Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌(rectal cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作<ADL>は、ほぼ自立している。
退院後3か月。Aさんの食事や水分の摂取量は減り、徐々に傾眠傾向になってきた。Aさんの妻は訪問看護師に「少し怖いが、できればこのまま自宅で看ていきたい」と話した。Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
2: Aさんの清潔ケアは看護師が行うことを妻に伝える。
3: 今後起こりうるAさんの状態の変化を妻に説明する。
4: Aさんが亡くなるまで家族がそばを離れないように伝える。
Aさん (32歳、男性、会社員 )は、 2年前にうつ病 (depression)による入院歴がある。 Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、 Aさんは双極性障害 (bipolar disorder)と診断され入院した。
入院後 1週間が経過し、 Aさんの食事摂取量は増えたが、他の患者への過度な干渉や、自宅への頻繁な電話は続いている。 Aさんは「以前は仕事をしすぎて疲れただけで病気ではない。今すぐ退院して仕事に戻りたい」と話しているが、主治医は退院を許可していない。看護師の対応で適切なのはどれか。
1: Aさんの上司に配置転換を相談する。
2: Aさんに入院前の言動の問題点を指摘する。
3: Aさんの両親に入院の継続を説得してもらう。
4: Aさんと現時点で可能なことや困難なことを確認する。
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院後2か月が経過した。Aさんは独り言を言うことはあったが、他の入院患者と口論になることはなかった。作業療法士から「Aさんは手先が器用で、作業療法中は楽しそうに過ごしています」と情報を得た。退院に向けた担当看護師との面談で、Aさんは「手芸が楽しかった」「家に1人でいると寂しい」と話した。 退院に向けてAさんに提案する社会資源として適切なのはどれか。
1: 共同生活援助〈グループホーム〉
2: 短期入所〈ショートステイ〉
3: 通訳のボランティア
4: 精神科デイケア
Aさん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、車椅子への移乗は部分介助、要介護2である。排泄はポータブルトイレを利用している。Aさんと妻はなるべく家で過ごしたいと考え、自宅での介護はすべて妻が行っている。長女(会社員)が県内に在住しているがAさんの介護はしていない。訪問看護を週1回利用するのみで、他のサービスは利用していない。最近、妻の腰痛が悪化し、妻から訪問看護師に「主治医から介護の負担を軽減するように言われました。でも夫は家から出たくないし、私も夫をどこかに預けるのは不安です。どうしたらよいでしょうか」と相談があった。
このときの訪問看護師が提案するAさんへのサービスで最も適切なのはどれか。
1: 通所介護
2: 訪問介護
3: 短期入所生活介護
4: 訪問リハビリテーション
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。
Aさんの退院後、訪問介護員は日常生活の支援のために週1回、訪問看護師は健康状態の確認と在宅酸素療法等について必要な指導を行うため月2回訪問することとなった。退院後2週。訪問看護師が訪問すると、Aさんは時々、食後に軽い呼吸困難が生じると訴えた。 この時の訪問看護師の指導で適切なのはどれか。
1: 1回の食事量を減らし、食事回数を増やす。
2: 買い物を兼ねた外出の頻度を減らす。
3: 食事の準備は訪問介護員に任せる。
4: 食後すぐに排泄をする。
Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。
母親は「Aは来年の4月には小学校に入学する年齢だけど、入学に向けてどうすればよいのか分からない」と訪問看護師に相談した。 訪問看護師が行う援助として適切なのはどれか。
1: 自宅に教員を派遣できる小学校に連絡する。
2: Aちゃんが入学できる特別支援学校を紹介する。
3: 父親に仕事を調整してAちゃんの送迎をするよう勧める。
4: 教育委員会に小学校入学に関する相談をするよう勧める。
Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。
医師の診察までに救急外来の看護師が行う対応として適切なのはどれか。
1: Aさんの在留資格を確認する。
2: Aさんの母国の大使館に連絡する。
3: Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取する。
4: 妻が来院するまでAさんに待合室で待ってもらう。
Aさん(60歳、女性)は、統合失調症(schizophrenia)で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。 退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。
1: 薬剤師
2: 精神保健福祉士
3: ピアサポーター
4: 臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師 等)
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。 この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 食事介助をする。
2: 一緒に院内を散歩する。
3: 他の入院患者との交流を促す。
4: 日中に臥床しているときは声かけを控える。
Aさん(99歳、女性)は、特別養護老人ホームに入所している。脳卒中(stroke)の後遺症で左片麻痺がある。肺炎(pneumonia)をきっかけに寝たきりになり、食事摂取量が低下した。Aさんは「私はここで最期を迎えたい。痛い思いはしたくない。死ぬときは苦しまないようにしてもらいたい」と何度も話すようになった。娘夫婦と孫とが頻繁に面会に来ている。医師が家族に回復の見込みが低いことを伝え、家族は特別養護老人ホームでの看取りに同意した。
Aさんはほとんど食事を摂(と)らなくなり、尿量も減少してきた。自発的な動きが減少し、傾眠状態となった。Aさんの家族への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「状態が不安定なのでケアは職員で行いますね」
2: 「これからはご家族が目を離さないでくださいね」
3: 「刺激せず、なるべくそっとしておいてくださいね」
4: 「これからの経過について説明しますね」
Aさん(23歳、女性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。専門学校卒業後に就職し、仕事も順調であった。4か月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1か月ほど続いたが、通勤は続けていた。Aさんは2か月前から不眠を訴えるようになり、先月からは給料の全額を宝くじの購入に費やしてしまう行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。
入院して2か月が経過し、Aさんは服薬による治療で多弁や易怒性などの症状が改善し、落ち着いて過ごせるようになった。Aさんは治療を継続する必要性についても理解している。看護師がAさんと家族への退院指導を行うことになった。 退院指導における説明で最も適切なのはどれか。
1: 「薬の管理は家族が行ってください」
2: 「今後も定期的な入院が必要になります」
3: 「Aさんの言動の変化に気を付けましょう」
4: 「服薬していれば再発することはありません」
Aさん(78歳、男性)は、76歳の妻と娘の3人で暮らしている。Aさんは、大腸癌(colon cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、再発し、治療を行ったが効果がなく、在宅で緩和ケアを行うことになった。Aさんは腹部の癌性疼痛を訴え、オキシコドン塩酸塩徐放錠を1日2回内服している。Aさんは食べたいときに食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少してきている。妻は腰痛があり、娘は日中、仕事に出ている。
Aさんの傾眠傾向が強まり、時々無呼吸がみられるようになった。食事や水分の摂取量は少ないが、疼痛を訴えることはない。妻は「できればこのまま自宅でみていきたい」と話している。 自宅で看取るための体制として必要なのはどれか。
1: 見舞い客の制限
2: 訪問診療の導入
3: 娘の介護休暇の取得
4: 高カロリー輸液の開始
5: 家族による24時間の観察
A さん(90 歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉病 (Alzheimer disease) で、重度の認知機能の低下がある。要介護 4 で、短期入所〈ショートステイ〉や通所介護を利用している。長年、長男夫婦が自宅で介護している。
その後、A さんは誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia) の症状が軽快し、胃瘻を造設せずに退院する予定である。家族は自宅での介護を考えていたが、長男の妻が脳出血 (cerebral hemorrhage) で入院したため、Aさんの退院先の再検討を行うことになった。A さんの退院先として最も適切なのはどれか。
1: 軽費老人ホーム
2: 介護老人福祉施設
3: 回復期リハビリテーション病棟
4: 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌(rectal cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作<ADL>は、ほぼ自立している。
Aさんは退院後に訪問診療と訪問看護を利用することになり、今後の支援の方向性を確認するため、退院前にAさんと家族も参加するカンファレンスを開催した。 カンファレンスで確認する内容で最も優先度が高いのはどれか。
1: 看取りの場所
2: ストーマパウチの交換方法
3: 訪問リハビリテーションの必要性
4: 退院後の生活でAさんが行いたいこと
Aさん(90歳、女性)は、認知症(dementi)で要介護3。デイサービスの送迎の際に、同居している娘から「食事は家族と同じものを食べていたのですが、昨日から下痢が続いています。発熱はなく、元気はあります」と看護師に話があった。デイサービスでは午前中に不消化便が1回あり、おむつ交換の際に、肛門周囲の発赤がみられた。Aさんへの対応で適切なのはどれか。
1: 腹部マッサージを行う。
2: 経口補水液の摂取を促す。
3: 食物繊維を多く含む食事にする。
4: 石けんを使って肛門周囲を洗う。
Aさん(32歳、女性)は小児専門の病院に勤務していたが、国際保健医療協力プログラムで中央アフリカ地域の州事務所に母子保健担当の看護師として派遣された。この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良と聞いた。 Aさんが現地で最初に行う業務はどれか。
1: 経口補水液の配布
2: 乳幼児の栄養状態の把握
3: 女性の識字率向上の支援
4: 病院における母子看護業務の把握
Aさん(77歳、男性)は、妻(79歳)と2人暮らし。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症Alzheimer diseaseと診断された。現在のMMSE〈Mini-mental State Examination〉は18点。家では、食事は準備すれば自分で摂取できる。排泄は尿意や便意ともにあり、トイレで排泄できる。入浴は妻の介助でシャワー浴を行っているが、機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否する。Aさんはにぎやかな場所が苦手であり、また、時々1人で外に出て行ってしまい家に帰れなくなることがある。 最近、Aさんが妻の介助を激しく拒否し大声で怒鳴ることが多くなってきたため、妻は介護支援専門員に相談した。相談の結果、妻の介護負担を軽減する目的で、Aさんは通所介護を利用することになった。
通所介護でレクリエーションが始まり、Aさんは周囲を見ていたが、しばらくするとそわそわしながら席を離れていなくなった。その後、看護師は、介護職員からAさんがゴミ箱に排尿していたという報告を受けた。 このときのAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 目立たない場所にゴミ箱を置く。
2: 1時間ごとに尿意を確認する。
3: パンツ型おむつを勧める。
4: トイレの際は同行する。
Aさん(30歳、初妊婦)は、夫( 32歳、会社員)と2人暮らし。身長は160cm、非妊時体重60kg である。妊娠8週の妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。嘔吐はないが、時々嘔気があると訴え、対処法について質問があった。
Aさんは、妊娠34週4日の妊婦健康診査を受けた。Aさんの母は祖母の介護をしており、産後の支援を期待できない。妊婦健康診査後、「産後は夫と2人で子育てをしていきます。子育てのために何か利用できる制度はありますか」と相談があった。 産後、Aさんの夫が適用となる制度はどれか。
1: 育児休業
2: 育児時間
3: 休日労働の制限
4: 勤務時間の変更
A君 (6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0 ℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎(gastroenteritis)と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5 ℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。
入院後3日になったが両親は来院できない状況が続いている。A君は下痢が改善し体温も下がり笑顔がみられるようになった。看護師が清拭しながらA君と話していると「僕がお母さんの言うことを聞かなかったから病気になっちゃったんだ」と話した。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「お母さんが悲しむからそんなことを言ってはいけないよ」
2: 「気持ちは分かるけれど病気になったのはA君のせいではないよ」
3: 「A君の言うとおりだとすると入院している子はみんな悪い子なのかな」
4: 「お母さんの言うことを聞いていたら病気にならなかったかもしれないね」
看護師の関わりで最も適切なのはどれか。
1: 看護師の判断で訪問時間を延長する。
2: 療養者のライフスタイルを尊重する。
3: 1 人暮らしの療養者では家族のことは考慮しない。
4: 訪問時間以外での療養者との個人的な付き合いを大切にする。