Aさん(82歳、女性)は、脳梗塞cerebral infarctionの既往があり、要介護2で、夫(85歳)と2人暮らし。訪問看護師の訪問時、Aさんは体温37.0℃、脈拍62/分、血圧100/50mmHg、少し汗をかいており、唇の乾燥がみられた。訪問看護師は、翌日予定されている訪問介護の担当者とAさんの援助の方向性について共有することにした。 共有する内容で適切なのはどれか。
1: ポータブルトイレでの排泄に変更する。
2: 水分を多めに摂取するよう促す。
3: 頻繁に寝衣を交換する。
4: 入浴介助を中止する。
Aさんは、 1人で暮らしている。血管性認知症 (vascular dementia)があり、降圧薬を内服している。 要介護 1で、週 3回の訪問介護と週 1回の訪問看護を利用している。最近では、 Aさんは日中眠っていることが多く、週 1回訪ねてくる長男に暴言を吐くようになっている。 Aさんの長男の話を傾聴した上で、訪問看護師の長男への対応で最も適切なのはどれか。
1: デイサービスの利用を提案する。
2: Aさんを怒らせないように助言する。
3: Aさん宅に行かないように助言する。
4: 薬の内服介助をするように提案する。
Aさん(85歳、男性)は、 5年前に脳梗塞 (cerebral infarction) を発症し右片麻痺があり、要介護 3の認定 を受けた。Aさんの子どもは遠方に住んでおり、腰痛のある Aさんの妻(80歳)が 1 人で介護している。Aさんは、週 2日通所介護を利用している。
Aさんの妻は「夜中にオムツを替えるために毎日起こされ、腹が立ちます」と通所 介護の送り迎えを担当している看護師に訴えた。 最初に Aさんの妻へ話しかける言葉で適切なのはどれか。
1: 「主治医に相談しましょう」
2: 「これまで通り頑張りましょう」
3: 「夜眠れないと本当に大変ですね」
4: 「Aさんはもっとつらいと思いますよ」
A さん(30 歳、経産婦)は、妊娠 40 週 1 日で、妊娠経過は順調であった。本日、午後 5 時に体重 3,900 g の女児を正常分娩した。会陰縫合術を受け、分娩時出血量は400 mL であった。分娩後 2 時間のバイタルサインは、体温 37.1 ℃、脈拍 64/分、血圧 124/70 mmHg であった。排尿後の子宮底の位置は臍下 1 横指、収縮良好で帰室した。A さんは午後 8 時に夕食を全量摂取し、寝るまでに水を 500 mL 飲んだ。
翌朝、A さんは体温 36.8 ℃、血圧 116/66 mmHg であった。就寝後から朝まで排尿はなく、子宮底の位置は臍高であった。A さんの状態で経過観察してよいのはどれか
1: 尿意なし
2: 脈拍 110/分
3: 軟らかく触れる子宮底
4: 会陰切開縫合部の痛み
Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。 Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。
1: 「24時間付き添ってあげましょう」
2: 「おむつの重さで尿量を測定しましょう」
3: 「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」
4: 「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」
Aさん(16歳、女子)。身長160cm、体重40kg。1年で体重が12kg減少した。Aさんは6か月前から月経がみられないため婦人科クリニックを受診し、体重減少性無月経(amenorrhea due to weight loss)と診断された。 今後、Aさんの無月経が長期間続いた場合、増加することが予想されるのはどれか。
1: 血糖値
2: 骨吸収
3: 体脂肪率
4: エストロゲン
Aさん ( 42歳、男性 )は、血尿を主訴に泌尿器科を受診した。診察の結果、 Aさんは膀胱鏡検査を受けることになった。 Aさんへの検査についての説明で適切なのはどれか。
1: 「入院が必要です」
2: 「前日は夕食を食べないでください」
3: 「局所麻酔で行います」
4: 「終了後は水分の摂取を控えてください」
Aさん(83歳)は寝たきり状態で、便意を訴えるが3日間排便がみられない。認知機能に問題はない。昨晩下剤を内服したところ、今朝、紙オムツに水様便が少量付着しており、残便感を訴えている。 このときのAさんの状態で考えられるのはどれか。
1: 嵌入便
2: 器質性便秘
3: 切迫性便失禁
4: 非急性感染性下痢
Aさん(47歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で20年間精神病院に入院している。父親はすでに亡くなっており、80歳になる母親は病気がちのため、面会は年に1回程度である。Aさんは看護師の声かけに応じて、月に1回の病棟レクリエーションや週に2回の作業療法に参加している。それ以外の時間はほとんど病室のベッド上で寝て過ごしている。発病以来、薬物療法を続けており、時々飲み忘れることはあるが、ほぼ自己管理できている。病状は安定していることから、退院の話が出るようになった。
Aさんは物を捨てられず、ベッドの周囲には私物やゴミの入った大きなビニール袋が足の踏み場もないほど積み上げられている。 Aさんがこのような状況にある原因で、可能性が低いのはどれか。
1: 作業療法による疲労
2: 病状に伴う意欲の低下
3: 長期入院による施設症
4: 向精神薬の副作用による倦怠感
Aさん(74歳、女性)は、1人暮らし。要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱa。頻尿のため、自室からトイレへの移動中に廊下で失禁することが頻繁にある。1日3食の高齢者向け配食サービスを利用している。 現時点でのA さんの日常生活で最も起こりやすいのはどれか。
1: 窒息
2: 転倒
3: 熱傷
4: 徘徊
Aさん(60歳、男性、元建設業)は、妻(57歳) と2人暮らし。 2年前に 悪性胸膜中皮腫(malignant pleural mesothelioma)と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。2週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。 バイタルサイン:体温36.0 ℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>86~90%(room air)。 身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される 。 血液所見:赤血球370万/μL、Hb 8.8g/dL、白血球6,700/μL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5mg/dL。 動脈血液ガス分析(room air):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧<PaCO2>40Torr、動脈血酸素分圧<PaO2>63Torr。 胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。肺虚脱なし。
入院後2週、Aさんの身体状態は急激に悪化し、A さんは「息が吸えない。苦しい。何とかしてくれ」と訴え、眉間にしわを寄せて口呼吸をしている。軽度の喘鳴がみられ、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>は88~92%(経鼻カニューレによる酸素療法2L/分)である。また、頻繁に体位を変えて落ち着きがなく、つじつまが合わない訴えと場所の見当識障害もみられる。毎日面会に来ている妻は「どうなってしまったのでしょうか。苦しそうでかわいそう」と涙ぐみ、ベッドから離れたところで座っている。Aさんの妻への看護師の説明で適切なのはどれか。
1: 「Aさんが場所を間違っても否定しないで下さい」
2: 「口腔内吸引をするとAさんの呼吸が楽になります」
3: 「タッチングをするとAさんの安心感につながります」
4: 「Aさんの症状が落ち着くまで自宅で待機して下さい」
Aさん(62歳、男性)。1人暮らし。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)による間質性肺炎(interstitial pneumonia)と診断され入院した。 既往歴:42歳で糖尿病(diabetes mellitus)と診断された。59歳と61歳で肺炎(pneumonia)に罹患した。 生活歴:3年前から禁煙している(20〜59歳は20本/日)。 身体所見:BMI17.6。体温38.8 ℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉91%。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。 検査所見:血液検査データは、白血球13,000/μL、Hb10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉38Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。
入院後18日。Aさんは2日後に自宅へ退院することとなった。Aさんは「病院に来る前は、息苦しくて死ぬかと思った。あのような思いはもうしたくない。家に帰ってまた息苦しくならないか不安だ」と言う。 Aさんが症状を自己管理できるように指導する内容で適切なのはどれか。
1: 習慣的に腹式呼吸をする。
2: 入浴時は肩まで湯に浸かる。
3: 動作時は前傾姿勢を保持する。
4: 息苦しくなったら仰臥位を保持する。
Aさん(73歳、女性)は、動悸の精密検査の目的で入院した。心電図や血液検査などで異常所見はなかったが、Aさんは全身倦怠感、食欲不振、腰痛、便秘などを訴え続け、薬物療法を行っているが症状は改善していないという。日中はぼんやりと過ごしており「心臓がドキドキして、ハッと朝早く目が覚め、死ぬんじゃないかと思い、その後眠れなくなる」と言う。
Aさんは、夜、寝る前に「入院しているのに治らない。こんなはずではなかった。ここにいても仕方がない」と看護師に訴えた。 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「薬が効くまでの我慢ですよ」
2: 「治っているように見えますよ」
3: 「治らないと感じるのはつらいですね」
4: 「治っていないことを医師に相談しますか」
Aさん(34歳、初産婦)は、夫(37歳、会社員)と2人暮らし。事務の仕事をしている。身長157cm、非妊時体重54kg。妊娠24週4日の妊婦健康診査時の体重58kgで4週前から1.5kg増加している。血圧128/88mmHg。尿蛋白( ± )、尿糖(ー)。浮腫( ± )。Hb 10g/dL、Ht 30%。子宮底長22.5cm、腹囲84cm。胎児推定体重700g。非妊時より白色の腟分泌物は多いが、搔痒感はない。
Aさんは夫に付き添われ、妊娠35週4日に妊婦健康診査を受けた。体重62kg、血圧126/76mmHg。尿蛋白(ー)、尿糖(ー)。浮腫( ± )。子宮底長30cm、腹囲88cm。Aさんは看護師に「膝の裏の血管が膨らんで、青く浮き出てきました。夕方になると足がだるくなり、夕食の準備のため立っているとつらくなります」と言う。 Aさんへの指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 「水分を控えましょう」
2: 「体重を減らしましょう」
3: 「ガードルを着用しましょう」
4: 「弾性ストッキングを着用しましょう」
5: 「寝るときは足を高くして横になりましょう」
Aさん(70歳、女性)は1人暮らし。夫とは1年前に死別した。近くの診療所で高血圧症hypertensionと心不全heart failureと診断され、内服治療をしていた。月1回は診療所で内服薬の処方と食事指導や体重測定などの生活指導を受けていたが、時々薬を飲んだことを忘れてしまうことがあった。日常生活は自立しており、認知機能は問題ない。週2日、事務職のパートとして働いており、電車を使って通勤していた。息子(42歳)と娘(37歳)は仕事のため遠方に住んでいる。1か月前からAさんは家事や外出するときに軽い息切れを感じるようになり、2、3日前からは咳と痰が出るようになった。両足のむくみが出てきたため、診療所から自宅近くの病院を紹介され外来受診した。身体所見:意識は清明。身長159cm、体重61.3kg。 体温37.1℃、呼吸数21/分、脈拍95/分、不整、血圧164/96mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(room air)。 両下肢に軽度の浮腫を認めた。
診察の結果、Aさんは心不全heart failureの悪化を認めたため入院することになり、個室を希望した。入院後、酸素マスクによる酸素療法や利尿薬による薬物療法、塩分制限などの食事療法が開始された。入院3日、夜勤の看護師から日勤の看護師への朝の申し送りで、昨晩のAさんは夜間全く眠っていないこと、「ここはどこですか」と繰り返し尋ねてきたこと、娘が学校から帰ってくるのを待っていると言って病室の入り口を気にしていたことが報告された。日勤の看護師は、Aさんの睡眠状況を改善する必要があると考え、Aさんへの対応について検討した。 看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
1: 終日、病室を明るくする。
2: 日中眠っていたら覚醒を促す。
3: 睡眠導入薬の使用を医師に相談する。
4: 夜間覚醒している場合は、夜は眠るよう説得する。
Aさん(90歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)による軽度の左半身麻痺がある。要介護2。最近、娘(65歳)とその家族と同居を始めた。Aさんの受診に付き添ってきた娘が看護師に「同居を始めてから疲れます」と話した。 この時の娘に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 心療内科の受診を勧める。
2: 娘の幼少期の親子関係を聞く。
3: Aさんの介護老人保健施設への入所を勧める。
4: 同居後に家族の生活がどのように変化したかを聞く。
Aさん(16歳、女子)は、両親と弟と4人で暮らしている。中学生の頃からモデルにあこがれてダイエットを始めた。高校に入ってからは、太ることへの恐怖から食べた後に吐いたり、緩下薬を服用することも多くなった。次第にやせが顕著になり、無月経となった。Aさんの状態を心配した母親に伴われ、心療内科を受診し、医師から入院治療を勧められ、Aさんは入院した。
入院時、Aさんの身長は 162 cm、体重は36 kg。体温 35.0 ℃。血圧 90/60mmHg。脈拍 56/分、不整。血液検査で最も注意すべきデータはどれか。
1: 尿酸
2: 血清カリウム
3: 中性脂肪
4: HbA1c
Aさん(55歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。進行性の多発性硬化症(multiple sclerosis)で在宅療養をしている。脊髄系の症状が主で、両下肢の麻痺、膀胱直腸障害および尿閉がある。最近は座位の保持が難しく、疲れやすくなってきている。排尿はセルフカテーテルを使用してAさんが自己導尿を行い、排便は訪問看護師が浣腸を行っている。夫は仕事のため日中は不在である。 Aさんの身体状態に合わせた療養生活で適切なのはどれか。
1: 入浴はシャワー浴とする。
2: 介助型の車椅子を利用する。
3: ベッドの高さは最低の位置で固定する。
4: セルフカテーテルはトイレに保管する。