Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院当日に看護師が行う情報収集で最も優先するのはどれか。
1: 症状が日常生活に与える影響
2: アルバイト先の人間関係
3: 医療用語の理解力
4: 精神疾患の家族歴
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病depressionと診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。
Aさんのうつ症状は改善し、多職種で退院に向けた話し合いを始めた。会社の休職制度を利用し休んでいるAさんは、「薬が効いたので、今後も薬を飲み続けることが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思うが、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と看護師に話した。 退院に向けてAさんが利用する社会資源で適切なのはどれか。
1: 就労継続支援
2: リワーク支援
3: 障害者社会適応訓練事業
4: ジョブコーチによる支援
Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。
入院後3か月が経過した。Aさんは気分が安定し、食事も全量摂取できるようになり、日中は作業療法に週4日参加している。「もう死にたい気持ちはなくなりました。でも、まだ短時間しか新聞を読めないので、仕事に戻るのが不安です」と話している。 Aさんの退院に向けた支援として適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 転職を勧める。
2: 上司との面会を設定する。
3: 再発のサインを一緒に見つける。
4: 自信が持てるようになるまで待つ。
5: 作業療法に集中力を高めるプログラムを入れる。
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院後2か月が経過した。Aさんは独り言を言うことはあったが、他の入院患者と口論になることはなかった。作業療法士から「Aさんは手先が器用で、作業療法中は楽しそうに過ごしています」と情報を得た。退院に向けた担当看護師との面談で、Aさんは「手芸が楽しかった」「家に1人でいると寂しい」と話した。 退院に向けてAさんに提案する社会資源として適切なのはどれか。
1: 共同生活援助〈グループホーム〉
2: 短期入所〈ショートステイ〉
3: 通訳のボランティア
4: 精神科デイケア
高齢者の看護において目標志向型思考を重視する理由で最も適切なのはどれか。
1: 疾患の治癒促進
2: 老化現象の進行の抑制
3: 病態の関連図の作成の効率化
4: 生活全体を豊かにするケアの実践
訪問看護師が、在宅医療に移行する患者の退院調整のために医療機関の看護師から得る情報で、優先度が高いのはどれか。
1: 医療処置の指導内容
2: 経済的な問題への対応
3: 介護サービス利用の有無
4: 訪問看護指示書の記載内容
Aさん(50歳、男性)は、23歳で統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院へ5回入院したことがある。1年前に、被害妄想が原因で隣人に暴力を振るい措置入院となった。入院後2か月で自傷他害の恐れは消失し、医療保護入院へ切り替えられたが、幻覚や妄想があり家族へ1日に何回も電話をかけていた。その後は家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた。幻聴は続いているが、自分の身の回りのことは自分で行えるようになった。作業療法も継続して参加できていることから、退院を検討することになった。
その後もAさんの両親は、高齢であることを理由に自宅への退院には同意しなかった。 Aさんの退院を計画的に進めるために行うことで適切なのはどれか。
1: 精神医療審査会の開催
2: 入院診療計画書の修正
3: 行動制限最小化委員会の開催
4: 医療保護入院者退院支援委員会の開催
患者の権利について適切なのはどれか。
1: 患者は入院中に無断で外泊できる。
2: 患者は治療後に治療費の金額を決定できる。
3: 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
4: 患者は自分と同じ疾患の患者の連絡先を入手できる。
Aさん(35歳、男性)は1人暮らし。両親は他県に住んでいる。30歳のときに双極性障害bipolar disorderと診断され、これまでに4回の入退院を繰り返している。給料をインターネットゲームの利用料金で度々使い果たし、それが原因で両親と何度も口論になったことがある。仕事では同僚とトラブルを起こすたびに転職を繰り返しており、今回も同僚と口論になり自ら退職した。Aさんは「前の職場の同僚に嫌がらせをしてやる」と母親に電話をかけ、心配した両親が一緒に精神科病院を受診した。診察室では多弁で大きな声を出し、椅子を蹴るなどの行為がみられた。医師の診察の結果、入院して治療することになった。
入院後1週、身体的拘束は解除された。Aさんは常に動き回り、他の患者への過干渉が続いている。食事中に立ち上がりホールから出ていこうとするため、看護師が止めると強い口調で言い返してくる。Aさんは「ゲーム関連の仕事を探したい。早く退院させろ」と1日に何度も看護師に訴えるが、主治医は退院を許可していない。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。
1: 休息できる場所へ誘導する。
2: 過干渉となる理由を確認する。
3: 退院後は家族と暮らすように提案する。
4: 仕事に必要なスキルについて話し合う。
Aさん(23歳、女性)は大学を卒業後、会社に就職して1人暮らしを始めた。入社後に「会社の制服が似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にるいそうが目立つようになった。「太るのが怖い」と言って食事を拒否するようになり、体重は1年間で10kg減少した。しかし、本人は「まだ太っているから、痩せないといけない」と話していた。久しぶりにAさんと会った母親が、過度のるいそうを心配して、内科受診を勧めた。内科ではるいそう以外に大きな異常を認めず、精神科受診を勧められた。精神科では神経性無食欲症anorexia nervosaと診断され、外来通院を開始した。その後、低血糖によるふらつきのため職場で頻回に転倒するようになった。それでも食事を十分に摂らないため、精神科病棟へ入院した。入院時、身長166cm、体重36kgであった。入院後、食事のほかに点滴による栄養補給が始まった。
入院後3か月が経過した。Aさんは体重が41kg まで増加し、主治医と相談して、退院の準備をすることになった。看護師に対して、Aさんは「退院後はすぐに仕事をしたい」と話したが、母親は「ゆっくり自宅で休養してほしい」と話した。母親の面会時に、今後の仕事や生活に関する話題が出ると、Aさんはイライラして母親と口論になることが多くなった。父親は仕事が忙しいことを理由に、面会に来たのは一度のみであった。 今後導入する必要性が最も高いのはどれか。
1: 家族療法
2: 作業療法
3: 自律訓練法
4: 精神分析療法
判断能力のある成人患者へのインフォームド・コンセントにおける看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 患者の疑問には専門用語を用いて回答する。
2: 今後の治療に関しては医療者に任せるように話す。
3: 治療方針への同意は撤回できないことを説明する。
4: 納得ができるまで医師からの説明が受けられることを伝える。
Aさん(76歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。これまで健康に生活しており、登山会への参加を趣味にしていた。3週前に、散歩中に転び、殿部から腰背部にかけての痛みがあったが様子をみていた。Aさんは痛みのため臥床して過ごすことが多くなり、次第に足に力が入らず立ちあがりも困難になった。食事は夫が購入した弁当を残さず食べていた。 2日前から1日中臥床するようになったため、夫の介助で受診し、腰椎圧迫骨折(lumbar compression fracture)と診断され入院した。
Aさんの経過は順調で歩行機能も回復したため、退院することになった。退院直後の生活指導として適切なのはどれか。
1: 登山への参加
2: 散歩の再開と継続
3: 居室内リフトの設置
4: 体幹の回旋運動の実施
医療現場における暴力について正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 精神科に特有のものである。
2: 病室環境は誘因にならない。
3: 目撃者は被害者に含まれない。
4: 暴力予防プログラムに合わせて対処する。
5: 発生を防止するためには組織的な体制の整備が重要である。
施設において、患者の入院から退院までの看護を1人の看護師が継続して責任をもつことを重視した看護体制はどれか。
1: 機能別看護方式
2: 患者受け持ち方式
3: チームナーシングシステム
4: プライマリナーシングシステム
生活技能訓練<SST>について正しいのはどれか。
1: 退院支援プログラムの1つである。
2: 診断を確定する目的で実施される。
3: セルフヘルプグループの一種である。
4: 精神分析の考え方を応用したプログラムである。
Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌(rectal cancer)と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作<ADL>は、ほぼ自立している。
Aさんは退院後に訪問診療と訪問看護を利用することになり、今後の支援の方向性を確認するため、退院前にAさんと家族も参加するカンファレンスを開催した。 カンファレンスで確認する内容で最も優先度が高いのはどれか。
1: 看取りの場所
2: ストーマパウチの交換方法
3: 訪問リハビリテーションの必要性
4: 退院後の生活でAさんが行いたいこと
特定機能病院で正しいのはどれか。
1: 地域の医療従事者の資質向上のための研修を行う能力を有する。
2: 高度の医療技術の開発および評価を行う能力を有する。
3: 300人以上の患者を入院させるための施設を有する。
4: 都道府県知事の承認を得て設立される。
精神科病棟における身体拘束時の看護で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
1: 1 時間ごとに訪室する。
2: 拘束の理由を説明する。
3: 水分摂取は最小限にする。
4: 患者の手紙の受け取りを制限する。
5: 早期の解除を目指すための看護計画を立てる。
精神保健活動における二次予防はどれか。
1: 精神科デイケアで生活技能訓練〈SST〉を行う。
2: 精神疾患をもつ人々に、再燃を予防するための教育を行う。
3: 地域の住民を対象に、ストレスマネジメントの講演会を行う。
4: 会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う。
介護保険におけるサービスの説明で正しいのはどれか。
1: 通所介護では機能訓練を行うことができない。
2: 通所介護を行う事業所には医師の配置が必須である。
3: 通所リハビリテーションでは個別の理学療法が提供される。
4: 通所リハビリテーションの利用に介護保険は適用されない。