 意識レベルを観察する。
4: 大泉門の状態を観察する。
A さん(72 歳、男性)は、アパートの 1 階に 1 人で暮らしている。家族や親戚はいない。15 年前から心不全 (heart failure) のために利尿薬を毎朝内服している。半年前に要支援 2 の認定を受け、介護予防通所介護を週に 2 回利用している。早朝、A さんは玄関の外で座り込んでいるところを近所の人に発見され救急搬送された。来院時、体温37.4 ℃、呼吸数 20/分、脈拍 98/分、血圧 100/70 mmHg であった。血液検査と尿検査の結果、脱水症と診断された。
入院後 5 日。A さんの症状は改善し、明日退院する予定である。床頭台の隅に利尿薬が残っていたため看護師が質問すると、A さんは「看護師さんから薬をもらうとすぐ飲んでいるよ」と話した。また、自分の病室を間違えることが数回あった。A さんが在宅療養を継続するために、看護師が介護支援専門員へ伝える情報として優先度が高いのはどれか。
1: 生活リズム
2: 食事の摂取量
3: 服薬管理の状況
4: 脱水症の治療内容
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。 身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%。意識レベル清明。 検査所見:Hb 6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST(GOT)45IU/L(U/L)、AST(GOT)60IU/L(U/L)、Na 130mEq/L、K 4.2mEq/L。
Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。 Aさんの転倒要因はどれか。2つ選べ。
1: 貧血(anemia)
2: 腹水貯留
3: 肝機能低下
4: 低酸素血症(hypoxemia)
5: 低カリウム血症(hypokalemia)
Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament)と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。
Aさんへの訪問看護における身体状態の観察で、疾患に関連して最も重要なのはどれか。
1: 排尿状態
2: 上肢の筋力
3: 嚥下の状態
4: 外傷の有無
5: 下肢のしびれ
Aさん72歳、(男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。 既往歴 :1年前に前立腺癌r(prostatic cancer)のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。 身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。 生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール<HDS-R>26点、Barthel<バーセル>インデックス65点。
Aさんは排尿コントロールについて「脳梗塞(cerebral infarction)になってから、尿意を感じるとがまんできずに大量の尿が漏れてしまう。1日に何回も漏らす」と看護師に話した。Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
1: 過活動膀胱(overactive bladder)
2: 腹圧性尿失禁(stress incontinence of urine)
3: 溢流性尿失禁(overflow incontinence of urine)
4: 腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症
Aさん(75歳、女性)は、腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis)と診断されており、要介護1、障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-1である。 Aさんが介護保険による貸与を受けられる福祉用具はどれか。
1: 車椅子
2: 歩行器
3: 電動ベッド
4: 入浴用椅子
43歳の女性のAさんは、過多月経を主訴に受診し、子宮筋腫(myoma of uterus)で単純子宮全摘術を受けた。 退院指導で最も適切なのはどれか。
1: 「貧血は改善するでしょう」
2: 「性行為は今度ずっとできません」
3: 「更年期症状が現れる可能性があります」
4: 「食物繊維をとるように心がけてください」
Aさん(44歳、男性、会社員)は、20年以上の喫煙歴があり、BMI26 である。会社の健康診断で脂質異常症dyslipidemiaと高血圧症hypertensionを指摘された。 Aさんが発症する危険性が高い疾患はどれか。
1: 1型糖尿病type 1 diabetes mellitus
2: 潰瘍性大腸炎ulcerative colitis
3: 肺血栓塞栓症pulmonary thromboembolism
4: 労作性狭心症angina of effort
5: 閉塞性血栓血管炎thromboangiitis obliterans〈TAO〉
Aさん (32歳、男性、会社員 )は、 2年前にうつ病 (depression)による入院歴がある。 Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、 Aさんは双極性障害 (bipolar disorder)と診断され入院した。
入院後 3日が経過した。 Aさんは自分の病室にいることはほとんどなく、自宅や会社に頻繁に電話したり、デイルームでノートに書き続けるなど、いつも忙しそうに過ごしている。食事の時間も落ち着かず、摂取量は毎食 1/3から 1/4程度である。看護師の対応で適切なのはどれか。
1: Aさんの食事を介助する。
2: Aさんが栄養指導を受けられるよう調整する。
3: Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。
4: Aさんが自分から食事をしたい気持ちになるのを待つ。
Aさん(43歳、女性)は夫と2人暮らし。身長150cm、体重98kg。既往歴はない。先日、庭で転倒し右腓骨を骨折し、膝関節から足関節までのギプス固定をしている。来週、プレート固定術を受けることになっており、本日は夫と一緒に術前オリエンテーションに来院した。来院時のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧138/80mmHgであった。夫によると「妻は、寝ているときはいつも大きないびきと、時々無呼吸があるので、慌てて起こしている」と言う。
手術後2日。Aさんはバイタルサインも安定しているため、離床の準備を始めることになった。 初回離床時に最も注意すべき訴えはどれか。
1: 「息苦しい」
2: 「腰が重い」
3: 「痰が出る」
4: 「傷口が引きつる」
Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠8週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだけで吐き気がします」と話している。
このときの妊婦健康診査で「妊娠することは考えていなかったので、これから自分の体にどういうことが起こるのか分かりません」とAさんから相談があった。看護師は、次の妊婦健康診査までに生じやすい変化について説明することにした。 Aさんに生じやすいのはどれか。
1: 痔
2: 便秘
3: 腰痛
4: 静脈瘤