Aさん(19歳、男性、大学生)は、実家近くのアパートに1人で暮らしている。ある日、線路沿いの道を裸足で歩きながら険しい表情でカッターナイフを振り回し、ぶつぶつと独り言を言い続けていたことから警察に保護された。Aさんは、警察から連絡を受けた両親とともに精神科病院を受診したが「自分は命を狙われている」、「この人たちは自分の親じゃない」と言い、医療者に対しても拒否的な態度をとっている。診察の結果、Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断された。Aさんの頭髪は乱れ、食事や睡眠がとれていない様子であったため、そのまま医療保護入院をすることになった。
入院後2か月が経過し、主治医からは退院の話も出始めた。Aさんは入院をきっかけに大学を休学している。Aさんの両親が「Aは学業の遅れを心配して、退院後すぐに復学したいと言っています。Aはすぐに復学できるのでしょうか」と相談してきた。 看護師の説明として適切なのはどれか。
1: 「復学の時期を大学に判断してもらいましょう」
2: 「復学できる状態になるまで退院を延期しましょう」
3: 「ご両親からAさんに焦らないよう説得してください」
4: 「まずは家庭での日常生活に慣れることから始めましょう」
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症schizophreniaと診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
入院後2か月が経過した。Aさんは独り言を言うことはあったが、他の入院患者と口論になることはなかった。作業療法士から「Aさんは手先が器用で、作業療法中は楽しそうに過ごしています」と情報を得た。退院に向けた担当看護師との面談で、Aさんは「手芸が楽しかった」「家に1人でいると寂しい」と話した。 退院に向けてAさんに提案する社会資源として適切なのはどれか。
1: 共同生活援助〈グループホーム〉
2: 短期入所〈ショートステイ〉
3: 通訳のボランティア
4: 精神科デイケア
Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。
入院後4週が経過した。昨日は、午前中ホールに1回出てきたが、すぐに病室に戻ってしまった。今朝、看護師がホールに出てきたAさんに「おはようございます」 と声を掛けたところ、「おはよう」と答えただけで病室に戻ってしまった。夕方には他の患者とも会話をしたり、一緒にテレビを見たりするようになった。看護師が気分について尋ねると「まだ死にたい気持ちが残っている」と話した。 このときのAさんの状態のアセスメントとして正しいのはどれか。2つ選べ。
1: 過活動である。
2: 気分には日内変動がある。
3: 自分に注目して欲しいと思っている。
4: 行動の回復と感情の回復に差が生じている。
5: 看護師に声を掛けられたことに怒りを感じている。
Aさん(79歳、男性)は、1人暮らし。要介護2の認定を受け、訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と話した。 Aさんの生活様式を尊重した訪問看護師のこのときの声かけで適切なのはどれか。
1: 「外に出て気分転換しませんか」
2: 「昼間は布団をたたみましょう」
3: 「介護保険でベッドの貸与を受けましょう」
4: 「必要なものを身近に置いているのですね」
Aさん(78歳、女性)は心筋梗塞(mycardial infarction)の再発作で入院した。治療経過は順調であるが、日常における行動範囲が拡大しない。Aさんは「心臓に負担がかかるから休んでいたい」と言う。 Aさんへの言葉かけで適切なのはどれか。
1: 「それでは、休みましょう」
2: 「息が上がる程度に動きましょう」
3: 「不整脈があっても大丈夫ですよ」
4: 「負担がかかると思うのはどんなときですか」
Aさん(85歳、女性)は、 1人で暮らしており、高血圧症 (hypertension) がある。物忘れがあり、 要支援 2の認定を受け、通所介護と訪問看護を利用している。 Aさんの長女は他県に住んでいる。 Aさんの健康状態を維持するために訪問看護師が行う支援で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 服薬管理の支援を行う。
2: 水分の摂取状況を把握する。
3: 入浴は控えるよう助言する。
4: Aさんの長女に同居を勧める。
5: 1人で買い物に行かないように助言する。
Aさん(89歳、女性)は、認知症(dementia)と診断されており、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡbである。定年退職後の長男(66歳、未婚)との2人暮らし。Aさんは「役所の世話になるのは嫌だ」と言い、要介護認定を受けることを承諾していなかった。しかし、Aさんが室内で転倒したことをきっかけに、要支援1の判定を受け介護予防訪問看護が導入された。
Aさんは「家事は私の仕事だ。息子にも他人にも任せられない」と言い、夕方になると、歩いて5分程度のスーパーマーケットへ買い物に行くことが長年の習慣となっている。最近、夜になっても帰宅せず、長男が探しに行くとスーパーマーケットから離れた公園のベンチに座っていることが数回あった。長男は訪問看護師に「母は私が後をついてきたと思い込んで怒るんです。このままでは心配です」と相談した。 看護師が長男へ助言する内容で最も適切なのはどれか。
1: 「先に公園で待っていてはどうですか」
2: 「ホームヘルパーの利用をお勧めします」
3: 「Aさんに買い物はやめるよう話しませんか」
4: 「荷物を持つという理由で同行してはどうですか」
Aちゃん(4歳、男児)は、昨夜の土砂災害によって両親とともに小学校の体育館に避難している。母親は自分の両親の安否が不明なため眠ることができなかった。また、落ち着きがなく感情的になっている。父親はずっと毛布をかぶって横になっている。
Aちゃんの母親は自分の両親と連絡がとれた。避難所生活5日目、親子3人で過ごすことが多くなってきた。Aちゃんの活気がなくなってきている。 地域の病院から派遣された看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 両親のAちゃんへの関わりを見守る。
2: Aちゃんと災害時のことを一緒に話す。
3: Aちゃんが他の子どもと遊べる機会をつくる。
4: 災害時の様子を絵に描くようAちゃんに勧める。
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。
訪問看護が導入されて2か月、Aさんの妻が健康診査後の精査目的で数日間入院することになった。Aさんは妻の入院中もできる限り自宅で過ごしたいと考えている。妻の入院中の対応について、サービス担当者会議が開かれた。この時に訪問看護師が行うAさんへの提案で優先度が高いのはどれか。
1: 通所介護を利用する。
2: 訪問介護を利用する。
3: 配食サービスを利用する。
4: 訪問看護の回数を増やす。
Aさん(88歳、男性)は、10年前に脳梗塞cerebral infarctionを発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。Aさんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻がAさんに付き添って受診した。 身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。 バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数20/分、脈拍100/分、血圧140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。 検査所見:赤血球410万/μL、白血球6,800/μL、Ht50%、総蛋白6.5g/dL、尿素窒素25mg/dL、Na150mEq/L、K3.8mEq/L、血糖値110mg/dL、CRP0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。
入院から1週が経過し、Aさんのバイタルサインなどは正常となり、食事も摂取できるようになった。Aさんの妻は「先生からそろそろ退院できるといわれましたが、夫はほとんどベッド上で過ごしており、トイレまで歩けそうにありません。これで退院できるか不安です」と看護師に話した。現在のAさんの日常生活動作〈ADL〉は、起立時にふらつきがみられ、歩行は不安定である。ポータブルトイレを使用して 排泄している。 現在のAさんの状況から、退院に向けて看護師が連携する者で適切なのはどれか。2つ選べ。
1: 薬剤師
2: 民生委員
3: 管理栄養士
4: 理学療法士
5: 介護支援専門員
Aさん(35歳、女性)は、夫と7歳の息子、2歳の娘と4人で暮らしている。ある日、震度6強の地震が起こり、Aさんの家は半壊した。Aさんは倒れてきた家具の下敷きになるところだったが、何とか免れ、家族は全員かすり傷程度の怪我(けが)で済んだ。被災後、家族は避難所である小学校で生活をしている。
Aさんから、「また地震の日のような状態になってしまうことが不安です。大丈夫でしょうか」と看護師に相談があった。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1: 「すぐに受診をした方が良いと思います」
2: 「つらい体験は早く忘れるようにしましょう」
3: 「誰にでもよいので積極的に自分の体験を話してください」
4: 「気分転換にご主人と一緒に家の片付けなどしてはいかがでしょう」
5: 「強いストレスを体験したときには誰もがなり得る正常な反応です」
会社員のAさんは、うつ病(depression)の診断で精神科クリニックに通院している。これまでも外来での診療中に、自責的な発言を繰り返していた。ある日、Aさんから外来看護師に自殺念慮の訴えがあった。 外来看護師からAさんへの声かけで、最も適切なのはどれか。
1: 「自殺はしてはいけないことです」
2: 「あまり深く考え過ぎないほうがいいですよ」
3: 「Aさんよりもつらい状況の人もいるのですよ」
4: 「死にたくなるくらいつらい気持ちでいるのですね」
Aさん(32歳、女性)は小児専門の病院に勤務していたが、国際保健医療協力プログラムで中央アフリカ地域の州事務所に母子保健担当の看護師として派遣された。この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良と聞いた。 Aさんが現地で最初に行う業務はどれか。
1: 経口補水液の配布
2: 乳幼児の栄養状態の把握
3: 女性の識字率向上の支援
4: 病院における母子看護業務の把握
Aさん(55歳、女性)は、昨年10月に腹痛と腹部膨満のため受診し、膵癌(pancreatic cancer)、腹膜播種と診断された。手術の適応はなく、化学療法を受けていた。今回、腹水貯留があり経口摂取量も減少したため入院した。排泄は自立しているが、臥床していることが多い。事務職員をしていたが、現在は休職中である。夫とは離婚し25歳の長女と2人で暮らしている。23歳の長男は結婚し、遠方で暮らしている。今回の入院時から積極的治療が困難であることは、Aさんと長女へ医師から説明され、Aさんは自宅での療養を希望している。長女は就労しているため、あまり来院していない。
退院後、介護支援専門員、訪問看護師、在宅療養の主治医および訪問介護事業所管理者がAさんの自宅に集まり、Aさんと長女が同席し、サービス担当者会議を開催した。Aさんは「おなかが張ってあまり食べられないけれど、家で過ごせるようになってうれしいです」と話した。 訪問看護師が、会議で発言する内容で優先度が高いのはどれか。
1: 処方内容
2: 腹部膨満へのケアの必要性
3: ヘルパーによる支援方法の提案
4: 予後を踏まえた療養期間の予測
Aちゃん(4歳、男児)は、昨夜の土砂災害によって両親とともに小学校の体育館に避難している。母親は自分の両親の安否が不明なため眠ることができなかった。また、落ち着きがなく感情的になっている。父親はずっと毛布をかぶって横になっている。
避難から3週後、Aちゃん家族は仮設住宅に移動が決定し、両親は忙しくしている。Aちゃんは1人で過ごすことが多く、絵本を持ってぼんやりとしていることが多い。母親からAちゃんの様子がいつもと違うと看護師に相談があった。 母親への対応で最も適切なのはどれか。
1: 引っ越しすることを説明するよう促す。
2: スキンシップの時間を増やすように促す。
3: すぐに専門医の外来を受診するよう促す。
4: 子どもの反応は母親の関わりが原因だと話す。
A さん(90 歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉病 (Alzheimer disease) で、重度の認知機能の低下がある。要介護 4 で、短期入所〈ショートステイ〉や通所介護を利用している。長年、長男夫婦が自宅で介護している。
A さんは、誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia) のために入退院を繰り返している。今回の入院で主治医はA さんの家族に胃瘻の造設を含めた今後の方針を説明した。A さんの長男は胃瘻の造設を希望せず、主に介護を行ってきた長男の妻は「私には決められない」と迷っている。A さんの長男の妻に対する看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1: 「あなたが A さんの立場ならどうしますか」
2: 「介護支援専門員の考えを聞いてみましょう」
3: 「私の経験から胃瘻を造らないことを勧めます」
4: 「A さんはこのような状況になったとき、どうしたいと言っていましたか」
患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
1: 専門用語を用いて説明する。
2: 視線を合わせずに会話をする。
3: 沈黙が生じたら会話を終える。
4: 患者の非言語的な表現を活用する。
Aさん(99歳、女性)は、特別養護老人ホームに入所している。脳卒中(stroke)の後遺症で左片麻痺がある。肺炎(pneumonia)をきっかけに寝たきりになり、食事摂取量が低下した。Aさんは「私はここで最期を迎えたい。痛い思いはしたくない。死ぬときは苦しまないようにしてもらいたい」と何度も話すようになった。娘夫婦と孫とが頻繁に面会に来ている。医師が家族に回復の見込みが低いことを伝え、家族は特別養護老人ホームでの看取りに同意した。
Aさんはほとんど食事を摂(と)らなくなり、尿量も減少してきた。自発的な動きが減少し、傾眠状態となった。Aさんの家族への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1: 「状態が不安定なのでケアは職員で行いますね」
2: 「これからはご家族が目を離さないでくださいね」
3: 「刺激せず、なるべくそっとしておいてくださいね」
4: 「これからの経過について説明しますね」
Aちゃん ( 2歳 4か月、女児 )は、母と会社員の父と 3人で暮らしている。 Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。 3か月前に、誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia)を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。 Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳 (肢体不自由 1級 )を所持している。
Aちゃんの家族への指導は順調に行われ退院することになった。 Aちゃんの退院に向けて訪問看護師が連携をとる職種はどれか。
1: 保健師
2: 保育士
3: 社会教育主事
4: 介護支援専門員
Aさん(75歳、男性)は、脳梗塞後遺症による右半身不全麻痺がある。妻と 2人で暮らしている。 Aさんは要介護 3で、訪問介護と通所介護のサービスを利用している。今回、Aさんは誤嚥性肺炎 (aspiration pneumonia) で入院し、退院後に訪問看護が導入された。 訪問看護師と介護支援専門員が連携して行う内容で優先度が高いのはどれか。
1: 住宅改修の検討
2: Aさんの妻の介護負担の把握
3: 肺炎予防に必要なケアの提供
4: 訪問介護による生活援助内容の確認