Aさん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。
Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。 Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。
1: 服薬心理教育を実施する。
2: ハローワークを紹介する。
3: 生活技能訓練〈SST〉を勧める。
4: 薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する。
Aさん(65歳、男性)は、右下葉の肺癌(lung cancer)(T3N2M0)と診断され、抗癌化学療法(シスプラチン+エトポシド)1クール4日間を4クール行うことになった。入院時のAさんは、体温36.2度、呼吸数18/分、脈拍72/分、血圧124/74mmHgであった。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は98%で、咳嗽が時々みられるが、痰の喀出はなく、胸部の聴診にて副雑音はない。Aさんの血液検査の結果は、白血球5600/μl、アルブミン3.7g/dl、CRP0.3mg/dlであった。Aさんは20歳のころから毎日20本の煙草(たばこ)を吸っていたが、60歳のときに禁煙した。
抗癌化学療法が開始されて5日が経過した。Aさんの血液検査の結果は、白血球2100/μl(好中球50%)である。 看護師が行うAさんへの感染予防の対策で適切なのはどれか。
1: 加熱食に変更する。
2: マスクの着用を促す。
3: 面会者の入室を禁止する。
4: クリーンルームに入室とする。
Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。
入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療についての話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。 このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか。
1: 催眠療法
2: 作業療法
3: 認知行動療法
4: 就労移行支援
Aさん(70歳、男性)は、肺癌 (lung cancer) で骨転移がある。現在、Aさんは入院中であるが、 積極的な治療は望まず「家で静かに暮らしたい」と在宅療養を希望し、 24時間体制の訪問看護を利用する予定である。介護者である Aさんの妻と長男夫婦は「不安はあるが本人の希望をかなえたい」と話している。退院前に、訪問看護師が行う Aさんの家族への支援で優先度が高いのはどれか。
1: 訪問介護の利用を勧める。
2: 家族全員の看取りの意思確認をする。
3: 退院後の処置を習得するよう指導する。
4: 相談にいつでも対応することを伝える。
Aさん (32歳、男性、会社員 )は、 2年前にうつ病 (depression)による入院歴がある。 Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、 Aさんは双極性障害 (bipolar disorder)と診断され入院した。
入院後 3日が経過した。 Aさんは自分の病室にいることはほとんどなく、自宅や会社に頻繁に電話したり、デイルームでノートに書き続けるなど、いつも忙しそうに過ごしている。食事の時間も落ち着かず、摂取量は毎食 1/3から 1/4程度である。看護師の対応で適切なのはどれか。
1: Aさんの食事を介助する。
2: Aさんが栄養指導を受けられるよう調整する。
3: Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。
4: Aさんが自分から食事をしたい気持ちになるのを待つ。
Aさん ( 50歳、男性 )は、アルコール依存症 (alcohol dependence)のために断酒目的で入院した。入院前日の夜まで毎日飲酒をしていたと話している。入院当日に優先的に行うのはどれか。
1: 抗酒薬の説明を行う。
2: 断酒会への参加を促す。
3: 振戦の有無を確認する。
4: ストレス対処行動を分析する。
Aさん(60歳、女性)は、身長155cm、体重70kgである。エレベータがあるマンションの4階に住んでいる。左膝の痛みが徐々に増強し、趣味の茶道での正座や和式トイレの使用が困難になった。Aさんは変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee)と診断され入院した。左膝の人工膝関節全置換術を受け、術後経過は順調である。
Aさんの退院後の生活の指導で適切なのはどれか。
1: 「正座は避けてください」
2: 「和式トイレが使えます」
3: 「なるべく階段を使いましょう」
4: 「ベッドではなく、畳に布団を敷いて寝ましょう」
Aさん(50歳、男性、会社員)は半年ほど前から労作時に胸痛と呼吸困難感があり、狭心症angina pectorisと診断され内服治療を受けている。本日明け方から胸部に圧迫感があった。出勤途中に強い胸痛を自覚し、自ら救急車を要請した。救急外来到着時のバイタルサインは、体温35.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(酸素2L/分)。意識は清明。12誘導心電図はV1~V4でST上昇、Ⅱ、Ⅲ、aVF でST低下がみられた。
その後、Aさんは経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を受けた。帰室時のバイタルサインは、体温36.2℃、呼吸数20/分、脈拍58/分、整、血圧80/40mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%(酸素1L/分)。顔面は蒼白、冷汗を認めた。意識は清明である。 このとき看護師が最初に行うことはどれか。
1: 側臥位にする。
2: 除細動器の準備を行う。
3: 穿刺部の出血の有無を確認する。
4: 鎮痛薬の処方を医師に相談する。
Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)(ALS)と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全(chronic renal failure)のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。
退院から1週後に妻から訪問看護ステーションに連絡があり「人工呼吸器のアラームが鳴り続けていて、どうしたらいいのかわかりません。低圧アラームが点灯しています。気管カニューレも抜けていないし、呼吸もいつも通りにしているように見えます」と尋ねた。 この時の訪問看護師の妻への回答で正しいのはどれか。
1: 「気管内の吸引を行ってください」
2: 「回路にゆるみがないか確認してください」
3: 「電源プラグが抜けていないか確認してください」
4: 「ウォータートラップに水が溜まっていないか確認してください」
Aさん(76歳、女性)、ステージ2の慢性腎臓病(chronic kidney disease)と診断された。身長146cm、体重50kg。日常生活は自立し、毎日家事をしている。週2回、ビールをグラス1杯程度飲んでいる。 Aさんへの生活指導の内容で優先されるのはどれか。
1: 安静
2: 禁酒
3: 減塩
4: 体重の減量
Aさん(25歳、男性、飲食店店員)は、 2日前から感冒様症状があり、夜眠ろうとして横になるが息苦しくて眠れず、歩行や会話も困難となり、夜間に Aさんの家族に伴われて救急外来を受診した。 Aさんは地元の野球チームに所属し、休日には練習に参加しており、最近は残業が多く疲れていた。診察の結果、Aさんは気管支喘息発作 (bronchial asthma) と診断され、気管支拡張薬、副腎皮質ステロイドによる治療と、フェイスマスクによる酸素投与が行われたが、改善がみられず入院した。
入院後も呼吸困難や頻呼吸、呼吸性アシドーシスの改善が認められないため、鼻と口を覆うタイプのマスクを用いた非侵襲的陽圧換気を行うことになった。 Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。
1: 「話すことができなくなります」
2: 「機械に合わせて呼吸してください」
3: 「自分でマスクの位置を調整しても問題ありません」
4: 「空気の圧力がかかるので息が吐きにくくなります」
Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。
入院時のAさんへの看護師の対応として適切なのはどれか。
1: 二度と使用しないと約束させる。
2: 回復が期待できる病気であることを伝える。
3: 使用をやめられなかったことに対する反省を促す。
4: 自分で薬物を断ち切る強い意志を持つように伝える。
Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。
入院後1週が経過した。Aさんはベッドに横になりじっと窓を見つめていることが多くなった。看護師が何をしているのか話しかけると、Aさんは「死にたいと思っている」と答えた。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 話題を変える。
2: 気分転換を促す。
3: すぐに良くなると励ます。
4: 自殺しないことをAさんに約束してもらう。
入院中の患者がベッド上で心肺停止状態となっていた。 発見した看護師が1人の場合、対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 家族に連絡する。
2: 医師を呼びに行く。
3: AEDを取りに行く。
4: 胸骨圧迫を開始する。
5: ナースコールでスタッフを呼ぶ。
Aさん(37歳、男性)は妻(40歳、会社員)と2人暮らし。筋強直性ジストロフィーmyotonic dystrophyで週5回の訪問介護を利用していた。1か月前に傾眠傾向が著明となり入院して精査した結果、睡眠時無呼吸に対して夜間のみフェイスマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法が導入された。Aさんは四肢遠位筋に筋萎縮と筋力低下があるが、室内の移動は電動車椅子を操作して自力で行え、食事も準備すれば妻と同じものを摂取できる。退院後、週1回午後に訪問看護が導入されることになった。
退院前カンファレンスで、訪問介護の担当者から、これまでと同様に退院後も昼食の準備と後始末、口腔ケア、入浴介助を行う予定と発言があった。訪問看護師は訪問介護の担当者に、Aさんの状態の変化に気付いたら連絡がほしいと協力を求めた。 訪問介護の担当者に説明するAさんの状態の変化で、特に注意が必要なのはどれか。
1: 傾眠傾向
2: 眼の充血
3: 口腔内の乾燥
4: 食事摂取量の低下
Aさん(50歳、男性)は、23歳で統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院へ5回入院したことがある。1年前に、被害妄想が原因で隣人に暴力を振るい措置入院となった。入院後2か月で自傷他害の恐れは消失し、医療保護入院へ切り替えられたが、幻覚や妄想があり家族へ1日に何回も電話をかけていた。その後は家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた。幻聴は続いているが、自分の身の回りのことは自分で行えるようになった。作業療法も継続して参加できていることから、退院を検討することになった。
Aさんの退院について、両親は「退院は反対。入院前のように隣人とトラブルになるのではないかと不安です。私達も高齢になってきたので負担が大きいです」と話した。 このときの両親への看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 退院後に活用できる社会資源について情報提供する。
2: Aさんの主治医に入院の継続を依頼するよう勧める。
3: Aさんの現在の病状を隣人に説明するよう勧める。
4: 退院の承諾は家族の義務であることを伝える。
A さん(54 歳、男性)は、10 年前に心筋梗塞 (myocardial infarction) を発症し、 2 年前に慢性心不全 (chronic heart failure) と診断され外来受診を続けてきた。 1 週前からトイレ歩行時に息苦しさがあり、 4 日前から夜に咳と痰とがみられ眠れなくなっていた。本日、A さんは定期受診のため来院し、心不全 (heart failure) の増悪と診断され入院した。入院時、体温 36.3 ℃、呼吸数 24/分、脈拍 96/分、整で、血圧 124/72 mmHg であった。心エコー検査で左室の駆出率 28 %であった。体重は 1 週間で 4 kg 増加し下肢の浮腫がみられる。
入院治療により A さんの症状は改善し、 2 日後に退院予定である。退院後の受診についての説明で最も適切なのはどれか。
1: 「夜間の咳で受診する必要はありません」
2: 「体温が 38.0 ℃以下なら受診の必要はありません」
3: 「今回のように体重が増加したときは受診してください」
4: 「仕事から帰って足に浮腫がみられたら受診してください」
Aさん(85歳、男性)は、じん肺症(pneumoconiosis)で入院した経験があり、現在は自宅で1人で暮らしている。認知障害はなく、身の回りのことは自分でできるため、介護保険は申請していない。しかし、最近、日常の買い物で荷物を持つことが困難になった。 Aさんに勧めるサービスで最も適しているのはどれか。
1: 短期入所
2: 配食サービス
3: グループホーム
4: 近医による訪問診療
Aさん (43歳、男性、会社員 )は、 1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、 Aさんは、非 Hodgkin〈ホジキン〉 リンパ腫 (non-Hodgkin lymphoma)と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。 Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、 Aさんは体温 37.5℃、呼吸数 18/分、脈拍 84/分、血圧 124/64 mmHgであった。血液検査データは、赤血球 302万/μl、Hb 10.3 g/dl、白血球 6,400/μl、総蛋白 7.6 g/dlであった。
治療は正午から開始され、午後 5時ころから胸やけと悪心が出現した。その後、 Aさんは制吐薬を追加投与され、症状は軽減した。それ以降、 Aさんに悪心・嘔吐はないが、翌日も食欲がなく、食事は 1/4程度の摂取であった。治療後 3日には症状が改善し、食事は全量摂取できた。 Aさんは「楽になったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでもちょっと気持ち悪くなる」と話す。治療後 3日までの状況を踏まえて、次回の治療時の対応で最も適切なのはどれか。
1: 治療前日の夕食を控えてもらう。
2: 治療薬の減量を医師に相談する。
3: 1日 1,000 mlの水分摂取を促す。
4: 病院食以外は食べないよう指導する。
5: 治療前の制吐薬の追加投与を検討する。
Aさん (42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症<ALS>(amyotrophic lateral sclerosis)の確定診断を受けた。夫( 50歳)と長女 (16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。
Aさんは要介護5に区分が変更され、自宅で療養通所介護を利用することになった。退院後1か月、Aさんは療養通所介護の看護師に「ゆっくりお風呂に入ってみたい」と文字盤を使って話した。入浴を開始するにあたり、看護師と介護職員との間でカンファレンスを行うことになった。 検討する内容として優先順位が高いのはどれか。
1: 夫の介護負担
2: 座位の保持能力
3: 緊急時の対応方法
4: 入浴後の人工呼吸器の回路交換の方法
5: 入浴時の関節可動域<ROM>訓練の実施