Aさん(29歳、女性)は、20歳で短期大学を卒業するのと同時に就職したが「会社に行きたくない」と言い出して、 2か月で仕事を辞めた。その後は、自宅で何もせずに過ごしていた。昼夜逆転の生活が長く続いたが、ある日、夜遅く帰宅した父親と就職のことで激しい口論となった。それ以来、昼も夜も起きていて、食事も摂(と)らずに自室に引きこもり、ぶつぶつと独り言を言ったり、笑ったりするようになった。心配した母親に伴われて受診し、統合失調症(schizophrenia)と診断された。
入院後1か月が経過し、Aさんは看護師に時々笑顔を見せるようになってきた。Aさんは「毎日が退屈」、「早く退院したい」と言うようになった。Aさんを交えたカンファレンスで、病棟で週1回行われている退院支援グループへの参加を検討した。このグループでは、対人関係や社会生活を営むのに必要なスキルの学習が行われている。 Aさんのグループ参加の目的として、最も優先度が高いのはどれか。
1: 生活リズムを整える。
2: 興奮が抑えられるようになる。
3: 退院後の日中の過ごし方を考える。
4: 他の参加者から問題点の指摘を受ける。
Aさん(92歳、女性)は、脳梗塞cerebral infarctionの後遺症のため要介護4で、2年前から特別養護老人ホームに入所している。入所時は、日常生活は全介助で、話しかけるとうなずいたり首を振るなど自分の意思を伝えることができた。Aさんは歌が好きで、歌に関するレクリエーションには車椅子で参加し、笑顔がみられていた。家族は週1回、面会に来ていた。入所時に、Aさんは「延命処置を望まない」、家族は「できるだけ長生きしてほしい」と言っていた。 最近、ほとんど食事を摂らなくなり、閉眼していることが多く、看護師や施設職員の声かけに対する反応が徐々に鈍くなってきた。家族が面会時に声をかけると、目を開け、うなずくなどの意思表示がある。Aさんの状態から、医師と相談し看護師は看取りの準備が必要であると判断した。
Aさんは、食事を全く食べず、水分も取らなくなり、皮膚も乾燥してきた。家族は毎日面会にきて声をかけているが、反応がなくなってきた。 Aさんが死に向かう中で、穏やかに過ごすための援助で適切なのはどれか。
1: 好きな音楽をかける。
2: 輸液療法を検討する。
3: 家族の面会を制限する。
4: 皮膚の清潔ケアを頻回に行う。
Aさん(24歳、初産婦)、事務職。妊娠8週である。現在、両親と妹との4人で暮らしている。パートナーは24歳の大学院2年生で就職が内定しており、Aさんと結婚する予定である。
妊娠16週の妊婦健康診査で、Aさんは「母親になる実感はまだありません。妊娠するといろいろなことが起こって驚くばかりです」と話した。妊娠経過は順調である。既にパートナーと結婚し、新居に引っ越している。 Aさんへの指導で最も優先度が高いのはどれか。
1: 保育所の選択
2: 育児用品の準備
3: バースプランの立案
4: 出産準備教室への参加
Aさん(35歳、女性)は、右肋骨の骨折で 2日前に整形外科病棟に入院した。上半身に多数の内出血のあとがあり、受け持ち看護師が Aさんに話を聞いた。Aさんは、夫は機嫌が悪いと暴力を振るい、時には投げ飛ばすこともあり、今回も夫に殴られて骨折したと話した。Aさんは、毎日面会に来る夫に非常におびえており「今話したことは夫には絶対に言わないでほしい。骨折の処置だけしてください」と言う。 Aさんは専業主婦で夫と 2人で暮らしており、近くに親類や知り合いはいない。
受け持ち看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 夫にも事情を確認する。
2: 夫の暴力について今後は話題にしない。
3: Aさんから夫に暴力をやめるように伝えることを勧める。
4: 病院から警察に通報する必要があることを Aさんに伝える。
Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。
入院2週後、Aさんは病棟生活のルールを守ることができず、それを注意した看護師に対して攻撃的になることがあった。別の看護師がAさんに理由を尋ねると「指図するような話し方をされると、暴力的だった父親を思い出し、冷静でいられなくなる」と話した。 このときAさんに起こっているのはどれか。
1: 転移
2: 逆転移
3: 躁的防衛
4: 反動形成
認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)で正しいのはどれか。
1: 光熱費は自己負担である。
2: 12人を1つのユニットとしている。
3: 看護師の配置が義務付けられている。
4: 介護保険制度の施設サービスである。
5: 臨死期は提携している病院に入院する。
A さん(14 歳、男子、中学生)は、両親と弟( 7 歳)との 4 人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー (Duchenne muscular dystrophy) で 2 年前に誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia) を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。A さんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。A さんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由 1 級)が交付されている。
退院後 6 か月。A さんは特別支援学校に通学している。弟の小学校でインフルエンザが例年より早い時期から流行し始めた。弟はインフルエンザの予防接種を受けていた。A さんの母親は「A にインフルエンザがうつらないか心配です」と訪問看護師に話した。母親への訪問看護師の助言として最も適切なのはどれか。
1: 「A さんを隔離しましょう」
2: 「ショートステイを利用してみましょう」
3: 「予防接種について主治医に相談してみましょう」
4: 「弟さんは予防接種を受けているので A さんにはうつりませんよ」
地域包括ケアシステムにおける支援のあり方で、「互助」を示すのはどれか。
1: 高齢者が生活保護を受けること
2: 住民が定期的に体重測定すること
3: 要介護者が介護保険サービスを利用すること
4: 住民ボランティアが要支援者の家のごみを出すこと
Aさん(68 歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)(ALS)のため在宅療養中で、 気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護5の認定を受けている。 Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。
1: 医療保険から給付される。
2: 特別訪問看護指示書を受けて実施される。
3: 複数の訪問看護事業所の利用はできない。
4: 理学療法士による訪問は給付が認められない。
介護保険制度における施設サービスはどれか。
1: 介護医療院サービス
2: 小規模多機能型居宅介護
3: サービス付き高齢者向け住宅
4: 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
Aさん(82歳、女性)は息子(57歳、会社員)と息子の妻(55歳、パート勤務)との3人暮らし。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症Alzheimer diseaseと診断され、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護2である。Aさんの介護は、主に息子の妻が行っていた。Aさんは、声かけがあれば日常生活動作〈ADL〉を自分で行うことができた。しかし、Aさんは徐々に認知症が重度化し、1人で外出すると帰ってくることができなくなり、夜間に落ちつきなく動き回ることが多くなった。息子と息子の妻はAさんの介護について介護支援専門員に相談していたが、息子の妻は睡眠不足となり、体調を崩してしまった。そのため、Aさんは介護老人保健施設に入所することになった。
入所して1週後。Aさんは、朝、声をかけられてもなかなか目を覚まさない。午前中は看護師が他の入所者と交流することを目的に共有スペースに誘導するが、Aさんは共有スペースの椅子に座ったまま眠ってしまい、レクリエーションヘ誘われても参加はしない。夕方から夜間にかけてAさんは活動的となり、施設の廊下を歩き職員に話しかけている。 Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 朝の入浴を勧める。
2: 日中の散歩に誘う。
3: 朝はAさんが自分で起きるまで待つ。
4: 日中は椅子に座って過ごしてもらう。
A さん(80 歳、女性)は、 1 人で暮らしている。内科と整形外科とを受診しているが、 2 週前から内服薬の飲み間違いがあり、主治医から訪問看護師に服薬管理の依頼があった。A さんがセルフケアを維持して内服するための訪問看護師の服薬管理の支援で最も適切なのはどれか。
1: 内服薬は薬局から訪問看護師が受け取る。
2: 自宅での内服薬の保管場所を分散する。
3: 内服指導を診療科ごとに依頼する。
4: 内服薬を 1 回分ごとにまとめる。
A さん(90 歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉病 (Alzheimer disease) で、重度の認知機能の低下がある。要介護 4 で、短期入所〈ショートステイ〉や通所介護を利用している。長年、長男夫婦が自宅で介護している。
A さんは、誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia) のために入退院を繰り返している。今回の入院で主治医はA さんの家族に胃瘻の造設を含めた今後の方針を説明した。A さんの長男は胃瘻の造設を希望せず、主に介護を行ってきた長男の妻は「私には決められない」と迷っている。A さんの長男の妻に対する看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1: 「あなたが A さんの立場ならどうしますか」
2: 「介護支援専門員の考えを聞いてみましょう」
3: 「私の経験から胃瘻を造らないことを勧めます」
4: 「A さんはこのような状況になったとき、どうしたいと言っていましたか」
A さん(79 歳、女性)は、癌の化学療法を受けていたが、脳出血 (cerebral hemorrhage) を起こし意識不明の状態になった。A さんの家族は回復する見込みはないと医師から説明を受けた。家族は A さんの延命を望んでおり、医師と今後の治療方針を決定する前に看護師に相談した。A さんの家族への対応で最も適切なのはどれか。
1: 医師に方針を決めてもらうよう伝える。
2: 病院の倫理委員会に判断を依頼するよう伝える。
3: A さんのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉を確認するよう伝える。
4: 経管栄養法を開始することで A さんの身体の状態は維持できると伝える。
Aさん(70歳、女性)。夫(72歳)と2人暮らし。慢性腎不全(chronic renal failure)のため腹膜透析を行うことになった。認知機能や身体機能の障害はない。腹膜透析について説明を受けた後、Aさんは「私のように高齢でも自分で腹膜透析をできるのか心配です。毎日続けられるでしょうか」と話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
1: 「誰でも簡単にできます」
2: 「ご家族に操作をしてもらいましょう」
3: 「訪問看護師に毎日見守ってもらいましょう」
4: 「同年代で腹膜透析をしている人の体験を聞いてみましょう」
Aさん(77歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)による左片麻痺があり、右膝の痛みにより立位が困難である。端坐位で殿部をわずかに持ち上げることはできる。妻(77歳)は小柄で、体格差のある夫の移乗の介助に負担を感じている。 Aさんのベッドから車椅子への移乗の際、妻の介護負担を軽減する福祉用具で適切なのはどれか。
1: 歩行器
2: ベッド柵
3: 電動介助リフト
4: トランスファーボード
健康保険法による訪問看護サービスで正しいのはどれか。
1: サービス対象は75歳以上である。
2: 訪問看護師が訪問看護計画を立案する。
3: 要介護状態区分に応じて区分支給限度基準額が定められている。
4: 利用者の居宅までの訪問看護師の交通費は、診療報酬に含まれる。
日本の平成24年(2012年)の高齢者の健康に関する意識調査において最期を迎える場に関する希望で最も多いのはどれか。
1: 自宅
2: 医療施設
3: 福祉施設
4: 高齢者向けのケア付き住宅
Aさん(92歳、女性)は、脳梗塞cerebral infarctionの後遺症のため要介護4で、2年前から特別養護老人ホームに入所している。入所時は、日常生活は全介助で、話しかけるとうなずいたり首を振るなど自分の意思を伝えることができた。Aさんは歌が好きで、歌に関するレクリエーションには車椅子で参加し、笑顔がみられていた。家族は週1回、面会に来ていた。入所時に、Aさんは「延命処置を望まない」、家族は「できるだけ長生きしてほしい」と言っていた。 最近、ほとんど食事を摂らなくなり、閉眼していることが多く、看護師や施設職員の声かけに対する反応が徐々に鈍くなってきた。家族が面会時に声をかけると、目を開け、うなずくなどの意思表示がある。Aさんの状態から、医師と相談し看護師は看取りの準備が必要であると判断した。
Aさんの死の迎え方を決めるために優先されるのはどれか。
1: 主治医の治療方針
2: 施設の職員のケア方針
3: 入所時のAさんの意思
4: 現在のAさんと家族の意思
Aさん(79歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折(compression fracture)と診断され、安静目的で入院した。 既往歴 : 5年前に大腿骨骨折(femoral fracture)。 現病歴 : 2年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。 生活歴 : 要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。
入院当日、Aさんは看護師に「ここはどこですか」と同じ質問を繰り返している。 このときの看護で最も適切なのはどれか。
1: 体幹を抑制する。
2: 家族に夜間の付き添いを依頼する。
3: ナースステーションにベッドを移動する。
4: 骨折で入院していることを繰り返し伝える。