Aさん(55歳、女性)は、昨年10月に腹痛と腹部膨満のため受診し、膵癌(pancreatic cancer)、腹膜播種と診断された。手術の適応はなく、化学療法を受けていた。今回、腹水貯留があり経口摂取量も減少したため入院した。排泄は自立しているが、臥床していることが多い。事務職員をしていたが、現在は休職中である。夫とは離婚し25歳の長女と2人で暮らしている。23歳の長男は結婚し、遠方で暮らしている。今回の入院時から積極的治療が困難であることは、Aさんと長女へ医師から説明され、Aさんは自宅での療養を希望している。長女は就労しているため、あまり来院していない。
退院後、介護支援専門員、訪問看護師、在宅療養の主治医および訪問介護事業所管理者がAさんの自宅に集まり、Aさんと長女が同席し、サービス担当者会議を開催した。Aさんは「おなかが張ってあまり食べられないけれど、家で過ごせるようになってうれしいです」と話した。 訪問看護師が、会議で発言する内容で優先度が高いのはどれか。
1: 処方内容
2: 腹部膨満へのケアの必要性
3: ヘルパーによる支援方法の提案
4: 予後を踏まえた療養期間の予測
在宅療養が開始されてから1か月が経過した。Aさんの病状は進行し、主治医は、長女と帰省した長男に対して、死が近づいていることを説明した。衰弱している母親を見た長男は「病院へ入院させたほうがいいのではないか」と言い、長女は、訪問看護師にどうしたらいいかと相談した。 長女への訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「Aさんの意思を弟さん(長男)と一緒に聞いてみましょう」
2: 「医師に決めてもらう方が弟さん(長男)も納得するでしょう」
3: 「Aさんが1人のときに亡くなることもあるので入院も考えましょう」
4: 「Aさんは最期まで家にいたいと希望していたから、このままでいいです」
Aさん(23歳、女性)は、大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。母親は、Aさんについて「中学時代までは成績優秀で、手のかからない、おとなしい子どもだった」と言っている。両親と妹との4人で暮らしている。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮がむけてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、本人の同意を得て、その日のうちに任意入院となった。
入院後、Aさんとの話し合いで1日の手洗いの回数を決めたが、毎日その回数を超えて手洗いを続けており、看護師が確認するといつも洗面所にいる。 Aさんが決めた回数を超えて洗面所で手洗いを続けているときの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 決めた手洗い回数を増やす。
2: 回数制限を守れない理由を問う。
3: 洗面所から離れるように誘導する。
4: 病棟は清潔であることを説明する。
Aさん(75歳、男性)は、脳梗塞後遺症による右半身不全麻痺がある。妻と 2人で暮らしている。 Aさんは要介護 3で、訪問介護と通所介護のサービスを利用している。今回、Aさんは誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia) で入院し、退院後に訪問看護が導入された。 訪問看護師と介護支援専門員が連携して行う内容で優先度が高いのはどれか。
1: 住宅改修の検討
2: Aさんの妻の介護負担の把握
3: 肺炎予防に必要なケアの提供
4: 訪問介護による生活援助内容の確認
Aさん ( 23歳、女性 )は、トラックの横転事故に巻き込まれて一緒に歩いていた友人が死亡し、自分も軽度の外傷で入院している。看護師が Aさんに「大変でしたね」と声をかけると、笑顔で「大丈夫ですよ。何のことですか」と言うだけで、事故のことは話さない。 Aさんは検査の結果、軽度の外傷以外に身体的な異常や記憶の障害はない。この現象はどれか。
1: 解離
2: 昇華
3: 合理化
4: 反動形成
A さん(72 歳、男性)は、アパートの 1 階に 1 人で暮らしている。家族や親戚はいない。15 年前から心不全 (heart failure) のために利尿薬を毎朝内服している。半年前に要支援 2 の認定を受け、介護予防通所介護を週に 2 回利用している。早朝、A さんは玄関の外で座り込んでいるところを近所の人に発見され救急搬送された。来院時、体温37.4 ℃、呼吸数 20/分、脈拍 98/分、血圧 100/70 mmHg であった。血液検査と尿検査の結果、脱水症と診断された。
A さんは看護師に「頭がふわふわして歩けない。めいもする。昨日の夜から気持ちが悪くなり、朝までに 2 、 3 回吐いた。体に力が入らない」と話した。A さんの脱水症について追加で情報収集すべき内容で最も適切なのはどれか。
1: 昨日の経口摂取量
2: 排尿の自立状況
3: 生活活動強度
4: 睡眠の状況
Aさん(82 歳、女性)は、要支援2である。Aさんの屋内での転倒予防と自立の促進のため、自宅で介護する家族への指導で適切なのはどれか。
1: 車椅子での移動とする。
2: 移動時にスリッパを使用する。
3: 手すりがない場所での歩行を避ける。
4: 移動の前に立ちくらみの有無を確認する。
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。
入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。 Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。 移動の方法として適切なのはどれか。
1: 右腕を使って起き上がる。
2: しばらく座位をとってから立ち上がる。
3: 骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く。
4: ベッドの高さは腰掛けたときにつま先が床に着くよう調整しておく。
Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。
入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療についての話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。 このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか。
1: 催眠療法
2: 作業療法
3: 認知行動療法
4: 就労移行支援
Aさん(72歳、女性)は、 1人で暮らしている。Aさんは 1年前に夫を亡くした後、近所付き合いが少なくなっていた。遠方に住む Aさんの息子が時々電話で様子を確認していた。最近は元気がなく、 Aさんの息子が心配して様子を見に来たところ、食事を食べた様子がなく、ごみは捨てられていなかった。 Aさんは発熱してぐったりしており、息子に連れられて病院を受診した。 Aさんは脱水状態の治療と抑うつ状態の疑いのため検査が必要であると判断されて入院した。Aさんの既往歴に特記すべきことはない。
入院後 1か月、Aさんは内服治療により病棟内での活動範囲が拡大し、自立してできることが増えた。自宅へ退院することが方針として決まったが、 Aさんは「家に帰っても 1人だし、大丈夫かしら」と看護師に話す。このときの Aさんへの声かけで適切なのはどれか。
1: 「薬の量を増やしてもらえるように主治医に相談してみましょう」
2: 「 1人でできることが多くなったからもう大丈夫ですね」
3: 「心配なことについてゆっくりお聞きしますよ」
4: 「お疲れのようなのでベッドで休みましょう」
Aさん(78歳、男性)は、76歳の妻と娘の3人で暮らしている。Aさんは、大腸癌(colon cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、再発し、治療を行ったが効果がなく、在宅で緩和ケアを行うことになった。Aさんは腹部の癌性疼痛を訴え、オキシコドン塩酸塩徐放錠を1日2回内服している。Aさんは食べたいときに食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少してきている。妻は腰痛があり、娘は日中、仕事に出ている。
Aさんは退院後、訪問看護を利用することになった。 病棟看護師による家族への退院指導の内容で最も適切なのはどれか。
1: 食事摂取量を継続的に観察する。
2: ストーマを造ったので便秘の心配はない。
3: ストーマ用品は訪問看護ステーションから買う。
4: 痛みが増強したときは次回の外来受診時に伝える。
Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。 Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。
1: 「24時間付き添ってあげましょう」
2: 「おむつの重さで尿量を測定しましょう」
3: 「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」
4: 「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」
Aさん(88歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で、要介護5の認定を受けている。Aさんは意思を明確に表出できない。63歳の娘が介護を行っている。娘が食事形態を工夫して摂食の援助を行ってきたが、これまでにAさんは2回の誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を起こしている。今回、3回目の誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入院し、低栄養状態を改善するための栄養管理方法の1つとして、医師が娘に胃瘻の造設を提案した。
Aさんは胃瘻を造設しないで、自宅で療養することになった。退院後に訪問診療と訪問看護とを受ける手続きをして退院した。退院後3日、訪問看護師はAさんの自宅を訪問した。 Aさんを援助するための情報で最も重要なのはどれか。
1: 身体活動性
2: 経口摂取の状況
3: 娘の調理の技術
4: 排泄介助の方法
5: 娘の胃瘻に関する知識
Aさん(82歳、男性)。長男夫婦との3人暮らし。4年前に認知症(dementia)と診断された。Barthel〈バーセル〉インデックスは100点、Mini Mental State Examination〈MMSE〉は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下腿の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎(cellulitis)と診断されて入院した。入院翌日、右下腿の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症(dementia)の行動・心理症状〈BPSD〉を最小限にするための看護を計画することとした。
担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。
1: 右下腿を足浴する。
2: 右下腿を挙上する。
3: 温泉旅行の話をする。
4: Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。
Aさん(55歳、男性)は、妻と2人暮らし。建築士として主にデスクワークの仕事を行っていた。脊髄損傷(spinal cord injury)のため下半身の不完全麻痺となり、リハビリテーション専門の病院へ転院した。電動車椅子を用いて室内の動作は自立できるようになった。退院調整部門の看護師との面接でAさんから「元の職場に戻りたい」と話があった。Aさんの自己決定を支援する看護師の助言で適切なのはどれか。
1: 「元の職場の仕事を在宅勤務に変更しましょう」
2: 「デスクワークなので職場復帰は可能と思います」
3: 「職場復帰にあたりAさんが課題と思うことを整理しましょう」
4: 「元の職場にこだわらずAさんの障害にあった職場を探しましょう」
統合失調症(schizophrenia)のAさんは、看護師に促されるまで入浴しようとしない。身体は自分で洗うが、いつも洗い残しがみられ、看護師が洗い残しがあることを伝えても、Aさんの行動に変化はみられない。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 洗い残しの部位を詳細に指摘する。
2: 洗い残しによる感染のリスクを説明する。
3: 入浴時に困っていることはないか尋ねる。
4: できるようになるまで看護師が全身を洗う。
Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症(dyslipidemia)と高血圧症(hypertension)で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。
Aさんは、2か月間のリハビリテーションの結果、健側をつかってベッド上で端坐位ができるようになり、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復した。退院後はベッド柵をつけた介護用ベッドを設置し、自宅で生活をする予定である。Aさんが自宅で使用する介護用ベッドの柵の配置を図に示す。ベッド柵の配置で適切なのはどれか。
80歳の男性のAさんは軽度の認知症(dementia)で、集合住宅で1人で暮らしている。喫煙習慣がある。生活環境の安全に関する訪問看護の活動で、毎回の訪問時に確認する必要があるのはどれか。2つ選べ。
1: 戸締り
2: 喫煙本数
3: 煙草(たばこ)の吸い殻処理
4: 浴室の換気システム
5: 預金通帳の保管場所
Aさん(74歳、女性)は、1人暮らし。要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱa。頻尿のため、自室からトイレへの移動中に廊下で失禁することが頻繁にある。1日3食の高齢者向け配食サービスを利用している。 現時点でのA さんの日常生活で最も起こりやすいのはどれか。
1: 窒息
2: 転倒
3: 熱傷
4: 徘徊
Aさん(75歳、男性)は妻(66歳)と2人暮らし。3か月前に認知症dementiaの診断を受けた。妻から訪問看護師に「夫は通所介護のときは穏やかに過ごしていると聞いているが、家では興奮することが多く、どう対応すればよいかわからない」と相談があった。 このときの妻に対する訪問看護師の最初の対応で適切なのはどれか。
1: 主治医に相談するよう勧める。
2: Aさんと散歩に出かけることを勧める。
3: 通所介護の頻度を増やすことを提案する。
4: Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返る。